BLOG

PFOSを含む消火薬剤等はどう保管すればよいのか|密閉容器への収納と屋内保管そして表示までを解説

PFOSを含む消火薬剤等はどう保管すればよいのか

消火器や泡消火設備を店舗やビルに置いている防火管理者の方から、こんな相談を受けることがあります。
「古い消火器や泡消火薬剤にPFOSが含まれているらしいが、そのまま保管していて大丈夫か」というものです。
実はPFOSを含む消火薬剤等の保管には、密閉容器への収納や表示など専用の基準が定められています。
保管・表示・点検・記録の4つを押さえれば、法令上の義務は満たせます。

うちの倉庫に古い消火器と泡消火薬剤の予備があるんですが、PFOSってやつが心配で。

PFOSを含む消火薬剤等には、保管方法や表示のしかたを定めた専用の基準があります。

普通に倉庫に置いてるだけじゃ駄目ってことですか。

はい、密閉容器への収納や屋内保管など具体的な要件があるので、順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • PFOSを含む消火薬剤等には専用の保管基準が定められている
  • 対象になるのは業として取り扱う取扱事業者である
  • 密閉容器への収納と屋内保管、そして保管している旨の表示が必要になる
  • 点検記録と保管数量の帳簿はどちらも5年間保存する
  • 令和8年6月17日の改正でPFOAなど対象物質が広がった

PFOSを含む消火薬剤等の保管・表示・点検・記録の流れを示す図解

なぜPFOSを含む消火薬剤に保管基準ができたのか

消火器と泡消火薬剤の容器と規制に関する書類
消火器や泡消火設備に使われてきた薬剤の一部には、PFOSという化学物質が含まれていました。
この物質は環境中で分解されにくく、国際的な条約をきっかけに規制が始まりました。
  • 平成21年5月のストックホルム条約第4回締約国会議で、PFOSが新たに規制対象物質に追加された
  • これを受けて化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令が改正され、PFOSは第一種特定化学物質に指定された
  • 消火器・消火器用消火薬剤・泡消火薬剤についても、平成22年10月1日から専用の技術上の基準に従うことが義務付けられた
  • 令和8年6月17日には、対象物質にPFOAやPFHxSなど関連物質も加わり、規制の範囲が広がった
対象物質は今も広がり続けています。
消火器や泡消火薬剤を長く保管している事業所ほど、最新の対象範囲を確認しておく必要があります。
次の章では、実際にどんな消火器や薬剤が規制の対象になるのかを見ていきます。
古い在庫があるだけで直ちに違反になるわけではありませんが、保管の仕方までは基準に従う必要があります。
まずは自分の事業所が「取扱事業者」に当たるかどうかを押さえておきましょう。

うちにも古い消火器がいくつかあるので、対象になるのか気になります。

次の章で対象になる消火器や薬剤の範囲を具体的に確認しましょう。

どの消火器やどんな薬剤が保管基準の対象になるのか

消火器と泡消火薬剤タンクと汚染物を入れた容器
保管基準の対象になるかどうかは、法令上の用語の定義から決まります。
まずは省令が定める基本の言葉を確認しましょう。
(消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤に関する技術上の基準を定める省令 第1条) この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 消火器等 消火器、消火器用消火薬剤又は泡消火薬剤をいう。
二 泡消火薬剤等 消火器用消火薬剤又は泡消火薬剤をいう。
三 取扱事業者 業として消火器等を使用する者その他の業として消火器等を取り扱う者をいう。
四 汚染物 (略)PFOS又はその塩、PFOA若しくはその異性体又はこれらの塩等のいずれかを含む廃液又はこれらが付着している布その他の不要物をいう。
対象になるかどうかは「業として」取り扱っているかで決まります。
消火器・消火器用消火薬剤・泡消火薬剤そのものが対象で、点検事業者や自衛消防組織などが取扱事業者に当たります。
一方、消火設備を設置しているだけの建物の所有者や管理権原者は、業として取り扱っているわけではないため取扱事業者には当たりません。
また保管基準がかかる「容器」からは、消防の用に供する貯蔵槽そのものと消火器自体は除かれています
まずは自分の事業所がどちらの立場かを整理しておきましょう。

うちは点検を委託している業者じゃなくて、設備を置いているだけなんですが。

それなら建物の関係者としては取扱事業者に当たりませんが、委託先の点検業者は対象になります。

保管容器と表示は何を満たせばよいのか

密閉容器の表示ラベルと屋内倉庫のコンクリート床
対象になる薬剤等は、容器と保管場所の両方に基準がかかります。
条文を順番に見ていきましょう。
(同省令 第2条) 取扱事業者は、泡消火薬剤等又は汚染物を入れた容器(消防の用に供する貯蔵槽及び消火器を除く。)を保管するときは、次の各号に定めるところにより保管しなければならない。
一 泡消火薬剤等又は汚染物が漏れ、こぼれる等のおそれがない密閉式の構造の堅固な容器であって、浸透しにくい材料を用いて製作されたものに収めること。
二 雨水等による泡消火薬剤等の流出を防止するため、泡消火薬剤等又は汚染物を入れた容器は屋内に保管し、床面をコンクリートとする措置又は合成樹脂等により被覆する措置を講ずること。
(同省令 第3条) 取扱事業者は、泡消火薬剤等を入れた容器を保管するときは、泡消火薬剤等を入れた容器及び保管している場所の見やすい箇所に、それぞれ当該容器及び当該場所に泡消火薬剤等を保管している旨を表示しなければならない。
2 取扱事業者は、汚染物を入れた容器を保管するときは、汚染物を入れた容器の見やすい箇所に、当該容器に汚染物を保管している旨を表示しなければならない。
保管の基本は「漏らさない容器」と「屋内保管」の2点です。
密閉式で浸透しにくい材料の容器に収め、雨水で流出しないよう屋内でコンクリート床などに置く必要があります。
さらに容器そのものと保管場所の両方に、薬剤や汚染物を保管している旨の表示も欠かせません
表示の書式は自由ですが、見やすい箇所に掲示することが条件になります。
倉庫の一角に古いドラム缶を置いているだけでは、この基準を満たしていない可能性があります。

密閉容器に入れて屋内に置けば、それで表示は要らないですか。

いいえ、容器と保管場所の両方に保管している旨の表示までしないと基準を満たしません。

点検と帳簿を怠るとどうなるか

点検のチェックリストと保管数量を記載した帳簿のファイル
保管して終わりではなく、点検と記録の保存まで義務になっています。
条文を見てみましょう。
(同省令 第5条) 取扱事業者は、泡消火薬剤等を入れた容器等について次の各号に掲げる事項を定期的に点検しなければならない。(略)一 容器から泡消火薬剤等が漏出していないこと。二 容器に損傷又は腐食が生じていないこと。三 床面等にひび割れがないこと。
3 取扱事業者は、第1項の点検の結果の記録を作成し、これを作成の日から起算して5年間保存しなければならない。
(同省令 第7条) 取扱事業者は、事業所ごとに、泡消火薬剤等の保管数量を記載した帳簿を作成しなければならない。
2 前項の帳簿は、事業所ごとに備え、これを最終の記入をした日から5年間保存しなければならない。
保管して終わりではなく、点検と記録の保存まで義務です。
漏出や損傷、床面のひび割れがないかを定期的に確認し、結果の記録は5年間の保存が必要です。
事業所ごとに保管数量を記載した帳簿も作成し、これも5年間保存しなければなりません
記録や帳簿を作らずに保管だけしていると、この基準を満たしていないことになります。
点検で異常が見つかった場合は、速やかに補修などの措置を講じる必要もあります。

点検の記録なんて、今まで残していませんでした。

記録と帳簿はどちらも5年間の保存が必要なので、今日から様式を用意しましょう。

明日からなにを確認すればよいか

保管容器を点検する作業者と消防署
ここまでの基準を、実際の行動に落とし込んでみましょう。
チェックすべき点は次の4つです。
  • 自分の事業所が「業として」消火器等を取り扱う取扱事業者に当たるかを確認する
  • 保管中の泡消火薬剤等や汚染物が密閉容器に収まり屋内保管になっているかを見る
  • 容器と保管場所の両方に保管している旨の表示があるかを確認する
  • 点検の記録と保管数量の帳簿がそれぞれ5年間分そろっているかを確かめる
今日からできることは意外と少なくありません。
まずは倉庫や保管庫を見て回り、容器の密閉性と屋内保管の状態を確認しましょう。
表示が無ければすぐに掲示を作成し、点検記録と帳簿の様式も整えておきます。
わからない点は、点検を委託している事業者や所轄消防署に相談すると確実です。
古い在庫を放置せず、早めに現状を把握することが何よりの対策になります。

今週末に倉庫を見直して、表示と記録をまとめて整えます。

それが一番の近道です、まずは今日確認したことをメモに残しておきましょう。

よくある質問

QPFOSを含まない新しい消火薬剤に入れ替えれば、この基準を守らなくてもよいのですか?
A入れ替え後の新しい薬剤は本省令の対象外になりますが、入れ替え前に保管していた古い薬剤や汚染物には引き続き基準が適用されます。廃棄する場合も密閉容器での保管が必要です。
Q消火器そのものも密閉容器に入れて保管しなければなりませんか?
Aいいえ、消火器そのものは保管基準がかかる「容器」から除かれています。対象になるのは消火器用消火薬剤や泡消火薬剤、汚染物を入れた別の容器です。
Q表示の様式は消防庁などが指定した書式を使う必要がありますか?
A本省令は表示すべき旨だけを定めており、書式そのものは指定されていません。誰が見ても保管している薬剤等の内容が分かるように、見やすい箇所へ表示すれば足ります。
Q点検記録や帳簿を5年より短い期間で処分してしまった場合はどうなりますか?
A本省令は作成の日から5年間の保存を義務付けています。処分してしまった場合は速やかに現状の在庫を点検し直し、新しい記録を作成して以後の保存期間を管理し直す必要があります。

まとめ

PFOSを含む消火薬剤等の保管基準は平成22年10月1日から施行されている
対象になるのは業として消火器等を取り扱う取扱事業者
消防の用に供する貯蔵槽と消火器そのものは保管基準の「容器」から除かれる
泡消火薬剤等や汚染物は密閉式の容器に収め屋内で保管する
容器と保管場所の両方に保管している旨の表示が必要
点検記録と保管数量の帳簿はどちらも5年間保存する
令和8年6月17日の改正でPFOAなど対象物質が広がった

今週末に倉庫を見直して、密閉容器と表示をきちんと整えます!

点検や薬剤の入れ替えでお困りでしたら、お気軽に㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令附則第3項の規定により読み替えて適用する同令第3条の3の表PFOS又はその塩の項第4号に規定する消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤に関する技術上の基準を定める省令(平成22年総務省・厚生労働省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省令第1号)
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令(昭和49年政令第202号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
PFOSを含む消火薬剤等はどう保管すればよいのか
消火器や泡消火設備を店舗やビルに置いている防火管理者の方から、こんな相談を受けることがあります。 「古い消火器や泡消火薬剤にPFOSが含まれているらしいが、そのまま保管していて大丈夫か」というものです。 実はPFOSを含...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →