地震後の巡回で、屋内消火栓ホースの結合金具がつぶれ、ノズル側とうまく接続できない状態を見つけました。
手で形を戻して接続してよいのか、その消火栓を使える扱いにしてよいのか、現場では迷います。
結合金具はホースとノズルや弁をつなぎ、放水時の圧力を受ける部分です。外見だけを整えても、かみ合わせ、パッキン、漏れ、ホース本体まで正常とは限りません。
BCPでは無理に接続しない、対象を使用保留にする、代替の初期消火手段を確保する、専門点検後に復旧を判断するという順番を決めます。
少しへこんだだけなら、工具で戻してええですか?
変形した金具は無理に直したり接続したりしません。
その箱だけ使用禁止にすれば足りますか?
担当範囲と代替消火手段までセットで確認します。
- 結合金具が変形していたら無理に接続せず使用を保留します
- 最初に対象箱と担当範囲を特定します
- 金具だけでなくホース・パッキン・ノズル・弁を確認します
- 使用保留中は代替の初期消火手段と周知を整えます
- 復旧は有資格者の点検を受け放水機能まで確認して判断します
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目次
地震後に変形した結合金具をそのまま接続してよいのか

変形した結合金具は接続せず、その屋内消火栓を使用保留にします。
結合金具は、確実にかみ合い、放水圧力がかかっても外れず、水漏れしないことが重要です。変形を工具で戻すと、肉眼では分からない亀裂や寸法ずれを広げることがあります。
点検要領でも、ホースやノズルなどの外形、接続、放水機能を個別に確認します。施設担当者が見た目だけで使用可と断定するものではありません。
発見時は操作を止める、使用保留を表示する、防火管理者と点検資格者へつなぐことを優先します。
つながっても安全とは限らんのですね。
はい。
圧力がかかったときの漏れや外れまで確認が必要です。
どの消火栓箱とホースを確認対象にするのか

変形した金具一個だけでなく、同じ箱の放水器具と、その箱が担当する区画を確認します。
地震で箱内の器具がぶつかった場合は、金具の反対側、ホースの付け根、ノズル、開閉弁にも力が伝わっている可能性があります。
- 変形した結合金具とかみ合う相手側の金具
- パッキンの外れ、切れ、噛み込み
- ホースのつぶれ、亀裂、擦れ、折れ
- ノズルの変形と開閉部の状態
- 消火栓弁、巻取り部、箱扉の損傷
- 表示灯と起動装置の状態
- その消火栓が受け持つ歩行距離と区画
一号消火栓、易操作性一号消火栓、二号消火栓、広範囲型二号消火栓では、ホースの収納方法や操作手順が異なります。設備方式は竣工図、点検票、箱内表示で確認します。
実務では同じ階の隣接箱、代替となる消火器、避難動線との干渉も一緒に確認します。
金具だけ交換したら終わりではないんですね。
一組の放水器具として確認します。
発見から使用保留と専門点検までどう進めるのか

操作停止、識別、範囲確認、代替確保、連絡、専門点検の順に進めます。
試しに接続してから判断しようとすると、金具の固着、パッキン損傷、ホース破損を広げる可能性があります。放水試験は安全管理のできる点検資格者へ引き継ぎます。
- 変形した金具へ触れず操作を止める
- 消火栓箱の位置と管理番号を特定する
- 安全な位置から変形部と箱内全体を記録する
- 使用保留を表示し誤使用を防ぐ
- 担当区画の代替消火手段を確認する
- 防火管理者と消防設備士等へ連絡する
- 専門点検の結果で復旧と再開条件を決める
使用保留の表示は、緊急時に「使える設備」と誤認させない位置へ付けます。一方で、箱扉をテープで封じたり、避難通路へコーンを広げたりして、新たな障害を作らないようにします。
連絡時は設備方式と管理番号、変形位置と発見時刻、代替手段と営業範囲を伝えます。
試しにつなぐのも避けた方がええんですね。
そうです。
安全に試験できる専門点検へ回してください。
工具で形を戻せば使えると思うと何を見落とすのか

外形が戻っても、接続精度と耐圧性能が戻ったとは判断できません。
金具には、かみ合わせ、爪、受け部、回転部、パッキンなどがあります。わずかな変形でも、接続途中の固着や放水中の離脱につながります。
- 金具の内側に細い亀裂が残っている
- パッキンがずれたり切れたりしている
- 相手側の金具も偏って変形している
- 接続できても確実にロックされない
- 放水圧力で漏れや離脱が起きる
- ホース端部へ引張りやねじれが残る
- 誤った応急修理で点検記録が曖昧になる
部品の適合性も重要です。似た形の金具を別設備から移したり、寸法だけで代用品を選んだりせず、設備方式、型式、メーカー資料、既設の仕様を確認します。
少なくともペンチで戻さない、無理にかみ合わせない、接続できただけで復旧扱いにしないことが大切です。
見た目を戻すだけでは判断できへんのですね。
接続と放水の機能確認まで終えて復旧です。
明日から結合金具の変形にどう備えるのか

平常時写真、設備方式、管理番号、代替消火手段、連絡先を一枚の確認票へまとめます。
内閣府の事業継続ガイドラインが示す重要資源、対応手順、教育・訓練、継続的な見直しを、屋内消火栓の使用不能時対応へ落とし込みます。
- 各消火栓箱へ管理番号を付ける
- 箱内全体と結合金具を同じ画角で撮影する
- 設備方式と担当範囲を平面図へ記入する
- 使用保留表示の様式と取付位置を決める
- 代替消火器の位置と必要数を確認する
- 消防設備士等と所轄消防署の連絡先を更新する
- 一台使用不能の想定で初期消火訓練を行う
訓練では「一台の屋内消火栓が使用保留」という情報だけを参加者へ渡し、対象区画を特定し、代替消火器を確認し、専門業者へ伝える記録を作るところまで行います。
訓練後は使用保留の伝わり方、代替消火器への到達時間、夜間担当者の連絡手順を見直します。
一台使えない想定でも訓練しておきます。
ええですね。
代替手段を迷わず選べる状態にしましょう。
よくある質問
まとめ
屋内消火栓ホースの結合金具が変形していたら、手直しや試し接続を行いません。対象箱を使用保留にし、担当範囲と代替消火手段を確認して、専門点検へつなぎます。
管理番号と代替消火器の確認から始めます!
使用保留・代替確保・専門点検・復旧確認を一緒に整えましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法 第17条
- e-Gov法令検索 消防法施行令 第11条
- 総務省消防庁 屋内消火栓設備の点検の基準 別表第2
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第2 屋内消火栓設備
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は消防法、消防法施行令、総務省消防庁、内閣府の公表資料に基づく一般的な解説です。設備方式、使用保留、代替措置、点検方法、部品交換、復旧、営業再開の条件は施設と所轄消防署の運用で異なります。実際の操作、点検、交換、放水試験、復旧、運用、営業再開は管理権原者、防火管理者、消防設備士等、所轄消防署へご確認ください。





