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BCPで地震後に消防用水の水位が下がっていたら営業を再開してよいのか|漏水と代替措置の確認手順を解説

地震後に水位が下がった消防用水槽を確認する施設管理者の写真を使ったアイキャッチ

地震後の巡回で、消防用水の水位がいつもより下がっていたらどうしますか。
水面が見えていても、必要な水量が残っているとは限りません。
一方で、地震直後に施設担当者が水槽へ入ったり、ひび割れを触って確かめたりするのは危険です。
離れた位置から状態を記録し、使えない範囲と代替措置を共有してから業務再開を判断することが重要です。

防火水槽の水位が下がっています。
このまま営業しても大丈夫ですか。

水面だけでは判断できません。
有効水量と取水機能を確認します。

ひび割れの近くまで見に行ったほうがええんでしょうか。

無理に近づかなくて大丈夫です。
立入制限・連絡・専門点検を先に進めます。

この記事の結論
  • 水位低下を見つけたら水槽へ入らず離れた位置から記録します。
  • 水面の見た目ではなく有効水量と取水機能で使用可否を確認します。
  • 使えない消防用水と影響する建物・区画を設備図面でひも付けます。
  • 未復旧の間は火気管理・巡回・初期消火体制を見直します。
  • 業務再開は専門点検と所轄消防署への相談結果を踏まえて判断します。

消防用水の水位低下を離れて確認し範囲特定と代替措置と専門点検へつなぐアイソメ図

地震後に消防用水の水位が下がっていたら営業を再開してよいのか

地震でひび割れた消防用水槽と低下した水位を離れて確認する施設管理者のアイソメ図
営業再開の可否は、水槽の水が少し残っているという見た目だけでは決められません。
まず、人の安全と消防用水の機能を分けて確認します。
消防法第17条は、対象となる防火対象物の関係者に、基準に従って消防用設備等を設置し維持することを求めています。
消防庁の消防用水の点検要領は、水源の水量、水位、水位計、取水口などを点検対象にしています。
水位低下は、消防隊が必要な水を取れない可能性がある異常です。
地震後は、水槽本体の亀裂だけでなく、配管の外れ、弁の状態、地盤の変形などが重なっていることがあります。
施設担当者は安全な位置から写真を撮り、通常水位との違いと発見時刻を残します。
開口部の周囲が割れている場合は、転落や崩落を避けるため立入範囲を広めに確保してください。
消防用水が必要量を満たさない疑いがある間は、設備が通常どおり使えると扱わず、専門業者と所轄消防署へ連絡します。
再開判断では、建物の用途、在館者数、火気使用、他の消火設備の状態も合わせて検討します。

水が見えていても、必要量があるとは限らないんですね。

そうです。
有効水量で確かめます。

どの水槽と取水設備を対象に確認するのか

消防用水槽と取水口と水位計を設備図面で照合する施設管理者のアイソメ図
確認対象は、水槽のひび割れ一か所だけではありません。
消防隊が実際に水を取るまでの経路を一組で見ます。
消防法施行令第27条は、大規模な建築物等に消防用水を設ける基準と、必要な有効水量や取水方法を定めています。
消防庁の点検要領では、水源のほか、吸管投入孔、採水口、配管、弁、水位計など、設備方式に応じた部分を確認します。
水槽・水位・取水口・配管を設備図面とひも付けます。
施設内に複数の水槽がある場合は、生活用水や消火設備用の水源と混同しないよう、名称と対象建物を確認します。
次の項目を整理して、点検を依頼する相手へ伝えましょう。
  • 消防用水槽の位置・容量・対象建物
  • 通常水位と現在水位の差
  • 吸管投入孔または採水口の位置と外観
  • 水位計・配管・弁の異常表示や損傷
  • 周囲の地盤沈下・亀裂・漏水跡
水位計の値だけが下がっているときは、計器故障の可能性もあります。
反対に、水位計が正常値でも水槽や取水経路が損傷していれば使用できません。
マンホールを開ける必要がある確認や水槽内部の調査は、施設担当者だけで行わないでください。
対象建物と消防用水の対応が分からない場合は、消防設備図面・届出図書・点検票をそろえます。
消防隊の進入や取水を妨げる車両、資材、陥没がないかも安全な範囲から確認します。

水槽だけでなく、取水口まで見るんですね。

はい。
消防隊が水を取れるところまでが確認範囲です。

水位低下の発見から復旧まで何を決めるのか

損傷した消防用水槽を立入制限し無線で使用不能を共有する担当者のアイソメ図
消防用水が使えない疑いがある間は、設備の停止情報を防火管理者とBCP担当者の両方へ渡します。
補修依頼だけで終わらせず、火災リスクを下げる暫定運用を決めます。
消防法第17条の3の3は、消防用設備等を定期に点検し、その結果を消防長または消防署長へ報告する仕組みを定めています。
内閣府の事業継続ガイドラインは、被害状況の把握、代替手段の確保、復旧目標、意思決定の記録を一体で管理する考え方を示しています。
停止の共有・代替措置・専門点検・復旧確認を一つの記録につなげます。
実務では、次の順番で対応します。
  1. 安全な位置から水位低下と周囲の損傷を記録する
  2. 対象建物と取水設備を図面で特定する
  3. 防火管理者・BCP担当者・専門業者へ使用不能の疑いを共有する
  4. 所轄消防署へ状況と暫定措置を相談する
  5. 専門点検と補修後に水量・取水機能を確認する
  6. 復旧確認者と復旧時刻を記録する
暫定措置は建物ごとに異なります。
例えば、火気使用の停止、可燃物作業の縮小、巡回の増員、消火器等の確認、在館者数や使用区画の制限を検討します。
ただし、施設側だけで代替設備を置けば法定設備が復旧したことになるわけではありません。
誰が停止を宣言するか誰が消防署へ相談するか誰が復旧を確認するかを決めてください。
夜間や休日に水位低下を見つけた場合の連絡先も、平常時に登録しておきます。

補修依頼だけでなく、停止中の運用も決めます。

その通りです。
未復旧の時間を管理しましょう。

水槽へ入れば早く確認できると思うと何を見落とすのか

ひび割れた消防用水槽へ不用意に入る行為を禁止するアイソメ図
水槽内部を直接見れば原因を早く特定できそうに感じます。
しかし、地震後の水槽や開口部は、平常時と同じ安全状態ではありません。
消防庁の点検要領は、消防用水の水量や取水設備を所定の方法で確認することを示しており、施設担当者が独断で水槽内部へ入る手順ではありません。
地震後の設備確認では、余震、崩落、転落、酸素欠乏など二次災害を避け、危険箇所へ立ち入らないことが基本です。
水位低下の原因調査より、まず人が危険区域へ入らない状態を作ります。
地下水槽やピットは、開口部から見える範囲だけで内部の安全を判断できません。
コンクリートの亀裂や周囲の陥没があると、ふたや縁部へ荷重をかけたことで崩れるおそれがあります。
また、水槽内部は酸素欠乏等の危険があるため、点検目的でも安易に入ってはいけません。
  • 割れた縁や傾いたふたへ乗らない
  • 単独でマンホールを開けない
  • 水槽内部へ入らない
  • 漏水箇所を埋めたり弁を操作したりしない
  • 取水口の試験を施設担当者だけで行わない
水を急いで補給しても、漏水が続けば必要量を維持できません。
配管や水槽が損傷したままでは、補給によって周囲の地盤へ影響する可能性もあります。
自己判断の補給や弁操作を避け、原因と安全性を専門点検で確認します。
一時的に水位が戻ったことと、設備の機能が復旧したことを混同しないでください。

早く原因を見つけたくても、中へ入ったらあきませんね。

はい。
人の安全が最優先です。

明日から消防用水の水位低下対応をどう確認するのか

復旧した消防用水槽の水位と取水設備を点検記録で確認する技術者のアイソメ図
地震後に初めて水槽の位置や担当業者を探すと、停止情報の共有と復旧が遅れます。
平常時に、水位低下を想定した確認手順を作っておきましょう。
消防庁は、消防用設備等について外観、機能、総合的な状態を点検し、所定の点検票へ記録する基準と要領を公表しています。
内閣府の事業継続ガイドラインは、教育・訓練、点検、見直しを繰り返し、対応の実効性を維持することを求めています。
設備図面・緊急連絡先・再開判断を一枚のチェックシートへまとめます。
次の手順を防災訓練や設備点検に組み込んでください。
  1. 消防用水槽と取水口の位置を現場で確認する
  2. 通常水位と有効水量の確認方法を専門業者へ聞く
  3. 地震後に近づかない範囲と立入制限用品を決める
  4. 防火管理者・BCP担当者・専門業者の連絡順を決める
  5. 所轄消防署へ相談する担当者と伝達項目を決める
  6. 復旧確認と代替措置解除の承認者を決める
点検記録には、水位だけでなく、水槽、採水口、配管、弁、表示、周囲の地盤の状態を残します。
図面に水槽の対象建物と容量を書き込み、現場写真と対応させると引継ぎが早くなります。
訓練では、消防用水が使えない想定で、火気使用を止める連絡と在館者への周知を試します。
復旧後は、専門業者の点検結果と所轄消防署への相談内容を確認し、代替措置の解除時刻を記録します。
最後に、連絡が届かなかった部署や古い図面を是正項目としてBCPへ戻しましょう。

水槽の場所と連絡先を先に一覧にします。

それでこそ、迷わず動けるBCPになります。

よくある質問

Q水位が少し下がっただけなら使用できますか?
A見た目だけでは判断できません。必要な有効水量があり、取水口まで正常に使えるかを専門点検で確認します。
Q施設担当者が水を補給してもよいですか?
A漏水原因や水槽周囲の安全が分からないまま補給しないでください。専門業者の調査を受け、補給方法を決めます。
Q別の消火設備があれば営業を再開できますか?
A別設備があるだけで消防用水の未復旧を置き換えられるとは限りません。建物の用途と使用状況を整理し、所轄消防署へ相談してください。
Q復旧完了は何を見て判断しますか?
A水位が戻ったことだけでなく、水源、取水口、配管、弁、水位計、周囲の安全を確認した点検記録で判断します。

まとめ

水位低下を見つけたら水槽へ入らず離れて記録します。
水面ではなく有効水量と取水機能を確認します。
水槽から取水口までを一組で点検します。
未復旧の間は火気と在館者と使用区画を見直します。
水槽内部へ入らず専門業者へ調査を依頼します。
業務再開は点検結果と消防署への相談内容で判断します。
停止から復旧までの判断を消防計画とBCPへ残します。

消防用水の停止を想定した連絡訓練をやってみます!

水量と取水機能と代替措置を一緒に確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令・点検要領等に基づく一般的な解説です。消防用水の必要量、代替措置、業務再開の判断は建物の用途・規模・設備構成や地域の運用で異なります。実際の対応は専門業者および所轄消防署へご確認ください。
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