非常放送のスピーカーから流れる声を、いつも同じ内容だと思っていませんか。
実は感知器が作動した直後と、火災が確認された後とでは、放送の中身そのものが自動で切り替わります。
さらに地震のお知らせ放送と重なったときの優先順位や、起動から放送開始までの速さにも細かい基準があります。
この記事では非常警報設備の基準に沿って、音圧・放送の自動移行・優先順位という3つの仕組みを整理します。
非常放送って火災のときはいつも同じアナウンスが流れると思っていました。
実は段階ごとに放送の中身が変わるんです。
基準に沿って順番に確認しましょう。
スピーカーの音圧にも種類があるって聞いたことがあります。
はい、L級・M級・S級という区分があります。
そこから順に見ていきます。
- 非常放送のスピーカーはL級92dB以上・M級87dB以上92dB未満・S級84dB以上87dB未満と音圧の基準が区分されています
- 感知器が作動すると、まず女声の感知器発報放送が流れ、その後に男声の火災放送へ自動的に切り替わります
- 発信機や非常電話で起動した場合は、防火対象物の用途・規模・防火管理体制を踏まえて感知器発報放送を省略できることがあります
- 地震動予報等に係る放送は火災の際も例外的に遮断されませんが、火災信号を受けるとその放送が終わり次第、直ちに自動的に非常警報放送へ切り替わります
- 起動から放送開始までは10秒以内、2以上の起動装置が同時に作動しても異常を生じさせない構造であることが基準で定められています
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目次
非常放送のスピーカーはなぜL級M級S級で音圧に差があるのか

まずはこの区分ごとの音圧の基準から確認します。
測定は騒音計(A特性)を使い、取り付けられたスピーカーの中心から1m離れた位置で行います。
放送区域の面積が百平方メートルを超える場合はL級しか設置できず、区域が狭くなるほどM級・S級も選べる幅が広がります。
点検報告書でこの数値を見たら、まず設置区域の面積とL/M/Sの型式が対応しているかを確認します。
次は、放送がどんな順番で始まるのかを見ていきます。
音圧の数値そのものは知っていましたが、測り方までは知りませんでした。
1mという測定位置まで基準で決まっています。
次は放送内容そのものの切り替わりを見ましょう。
火災放送はなぜいきなり流れず感知器発報放送から始まるのか

まずは別の放送から始まる仕組みを確認します。
これは火災の可能性を知らせつつ、確認中であることも伝える放送です。
そのあと発信機や非常電話が操作されるか、別の感知器が作動するか、火災の可能性が高い信号を受け取ると、自動的に男声の火災放送に切り替わります。
放送の性別まで区分されているのは、聞いた人が今どちらの段階なのかを瞬時に判別できるようにするためと考えられます。
次は、人が発信機を押した場合の放送の始まり方を見ていきます。
女声と男声で使い分けているとは思っていませんでした。
声の違いで段階を伝えているんです。
次は発信機で起動した場合を見てみましょう。
発信機を押した場合はなぜ感知器発報放送を省略できることがあるのか

この場合の扱いを確認します。
人が実際に火災を確認して発信機を押している以上、確認中であることを伝える感知器発報放送を挟む必要性が薄いためと考えられます。
ただし省略できるのは防火対象物の用途・規模・防火管理体制を踏まえて判断される場合に限られ、無条件ではありません。
どちらの流し方を採用しているかは、設置時の設計図書や試験結果報告書で確認できます。
次は、火災放送以外の放送との優先順位を見ていきます。
人が押した場合は省略できることがあるんですね。
はい、ただし無条件ではありません。
次は地震のお知らせ放送との関係です。
地震のお知らせ放送中に火災が起きたら放送はどうなるのか

両方が重なったときにどちらが優先されるのかを確認します。
とはいえこの例外はあくまで一時的なもので、地震動予報の放送中に火災信号を受け取った場合は、その放送が終わり次第、直ちに、かつ自動的に非常警報放送へ切り替わります。
つまり地震動予報放送は火災放送を無視するのではなく、終了を待って道を譲る仕組みになっています。
最後に、起動から放送が始まるまでの速さの基準を見ていきます。
地震のお知らせが優先されっぱなしになるのかと思っていました。
終わり次第自動的に切り替わります。
最後に速さの基準を確認しましょう。
起動から放送開始までは何秒以内と決まっているのか

最後に、点検で防火管理者が確認すべき点を整理します。
これは感知器発報放送・火災放送のどちらが始まる場合にも共通する基準です。
また、2つ以上の起動装置が同時に作動しても、放送に異常が生じない構造であることも求められています。
点検では、この10秒ルールとL/M/S級の音圧、感知器発報放送から火災放送への自動移行が正しく働いているかを、試験結果報告書で確認します。
- スピーカーの音圧が放送区域の面積に応じたL級・M級・S級の基準を満たしているか
- 起動してから放送開始までが10秒以内であるか
- 感知器の作動時に女声の感知器発報放送から男声の火災放送へ正しく自動移行するか
- 地震動予報放送中に火災信号を受けた場合、放送終了後直ちに非常警報放送へ切り替わるか
次回の点検では、放送が今どの段階を流しているのかにも注目してみてください。
10秒以内というのは思ったより短いですね。
それだけ初動が重視されています。
次はよくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
放送の裏側にこんなに細かい基準があるとは知りませんでした!
はい、段階ごとの仕組みを押さえておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第二十五条の二(非常警報設備に関する基準)
- 非常警報設備の基準(昭和四十八年二月十日消防庁告示第六号)
- 消防用設備等の試験基準及び判定基準(非常警報設備、消防庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





