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BCPで停電時に非常コンセントへ業務機器をつないでよいのか|消防隊用電源と業務用電源の分け方を解説

停電時に非常コンセントへ業務機器を接続せず別のBCP電源を確認する施設担当者の現場写真を使ったアイキャッチ

大規模停電で事務所のコンセントが使えないとき、階段前の赤い箱にある非常コンセントへパソコンや無線機をつなぎたくなることがあります。
しかし、その設備は一般の予備電源ではなく、火災時に消防隊の活動を支えるための設備です。
業務機器をつないだままにすると、消防隊が使う場所、差し込み口、電源容量をすぐ確保できなくなるおそれがあります。
非常コンセントは業務用に使わず消防隊用に確保します。BCPには業務用電源の分離、表示確認、使用禁止、点検、復旧判断を定めます。

停電したら、赤い非常コンセントを使ったらええんですか?

消防隊が使う設備なので業務機器はつなぎません。

ほな、業務継続の電源はどこから取りますの?

BCP用の電源を別に準備します。

この記事の結論
  • 非常コンセントは消防隊の活動を支える設備です
  • 停電時もパソコンや充電器など業務機器をつなぎません
  • 保護箱の前と差し込み口を空けておきます
  • ポータブル電源や業務用回路をBCP電源として分離します
  • 表示、扉、灯火、周囲、端子電圧を点検し記録を残します

非常コンセントを消防隊用に確保して業務用のBCP電源を分け点検記録を残す流れのアイソメ図

停電時に非常コンセントへ業務機器をつないでよいのか

非常コンセントへ業務機器をつながず別のポータブル電源を使う施設担当者のアイソメ図
結論からいうと、BCPの業務用電源として非常コンセントを使いません。
消防法令上の非常コンセント設備は、消防隊の消火活動を支える「消火活動上必要な施設」に位置づけられています。
消防法施行令第7条第6項 法第17条第1項の政令で定める消火活動上必要な施設は、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備とする。
一般の予備コンセントとは目的が違います
非常コンセントは、消防隊が照明器具や排煙用機器などの電源を取るために使う設備です。
法令に「従業員の使用禁止」とだけ書いた条文はありませんが、消防隊が到着したとき直ちに使える状態を維持する必要があります。
業務機器のプラグや延長コードを残すと、取り外し、負荷確認、動線整理に時間がかかります。
勝手な接続で配線用遮断器が作動すれば、必要なときに電源を供給できないおそれもあります。
停電時のパソコン、通信機器、充電器は別系統のBCP電源へ接続します。
非常コンセントの保護箱を開けたり遮断器を操作したりする手順を、一般従業員へ割り当てません。
誤接続を見つけたときは、危険がない範囲で責任者へ連絡し、電気設備担当者と接続状態を確認します。
消防隊到着時は、非常コンセントの位置と異常の有無を速やかに情報提供します。

電気が来ていても、自由に使う電源やないんですね。

用途で見分けるのが大事です。

どの建物と階に非常コンセント設備が設けられるのか

高層建築物の上階と地下街に設ける非常コンセント設備を示すアイソメ図
非常コンセント設備は、すべての建物やすべての階にある設備ではありません。
高層部分や地下街など、消防隊が活動用電源を必要とする建物と階に設置基準があります。
消防法施行令第29条の2第1項 非常コンセント設備は、次に掲げる防火対象物に設置するものとする。
一 別表第一に掲げる建築物で、地階を除く階数が11以上のもの
二 別表第一(16の2)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が1,000平方メートル以上のもの
建物の高さと用途から対象を確認します
地階を除く階数が11以上の建築物では、11階以上の階が配置対象です。
延べ面積1,000平方メートル以上の地下街では、地階が配置対象になります。
いずれも、その階の各部分から一つの非常コンセントまでの水平距離が50メートル以下となるよう設けます。
位置は階段室、非常用エレベーターの乗降ロビーなど、消防隊が有効に活動できる場所です。
施設台帳では設置階、保護箱番号、回路番号を対応させます。
  • 建物の地階を除く階数と地下街の該当性
  • 非常コンセントを設けた階と位置
  • 階段室や非常用エレベーター乗降ロビーからの動線
  • 保護箱の表示、赤色灯、扉の開閉状態
  • 専用回路、非常電源、配線用遮断器の管理区分
似た赤い箱でも、屋内消火栓、連結送水管の放水口、発信機が一体になっている場合があります。
正面表示を確認し、図面や点検票と現物を照合します。
テナント担当者にも、自分の区画から最寄りの非常コンセントと触らない運用を伝えます。

赤い箱を見ただけで決めたらアカンのですね。

表示と図面を一緒に見ます。

消防隊が使う電源をどう確保するのか

消防隊が非常コンセント設備から照明と排煙用機器の電源を取るアイソメ図
非常コンセントを確保するとは、差し込み口を空けるだけではありません。
保護箱へ接近でき、扉を開け、正常な電源を取り出せる状態まで維持します。
消防法施行令第29条の2第2項
二 非常コンセント設備は、単相交流100ボルトで15アンペア以上の電気を供給できるものとすること。
三 非常コンセント設備には、非常電源を附置すること
場所と回路と電源を一組で守ります
東京消防庁の審査基準は、保護箱の周囲に消防隊の活動を妨げる物件がないことを求めています。
消防庁の点検基準も、周囲に使用上と点検上の障害がなく、扉が確実に開閉できることを確認項目にしています。
復旧資材、台車、段ボール、仮設ケーブルを保護箱の前へ置きません。
扉の鍵や留め具がある場合は、消防隊が到着したときの解錠方法を施設側で共有します。
表示灯の不点灯、箱の変形、差し込み口の損傷、異物、腐食を見つけたら不良として報告します。
  1. 保護箱の前と消防隊の動線から物を移す
  2. 表面の表示と赤色灯を確認する
  3. 扉が容易に開閉できるか確認する
  4. 差し込み接続器の変形と異物を確認する
  5. 非常電源と端子電圧は有資格者の点検記録で確認する
  6. 不良時は防火管理者と管理権原者へ報告する
  7. 消防隊へ位置と不良内容を伝える情報票を用意する
一般従業員が試しに機器を差して通電確認する運用にはしません。
端子電圧や非常電源は、消防用設備等の点検で専門的に確認します。
災害直後の自主確認と法定点検の結果をつなぎ、復旧状況を一つの記録へまとめます。

箱の前に台車があるだけでも邪魔になりますね。

消防隊の動線ごと空けるんです。

赤いコンセントならBCP電源と思い込みやすいのはなぜか

非常コンセント設備と業務用ポータブル電源を離して管理する施設担当者のアイソメ図
「非常」という言葉だけを見ると、停電時に誰でも使える予備電源のように感じます。
一方、法令上の表示はその設備を非常コンセントとして識別するためのもので、業務利用を案内する表示ではありません。
消防法施行規則第31条の2第9号
イ 非常コンセントの保護箱には、その表面に「非常コンセント」と表示すること
ロ 非常コンセントの保護箱の上部に、赤色の灯火を設けること
赤色は業務用電源の目印ではありません
建物には、非常コンセント設備、非常用照明の回路、消防設備用の非常電源、一般負荷と共用する発電設備など、似た「非常」の名称があります。
それぞれ目的、容量、作動時間、接続方法、管理者が異なります。
ポータブル電源にも赤やオレンジの部品があるため、色だけで区別しない運用が必要です。
BCP用の電源には「業務継続用」と用途を示し、接続できる機器と優先順位を一覧にします。
非常コンセントの保護箱には、法令上の表示を隠さない範囲で施設内の使用ルールを周知します。
ただし、消防隊の操作や扉の開放を妨げる掲示物は付けません。
延長コードを仮設するときも、階段、避難口、消防隊の動線を横切らせません。
発電設備や蓄電池の容量に余裕が見えても、非常コンセント回路へ無断で負荷を追加しません。
設備変更が必要な場合は、電気設備担当者、消防設備士、所轄消防署と事前に確認します。

非常用いう名前だけで判断してましたわ。

誰のための設備かまで確認しましょう。

明日から非常コンセントとBCP電源をどう分けて確認するのか

非常コンセント設備の前を空けてBCP電源と点検記録を確認する施設担当者のアイソメ図
最初に、建物内の非常コンセントを図面と現物で洗い出します。
次に、停電時に動かしたい業務機器を一覧にし、別の電源、使用時間、停止順位を決めます。
消防法第8条第1項は、防火管理者に消防計画を作成させ、その計画に基づく消火、通報及び避難の訓練、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備など防火管理上必要な業務を行わせることを定めています。
消防隊用と業務継続用を図面から分けます
  1. 非常コンセントの設置階と保護箱番号を図面へ記す
  2. 保護箱の周囲と消防隊の動線を現地確認する
  3. 表示、赤色灯、扉、外形の自主確認項目を決める
  4. 法定点検記録で差し込み接続器と端子電圧を確認する
  5. 停電時に必要な業務機器と消費電力を一覧にする
  6. ポータブル電源や業務用発電回路へ接続先を割り当てる
  7. 誤接続を見つけたときの報告と復旧手順を訓練する
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務に必要な資源と代替手段を整理し、訓練と見直しにつなげる考え方を示しています。
電力が不足する場合は、重要業務の優先順位に従って停止する機器を先に決めます
消防設備の非常電源や非常コンセント設備の回路を、余った電源として計算しません。
訓練では、従業員が赤い保護箱へ延長コードを持ってきた想定を入れます。
発見者が接続を止め、責任者へ連絡し、正しいBCP電源へ案内できるか確認します。
点検不良がある場合は、修理の依頼、所轄消防署への相談、代替措置、在館と業務の範囲を検討します。
消防計画の点検担当とBCPの電源担当を同じ連絡表でつなぎます
訓練結果を記録し、接続機器、電源容量、担当者、代行者、連絡先を定期的に更新します。

停電訓練で接続先まで確かめます。

ええですね。
電源の取り違えを訓練で防ぎます。

よくある質問

Q非常コンセントにスマートフォンの充電器をつないでもよいですか?
Aつなぎません。消防隊が直ちに使える状態を確保し、充電には別のBCP電源を割り当てます。
Q赤い壁付コンセントはすべて非常コンセント設備ですか?
A色だけでは決めません。保護箱の「非常コンセント」の表示、赤色灯、消防設備図面、点検票を現物と照合します。
Q停電中に表示灯が消えていたらどうしますか?
A不良の可能性として防火管理者と設備担当者へ報告し、勝手に通電試験をせず専門業者の確認につなげます。
Q消防計画とBCPにはどう分けて書きますか?
A消防計画には非常コンセント設備の点検と消防隊への情報提供を、BCPには業務用の代替電源と機器の停止順位を定め、担当と連絡先を整合させます。

まとめ

非常コンセントは消防隊用に確保します。
業務機器は別のBCP電源へ接続します。
表示と図面で設備を特定します。
保護箱の前と消防隊の動線を空けます。
表示灯や扉の異常は直ちに報告します。
消防計画とBCPの担当と連絡先をそろえます。
停電訓練で接続先の取り違えを防ぎます。

まず非常コンセントとBCP電源を見分けます!

消防隊用の電源を守る運用を整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および行政機関等の資料に基づく一般的な解説です。非常コンセント設備の設置範囲、回路、非常電源、点検、災害時の運用は、建物の用途・階数・構造・設備構成・特例・市町村条例等によって異なります。一般従業員が保護箱を開けたり機器を接続したりせず、具体的な設備の判断は建物管理者、電気設備担当者、消防設備士、所轄消防署へご確認ください。

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