泡消火設備を新しく設置すると、工事が終わったあとに消防機関へ試験結果報告書を提出することになります。
用紙にはどの欄に何を書くのかが細かく決まっていて、配管の耐圧試験や起動装置の圧力まで数値で記録します。
「実際にどれくらいの圧力や割合が記入されるのか」は、現場を担当したことがないと見当がつきにくいところです。
この記事では、配管の耐圧試験から泡の放射試験まで、実際の記載例に基づいた数値の一例を解説します。
泡消火設備の点検で、試験結果報告書という書類を渡されました。
正直、どこにどんな数字が入るのか見当もつきません。
配管の耐圧試験から泡の性能確認まで、欄ごとに書く内容が決まっています。
今日は実際の記載例に出てくる数値を一緒に見ていきましょう。
配管の耐圧試験って、どれくらいの圧力をかけるものなんですか。
急に水漏れとか起きないか少し心配です。
加圧送水装置の締切圧力の1.5倍以上という基準があります。
記載例では1.2MPaという数字が記録されていました。
- 泡消火設備を設置すると、配管の耐圧試験から放射試験までの結果を試験結果報告書にまとめて消防機関へ提出する
- 配管の耐圧試験は、加圧送水装置の締切圧力の1.5倍以上の水圧に耐えることを確かめる
- 起動用水圧開閉装置の欄には、ポンプが止まる設定圧力と動き出す作動圧力の両方を記入する
- 固定式の泡放射試験では、発泡倍率や25%還元時間に基準を上回る余裕を持たせた数値が記録されることがある
- 泡消火薬剤混合装置も、消防庁長官が定める基準に適合したものであることを報告書で確認する
▼

目次
泡消火設備の試験結果報告書とはどんな書類なのか

どの欄に何を書くかは、あらかじめ国の様式で定められています。
消防法施行規則第31条の3にもとづき、設置後の検査で消防機関に提出します。
様式は消防庁告示で決まっていて、泡消火設備専用の別記様式第5が使われます。
防火対象物の概要欄に続けて、配管・起動装置・放射試験の結果を順番に記入する構成です。
次の項目から、実際にどんな数字が入るのかを欄ごとに見ていきます。
この報告書、うちの防火対象物にも必ず必要な書類なんですね。
今度、書庫を探してみます。
配管の耐圧試験から泡の性能確認まで、欄ごとに書く内容が決まっています。
次は配管の耐圧試験から見ていきましょう。
配管の耐圧試験はどんな圧力をかけて確かめるのか

基準になる圧力は、配管に水を送るポンプの性能から計算します。
締切圧力とは、ポンプが水を送り出さずに出口を閉じた状態で出す最大の圧力のことです。
実際の試験結果報告書の記載例では、1.2MPaという数値が耐圧試験の圧力として記録されていました。
配管や継手から水漏れ・変形が起きないことを目視で確認して、この欄に結果を記入します。
数字だけを見ると高く感じますが、施工直後に一度だけ強い圧力をかけて弱点を洗い出す試験です。
配管の耐圧試験って、どれくらいの圧力をかけるものなんですか。
急に水漏れとか起きないか少し心配です。
締切圧力の1.5倍以上という基準があります。
施工直後に一度だけかける試験なので、日常的に高い圧力がかかり続けるわけではありません。
起動用水圧開閉装置はどうやってポンプを目覚めさせるのか

試験結果報告書には、ポンプが止まる圧力と動き出す圧力の両方を記入します。
設定圧力と作動圧力という2つの数値を、あわせて欄に記入します。
配管内の圧力がこの作動圧力まで下がると、開閉装置が働いてポンプを自動で起動させます。
実際の記載例では、設定圧力0.82MPa・作動圧力0.40MPaという2つの数値が並んで記録されていました。
差が大きすぎるとポンプが頻繁に起動と停止を繰り返すため、この差を確認するのも試験の目的です。
設定圧力と作動圧力って、2つも書く意味があるんですか。
どっちか片方でいい気もします。
設定圧力はポンプが止まる圧力、作動圧力は動き出す圧力です。
2つの数字を書くことで、ポンプの動き方そのものを確認できます。
固定式の泡放射試験では実際どんな数値が出るのか

発泡倍率や25%還元時間の測り方そのものは、別の記事ですでに解説したとおりです。
ある記載例では、放射圧力0.25〜0.27MPa・希釈容量濃度4%・発泡倍率6.5〜6.6倍・25%還元時間69〜70秒という数値が並んでいました。
希釈容量濃度4%は基準の上限ちょうどですが、発泡倍率6.5〜6.6倍は基準の5倍以上に対して余裕があります。
25%還元時間も基準の60秒以上に対して69〜70秒と、1割前後の余裕を持たせていることが分かります。
このように基準値と実測値を並べて見ると、設計にどれくらいの余裕を持たせているかがつかめます。
基準ぎりぎりじゃなくて、余裕を持たせた数字になってるんですね。
なんとなく安心できます。
そのとおりです。
基準値と実測値を並べて見る習慣をつけると、余裕がどれくらいあるか分かりやすくなります。
泡消火薬剤混合装置の欄には何を確認して記入するのか

この欄には、混合装置が基準に適合しているかどうかを記入します。
消防法施行規則第18条第4項第14号により、消防庁長官が定める基準に適合したものを使うこととされています。
試験結果報告書には、混合装置の型式や設置状況を記入する欄が設けられています。
配管の耐圧試験や放射試験の数値だけでなく、この欄の記載も見落とさないようにします。
防火管理者としては、記載内容が設計図書や銘板の表示と食い違っていないかを確認しておくと安心です。
泡消火薬剤混合装置にも、基準があるんですね。
言われてみれば、見たことがない気がします。
消防庁長官が定める基準に適合したものを使うことになっています。
気になる場合は、点検のときに型式を確認してもらうとよいですよ。
よくある質問
まとめ
泡消火設備の試験結果報告書について、よく分かりました。
今度、書類を見るときは落ち着いて確認できそうです。
数値の意味が分かれば、報告書は怖い書類ではなくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第18条第4項第8号・第9号・第14号(泡消火設備の配管・加圧送水装置・混合装置の基準)
- 消防法施行規則第12条第1項第6号ヘ(配管の耐圧力試験)
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号)別記様式第5
- 消防庁「消防用設備等の試験基準に係る運用について」(平成14年9月30日消防予第283号)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





