住宅用の火災警報器は、法律で設置と維持が義務づけられています。
ですが、警報が鳴っても、聞こえるのは家の中にいる人だけという課題が残っていました。
平成31年に消防庁は、屋内の警報器と連動して周囲にも知らせる屋外警報装置等の技術基準ガイドラインを公表しました。
本記事ではこの装置が生まれた経緯とガイドラインが求める性能、そして導入時に見落としやすい点を解説します。
うちは新築の戸建てなんですが、警報器の音って外までは聞こえないですよね。
はい。
外まで知らせたいときは、屋外警報装置等という機器を別に取り付ける必要があります。
そのガイドラインは、どんな経緯でできたんですか。
順番に見ていきましょう。
できた経緯・求められる性能・導入の注意点の3つがポイントです。
- 消防法第9条の2・施行令第5条の6により住宅用防災警報器の設置・維持は法律上の義務ですが、警報を屋外に伝える屋外警報装置等は現時点では任意の上乗せ設備です
- 平成28年の糸魚川市大規模火災を受けた消防庁の検証事業がきっかけとなり、平成31年4月26日に技術基準ガイドラインが策定されました
- ガイドラインは警報音の音圧70デシベル以上を1分間継続し、音声メッセージも付加することを求めています
- 屋外に設置する機器はJIS C 0920のIPX3以上の防水性能を備えていなければ、雨で故障するおそれがあります
- ガイドラインの基準はあくまで最低限度の目安であり、法令上の設置義務ではないため、導入は㈱防災屋のような専門業者に相談すると安心です
▼

目次
屋外にも火災を知らせる装置とは何を指すのか

この届く範囲を外まで広げるための装置が、屋外警報装置等です。
仕組みの土台になっているのは、火災の発生を感知すると無線信号を発する連動型住宅用防災警報器です(住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令第2条第4号の3)。
屋外警報装置は、この信号を受信して屋外で警報を鳴らす専用の機器であり、信号を中継するだけの中継装置と組み合わせて使うこともできます。
インターホンにこの機能を持たせた製品も想定されています。
まずは、この装置が屋内の警報器そのものとは別物であることを押さえておきましょう。
うちにはもう連動型の警報器が付いているんですが、それだけでは外には聞こえないんですね。
はい。
外まで知らせたいときは、屋外警報装置等をあわせて取り付ける必要があります。
どのような経緯でこの基準がつくられたのか

消防庁が実際に検証事業を行ったうえで、ガイドラインという形にまとめています。
新潟県糸魚川市で発生した火災は、木造の建物が密集する地域の飲食店から出火し、147棟にまで燃え広がりました。
これを受けて消防庁は、隣接する建物どうしで警報器を連動させる方式などを全国36地区で検証し、屋外に警報する方式が有効だと確認しました。
一方で、屋外に設置する装置そのものの性能基準が整理されていないことも分かったため、技術基準検討会が立ち上げられました。
こうした経緯を経て、平成31年4月26日にガイドラインが公表されています。
そんな大きな火事がきっかけだったんですね。
そうです。
次の章で、実際にどんな性能が求められているのか見ていきましょう。
ガイドラインはどのような性能を求めているのか

音の大きさと、屋外に置くための耐久性が柱になります。
警報音は70デシベル以上を1分間以上継続できることに加え、「火事です、火事です、119番通報してください」のような音声メッセージをあわせて発することが求められます。
屋外に置く以上、雨風にさらされることは避けられません。
そのためガイドラインは、JIS C 0920のIPX3以上の防水性能を備えることも条件にしています。
数値だけでなく、確実に作動し部品の取り替えがしやすいことなど、構造面の基本要件も定められています。
70デシベルと言われても、実際どれくらいの大きさなのか分かりにくいですね。
無響室で1メートル離れた位置での測定値です。
製品を選ぶときは、この数値が表示されているかを確認してください。
実務で見落としやすいのはどこか

ここを取り違えると、実務で判断を誤ります。
住宅用防災警報器そのものは消防法第9条の2と施行令第5条の6により設置・維持が義務づけられていますが、屋外警報装置等はこの義務の対象には含まれていません。
「基準ができた=取り付けなければならない」と誤解しないよう注意が必要です。
また、屋内用として作られた機器を屋外に転用すると、防水性能が足りずに雨で故障するおそれがあります。
電池式の製品は、電圧が下がったときの表示や音による通知の有無も、設置前に確認しておきたい点です。
義務じゃないなら、うちは付けなくても大丈夫ということですか。
義務ではありませんが、木造住宅が密集した地域などでは効果が大きいとされています。
次の章で、導入前の確認手順を紹介します。
導入を検討するときに何を確認すればよいか

ガイドラインが表示を義務づけている項目も手がかりになります。
まず、家に連動型住宅用防災警報器が設置されているかを確かめます。これが無ければ屋外警報装置等は連動しません。
次に、製品本体の表示を見て、屋外警報装置という文字や型式番号、製造年、製造事業者名が記載されているかを確認します。
あわせて、屋外に置く製品ならIPX3以上の防水性能を満たしているかも見ておきましょう。
設置後は電池切れや作動表示灯の点検など、住宅用防災警報器と同じ感覚で日常的な維持管理を続けることが長く使うコツです。
表示を見れば、基準に合っている製品かどうか分かるんですね。
はい。
迷ったときは、㈱防災屋にご相談ください。
よくある質問
まとめ
屋外警報装置等の位置づけがよく分かりました。
まずはうちの警報器が連動型かどうか確認してみます。
義務ではなくても、備えあれば憂いなしです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第9条の2
- 消防法施行令第5条の6、第5条の7
- 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令(平成17年総務省令第11号)第2条第4号の3
- 屋外警報装置等の技術基準ガイドライン(平成31年4月26日 消防庁)第2条、第3条、第4条、第7条
- 屋外警報装置等の技術基準検討会報告書(平成31年4月 消防庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





