停電したとき、非常用発電機の電気をパソコンや通信機器にも使いたいと考えたことはありませんか。
発電機が動いていても、消防用設備のポンプや警報設備と業務用機器を無計画につなぐと、出力や燃料が足りなくなるおそれがあります。
一方で、消防用設備に必要な電力と燃料を確保したうえで、条件に合う発電機を計画的に一般負荷へ活用する考え方は消防庁も示しています。
消防用設備を最優先にし、余裕の範囲だけをBCPの優先負荷へ割り当てることが要点です。
停電中、発電機から事務所の電源も取ってええんですか。
まず消防用設備分の容量を確保できるか確認します。
空いてるコンセントへつなげば大丈夫ですか。
設計された負荷回路以外へ勝手につながないでください。
- 消防用設備の非常電源は、必要な燃料と電力容量を常に確保します。
- 業務用に使う場合は、消防用設備の負荷を最優先にします。
- 定格出力だけでなく始動電流と連続運転可能時間も確認します。
- 手動運転へ変更した場合は、使用後に自動起動できる設定へ戻します。
- 単線結線図、負荷一覧、燃料残量、停止順位、担当者を一つの運転手順にまとめます。
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目次
自家発電設備を業務用にも使ってよいのか

ただし、発電機に空きがありそうという見た目だけでは判断できません。
消防用設備の非常電源は、火災時に消火、警報、避難、消防活動を支えるためのものです。
停電中に業務用のサーバー、通信機器、照明などへ電気を回すと、同じ発電出力と燃料を消費します。
火災が同時に発生したとき、消防ポンプなどが始動できなければ本来の役割を果たせません。
そのため、消防用設備の設計負荷と必要な運転時間を先に確保します。
残る余裕の範囲で、BCP上どうしても必要な優先負荷だけを選びます。
接続方法は、設計された配電盤、切替盤、負荷回路を使います。
延長コードや仮設配線で発電機の回路を無断変更する運用にはしません。
計画段階で電気主任技術者、設備業者、消防設備業者と確認し、必要に応じて所轄消防署へ事前相談してください。
BCPでの活用は、消防用設備の機能を残すことが大前提です。
業務用に回す前に、消防用を残すんですね。
残った余裕だけを計画的に使います。
どの発電機と負荷回路を対象に確認するのか

携帯発電機やポータブル電源とは、設備の構成も運用方法も分けて確認します。
最初に、単線結線図や非常電源系統図で自家発電設備につながる消防用設備を洗い出します。
屋内消火栓設備、スプリンクラー設備のポンプ、排煙設備、非常コンセント設備など、建物ごとに接続先は異なります。
次に、現在すでに接続されている一般負荷と、BCPで追加したい業務用負荷を分けます。
発電機の銘板では定格出力、燃料消費量、連続運転可能時間を確認します。
配電盤では回路名、遮断器容量、自動切替の範囲、負荷遮断の仕組みを確認します。
消防用設備側では、ポンプやファンなど始動時に大きな電流を必要とする機器を見落とさないことが重要です。
サーバー、通信機器、業務照明、空調、コンセントは、同じ「業務用」でも優先度を分けます。
設計図と現物の回路名が一致しない場合は、接続を増やさず設備業者へ確認します。
貸しビルでは、所有者、管理会社、テナントの誰が負荷を決めるかも確認してください。
発電機の出力だけ見ても足りないんですね。
回路と始動電流まで見てください。
消防用設備とBCP負荷をどう分けるのか

同じ配電盤につながっていても、優先順位を同じにする必要はありません。
第一順位は、法令や設計で非常電源の対象となる消防用設備です。
第二順位は、災害対策本部の通信、館内連絡、重要サーバーなど、事業の初動に必要な負荷です。
第三順位は、一般照明、通常業務の複合機、給湯、快適性のための空調など、停止や縮小ができる負荷です。
負荷一覧には、機器名、定格消費電力、始動電流、使用時間、担当部署、停止順位を記載します。
同時にすべてを起動せず、時間帯や業務に応じて切り替える方法も検討します。
ただし、消防用設備が起動したら、一般負荷を自動または手動で切り離せる設計と手順が必要です。
BCPの優先負荷を増やす前に、電気設備の専門家が容量計算と保護協調を確認します。
燃料の消費量は負荷率や運転条件で変わるため、銘板だけでなくメーカー資料や実績値も使います。
消防用設備分を下回るおそれが出たら、BCP負荷を停止する基準を先に決めておきます。
| 順位 | 負荷の例 | 運用 |
|---|---|---|
| 第一 | 消防ポンプ・警報・排煙など | 常に必要容量を確保 |
| 第二 | 通信・対策本部・重要サーバー | 余裕の範囲で選択 |
| 第三 | 一般照明・複合機・給湯 | 不足時に先に停止 |
パソコン全部ではなく、必要な機器だけ選ぶんですね。
停止順位まで決めると迷いません。
出力に余裕があっても使えないのはなぜか

燃料、冷却、換気、排気、保守体制のどれかが不足すれば運転を続けられません。
第一の見落としは、定格出力と実際に接続できる余裕を同じと考えることです。
消防ポンプなどの始動時には、一時的に大きな電流が流れます。
平常時の計器が低いからと負荷を追加すると、火災時の同時始動で電圧低下や遮断が起こるおそれがあります。
第二は、燃料タンクの総容量と使える残量の混同です。
液面計の読み、燃料消費量、消防用設備に残す量、次回補給までの時間を分けて管理します。
第三は、短時間用の設備を長時間運転することです。
発電機本体だけでなく、冷却水、潤滑油、換気ファン、排気経路、室温も継続監視します。
第四は、手動起動や試験モードへ変えたまま戻し忘れることです。
消防庁の留意点どおり、使用後は停電時に自動起動し消防用設備へ送電できる通常設定へ復帰させます。
異音、異臭、漏油、過熱、警報があれば、無理に運転を続けず保守事業者へ連絡します。
計器が余っていても、長時間運転できるとは限らないんですね。
燃料と冷却も続けて監視します。
明日から運転計画をどう確認するのか

平常時に図面と現物を照合し、運転開始から停止、復帰までを手順にします。
最初に、単線結線図、非常電源系統図、自家発電設備の仕様書、直近の点検記録を集めます。
次に、消防用設備の設計負荷と必要運転時間、現在の一般負荷、追加したいBCP負荷を一覧にします。
設備業者に、始動電流を含む容量、連続運転の可否、負荷遮断の方法を確認します。
燃料については、現在量、最低残量、時間当たりの消費量、補給先、補給道路の寸断を想定します。
運転中は、時刻、電圧、電流、周波数、燃料残量、室温、警報を記録します。
消防用設備が始動した場合、燃料残量が基準を下回る場合、過熱や警報が出た場合の負荷停止順位を明記します。
訓練は無断で発電機や消防用設備を作動させず、管理者と専門業者の管理下で行います。
訓練後は、自動起動設定、遮断器、切替盤、警報表示が通常状態へ戻ったことを確認します。
明日は、図面上で消防用設備の回路を赤枠、BCP負荷を青枠にするところから始めてください。
- 非常電源系統図と仕様書をそろえる
- 消防用設備の負荷と運転時間を確認する
- BCP負荷の優先順位と停止順位を決める
- 燃料の最低残量と補給先を決める
- 運転記録と通常設定への復帰確認を訓練する
明日は消防用と業務用の回路を図面で分けます。
停止基準と復帰確認まで書き込みましょう。
よくある質問
まとめ
負荷の優先順位を図面に書き込みます!
消防用設備の容量を残して運用しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条および第17条の3の3
- 消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 消防庁 自家発電設備を電力需給対策に活用する場合の留意点について
- 消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 消防庁 第24 非常電源 自家発電設備 点検要領
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および消防庁、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。一般負荷への活用可否、必要な容量と燃料、届出、接続方法は建物と設備の設計、地域の運用によって異なります。個別の判断は建物所有者、電気主任技術者、設備業者、消防設備業者、所轄消防署へご確認ください。





