避難階段には「屋外に設けるもの」と「屋内に設けるもので消防庁長官が定める部分を有するもの」という、微妙な書き分けがあります。
この書き分け一つで、避難器具や自動火災報知設備、誘導灯の設置基準が変わってきます。
では「消防庁長官が定める部分」とは、具体的にどんな基準を指すのでしょうか。
その答えは、平成14年に消防庁告示で定められた排煙上有効な開口部の基準にあります。
うちのビルの階段は屋内にあるんですが、これって「消防庁長官が定める部分」とやらに当てはまるんでしょうか。
条文だけでは判断できません。
実は告示に具体的な基準が決められているんです。
告示の基準って、いったいどんな内容なんですか。
排煙のための窓の大きさが決まっています。
順番に見ていきましょう。
- 「消防庁長官が定める部分」とは、排煙上有効な開口部を備えた屋内避難階段のことです
- 根拠は平成14年消防庁告示第7号で、新宿区歌舞伎町ビル火災を機に定められました
- 開口部の面積は2平方メートル以上で、上端は階段部分の天井の高さに位置している必要があります
- 屋外に設ける避難階段には、この条件は付いていません
- 基準を満たすかどうかで避難器具・自動火災報知設備・誘導灯の設置基準が変わります
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目次
屋内避難階段の基準はなぜ告示で定められたのか

きっかけになった火災から確認します。
新宿区歌舞伎町の雑居ビルで起きた火災を受け、消防法施行規則が平成14年に改正されました。
この改正にあわせて、屋内避難階段の扱いを具体的に定める告示が新たに作られています。
それが平成14年消防庁告示第7号です。
同時に、それまで使われていた昭和48年消防庁告示第10号は廃止されました。
うちのビルも古いので、もしかして昔の基準のままだったりしませんか。
昭和48年の基準はもう廃止されています。
今の告示で確認し直しましょう。
どの避難階段のどの部分が対象になるのか

条文の中でどう使われているかを確認します。
特別避難階段はこの基準を満たさなくても、はじめから対象に含まれます。
この条文は避難器具の設置個数の減免、自動火災報知設備の設置基準、誘導灯や非常警報設備の基準など、複数の場面で使われています。
つまり一つの告示の基準が、いくつもの設備規定に効いてくる仕組みです。
自分の建物の階段がどの規定に関わるかは、所轄消防署に確認するのが確実です。
一つの基準がそんなに色々な設備に関わっているとは思いませんでした。
だからこそ、階段一つの構造が建物全体の設備計画を左右するんです。
告示が求める開口部の基準は何か

基準は開口部の面積と位置の2つです。
面積は2平方メートル以上、位置は階段部分の天井の高さと同じ高さであることが求められます。
ただし階段の最上部に500平方センチメートル以上の換気口があれば、位置の条件は問われません。
つまり階段の途中に外へ開いた大きな窓があるか、最上部にまとまった換気口があるかのどちらかが必要になります。
まずは実測して、この基準に届いているかを確認します。
2平方メートルというと、だいたい畳1枚分くらいの窓ですね。
感覚としてはそのくらいです。
実際の寸法は図面で確認してください。
屋外の避難階段にはなぜこの条件がないのか

見落としやすいポイントです。
屋外に設ける避難階段には、この告示の条件は付いていません。
外に開放された構造そのものが排煙の役目を果たすため、追加の基準が要らないと考えられます。
一方、屋内に設ける避難階段だけに、開口部の基準が重ねてかかります。
特別避難階段には、そもそもこの括弧書き自体が付いていない点にも注意が必要です。
屋外か屋内かだけで、こんなに条件が変わるんですね。
屋外は構造そのものが開放的だからです。
屋内はその代わりに開口部で補う仕組みなんです。
明日からなにを確認すればよいのか

むずかしく考える必要はありません。
自分の建物の避難階段が屋内か屋外かを、まず区別します。
屋内であれば、階段の各階または中間部分に排煙上有効な開口部があるかを確認し、面積と位置を実測します。
基準を満たしていれば、避難器具や自動火災報知設備の設置基準が変わる可能性があります。
判断に迷ったら、所轄消防署に確認するのが確実です。
まずは自分の建物の階段を見に行って、窓の大きさを測ってみます。
それが一番の近道です。
結果は所轄消防署と共有してください。
よくある質問
まとめ
屋内と屋外でこんなに条件が違うとは知りませんでした。
さっそく開口部を測ってみます。
判断に迷ったら所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う関係告示の制定について(通知)(平成14年12月27日 消防安第135号)
- 屋内避難階段等の部分を定める件(平成14年消防庁告示第7号)
- 消防法施行規則第4条の2の3・第26条第2項
- 消防法施行令第4条の2の2第2号・第21条第1項第7号・第35条第1項第4号・第36条第2項第3号
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





