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BCPで地震後に非常コンセントの保護箱が変形していたら使ってよいのか|消防隊用電源の確認手順を解説

非常コンセントの保護箱が変形したときにえんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が記録するアイキャッチ

地震後の巡回で、階段室前にある非常コンセントの赤い保護箱がへこみ、扉が斜めになっていたらどうしますか。
手で扉を戻して中を確かめたくなりますが、箱の内側では差し込み接続器や開閉器、配線まで傷んでいる可能性があります。
非常コンセントは一般利用の予備電源ではなく、消防隊が消火活動で使うための設備です。
変形した保護箱には触らず使用不能の疑いとして管理します。発見記録、立入制限、電源系統の照合、専門点検、消防隊への引継ぎまでをBCPへつなげます。

赤い箱がへこんで扉も開きかけています。

触らずに周囲の安全確保から始めましょう。

外側だけ撮れば、あとは扉を閉めてもええですか。

扉の奥にある電気機能まで専門点検が必要です。

この記事の結論
  • 変形した保護箱には触らず使用不能の疑いとして扱います
  • 落下物と通電の危険を避け立入範囲を確保します
  • 箱番号と回路番号を図面と点検票で照合します
  • 扉、表示灯、差し込み接続器、開閉器、端子電圧を一組で点検します
  • 消防隊へ場所と異常、確認済みの範囲を正確に引き継ぎます

非常コンセントの保護箱が変形したときに安全確保から電源系統の照合と消防隊への引継ぎまで進めるアイソメ図

地震後に非常コンセントの保護箱が変形していたら使ってよいのか

高層建築物の階段室とエレベーター乗降ロビーに非常コンセントの保護箱があるアイソメ図
結論からいえば、施設担当者が変形した保護箱を開けたり通電を試したりしません
箱の変形は見た目だけの問題ではなく、扉の開閉、差し込み接続器、開閉器、端子電圧へ影響する可能性があるからです。
消防法第17条第1項は、防火対象物の関係者に、政令で定める技術上の基準に従って消防用設備等を設置し、維持しなければならないことを求めています。
非常コンセント設備は、消防法施行令第7条で消火活動上必要な施設に位置づけられています。
消防庁の別表第21は、保護箱の外形に変形や損傷がなく、扉の開閉が確実であることを点検項目にしています。
変形や損傷が見つかった時点で、通常どおり使える設備と決めつけないことが出発点です。
周囲に壁片やガラスが落ちている、焦げ臭い、異音がする、水が流れ込んでいる場合は近づきません。
安全な位置から建物名、階、場所、保護箱の外観、発見時刻を記録し、防火管理者と設備担当者へ連絡します。
火災が発生している、火花や煙が見える、人命危険がある場合は、設備確認より避難と119番通報を優先してください。
使用可否は、外観を手で戻せたかではなく、専門点検で必要な機能を確認した記録に基づいて判断します。

電気が来ているか自分で試したらアカンのですね。

記録と専門点検へつなげてください。

どの非常コンセントと電源系統を対象に確認するのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が非常コンセントの位置と回路を図面で照合するアイソメ図
損傷した箱だけで終わらず、同じ回路と非常電源まで対象を広げます
非常コンセントは保護箱の中だけで完結せず、専用回路、配線用遮断器、非常電源とつながっています。
消防法施行令第29条の2第2項は、非常コンセントを階ごとに消防隊が有効に消火活動を行える位置へ設け、設備が単相交流100ボルトで15アンペア以上の電気を供給できるものとし、非常電源を附置することを定めています。
地階を除く階数が11以上の建築物では高層階に、延べ面積1,000平方メートル以上の地下街では地下部分に設置基準があります。
同じ階に複数の箱がある場合は、見た目ではなく保護箱番号と回路番号で識別します。
消防設備図面、電気系統図、直近の点検票を並べ、どの遮断器と非常電源につながるかを確認してください。
一つの箱だけが変形していても、壁や天井内の配線、同一回路の別の箱まで影響していることがあります。
確認対象は次のように整理すると漏れを減らせます。
  • 建物名、階、階段室や非常用エレベーター乗降ロビーの位置
  • 保護箱番号、表示灯、扉、鍵、周囲の状況
  • 差し込み接続器、開閉器、配線用遮断器
  • 常用電源と非常電源の系統
  • 同じ回路につながる別の非常コンセント
  • 消防隊が通る進入経路と作業空間
箱の正面表示が読めない場合も、勝手な仮番号だけで終わらせず、図面と照合した一意の呼び名を決めます。
テナントビルでは、共用部の設備担当者とテナント側BCP担当者が同じ場所を指せるようにしてください。
消防隊へは「エレベーター横の赤い箱」ではなく、階、区画、箱番号、回路の順で伝えます。

同じ階の箱も図面でつながりを見ます。

はい。
箱から電源までを一組で確認します。

変形を見つけたら何を記録し誰へ伝えるのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの作業員が変形した非常コンセントの保護箱を撮影して立入制限するアイソメ図
発見時の状態を変えず、安全な位置から記録して関係者へ同じ情報を渡します
扉を閉め直す、へこみを押し戻す、散らばった部品を箱へ戻す行為は、故障の手掛かりを失わせるおそれがあります。
消防庁の「別表第21 非常コンセント設備の点検の基準」は、保護箱の周囲、外形、表示及び表示灯に加え、差し込み接続器、開閉器、端子電圧を確認項目としています。
最初に上部の壁や天井、足元のがれき、水の流入、焦げ臭や異音を確認し、危険があれば近づきません。
次に、写真と短いメモを同じ時刻情報で残します。
正面、斜め、周囲を撮り、建物名、階、位置、箱番号、発見時刻、発見者、変形の範囲を書いてください。
表示灯が点灯しているように見えても、それだけで差し込み接続器や非常電源が正常とは判断しません。
記録後は保護箱の前をふさがない範囲で立入制限を行い、使用不能の疑いを表示します。
連絡は次の順で整理すると情報が途切れにくくなります。
  1. 防火管理者と建物管理責任者へ発見を報告する
  2. 電気設備担当者と消防設備の専門業者へ写真と図面を渡す
  3. 必要に応じて所轄消防署へ異常と対応方針を相談する
  4. 自衛消防隊とテナントへ立入範囲を共有する
  5. 消防隊到着時の案内担当へ箱番号と回路情報を渡す
火災時に消防隊が到着した場合は、確認を完了していない部分も隠さず伝えます。
「外観だけ確認済み」「回路は未確認」「専門業者へ連絡中」と分けると、確認済みと未確認を取り違えません。
BCP記録には、業務への影響だけでなく、消防活動を支える設備が使えない可能性を残してください。

触る前の写真が大事なんですね。

状態を変えずに記録するのが基本です。

扉だけ戻せば使えると思うと何を見落とすのか

消防設備の専門業者が非常コンセントの保護箱の扉と差し込み接続器と開閉器を点検するアイソメ図
扉が閉まっても非常コンセント設備の機能が戻ったとは限りません
保護箱は内部機器を守り、消防隊が確実に開けて使える状態を保つ役割があります。
消防庁の点検基準は、保護箱の扉の開閉だけでなく、差し込み接続器に変形、損傷、著しい腐食、異物のつまり等がなくプラグの着脱が容易であること、開閉器の位置と機能、常用電源及び非常電源の端子電圧が規定値であることを確認します。
地震の力が箱へ加わると、扉の蝶番や錠だけでなく、内部の金具、配線接続部、壁内の配管が動くことがあります。
扉を押して閉めると、露出した配線を挟む、開閉器へ力を加える、次に開かなくなる危険もあります。
表示灯が点灯していても、差し込み接続器の保持力や端子電圧までは分かりません。
逆に表示灯が消えていても、一般従業員が開閉器を入れ直したり別の回路から通電したりしないでください。
専門点検では、次の順で外側から機能へ確認範囲を進めます。
  • 周囲の障害物と落下物、壁面の損傷
  • 保護箱の変形、腐食、扉、錠、表示
  • 表示灯の損傷、脱落、点灯状態
  • 差し込み接続器の変形、異物、プラグ着脱
  • 開閉器の位置と正常な開閉機能
  • 常用電源と非常電源の端子電圧
  • 同一回路と配線、非常電源への影響
外観を補修したあとは、点検結果、措置内容、復旧日、確認者を点検票とBCP記録へ残します。
一部の箱だけを修理した場合も、同じ回路の別の箱を含めて影響範囲を明確にします。
判断に迷う間は、消防隊用の電源が使えない可能性を前提に消防計画とBCPの対応を検討してください。

扉が閉まっても復旧ではないんですね。

電源を供給できることまで確かめます。

明日から非常コンセントの破損対応をどう確認するのか

えんじ色の上着と黒の長ズボンの担当者が非常コンセントの位置と回路を消防隊へ引き継ぐアイソメ図
平常時に箱番号、回路、非常電源、連絡先を一枚の引継ぎシートへまとめます
災害後に初めて図面を探すと、同じ階にある箱と回路を照合するだけで時間を失います。
消防法第8条第1項は、防火管理者に消防計画を作成させ、その計画に基づく消火、通報及び避難の訓練、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備など防火管理上必要な業務を行わせることを定めています。
まず消防設備図面と電気系統図へ、すべての非常コンセントの番号を書き込みます。
次に、階段室や非常用エレベーター乗降ロビーから箱までの動線を歩き、障害物がないか確認してください。
そのうえで、発見から復旧までの担当と連絡先を一枚へ整理します。
  1. 設置階と保護箱番号を図面へ記入する
  2. 回路番号、遮断器、非常電源を系統図でひも付ける
  3. 周囲、外形、表示、表示灯の自主確認項目を決める
  4. 異常時に立入制限する範囲と表示方法を決める
  5. 消防設備業者、電気設備担当者、所轄消防署の連絡先を更新する
  6. 消防隊へ渡す位置、回路、未確認部分を一枚にまとめる
  7. 地震後の変形を想定した訓練で手順を確かめる
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務に必要な資源と代替手段を整理し、教育、訓練、点検、見直しへつなげる考え方を示しています。
非常コンセントが使用できない可能性は、業務用電源の不足だけでなく、消防活動への影響として扱います。
BCP訓練では「12階の保護箱が変形し、扉が開かない」という想定を出してください。
発見者が触らずに記録し、立入範囲を設け、図面を照合し、専門業者と消防隊へ同じ情報を渡せるかを確認します。
訓練後は、写真の撮り方、箱番号の呼び方、連絡順、未確認情報の伝え方を見直します。
設備を修理したら、点検結果と措置内容を消防計画側へ、重要業務への影響と代替策をBCP側へ残します。
両方の記録で復旧日と確認者をそろえ、再開判断の根拠を追えるようにしてください。

次の訓練で変形した箱の想定を入れます。

触らず記録する初動から試しましょう。

よくある質問

Q保護箱の扉が少しへこんだだけでも使用を止めますか?
A施設担当者だけで使用可と決めません。変形の状態を記録し、扉と内部機器の専門点検へつなげます。
Q表示灯が点いていれば電源は正常ですか?
A表示灯だけでは判断できません。差し込み接続器、開閉器、常用電源と非常電源の端子電圧も点検項目です。
Q同じ階の別の非常コンセントを代わりに使えますか?
A外観だけで代替と決めません。回路と非常電源、位置、点検結果を確認し、消防隊へ未確認部分も含めて伝えます。
Q消防計画とBCPにはどう分けて記録しますか?
A消防計画側には設備の異常、点検、消防隊への情報提供を、BCP側には重要業務への影響と代替策を記録し、復旧日と確認者をそろえます。

まとめ

変形した保護箱には触りません。
安全な位置から発見時の状態を記録します。
箱番号と回路番号を図面で照合します。
扉だけでなく差し込み接続器と開閉器を確認します。
常用電源と非常電源の端子電圧を専門点検で確かめます。
消防隊へ確認済みと未確認を分けて伝えます。
消防計画とBCPで復旧記録をそろえます。

箱番号と回路番号を次の訓練で確認します!

消防隊用電源を守る手順を整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。非常コンセント設備の設置範囲、回路、非常電源、損傷時の措置は、建物の用途・階数・構造・設備構成・特例・市町村条例等によって異なります。一般従業員が損傷した保護箱を開けたり通電を試したりせず、具体的な判断は建物管理者、電気設備担当者、消防設備士、所轄消防署へご確認ください。

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