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地下埋設配管の漏れの点検はなぜ方法まで法令で決まっているのか|ガス加圧法や微加圧法など5つの方法を解説

地下埋設配管の断面と圧力計付きの点検器具

危険物を扱う施設の担当者から、地下に埋めた配管の点検について相談を受けることがあります。
「漏れの点検といっても、実際どんな方法で確認するのか分からない」というものです。
実は危険物の規制に関する規則と告示は、地下埋設配管の漏れの点検について方法そのものまで細かく定めています。
ガス加圧法や微加圧法など5つの方法があり、方法ごとに有効な範囲が違う点が実務の落とし穴になります。

うちの給油取扱所にも地下に埋まった配管があるんですが、漏れの点検って具体的にどうやるんですか。

法令は具体的な点検方法まで決めています。
今日はその中身を見ていきましょう。

点検業者に任せきりなので、そもそも何を確認しているのか知らないんです。

方法ごとの特徴と範囲を知っておくと、点検結果の見方が変わってきますよ。

この記事の結論
  • 地盤面下に設置された配管のうち危険物に接する部分は「地下埋設配管」として定期点検(漏れの点検)が義務付けられる
  • 点検の方法はガス加圧法・液体加圧法・微加圧法・微減圧法・その他の方法の5つが規定されている
  • ガス加圧法と液体加圧法は20kPaまで加圧し、15分静置後15分間の圧力降下が2%以下であれば異常なしと判定する
  • 微加圧法と微減圧法は気相部だけを対象とし、危険物を貯蔵したまま実施できる
  • 方法ごとに有効な点検範囲が異なるため、対象部位を包含するよう組み合わせて選ぶ必要がある

地下埋設配管の漏れの点検を対象の確認から5つの点検方法の選定と点検範囲の組み合わせまでの流れで示す図解

地下埋設配管の漏れの点検はなぜ方法まで法令で決まっているのか

地面の下に埋設された配管の断面図と法令の条文が書かれた書類
危険物施設の定期点検は、目視で異常がなければよいというものではありません。
まずは地下埋設配管に固有の点検義務を確認しましょう。
(危険物の規制に関する規則 第六十二条の五の三) 製造所等のうち地盤面下に設置された配管(以下この条において「地下埋設配管」という。)を有するものに係る定期点検は、第六十二条の四の規定によるほか、告示で定めるところにより、当該地下埋設配管の漏れの点検を行わなければならない。ただし、地下埋設配管又はその部分のうち、危険物の微少な漏れを検知しその漏えい拡散を防止するための告示で定める措置が講じられているものにあっては、この限りではない。
地下埋設配管には、通常の定期点検に加えて専用の漏れの点検が義務付けられています。
地面の下にあるため、地上からの目視だけでは腐食や継手の緩みを見つけにくいことが理由です。
点検の中身は告示が具体的に定めており、実施者の判断で方法を変えることはできません。
まずはどこまでが「地下埋設配管」に当たるのかを次の章で確認します。

目視で異常がなければ、それで点検は足りると思っていました。

地下は見えない分、加圧や減圧で数値を測る点検が別途必要になります。

どんな配管のどの部分が点検の対象になるのか

タンクにつながる配管のうち地中の部分だけを区切って示した図
対象になる範囲を取り違えると、点検そのものが成立しません。
消防庁の通知が示す考え方を確認しましょう。
(地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について 消防危第120号) 地下埋設配管:通常の使用形態により危険物と接する部分(注入管や送油管等のうち地下貯蔵タンク内に存する部分を除く。)
点検対象は、通常の使用状態で危険物に接している配管の部分に限られます。
同じ注入管や送油管でも、タンクの内部に入り込んでいる部分は地下埋設配管には含まれません。
一方で通気管など危険物に直接接しない部分も、実際の点検では加圧・減圧の範囲に含めて扱うことが多いとされています。
自社の配管図面でどこからどこまでが対象になるのか、まず線を引いて確認しておくと後の工程がスムーズです。

タンクの中に入っている部分の配管は対象外なんですね。

はい、地盤面下で危険物に接する部分だけが地下埋設配管の対象です。

点検にはどんな方法があるのか

加圧ポンプと窒素ガスボンベと圧力計が配管につながれている様子
ここからが今回の本題です。
法令は点検の方法を種類ごとに列挙し、それぞれ細かく定義しています。
(地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について 消防危第120号) 漏れの点検の方法として、次の方法が規定されていること(告示第七十一条第一項及び第二項並びに第七十一条の二第一項)。地下貯蔵タンク・地下埋設配管「ガス加圧法」、「液体加圧法」、「微加圧法」、「微減圧法」及び「その他の方法」
告示は地下埋設配管の漏れの点検方法を5種類に整理しています。
ガス加圧法は窒素ガスを封入して20kPaまで加圧し、15分間静置した後の15分間で圧力降下が2%以下なら異常なしと判定します。
液体加圧法は水や実液を満たして同じ20kPaまで加圧し、判定方法はガス加圧法と同じです。
微加圧法は概ね2kPaという小さな圧力で気相部だけを確認する方法で、判定基準はやはり15分静置後15分間の圧力降下2%以下です。
微減圧法は逆にわずかに減圧し、負圧の状態で気相部の圧力変化を確認します。
微加圧法と微減圧法は危険物を貯蔵したまま実施できる点が、タンクを空にする必要があるガス加圧法・液体加圧法との大きな違いです。

タンクを空にしなくていい点検方法もあるんですね。

はい、微加圧法と微減圧法は気相部限定ですが在庫を残したまま点検できます。

実務で見落としやすいのはどこか

一部だけ色を変えて点検範囲を示した配管図と虫眼鏡
方法さえ選べば点検が完結すると思われがちですが、実はここに落とし穴があります。
消防庁の通知が示す注意点を確認しましょう。
(地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について 消防危第120号) 漏れの点検の方法により「点検範囲」(当該方法を用いて有効に点検を行うことができる範囲)は異なるものであり、点検を行わなければならない部位が包含されるよう適切な方法の選定・組合せを行う必要があること。
1つの方法だけでは配管全体をカバーできないことがあります。
例えば微加圧法・微減圧法は地下水位より上の気相部しか有効に点検できず、液相部や地下水位より下の部分は範囲外です。
その部分を確認するにはガス加圧法や液体加圧法など別の方法を組み合わせる必要があります。
点検報告書に「実施した方法」だけでなく「その方法が有効な範囲」まで書かれているかを確認する習慣をつけましょう。

点検業者からは「微加圧法で異常なし」としか聞いていませんでした。

それなら液相部まで点検できているかを業者に確認してみましょう。

明日からなにを確認すればよいか

点検記録のチェックリストと配管図面を並べた様子
ここまでの内容を、実際の確認作業に落とし込んでみましょう。
チェックすべき点は次の4つです。
  • 自社の配管図面で地盤面下で危険物に接する部分がどこまでかを確認する
  • 点検報告書に記載された方法と点検範囲を突き合わせる
  • 液相部・地下水位より下の部分まで別の方法で補完されているかを業者に確認する
  • 微少な漏れを検知する設備があるかを確認し、点検の免除対象に当たらないか整理する
今日からできることは意外と少なくありません。
まずは配管図面を広げて、どこまでが地下埋設配管に当たるのかを整理しましょう。
次に直近の点検報告書を取り出し、使われた方法とその点検範囲が対象部位を覆っているかを確かめます。
範囲外の部分が残っていないか、担当の点検業者や所轄消防署に相談すると確実です。
点検方法の名前だけで安心せず、範囲まで含めて確認する習慣をつけましょう。

まず何から手をつければいいのか、順番を整理したいです。

まずは配管図面の確認から始めましょう。

よくある質問

Q地下埋設配管とはどんな配管を指しますか?
A地盤面下に設置された配管のうち、通常の使用形態で危険物と接する部分をいい、地下貯蔵タンク内に存する注入管や送油管の部分は含まれません。
Q微加圧法と微減圧法はどんな場合に使えますか?
Aいずれも気相部だけを対象とする方法で、危険物を貯蔵したまま実施できる点が特徴です。ただし対象は地下水位より上部の気相部に限られます。
Qすべての配管を1つの方法だけで点検できますか?
Aいいえ、方法ごとに有効な点検範囲が異なるため、危険物に接するすべての部分を包含できるよう組み合わせる必要があります。
Q微少な漏れを検知する措置があれば点検をしなくてよいのですか?
A直径0.3mm以下の開口部からの漏れを検知できる設備で常時監視し、かつ漏えい拡散を防止する措置が講じられている部分は、法令上点検が免除されます。

まとめ

地盤面下に設置された配管のうち危険物に接する部分は地下埋設配管として定期点検が必要になる
点検対象は通常の使用形態で危険物と接する部分で、タンク内の注入管・送油管の部分は除かれる
点検方法は法令がガス加圧法・液体加圧法・微加圧法・微減圧法・その他の方法の5つを規定している
ガス加圧法と液体加圧法は20kPaまで加圧し、15分静置後15分間の圧力降下2%以下で異常なしと判定する
微加圧法は概ね2kPaの加圧で気相部だけを確認でき、危険物を貯蔵したまま実施できる
方法ごとに有効な点検範囲が異なるため、対象部位を包含するよう組み合わせる必要がある
微少な漏れを検知し拡散を防ぐ措置が講じられている部分は点検が免除される

今週中に点検業者に点検範囲を確認してきます!

それが確実です。
点検記録の見方でお困りでしたらお気軽に㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第六十二条の五の三
  • 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和四十九年自治省告示第九十九号)第七十一条・第七十一条の二
  • 地下貯蔵タンク等及び移動貯蔵タンクの漏れの点検に係る運用上の指針について(消防危第120号 令和元年8月27日)
  • 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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