BLOG

キュービクル式蓄電池設備の外箱はなぜ屋外用と屋内用で板厚が違うのか|区画と換気口の面積比率も解説

キュービクル式蓄電池設備の外箱はなぜ屋外用と屋内用で板厚が違うのか

キュービクル式の蓄電池設備というと、鋼板の箱に収まった機器という印象だけで終わりがちです。
実は外箱そのものにも、材料の厚さから内部の区画、換気口の面積比率まで細かい基準があります。
板厚が足りなかったり、区画や換気口が基準どおりでなかったりすると、その時点で基準から外れてしまいます。
この記事ではキュービクル式蓄電池設備の外箱と内部構造の基準を条文に沿って解説します。

うちの蓄電池設備は鋼板の箱に収まっています。
これもキュービクル式蓄電池設備として基準があるのでしょうか。

はい外箱の板厚や内部の区画にも告示で基準があります。
今日は外箱の構造を中心に見ていきましょう。

外箱には何でも取り付けてよいわけではないと聞きました。

いいえ外に出してよい部材は決まっています。
まずは基準の入口から見ていきます。

この記事の結論
  • キュービクル式蓄電池設備の外箱の基準は蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二・六にあります。
  • 外箱の種類は電池のみ・充電装置等のみ・両方収納の3パターンに分かれます。
  • 外箱の材料は鋼板で、板厚は屋外用が2.3ミリメートル以上、屋内用が1.6ミリメートル以上と決められています。
  • 外箱の外に露出してよいのは表示灯・配線用遮断器・スイッチ・計器・換気装置だけです。
  • 内部は蓄電池・充電装置・放電回路の3つに区画し、換気口の面積比率も収納物ごとに違います。

キュービクル式蓄電池設備の外箱基準を3つの型板厚基準部材限定区画と換気の4段階でまとめた図解

キュービクル式蓄電池設備はなぜ3つの種類に分かれるのか

外箱に収納された蓄電池と充電装置を示すキュービクル式蓄電池設備の外観図
蓄電池設備の中には、鋼板の箱にまとめて収めるキュービクル式と呼ばれる形式があります。
何を箱に収めるかによって、実は種類が分かれています。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 六(一) キュービクル式蓄電池設備の種類は、次のとおりとすること。イ 蓄電池を一の箱(以下「外箱」という。)に収納したもの ロ 充電装置及び逆変換装置又は直交変換装置、出力用過電流遮断器等並びにこれらの配線類を外箱に収納したもの ハ イ及びロに掲げる機器を外箱に収納したもの
キュービクル式蓄電池設備は、収める機器の組み合わせで3つの型に分かれます。
電池だけを収めるイ型、充電装置や変換装置・遮断器類だけを収めるロ型、両方をまとめて収めるハ型です。
自分の設備がどの型かによって、この先で説明する板厚や区画の基準の当てはめ方が変わってきます。
まずは外箱そのものの構造から見ていきます。

うちの設備は電池も充電装置も同じ箱に入っています。
これはどの型になるのでしょうか。

はい両方を収めるハ型に当たります。
次は外箱そのものの材料と厚さです。

外箱はなぜ鋼板で屋外用と屋内用で板厚が違うのか

屋外用と屋内用で板厚が異なる鋼板製の外箱と防火戸の図
外箱と一口に言っても、どこに置くかで求められる強さは変わります。
屋外に置く箱と屋内に置く箱とでは、鋼板の厚さの基準が違います。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 六(二)イ 外箱(コンクリート造又はこれと同等以上の耐火性能を有する床に設置するものの床面部分を除く。)の材料は、鋼板とし、その板厚は、屋外用のものにあつては2.3ミリメートル以上、屋内用のものにあつては1.6ミリメートル以上であること。同ロ 外箱の開口部には、防火戸(建築基準法第2条第9号の2ロに規定する防火設備であるものに限る。)が設けられていること。
屋外用の外箱は屋内用よりも厚い鋼板で作らなければなりません。
基準は屋外用が2.3ミリメートル以上、屋内用が1.6ミリメートル以上で、風雨や衝撃にさらされる分だけ屋外用のほうが厚くなっています。
外箱の開口部にも防火戸を設ける必要があり、建築基準法上の防火設備に限られています。
コンクリート造の床など耐火性能が同等以上の床に設置するものは、床面部分の板厚はこの基準の対象外です。
メーカーの仕様書で板厚と設置場所の区分を確認しておきましょう。

うちの外箱は屋外に設置していますが、板厚までは確認したことがありません。

はい2.3ミリメートル以上あるか仕様書で確認してください。
次は外箱に付けてよい部材です。

外箱の外に出してよい部材は何が決まっているのか

外箱の外に露出する表示灯配線用遮断器スイッチ計器を示す図
外箱は密閉された箱ではなく、操作や表示のための部材が外に出ています。
ただし、外に出してよい部材は限定されています。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 六(二)へ 外箱には、次に掲げるもの以外のものが外部に露出して設けられていないこと。(イ)表示灯(カバーを不燃性又は難燃性の材料としたものに限る。) (ロ)配線用遮断器(金属製のカバーを取付けたものに限る。) (ハ)スイッチ(不燃性又は難燃性の材料としたものに限る。) (ニ)電流計又はヒューズ等で保護された電圧計及び周波数計 (ホ)換気装置
外箱の外に出してよい部材は、この5種類に限られます。
表示灯・配線用遮断器・スイッチ・計器類・換気装置以外のものが外部に露出していると、この基準を満たしません。
表示灯やスイッチは不燃性又は難燃性の材料、配線用遮断器は金属製カバー付きであることも条件です。
照光式銘板やグラフィックパネルを使う場合も、外箱の材料に準じた材料で防火上有効に区画されている必要があります。
点検のときは、外箱の表面に見慣れない部材が付いていないかも確認しましょう。

外箱の表面にメーカーのロゴプレートのようなものが貼ってありました。
これは問題ないのでしょうか。

はい材質と区画の条件を満たしていれば問題ありません。
次は外箱の内部です。

内部はなぜ電池・充電装置・放電回路の3つに区画され換気口の面積も違うのか

外箱内部で電池充電装置放電回路が区画され換気口の面積比率が異なる断面図
外箱の中も、仕切りなく機器を詰め込んでよいわけではありません。
区画のしかたと換気口の面積にも、収める機器ごとに基準があります。
蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 六(三)ロ キュービクル式蓄電池設備の内部は、蓄電池を収納する部分、充電装置等を収納する部分及び区分遮断器から放電回路までを収納する部分を、それぞれ防火上有効に区画するか、又は耐熱電線の基準(平成9年消防庁告示第十一号)に適合する電線若しくはこれと同等以上の耐熱性を有する電線により配線されていること。同(五)ロ 自然換気口の開口部の面積の合計は、外箱の一の面について、蓄電池を収納する部分にあつては当該面の面積の3分の1以下、充電装置又は区分遮断器から放電回路までを収納する部分にあつては当該面の面積の3分の2以下であること。
内部は電池・充電装置・放電回路の3つに区画し、換気口の面積比率も収納物ごとに違います。
区画は防火上有効な仕切りを設けるか、耐熱電線の基準に適合する電線で配線するかのどちらかで満たします。
自然換気口の面積は、電池を収納する部分が3分の1以下、充電装置や放電回路の部分は3分の2以下と、上限の考え方が逆になっています。
自然換気だけで足りない場合は機械換気設備を、区分遮断器には配線用遮断器と点検スイッチも別途必要です。
換気口には金網や防火ダンパーなどの防火措置と、屋外用は雨水浸入を防ぐ措置も欠かせません。

外箱を開けたら電池と充電装置が同じ空間に見えました。
区画されていないのでしょうか。

いいえ耐熱電線での配線で区画を満たしている場合もあります。
次は点検で確認すべき手順です。

明日からなにを確認すればよいのか

点検チェックリストとキュービクル式蓄電池設備の計器盤の図
基準を知っているだけでは足りず、実際に現場で確かめることが大切です。
点検のときに見るべき順番を整理しておきます。
  • 自分の設備がイ・ロ・ハのどの型のキュービクル式蓄電池設備かを確認する
  • 外箱の材質と板厚(屋外用2.3ミリメートル以上・屋内用1.6ミリメートル以上)を仕様書で確認する
  • 外箱に表示灯・配線用遮断器・スイッチ・計器・換気装置以外のものが露出していないかを見る
  • 内部が電池・充電装置・放電回路の3つに区画されているか、又は耐熱電線で配線されているかを確認する
  • 換気口がふさがれていないか、金網やダンパーなどの防火措置が保たれているかを見る
チェックの積み重ねが、告示の基準を満たしているかどうかの唯一の証拠になります。
増設や更新のときは、外箱ごと基準に適合しているかをあらためて確認してください。

点検のたびに区画や換気口まで確認すればよいのですね。

はい外箱の板厚と区画・換気口まで毎回見てください。

よくある質問

Qキュービクル式蓄電池設備には、なぜイ・ロ・ハの3つの型があるのですか?
A外箱に何を収めるかで分かれていて、電池だけ・充電装置等だけ・両方まとめての3パターンです。
Q外箱の板厚は、屋外用と屋内用で同じ数字ではいけないのですか?
Aはい別々の基準です。屋外用は2.3ミリメートル以上、屋内用は1.6ミリメートル以上と決められています。
Q外箱の表面にメーカーの銘板を付けても問題ありませんか?
A照光式銘板やグラフィックパネルは、外箱の材料に準じた材料で区画されていれば認められます。
Q換気口の面積比率は、電池を収める部分のほうが広くてよいのですか?
Aいいえ逆です。電池を収める部分は3分の1以下、充電装置等の部分は3分の2以下です。

まとめ

キュービクル式蓄電池設備の外箱の基準は蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二・六にあります。
外箱の種類は電池のみ・充電装置等のみ・両方収納の3パターンです。
外箱は鋼板製で、板厚は屋外用が2.3ミリメートル以上、屋内用が1.6ミリメートル以上です。
外箱の外に露出してよいのは表示灯・配線用遮断器・スイッチ・計器・換気装置だけです。
内部は蓄電池・充電装置・放電回路の3つに区画し、防火上有効な仕切りか耐熱電線の配線で満たします。
自然換気口の面積比率は電池部分が3分の1以下、充電装置等の部分が3分の2以下です。
増設や更新のときは、外箱ごと基準に適合しているかを必ず確認してください。

外箱の板厚から区画・換気口までこれでよく分かりました!

点検のたびに仕様書と現物を見比べるのが確実です
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第4号ハ(ニ)
  • 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)第二 六(一)(二)(三)(四)(五)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2ロ

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
キュービクル式蓄電池設備の外箱はなぜ屋外用と屋内用で板厚が違うのか
キュービクル式の蓄電池設備というと、鋼板の箱に収まった機器という印象だけで終わりがちです。 実は外箱そのものにも、材料の厚さから内部の区画、換気口の面積比率まで細かい基準があります。 板厚が足りなかったり、区画や換気口が...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →