無線通信補助設備は、地下街や地下街に準じる建物で消防隊の無線が届きにくい場所を補う設備です。
ふだんは赤い保護箱に隠れていて、実際にどう働くのかは意外と知られていません。
設置工事が終わったときには、目で見るだけでなく実際に測定して確かめる試験も用意されています。
今回は無線通信補助設備の機能試験と、端子や保護箱・分配器にどんな規格が求められているのかを解説します。
無線通信補助設備は地下街に付いていることは知っていますが、中身はよく分かりません。
実は目視だけでなく、電圧定在波比という数値まで測って確かめているんですよ。
電圧定在波比と言われても、正直ピンときません。
電波がどれだけ効率よく伝わるかを表す数値なんです。
まずは検査の全体像から見ていきましょう。
- 無線通信補助設備は目視で確認する外観試験と実際に測定する機能試験の2段階で検査されます
- 機能試験では電圧定在波比計と信号発信機を無線機接続端子に接続して測定します
- 合否の基準は使用周波数において電圧定在波比が1.5以下であることです
- 端子はCO1形コネクター、保護箱は厚さ1.6ミリメートル以上の鋼板製など細かな規格があります
- 漏洩同軸ケーブルにも難燃性やJIS規格への適合が求められます
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目次
無線通信補助設備の性能は検査でどう確かめるのか

まずはこの2つがそれぞれ何を見ているのかを整理します。
外観試験では保護箱や端子の設置状態を目視とスケールで確認します。
機能試験は電圧定在波比計などの機器を使い、実際に電波が正しく伝わるかを測定します。
つまり見た目が正しいだけでは足りず、数値として基準を満たすかまで確かめる必要があります。
次の章から機能試験の中身を具体的に見ていきます。
見た目さえ整っていれば大丈夫だと思っていました。
見た目と数値の両方を確かめて初めて合格になります。
次は数値の測り方を見てみましょう。
電圧定在波比はどうやって測定しどんな基準で合否を決めるのか

専用の測定器を無線機接続端子につないで、実際に電波の伝わり方を確かめます。
試験では電圧定在波比計と信号発信機を無線機接続端子に接続し、実際に測定します。
合否の基準は使用周波数において1.5以下であることと定められています。
数値が大きいほど接続部分などで電波が反射して伝わりにくくなっていることを示します。
消防隊が現場で無線を使う瞬間に伝わらなければ意味がないため、この測定は欠かせません。
数値が低いほど良いというのは、電波が弱くなるという意味ですか。
いいえ、弱くなるのではなく反射によるロスが少ないという意味です。
基準の1.5以下を満たせば実用上問題ありません。
端子や保護箱にはどんな細かい規格があるのか

端子を収める保護箱の中の作りも、検査でこまかく確認されます。
端子はJISC5411のCO1形コネクターに適合するものとし、使わないときのために無反射抵抗器又はキャップを付けておきます。
保護箱は厚さおおむね1.6ミリメートル以上の鋼板製、又はこれと同等以上の強度を持つものとされています。
箱の中には可とう性のある接続用同軸ケーブルを2メートル以上収容しておくことも決まりの一つです。
このケーブルの余裕があるからこそ、消防隊は箱の外に無線機を出して自由な向きで使えます。
ケーブルを2メートルも余らせる理由が分かりませんでした。
箱の外へ無線機を持ち出して使うための余裕なんです。
だからこそケーブルの長さまで基準になっています。
混合器や分配器にはどんな基準があるのか

これらの器具にも、設置場所と性能の両面で基準があります。
設置場所は点検に支障のない位置で、かつ不燃性の材料で造られた箱内又は場所であることが求められます。
性能面では挿入損失の少ないものを使うこととされ、電波が分配器等を通るたびに弱くなりすぎないようにしています。
接続部分には防水上適切な措置を講じることも決まりの一つです。
点検の際は分配器等が什器の裏に隠れていないかも合わせて見ておく必要があります。
分配器なんて意識したことがありませんでした。
目立たない部品ですが、電波を弱らせないための大事な役目があります。
点検のときは什器で隠れていないかも確認します。
漏洩同軸ケーブルにはなぜ難燃性や規格まで求められるのか

火災時に設備そのものが機能を失っては意味がないためです。
漏洩同軸ケーブル等は難燃性を持ち、湿度で電気的特性が劣化しないものとされています。
空中線は耐食性を、同軸ケーブルはJISC3501に規定する規格またはこれと同等以上の性能を求められます。
工事の面でも支持金具等で堅固に固定することとされ、ケーブルがたわんで垂れ下がらないようにします。
どれも地味な項目ですが、火災という最も過酷な場面で確実に働くための土台になっています。
ケーブルまで基準があるとは思いませんでした。
目立たない部材ほど基準が細かいのが消防用設備の特徴です。
これで検査の全体像がつながりましたね。
よくある質問
まとめ
電圧定在波比まで測っているとは知りませんでした!
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第29条の3(無線通信補助設備に関する基準)
- 消防法施行規則第31条の2の2(無線通信補助設備に関する基準の細目)
- 消防庁「消防用設備等の試験基準」第23 無線通信補助設備 外観試験・機能試験
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





