二酸化炭素などを放射する不活性ガス消火設備には、消火剤の放出そのものを指令する専用の装置があります。
その心臓部にあたるのが制御盤で、起動・警報・異常時の対応まで一手に担います。
実は制御盤の構造や性能にも、消防庁告示で細かい基準が定められています。
この記事では制御盤の構造性能と電路に異常が生じたときの安全措置を条文に沿って解説します。
防護区画に設置している不活性ガス消火設備の制御盤ですが
普段の点検では何を確認すればよいのでしょうか。
制御盤には構造・性能・表示まで細かい基準があります。
まずは制御盤がどんな装置なのかから見ていきましょう。
制御盤の中には閉止弁や復旧スイッチなど聞き慣れない言葉も出てきます。
はい用語の定義も告示で定められています。
順番に確認していきましょう。
- 不活性ガス消火設備及びハロゲン化物消火設備の制御盤の基準は、消防法施行規則第19条第5項第19号の3・第20条第4項第14号の2の規定に基づく不活性ガス消火設備等の制御盤の基準(平成13年消防庁告示第38号)に定められています。
- 制御盤には制御盤用音響警報装置・復旧スイッチ・表示灯を設け、自動式の起動装置が接続される場合は自動手動切替えスイッチも必要です。
- 充電部と外箱との間の絶縁抵抗は、直流500ボルトの絶縁抵抗測定器で計った値が3メガオーム以上であることが基準です。
- 電源電圧が定格電圧の90パーセントから110パーセントまで変動しても機能に異常を生じないことが求められます。
- 電路に短絡や地絡が生じたときは、誤って放出の信号を発信しない措置を講じたうえで制御盤用音響警報装置を起動しなければなりません。
▼

目次
制御盤とは何を指すのか

まずはこの制御盤という言葉の範囲と、周辺の用語を確認します。
この告示は消防法施行規則第19条第5項第19号の3・第20条第4項第14号の2の委任で定められています。
制御盤とは、不活性ガス消火設備やハロゲン化物消火設備の起動・停止等を制御する装置そのものを指します。
閉止弁は制御盤そのものではなく、貯蔵容器と選択弁の間などに設ける弁で、点検時に消火剤を止める役割を持ちます。
制御盤用音響警報装置は電路の異常や閉止弁の閉止を音や声で知らせる装置、復旧スイッチは作動状態から監視状態へ戻すためのスイッチです。
放出表示灯は消火剤を実際に放出したことを示す表示灯で、これらの用語をまず区別しておくと条文が読みやすくなります。
閉止弁と制御盤用音響警報装置、名前だけでは区別しづらいですね。
はい閉止弁は弁そのもので制御盤とは別の部品です。
次は制御盤自体の構造と性能を見ていきましょう。
制御盤の構造と性能はどう定められているのか

まずは外箱や装置の設置に関する基準を確認します。
外箱の主たる材料は不燃性又は難燃性のものとし、腐食で機能に異常が出そうな部分には防食の措置を施します。
充電部は外部から容易に人が触れないよう保護し、感電などの事故を防ぎます。
そのうえで制御盤には音響警報装置・復旧スイッチ・表示灯を必ず設け、自動式の起動装置につながる制御盤には自動手動切替えスイッチも追加します。
自動手動切替えスイッチはかぎ等で操作するものに限られ、誰でも簡単に切り替えられない構造が求められます。
自動手動切替えスイッチは、どんな制御盤にも付いているのでしょうか。
いいえ自動式の起動装置が接続される制御盤だけです。
次は絶縁性能の数値基準を見ていきましょう。
絶縁抵抗と絶縁耐力はどう判定するのか

絶縁抵抗と絶縁耐力、そして電圧変動への耐性を確認します。
制御盤は電源電圧が定格の90パーセントから110パーセントまで変動しても、機能に異常を生じないことが求められます。
充電部と外箱との間の絶縁抵抗は、直流500ボルトの絶縁抵抗測定器で測って3メガオーム以上という基準です。
絶縁耐力は定格電圧に応じて加える交流電圧の大きさが変わり、いずれも1分間これに耐えることが必要です。
点検では、実際の電圧変動幅と絶縁抵抗の実測値の両方を記録しておくと、経年劣化の兆候をつかみやすくなります。
絶縁抵抗の3メガオームという数値は、実際にどうやって測るのでしょうか。
直流500ボルトの絶縁抵抗測定器で計ります。
次は電路に異常が起きたときの制御盤の動きを見ていきましょう。
電路に異常が生じたときはどう動くのか

短絡と地絡、それぞれの場合を確認します。
消火剤の放出を開始する信号を受信する端子の電路に短絡が生じたときは、制御盤用音響警報装置を起動して異常を知らせます。
同時に、手動式・自動式それぞれの起動装置に応じた表示及び発信を行わない措置を講じ、誤って消火剤が放出されないようにします。
電路に地絡が生じたときも同様に、その旨を表示して制御盤用音響警報装置を起動します。
この仕組みがあるからこそ、配線の異常がそのまま誤放出につながらずに済みます。
電路が壊れただけで、勝手に消火剤が放出されることはないんですね。
はい誤放出を防ぐ仕組みがあります。
最後に現場での確認方法を見ていきましょう。
現場では制御盤の表示をどう確認すればよいのか

現場でチェックすべきポイントを整理します。
まず制御盤本体の銘板を確認し、製造者名又は商標・製造年・型式番号の3項目が明記されているかを見ます。
点検の際は、制御盤用音響警報装置や復旧スイッチ、表示灯が実際に動作するかもあわせて確認します。
自動手動切替えスイッチがある機種では、かぎの保管状況も点検記録に残しておくと安心です。
定期的に絶縁抵抗を実測し、基準値である3メガオーム以上を維持できているかを記録に残しておきましょう。
定期点検では、この3項目の表示を毎回確認したほうがよいですか。
はい毎回の点検で確認してください。
ここまでの内容をまとめます。
よくある質問
まとめ
構造・絶縁性能・表示を順番に確認すればいいんですね。
点検のたびに3つの視点を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第19条第5項第19号の3・第20条第4項第14号の2
- 不活性ガス消火設備等の制御盤の基準(平成13年消防庁告示第38号)第二・第三・第六・第七
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





