屋内消火栓設備の工事が完了すると、消防長や消防署長へ届け出るときに試験結果報告書を添えます。
この報告書には、水源の水量やポンプの型式など、現場で実際に確認した数値を書き込む欄が並んでいます。
どの欄に何を書くかは設備の種類ごとに国が様式を定めていて、屋内消火栓設備にも専用の様式があります。
今回は屋内消火栓設備の試験結果報告書に、現場でどんな数値をどう書き込むのかを解説します。
試験結果報告書って、どの設備も全部同じ書類なんですか?
いえ、実は設備の種類ごとに専用の様式が決まっているんですよ。
屋内消火栓にも専用の様式があるんですね。
はい、水源やポンプの実測値を書き込む欄が並んでいます。
まずは報告書そのものの位置づけから見ていきましょう。
- 試験結果報告書は設備ごとに消防庁長官が定める様式で作成します
- 屋内消火栓設備の様式は別記様式第2で、用紙は日本産業規格A4、選択肢のある欄は○印で囲みます
- 構造欄はA・B・Cの3区分から当てはまるものを選びます
- 水源の水量は縦・横・有効深さの寸法から、ポンプ・電動機の仕様は現場の銘板から転記します
- 非常電源・配線・総合操作盤の結果は別紙として添付します
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目次
屋内消火栓設備の試験結果報告書とはどんな書類なのか

どんな用紙に何を書くかは、消防庁長官が設備ごとに様式を定めています。
屋内消火栓設備の様式は別記様式第2で、平成元年の消防庁告示第4号で定められました。
用紙の大きさは日本産業規格A4、選択肢のある欄は該当する事項を○印で囲むことになっています。
この様式は消火器から総合操作盤まで38種類に分かれていて、設備が違えば書き込む欄の並びも変わります。
つまり屋内消火栓設備には、屋内消火栓ならではの欄が用意されているということです。
38種類もあるんですか。
それは知りませんでした。
消火器からガス消火設備まで設備ごとに1枚ずつあるんです。
次は用途や構造の欄から見ていきましょう。
用途や構造の欄はどうやって埋めるのか

このうち構造の欄は、3つの記号から当てはまるものを選ぶ仕組みになっています。
Aは耐火構造で内装も制限したもの、Bは耐火構造か準耐火建築物のいずれかで内装を制限したもの、Cはそれ以外のものを指します。
この区分は、実は屋内消火栓設備を設置する基準面積が緩和される仕組みと同じ考え方に基づいています。
報告書のこの欄を見れば、その建物がどの区分で設置基準をクリアしているかが一目で分かるということです。
構造の欄一つで、そんなことまで分かるんですね。
はい、選ぶ記号一つに建物の防火性能が表れているんです。
次は水源やポンプの欄を見ていきましょう。
水源やポンプの欄には現場のどんな数値を書き込むのか

図面の設計値ではなく、できあがった設備そのものの数値を確かめる欄です。
水源の水量欄は、水槎の縦・横・有効深さの内のり寸法をそれぞれ測り、そこから水量を求めて書き込みます。
ポンプと電動機の仕様欄は、設計値ではなく機器に取り付けられた銘板を見て、製造者名や定格吐出量、定格全揚程、型式、製造番号などをそのまま転記します。
つまりこの欄は、図面どおりの機器が実際に取り付けられているかを、銘板と照らし合わせて確認するためのものです。
銘板をそのまま書き写すだけなら簡単そうですね。
書き写すだけですが、図面と違う機器が付いていればすぐ分かります。
次は圧力を測る欄を見てみましょう。
起動用水圧開閉装置の欄はなぜ二つの圧力を書くのか

一度測っただけでは足りず、同じ試験を何度か繰り返すことになっています。
起動用圧力タンクの排水弁を開いて水圧を下げ、ポンプが起動する作動圧力を測る試験を3回繰り返します。
合否の基準は、作動圧力が設定した圧力の±0.05メガパスカル以内に収まっていることです。
一度だけの測定では機器のばらつきを見逃しかねないため、報告書には設定圧力と実測の作動圧力の両方を並べて記入します。
3回も測るんですね。
1回では駄目なんですか。
はい、機器には多少のばらつきがあるためです。
最後は別紙にまとめる項目を見てみましょう。
非常電源や総合操作盤の結果はなぜこの用紙に書き込まないのか

非常電源や総合操作盤の結果は、別の用紙にまとめて添えることになっています。
非常電源及び配線についての試験結果報告書は別紙として添付することになっています。
総合操作盤が設けられている建物では、総合操作盤についての試験結果報告書も同じく別紙で添えます。
自家発電設備や蓄電池設備、燃料電池設備にもそれぞれ専用の様式があるため、屋内消火栓設備の1枚だけで完結させず、必要な様式を束ねて届け出るという組み立てになっています。
報告書は1枚だけじゃなくて、束になるものなんですね。
はい、設備の数だけ様式を用意して束ねます。
これで報告書の全体像がつながりましたね。
よくある質問
まとめ
用紙1枚の欄にも、ちゃんと理由があるんですね!
試験結果報告書の作成までお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
- 消防用設備等試験結果報告書の様式を定める件(平成元年12月1日消防庁告示第4号、最終改正 令和2年4月1日消防庁告示第2号)別記様式第2
- 消防庁「消防用設備等の試験基準」(平成14年9月30日消防予第282号)第2 屋内消火栓設備
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





