自家発電設備というと燃料や構造の基準ばかりに目が行きがちです。
実は停電した瞬間から何秒以内に電気を送るかまで、告示で決まっています。
しかも「必ず自動」ではなく、手動や蓄電池が認められる場合もあります。
この記事では自家発電設備の自動投入と四十秒基準を条文に沿って解説します。
うちは夜間ほとんど無人になる建物です。
停電したら自家発電は誰かが操作しないと動かないのでしょうか。
いいえ原則は自動で電圧確立・投入・送電まで行われます。
今日は自動投入の原則から四十秒基準まで五つの視点で見ていきましょう。
手動でよい場合や、時間を超えてよい場合もあると聞きました。
はい例外の条件も条文で決まっています。
まずは自動投入の原則から見ていきます。
- 自動投入の基準は消防法施行規則第12条第1項第4号ロと自家発電設備の基準(昭和48年消防庁告示第1号)第二・一(二)(三)にあります。
- 停電時は電圧確立・投入・送電まで自動で行われるのが原則です。
- 常駐者がいて直ちに操作できる場所に限り、投入だけを手動にできます。
- 所要時間は四十秒以内で、手動投入の操作時間は除いて数えます。
- 四十秒を超える間は、基準に適合する蓄電池設備からの電力供給で補うことができます。
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目次
自家発電設備はなぜ停電直後の自動投入が原則とされるのか

だからこそ告示は自動で電気を送ることを原則としています。
電圧確立とは発電機が規定の電圧まで立ち上がることを指し、投入は負荷側の回路へつなぐ操作、送電はそのまま電気を流し続けることを指します。
条文はこの三つをまとめて「自動的に」行うことを求めています。
無人になる時間帯がある建物ほど、この自動化が実際に働くかどうかが重要な確認点になります。
電圧確立と投入と送電、三つとも別の動作なのですね。
はい三つとも自動で行われるのが原則です。
次は手動が認められる場所の条件です。
どんな場所であれば投入を手動にできるのか

条文は手動投入が許される場所の条件も明示しています。
条件は二つあり、運転及び保守の管理を行うことができる者が常駐していること、かつ停電時に直ちに操作できる場所であることです。
どちらか一方だけでは足りず、両方を満たす必要があります。
常駐先が別室や別建物であれば「直ちに操作できる」とは言えないため、手動投入は選べません。
うちは夜間、警備員が制御室に常駐しています。
この場合は投入を手動にしてもよいのでしょうか。
はい常駐かつ直ちに操作できる場所なら手動投入も可能です。
次は四十秒という時間の基準です。
四十秒以内という所要時間はどこまでを指すのか

条文は所要時間そのものを数値で定めています。
測る区間はこの間だけで、送電を続けている時間は含みません。
投入を手動にしている設備では、投入操作そのものにかかる時間を除いて数えます。
点検で疑似停電試験を行うときは、この起点と終点をそろえて実測することが欠かせません。
四十秒はどこからどこまでの時間なのか気になっていました。
停電開始から投入完了までで数えてください。
次は四十秒を超えても差し支えない場合です。
四十秒を超えても差し支えない場合とは何か

条文はその間をつなぐ方法まで用意しています。
条件は蓄電池設備の基準(昭和四十八年消防庁告示第二号)に適合していることで、同告示の一部の号は除かれた上で適用されます。
つまり自家発電設備の投入が遅れても、その間だけ蓄電池が電力を肩代わりできれば違反にはなりません。
逆に言えば、蓄電池の側が基準を満たしていなければ、四十秒超過はそのまま基準違反になります。
うちの発電機は古い機種で、四十秒を超えることがあります。
これは基準違反になりますか。
超えた分を基準に適合する蓄電池設備で補っていれば直ちに違反にはなりません。
最後は点検で確認すべきポイントです。
明日からなにを確認すればよいのか

点検のときに見るべき順番を整理しておきます。
- 疑似停電試験で停電開始から投入完了までの実際の時間を測る
- 投入を手動にしている設備は、常駐者と直ちに操作できる位置関係が保たれているか確認する
- 四十秒を超える設備は、蓄電池設備が基準に適合しているかを点検記録で確かめる
- 測定結果と操作手順を点検票に残し、次回の点検と比較できるようにする
条文の言葉だけを覚えていても、現場で測っていなければ確認したことにはなりません。
特に常駐体制や蓄電池の状態は年月とともに変わりうるため、毎回の点検で見直す価値があります。
点検のたびに時間を測って記録すればよいのですね。
はい実測と記録を毎回積み重ねてください。
よくある質問
まとめ
自動投入から四十秒基準までこれでよく分かりました!
実測と記録がいちばんの確認方法です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第4号ロ
- 自家発電設備の基準(昭和48年消防庁告示第1号)第二 一(二)(三)
- 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二第一号
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





