地震後、消防ポンプ室を確認すると、細い配管から排水口へ水が出続けていました。
ポンプは停止表示です。このまま運転確認をしてよいのでしょうか。
逃し配管は本来、ポンプ運転中の水温上昇を防ぐために放水する装置です。
停止中にも水が出続けるなら運転を保留し配管と弁を点検します。
ポンプは止まっているのに、
水が出続けています。
運転を保留してください。
濡れた範囲を先に管理します。
逃し配管の水は、
全部異常なんですか。
運転中の放水は役割です。
停止中の流出と分けて見ます。
- ポンプ停止中にも水が出続ける場合は運転を保留する
- 濡れた床と電気設備の周囲を立入管理する
- 運転中の正常な放水と停止中の異常な流出を分ける
- ポンプ・逃し配管・止水弁・排水先を系統で点検する
- 代替措置と再開承認者をBCPへ決める
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目次
地震後に消防ポンプの逃し配管から水が出続けていたら運転してよいのか

ポンプ停止中にも水が出続けるなら運転を保留します。
消防庁告示の「加圧送水装置の基準」は、逃し配管をポンプの締切運転時に水温上昇を防ぐ配管と定義しています。
同基準では、逃し配管はポンプ運転中に常時、呼水槽などへ放水する構造です。つまり、運転中に水が流れること自体は直ちに故障とは限りません。
一方、ポンプが停止しているのに水が止まらない、地震後に流量が急に増えた、床や電気設備へ水が広がっている場合は、弁や配管の損傷を疑います。自己判断で試運転せず、停止状態と流出状況を保って専門点検へつなぎます。
運転中と停止中で、
意味が違うんですね。
はい。
ポンプの状態と一緒に見ます。
どの消防ポンプと配管系統を確認対象にするのか

水が出ている管だけでなくポンプ方式の加圧送水装置全体を確認します。
対象は屋内消火栓設備、スプリンクラー設備などに用いるポンプ方式の加圧送水装置です。
- 消防ポンプと電動機、制御盤
- 吐出側逆止弁と逃し配管の接続部
- 逃し配管途中の止水弁とオリフィス
- 呼水槽、呼水管、補給水管
- 放水先の排水口と床面、周囲の電気設備
告示は、逃し配管を吐出側逆止弁の一次側などへ接続し、運転中に呼水槽等へ放水するものとしています。見える末端だけを塞ぐと、本来の水温上昇防止機能を損なうおそれがあります。
設備台帳と系統図で、どの消防用設備へ送水するポンプなのかも確認します。点検中に使えない消火設備の範囲を同時に特定してください。
水を止めるだけでは、
あかんのですね。
本来の機能を残したまま、
原因を確認します。
発見から漏水確認と代替措置までどう進めるのか

発見者が弁を閉めたりポンプを起動したりする必要はありません。まず滑りや感電のおそれがある範囲へ人を近づけず、ポンプの表示と水の流れを安全な位置から確認します。
- ポンプの運転表示と異音、振動、煙を確認する
- 床の濡れと電気設備への到達範囲を確認する
- ポンプ室への立入を管理する
- 流出位置、量、発見時刻を記録する
- 防火管理者、設備責任者、専門業者へ連絡する
- 使用できない消防用設備の代替措置を決める
- 所轄消防署への連絡が必要か確認する
ポンプ停止中の流出が続く場合は、専門担当者が止水弁、配管、継手、逆止弁、呼水槽などを点検します。床へ水が広がる場合は、排水と感電防止も同時に扱います。
点検中は、火気制限、巡回、業務範囲の縮小などを検討します。消防用設備の代替措置は、所轄消防署と専門業者へ相談し、施設だけで決め切らないことが重要です。
触らずに、
表示と水の範囲を伝えます。
それで十分です。
安全な引継ぎを優先します。
水を止めれば復旧したと思いやすいのはなぜか

水が止まったことと消防ポンプが復旧したことは別です。
止水弁を閉めれば床への流出は止まっても、逃し配管が担う水温上昇防止機能まで止まる可能性があります。
点検要領では、加圧送水装置について変形、損傷、著しい腐食などの有無や機能を確認します。地震後は、目に見える水だけでなく、配管支持部のずれや弁の作動状態も確認対象です。
- 停止中だけ流出が収まって見える
- 止水弁の閉鎖で本来の逃し機能も失われる
- 別の接続部や支持部にも地震の影響がある
- 排水口の詰まりで床へ水が広がる
- 試運転時の圧力や流量が基準へ戻っていない
復旧判断には、原因の特定、必要な修理、弁の正しい開閉状態、制御盤、圧力、流量、排水の確認が必要です。停止中の見た目だけで再使用を決めないでください。
水が止まっても、
復旧とは言えへんのですね。
はい。
機能確認までが復旧です。
明日から停止と復旧の手順をどう確認するのか

正常時の放水と異常時の停止条件を一枚へまとめます。
平常時に逃し配管の位置と放水先を確認しておくと、災害直後の異常を見分けやすくなります。
- 消防ポンプと逃し配管の系統図を用意する
- 平常時に水が出る運転条件と放水先を確認する
- 停止中の流出や床面への漏水を停止条件に定める
- 立入管理と電気設備保護の範囲を決める
- 防火管理者、設備責任者、専門業者の連絡順を決める
- 代替措置と所轄消防署への相談手順を決める
- 修理、試運転、再開承認の結果を設備台帳へ残す
消防法第17条の3の3に基づく定期点検に加え、災害直後の確認を同じ台帳へ残すと、発見から復旧までの経過を追えます。
誰が運転を止め、誰が代替措置を決め、誰が点検し、誰が再開を承認するかまでBCPへ書き込みます。内閣府の事業継続ガイドラインが示す教育、訓練、点検、改善にもつなげてください。
正常な水の出方も、
先に見ておくんですね。
比較できる状態が、
災害時の判断材料になります。
よくある質問
まとめ
逃し配管は、消防ポンプを守るために必要な付属装置です。水を止めるだけでは、本来の機能まで失うおそれがあります。
運転状態を確認する、濡れた範囲を管理する、系統で点検するという順序をBCPへ組み込み、災害後も現場が迷わないようにしてください。
止める前に役割を確認して、
専門点検へつなぎます!
停止手順と復旧条件まで決めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 加圧送水装置の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の設置に係る運用基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。消防ポンプ停止中にも逃し配管から水が出続ける場合は自己判断で弁を閉めたり試運転したりせず専門業者へ相談してください。漏水が電気設備へ達している、煙や異音があるなど危険な場合は近づかず、施設の緊急手順に従ってください。個別の停止、代替措置、点検、復旧、業務再開は、設備方式と現場状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





