危険物を貯蔵するタンクの指定数量の倍数を出そうとして、内容積の数字をどう決めればよいのか迷う防火管理者の方がいます。
「丸い屋根が付いているタンクは、その屋根の分も体積に含めて計算していいのか」というものです。
実は危険物の規制に関する規則は、屋根を持つタンクについて内容積の数え方をはっきり区別しています。
固定屋根と浮き屋根で除く範囲が違い、計算そのものはCADや実測値を使ってもよいとされています。
うちの屋外タンクには丸い屋根が付いているんですが、その屋根の分もタンクの内容積に入れて計算するんでしょうか。
屋根を有するタンクは、屋根の部分を除いた部分で内容積を計算することになっています。
固定式の屋根と、浮いているタイプの屋根とでは扱いが違うんですか。
はい、固定屋根と浮き屋根で除く範囲の決め方が違うので、順番に確認していきましょう。
- 危険物タンクの内容積は屋根を有するタンクにあっては当該屋根の部分を除いた部分で計算する
- 固定屋根は固定屋根の部分を除いた部分を内容積とする
- 浮き屋根は浮き屋根が最高位にあるときの液面から上の部分を除いた部分を内容積とする
- 内容積は容易に計算し難いタンクは近似計算、それ以外は通常の計算方法で求める
- 改正前の計算方法やCADや実測値を活用して内容積を計算しても差し支えない
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目次
危険物タンクの内容積はなぜ屋根の部分を除いて計算するのか

まずはこの「内容積」そのものの数え方を確認しましょう。
(危険物の規制に関する規則 第2条) 令第五条第一項の総務省令で定めるタンクの内容積(屋根を有するタンクにあつては、当該屋根の部分を除いた部分。以下同じ。)の計算方法は、次の各号のとおりとする。
この括弧書きが、内容積という言葉の意味そのものを決めているところがポイントです。
つまり屋根の有無を確認しないと、内容積の数え方そのものが決まりません。
では固定屋根と浮き屋根で、実際にどこまでを除くのかを次の章で見ていきましょう。
屋根を除くかどうかで、そんなに内容積が変わるものなんですか。
大型のタンクほど屋根の体積も無視できない大きさになります。
固定屋根と浮き屋根ではどこまでを内容積に算入するのか

消防庁の通知が示す扱いを確認しましょう。
(1) 固定屋根を有するものは、固定屋根の部分を除いた部分
(2) 浮き屋根を有するものは、浮き屋根が最高位に上昇し、かつ、浮き屋根としての機能を維持できる位置にあるときの液面から上の部分(液面を当該液面以下に設定した場合は当該液面から上の部分)を除いた部分
(3) (1)及び(2)以外のものは全体を内容積とすること。
一方の浮き屋根は、屋根がタンクの中を上下に動く構造のため、屋根の形ではなく液面の高さで線引きをします。
浮き屋根が上がりきって機能を保てる位置の液面から上を除くのが原則で、液面をそれより低く設定した場合はその液面から上を除きます。
固定屋根でも浮き屋根でもないタンクは、屋根の除外を考えずに全体をそのまま内容積とします。
浮き屋根は、屋根の形じゃなくて液面の高さで決めるんですね。
はい、浮き屋根としての機能を保てる位置の液面が基準になります。
内容積の計算は胴と鏡板をどう組み合わせて求めるのか

消防庁の通知が示す算定方法を確認しましょう。
内容積は、タンクを胴・鏡板等に分けて、各部分の形状に応じた計算方法により計算し、その各部分の容積を合計すること。
(危険物の規制に関する規則 第2条第1号) 容易にその内容積を計算し難いタンク 当該タンクの内容積の近似計算によること。
(同条第2号) 前号以外のタンク 通常の計算方法によること。
円筒形の胴の部分と、両端のドーム状の鏡板の部分とでは、体積の求め方が異なるためです。
形が単純で通常の計算方法で求められるタンクが大半ですが、複雑な形状のタンクは近似計算によることもあります。
自分のタンクがどちらに当たるかは、設計図書に残っている計算根拠で確認できます。
胴の部分と鏡板の部分を、それぞれ別々に計算して足すということですか。
はい、形状ごとに分けて計算し合計するのが基本の考え方です。
実務で見落としやすいのはどこか

なお書きの部分を見落とさないようにしましょう。
古い設計図書しか残っていないタンクでも、慌てて計算をやり直す必要はないということです。
ただし内容積と空間容積は別の規定である点だけは混同しないよう注意してください。
空間容積は規則第3条が定める別の計算で、内容積が決まった後にあらためて算定するものです。
古い図面のタンクは、内容積を出し直さないといけないのかと心配していました。
いいえ、古い計算方法の値もそのまま活用してよいとされています。
明日からなにを確認すればよいか

チェックすべき点は次の4つです。
- 自分のタンクに固定屋根・浮き屋根・屋根なしのどれが付いているかを確認する
- 浮き屋根なら液面の設定位置を設計図書で確かめる
- 内容積の算定根拠が通常の計算方法か近似計算かを設計図書で確認する
- 内容積と空間容積を混同していないか、規則第2条と第3条を分けて見直す
まずは自分のタンクの屋根の種類を確認し、どの区分に当たるかを整理しましょう。
浮き屋根なら液面の設定位置を、それ以外なら計算方法の根拠を設計図書で確かめます。
わからない点は、タンクの設計や点検を担当する業者や所轄消防署に相談すると確実です。
古い計算値だからと不安にならず、根拠が残っているかどうかをまず確認しましょう。
まず何から手をつければいいのか、順番を整理したいです。
まずはタンクの屋根の種類を確認するところから始めましょう。
よくある質問
まとめ
今週中にうちのタンクの屋根の種類を確認してきます!
それが確実です。
設計図書の確認でお困りでしたらお気軽に㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)
- 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)
- タンクの内容積の計算方法について(消防危第42号 平成13年3月30日)
- 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





