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泡消火設備の混合率はなぜ15年を境に確かめられるのか|糖度計や電気抵抗法による測定方法を解説

混合率まで確認する泡消火設備のポンプ室と薬剤タンクの写真

泡消火設備の点検で「発泡倍率は測ったけど、濃度まで測ったことはない」という話を耳にすることがあります。
実はこの実測、すべての設備に毎回求められているわけではありません。
消防庁が示す点検要領には、ある年数を境に濃度まで確かめるという線引きがあります。
この記事では、設置15年を境に何がどう変わるのかを、測定方法とあわせて解説します。

うちの設備、点検のたびに濃度まで測られたことなんてないような。
大丈夫なんでしょうか。

設置からまだ15年経っていなければ、その実測は求められていません。
年数を境に必要になる点検なんです。

えっ、年数で変わるものなんですか。
うちは何年目か確認したことがなくて焦ります。

それなら一度、設置年を点検業者に確認してみましょう。
今日はその基準を詳しくお伝えします。

この記事の結論
  • 濃度まで実測が必要になるのは、設置または薬剤交換から15年(たん白泡消火薬剤は5年)を超えた泡消火設備だけです
  • 総合点検では発泡倍率とあわせて、混合率(希釈容量濃度)も泡を放射して確かめます。
  • 混合率の測り方は糖度計法比色計法電気抵抗法のいずれかから選べます。
  • 過去に実放射で確認済み、または薬剤をサンプリング検査済みなら、その回の放射確認は省略できます
  • 点検は原則非常電源へ切り替えて確認しますが、病院等では常用電源での点検が認められる場合もあります。

泡消火設備の混合率測定の4ステップを示す図解

なぜ古い泡消火設備は放射までして確かめるのか

経年で変色した泡消火薬剤タンクと新しいタンクを並べたイラスト
泡消火薬剤は、長い年月のあいだに少しずつ性質が変わっていくことがあります。
外観点検や作動確認だけでは、その変化までは見抜けません。
消防用設備等の点検要領(消防予第172号)第5 泡消火設備 2 総合点検 固定式の泡消火設備 起動性能等 発泡倍率、放射圧力、混合率は、次により確認すること。別添1の「泡消火設備発泡倍率及び25%還元時間測定方法」の発泡倍率測定方法に従って、発泡倍率を測定するとともに当該測定により採取された水溶液を用いて糖度計法、比色計法又は電気抵抗法により混合率(希釈容量濃度)を測定する。ただし、設置後又は消火薬剤の交換後15年(たん白泡消火薬剤を用いるものにあっては5年)を経過したものに限る
薬剤は時間とともに劣化することがあります。
比重や粘度、酸性度、沈殿物の量などが変わると、同じ量を放射しても本来の消火性能が出ないおそれがあります。
そこで点検要領は、一定の年数が経った設備に限り、実際に泡を放射して濃度そのものを測ることを求めています。
新しい設備まで毎回この実測を求めると、点検の負担が大きくなりすぎるため、線引きが設けられました。
この線引きがどこにあるのかを、次の章で見ていきます。

そうか、薬剤も古くなると変わるんですね。
うちの設備は大丈夫かな。

まずは設置から何年経っているかを確認しましょう。
次の章で対象になる年数をお伝えします。

どの設備がいつから対象になるのか

砂時計と泡消火薬剤タンクを並べたイラスト
対象になるのは、ポンプ方式・高架水槽方式・圧力水槽方式のいずれかを採用した、固定式の泡消火設備です。
移動式は今回のルールとは別に定められているため、この記事では固定式に絞って解説します。
消防用設備等の点検要領 第5 泡消火設備 2 総合点検 固定式の泡消火設備 分布等 発泡倍率、放射圧力、混合率は、次により確認すること。(略)ただし、設置後又は消火薬剤の交換後15年(たん白泡消火薬剤を用いるものにあっては5年)を経過したものに限る
年数の基準は薬剤の種類で変わります。
たん白泡消火薬剤は5年、それ以外の泡消火薬剤は15年を境に、混合率までの実測が必要になります。
起算点は設置した日だけでなく、薬剤を交換した日からでも数えられます。
つまり薬剤を交換していれば、建物自体が古くても実測の対象から外れることがあります。
まずは自分の設備がどちらの起算点で何年目にあたるのかを確認しておくことが大切です。

うちはたん白泡消火薬剤なんですけど、5年でもう対象なんですか。
意外と早い気がします。

たん白泡は劣化が早いとされているので、その分基準も厳しめです。
薬剤の種類を点検記録で確認してみましょう。

混合率はどうやって測るのか

泡の採取容器と卓上の測定機器を並べたイラスト
発泡倍率と混合率は、同じ放射でまとめて確認します。
採取した泡から、2つの数値を読み取る流れです。
別添1の「泡消火設備発泡倍率及び25%還元時間測定方法」の発泡倍率測定方法に従って、発泡倍率を測定するとともに、当該測定により採取された水溶液を用いて糖度計法、比色計法又は電気抵抗法により混合率(希釈容量濃度)を測定する
まず泡そのものを容器で採取します。
容器の重さから空気の分を除き、もとの泡水溶液量との比を計算したものが発泡倍率です。
その泡から出てくる水溶液を使って、今度は薄まり具合=混合率を測ります。
測り方は糖度計法比色計法電気抵抗法の3通りが認められており、どれか1つを選べば足ります。
いずれも、あらかじめ濃度のわかった標準液で目盛りを作っておき、そこに実測値を当てはめて読み取る仕組みです。

3つも方法があるんですね。
どれを選ぶかは決まっているんですか。

点検業者や設備によって使いやすい方式が選ばれます。
結果の数値さえ基準内であれば方式は問いません。

見落としやすいのはどこか

チェックリストのクリップボードと泡を放射するノズルを並べたイラスト
この点検には、知らないと損をする代替ルールもあります。
実際の泡放射をせずに済む場合があるのです。
「消火薬剤の機能を維持するための措置」とは、次のいずれかの措置が講じられていることをいう。①総合点検等により実際に泡放射を行い、消火薬剤の機能を確認してから5年(基準年から30年が経過したもの又はたん白泡消火薬剤にあっては、3年)以内であること。②消火薬剤貯蔵槽から消火薬剤の一部をサンプリングし、「比重」「粘度」「水素イオン濃度」「沈殿量」「膨張率」「25%還元時間」「その他薬剤種類ごとの項目」を検査することによって、消火薬剤の機能を確認してから5年(基準年から30年が経過したもの又はたん白泡消火薬剤にあっては、3年)以内であること。
放射確認には省略できる代替ルートがあります。
過去に実際の放射で確認済みか、薬剤の一部をサンプリング検査していれば、その回の点検では放射確認そのものを省略できます。
この措置を知らずに、毎回必ず泡を放射しなければならないと思い込んでいる現場も見かけます。
逆に、代替措置の期限が切れているのに放射確認を省略してしまう見落としにも注意が必要です。
点検記録に前回いつ確認したかが残っているかどうかを、まず確かめておきましょう。

毎回泡を出さなくていい場合があるなんて知りませんでした。
記録を確認してみます。

サンプリング検査の記録が残っていれば省略できます。
点検業者に前回の記録を聞いてみてください。

明日からなにを確認すればよいのか

カレンダーと配管付きの泡消火薬剤タンクを拡大鏡で確認するイラスト
最後に、実際に何をすればよいかをまとめます。
特別な準備は要りません、確認するだけです。
非常電源に切り替えた状態で、手動式起動操作部又は自動式起動装置の作動により確認する。(略)※病院等で非常電源に切り替えて点検することが短時間であっても困難な場合は、常用電源で点検することができるものとする
まず設置年と薬剤の種類を確認しましょう。
点検票や設計図書を見れば、設置日や薬剤交換日、薬剤の種類が書かれているはずです。
基準年に近づいていたら、点検業者に混合率の実測が必要になることをあらかじめ伝えておくと準備がスムーズです。
病院など非常電源への切替が難しい施設では、常用電源での点検が認められる場合もあるので相談してみましょう。
数値まで確認しておけば、いざというときに設備が設計どおりの性能を発揮できるという安心につながります。

点検票を見れば設置年もわかるんですね。
今度確認してみます。

早めに確認しておけば、点検日程の調整もしやすくなります。
気になることがあればいつでもご相談ください。

よくある質問

Q泡消火設備の混合率はいつから測定の対象になるのか?
A設置または消火薬剤の交換から15年(たん白泡消火薬剤は5年)を経過した固定式の泡消火設備が対象です。それより新しい設備は、総合点検でも混合率までの実測は求められません。
Q混合率の測定方法は1つに決まっているのか?
A決まっていません。糖度計法比色計法電気抵抗法のいずれかから選べます。
Q実際に泡を放射しなくても済む場合はあるのか?
Aあります。過去の実放射確認や薬剤のサンプリング検査の記録が一定の年数以内であれば、その回の放射確認は省略できます。
Q非常電源に切り替えずに点検してもよいのか?
A原則は非常電源に切り替えて確認しますが、病院等で切替が困難な場合は常用電源での点検が認められています。

まとめ

混合率まで実測が必要になるのは、設置または薬剤交換から15年(たん白泡消火薬剤は5年)を超えた固定式の泡消火設備です
総合点検では発泡倍率とあわせて混合率(希釈容量濃度)も確認します
測定は泡試料コレクタ等で採取した泡と、そこから得られる水溶液の両方を使います
混合率の測り方は糖度計法・比色計法・電気抵抗法のいずれかから選べます
過去の実放射確認やサンプリング検査の記録があれば、放射確認は省略できます
点検は原則非常電源へ切り替えて行い、病院等は常用電源でも認められます
該当年数に近づいたら、早めに点検業者へ相談しておくと安心です

年数で線引きされていることが分かって安心しました。
今度の点検で確認してみます。

設置年の確認から一緒に進めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検要領(平成14年6月11日消防予第172号、以後改正)第5 泡消火設備 2 総合点検
  • 泡消火設備発泡倍率及び25%還元時間測定方法(別添1)、消火薬剤の機能を維持するための措置(別添2)
  • 消防法施行規則第31条の6

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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