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感震ブレーカーはなぜ密集市街地から優先して設置されるのか|性能評価ガイドラインの仕組みを解説

感震ブレーカーの設置が密集市街地から優先される仕組みを解説する記事のアイキャッチ画像

大規模地震のたびに、電気に起因する火災が大きな割合を占めてきました。
感震ブレーカーはこの電気火災を防ぐ機器ですが、種類や性能はひとつではありません。
消防庁は内閣府・経済産業省と連携し、機器の選び方と設置の優先順位を性能評価ガイドラインにまとめました。
感震ブレーカーは種類ごとに守れる範囲が違い、設置を急ぐべき街も決まっています。

うちも感震ブレーカーをつけた方がいいんですかね。

種類によって守れる範囲が違います。

何を基準に選んだらいいんですか。

国の性能評価ガイドラインに基準があります。

この記事の結論
  • 感震ブレーカーは分電盤タイプ・コンセントタイプ・簡易タイプの3種類に分かれます
  • 出火予防性能は感震遮断性能と予防範囲の2つの必須項目で評価されます。
  • 分電盤タイプと簡易タイプは屋内配線全体を守り、コンセントタイプは設置箇所だけを守ります
  • 避難安全等確保機能は照明確保と通電継続回線確保という選択項目です。
  • 設置は地震時等に著しく危険な密集市街地から優先されます。

感震ブレーカー等の性能評価ガイドラインの4つの確認ステップを示す図解

感震ブレーカーはなぜ検討会で取り上げられたのか

電気ストーブの転倒と配線の損傷から出火する住宅内のアイソメ図
大規模地震のたびに、電気に起因する火災が繰り返し起きてきました。
兵庫県南部地震や東北地方太平洋沖地震のあと、国はようやく本格的な対策に乗り出しました。
大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会の報告は、兵庫県南部地震で出火原因が判明した火災のうち電気に起因するものが約61%に達し、東北地方太平洋沖地震でも本震直後の出火要因の65%が電気関係であったとしています。
同報告は、首都直下地震対策特別措置法などの制定を受け、内閣府・消防庁・経済産業省の連携のもとで検討会を設置し、平成27年2月に「感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン」を取りまとめたと説明しています。
電気に起因する出火は、大規模地震のたびに繰り返されてきました。
兵庫県南部地震では、原因が分かった火災の半数以上が電気に起因していました。
東北地方太平洋沖地震でも、津波火災を除く出火の主な要因は電気関係でした。
電熱器具の転倒や配線の損傷、停電からの復電が、代表的な出火のきっかけです。
この教訓を踏まえ、内閣府・消防庁・経済産業省が連携して検討会を設けました。
検討会がまとめたのが、感震ブレーカー等の性能評価ガイドラインです。

地震で電気の火災が多いとは知りませんでした。

停電からの復電も要注意なんです。

感震ブレーカーにはどんな種類があるのか

分電盤タイプとコンセントタイプと簡易タイプの感震ブレーカーを並べたアイソメ図
感震ブレーカーと一口に言っても、仕組みも設置の手間も違います。
ガイドラインは機器を大きく3つのタイプに整理しています。
ガイドラインは、分電盤タイプについて「分電盤に内蔵されたセンサーによって揺れを感知し、ブレーカーを落として電力供給を遮断するタイプ」とし、設置には電気工事士による電気工事が必要だとしています。
同ガイドラインは、簡易タイプについて「感震機能を持たない分電盤に、重りの落下やバンドの作動によりブレーカーのノブを操作し、電力供給の遮断を補助する器具」であり、器具の取付けに電気工事は不要だとしています。
感震ブレーカーは3つのタイプに分かれ、工事の要不要も異なります。
分電盤タイプは、感震機能付き分電盤の民間規格にもとづく自主認定品で、電気工事士による工事が必要です。
コンセントタイプは、コンセントに内蔵したセンサーで、そのコンセントからの電力供給だけを遮断します。
埋込型は電気工事が必要ですが、コンセントに差し込むだけのタップ型は工事が要りません。
簡易タイプは、既存の分電盤に重りやバンドを取り付けてブレーカーを操作する補助器具で、工事は不要です。
どのタイプを選ぶかで、電気工事の手配や費用の見積もりが変わります。

うちは古い建物で、工事はハードルが高いです。

それなら簡易タイプも選べます。

出火予防の範囲はタイプでどう変わるのか

屋内配線全体を守る感震ブレーカーと設置箇所だけを守る感震ブレーカーの範囲を比較するアイソメ図
同じ感震ブレーカーでも、実際に守ってくれる範囲は大きく違います。
「つけたから安心」ではなく、範囲まで確認することが欠かせません。
ガイドラインは、分電盤タイプと簡易タイプについて「分電盤以降の電力供給が一括して遮断されることから、予防範囲は、各電熱器具等のほか、電源コード、コンセント及びブレーカー以降の屋内配線全般となる」としています。
同ガイドラインは、コンセントタイプについて設置した各コンセントに接続している電熱器具等への電力供給のみを即遮断する一方、未設置のコンセントへの電力供給は維持され、コンセントまでの屋内配線は予防の対象外になるとしています。
予防範囲は、建物全体か設置箇所だけかで大きく変わります。
分電盤タイプと簡易タイプは、屋内配線を含めて建物全体の出火を予防できます。
コンセントタイプは、そのコンセントにつないだ電熱器具等しか守れません。
未設置のコンセントや、コンセントまでの屋内配線は対象外のままです。
危険性の高い電熱器具のまわりに絞って設置すれば、コンセントタイプでも実質的な効果は高まります。
自宅のどこにどんな出火リスクがあるかを、まず洗い出しておくことが最初の一歩です。

コンセントに付けるだけでは足りないんですね。

危険な機器の周りから優先しましょう。

性能はなにを基準に評価されるのか

感震遮断性能と予防範囲を必須項目とし照明確保と通電継続回線確保を選択項目とする評価基準のアイソメ図
感震ブレーカーの性能は、思いつきではなく決まった項目で評価されます。
必須の項目と、利用者が選べる項目に分かれています。
ガイドラインは、出火予防性能について「感震ブレーカー等の本来の目的である、地震による強い揺れが発生した場合、当該揺れを感知し、建物内への通電を遮断することで、電気に起因する出火を抑制する基本性能」であり、感震遮断性能と予防範囲から構成される必須の性能だとしています。
同ガイドラインは、避難安全等確保機能について「感震ブレーカー等の作動による通電の遮断に伴い、建物の中にいる人々が混乱するおそれ等があることから、これらの不都合を緩和するための付加的な機能」であり、照明確保機能と通電継続回線確保機能に分けられる選択項目だとしています。
評価項目は、必須の出火予防性能と選択の避難安全等確保機能に分かれます。
出火予防性能は、感震遮断性能と予防範囲の2項目で構成される必須項目です。
避難安全等確保機能は、照明確保機能と通電継続回線確保機能という付加的な機能です。
夜間に停電しても最低限の照明を残せるかどうかは、この選択項目で決まります。
在宅用医療機器のように止められない機器があるなら、通電継続回線確保機能も確認します。
カタログや認定マークで、どの項目をどこまで満たしているかを確かめておきましょう。

医療機器を使っている部屋があるんですが。

通電継続回線確保機能付きを検討しましょう。

設置はどの建物から優先されるのか

密集市街地の住宅群と郊外の一戸建てで感震ブレーカーの設置優先度を比較するアイソメ図
感震ブレーカーは、すべての建物に同じ優先度で勧められているわけではありません。
地域の危険度に応じて、扱いが「勧告」と「推奨」に分かれています。
検討会の報告は、内線規程等の民間規定に感震ブレーカーを位置づけるにあたり、「地震時等に著しく危険な密集市街地」についての設置を「勧告事項」と位置付け、延焼のおそれのある密集市街地を含むその他の地域についての設置を「推奨事項」と位置付けることが望まれるとしています。
同報告は、地震時等に著しく危険な密集市街地について、密集市街地のうち延焼危険性又は避難困難性が高く、地震時等において最低限の安全性を確保することが困難な市街地であり、各地方公共団体が位置づけの要否を判断するとしています。
設置の優先度は、地域が抱える延焼と避難の危険度で決まります。
延焼危険性や避難困難性が特に高い密集市街地は、設置が勧告される地域です。
それ以外の延焼のおそれのある密集市街地やその他の地域は、設置が推奨される地域です。
古い木造住宅が建て詰まった街ほど、消防活動や避難の困難さが増します。
自分の建物がどちらの地域にあたるかは、地方公共団体の公表資料で確認できます。
復電の際はガス漏れの有無や配線の損傷を確認してから、電気の使用を再開してください。

うちの町がどちらか分かっていませんでした。

自治体の公表資料で確認できます。

よくある質問

Q感震ブレーカーは法律で設置が義務づけられていますか?
A消防法上の設置義務はありません。国のガイドラインにもとづく任意の普及促進策であり、地域の危険度に応じて勧告または推奨の扱いになります。
Q分電盤タイプとコンセントタイプはどちらを選べばよいですか?
A建物全体を守りたいなら分電盤タイプ、費用や工事の手間を抑えたいならコンセントタイプが選択肢になります。どちらも出火予防範囲の違いを踏まえて選びます。
Q感震ブレーカーが作動したら、そのまま電気を使い続けてよいですか?
Aよくありません。復電の前にガス漏れや配線の損傷を確認し、安全を確かめてから電気の使用を再開してください。
Q自分の建物が設置勧告の対象かどうかはどこで分かりますか?
A建物がある地方公共団体が、地震時等に著しく危険な密集市街地としての位置づけを公表しています。自治体の公表資料で確認してください。

まとめ

感震ブレーカーは分電盤タイプ・コンセントタイプ・簡易タイプの3種類です。
出火予防範囲は分電盤タイプと簡易タイプの方が広くなります。
評価項目は必須の出火予防性能と選択の避難安全等確保機能に分かれます。
出火予防性能は感震遮断性能と予防範囲の2項目です。
避難安全等確保機能は照明確保と通電継続回線確保の選択項目です。
設置は地震時等に著しく危険な密集市街地から優先されます。
復電前にはガス漏れと配線の損傷を必ず確認してください。

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㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている内閣府・消防庁・経済産業省の資料に基づく一般的な解説です。製品の選定や設置は、性能評価ガイドラインに適合する製品かどうかを個別に確認してください。設置工事が必要なタイプは、電気工事士などの専門家にご相談ください。

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