地震後、自家発電設備の始動用蓄電池を見ると、一部の電解液が下限より少なくなっていました。
精製水を足せば始動試験できるのか、漏液が見当たらなくても運転を止めるべきか迷う場面です。
消防庁の点検基準は、蓄電池の外形、漏液、腐食、電解液の比重・温度・必要量、液面低下警報用電極、電圧などを確認項目にしています。
BCPでは始動操作を保留する、蓄電池の種類と低下原因を確認する、消防用設備の代替措置を確保する、機能試験後に復旧を承認するという順番を固定します。
精製水を足したら試運転してええですか?
施設担当者の補液だけで始動可とは判断しません。
何から確認したらええんですか?
蓄電池の種類と液面低下の原因を確認します。
- 電解液が必要量を下回る状態で始動しません
- 自家発電設備を始動保留にします
- 蓄電池の種類、液面、漏液、腐食、警報、電圧を確認します
- 消防用設備の代替電源と運用制限を決めます
- 専門点検と始動・負荷試験後に復旧を承認します
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目次
地震後に自家発電設備の始動用蓄電池で電解液が不足していたら補液してよいのか

電解液が不足していたら施設担当者の補液だけで始動せず原因確認を優先します。
消防庁の点検基準は、蓄電池について漏液や著しい腐食がなく電解液の必要量が満たされていることなどを確認する構成です。
液面低下は蒸発だけでなく、容器の亀裂や漏液、地震による傾き、充電状態の異常で起きる可能性があります。密閉形など補液を前提としない蓄電池もあるため、種類やメーカーの取扱条件を確認せずに精製水を入れません。
発電機室への立入りを管理し、始動スイッチを操作しません。非常電源を受ける消防用設備を洗い出し、代替電源と施設運用を専門担当者と調整します。
液面が低いだけでも止めるんですね。
はい。
種類、漏液、警報、電圧まで確かめます。
どの蓄電池と警報と非常電源の供給先を確認するのか

液面だけでなく蓄電池の種類と周辺機器と供給先まで確認します。
開放形か密閉形か、各セルの液面、容器、端子、液面低下警報用電極、充電器、総電圧と各セル電圧、非常電源を受ける消防用設備が確認範囲です。
- 蓄電池の種類と各セル
- 電解液の上限線と下限線
- 容器の変形、亀裂、漏液
- 端子の腐食と緩み
- 液面低下警報用電極と配線
- 充電器の表示と総電圧・各セル電圧
- 非常電源を受ける消防用設備
始動用蓄電池設備は、自家発電設備の点検基準と蓄電池設備の点検基準をつないで確認します。
実務では低下したセル番号、漏液や腐食の場所、非常電源の供給先を分けて記録します。
液面だけ見ればええと思ってました。
警報と電圧と供給先までが確認範囲です。
液面低下の発見から始動保留と代替電源確保までどう進めるのか

発見、始動保留、影響確認、代替措置、専門点検、補修、復旧の順番を固定します。
発見者は補液せず、設備番号、蓄電池の種類、セル番号、液面位置、発見時刻、漏液や腐食の有無を防火管理者へ伝えます。
- 発電機室への立入りを管理する
- 設備番号、蓄電池の種類、セル番号、液面を記録する
- 補液、始動操作、負荷切替を保留する
- 非常電源を受ける消防用設備を系統図で確認する
- 代替電源と必要な施設運用制限を決める
- 専門業者へ液面低下の原因確認を依頼する
- 補修と始動・負荷試験後に復旧を承認して記録する
専門担当者は蓄電池の型式と取扱条件を確認し、容器、端子、警報用電極、配線、充電器、比重、温度、総電圧と各セル電圧を点検します。補修後は規定の状態を満たし、始動試験と負荷運転で異常がないことを確認して復旧判断へ進みます。
点検中は非常電源を使えない時間と代替措置の担当者を関係者へ共有します。
補液する前に代替措置を考えるんですね。
そうです。
消防用設備への影響を抑えて点検へ渡します。
精製水を足せば始動できると思うと何を見落とすのか

補液で液面が戻っても低下原因や蓄電池の異常は残ることがあります。
地震後は容器の亀裂、漏液、端子の腐食、警報用電極の損傷、配線の断線、充電器の異常が重なっている可能性があります。
- 密閉形など補液口のない蓄電池である
- 容器の亀裂や漏液が残っている
- 電解液への接触や飛散の危険がある
- 誤った液を入れたり上限を超えたりする
- 一部のセルだけ異常が進んでいる
- 警報用電極が腐食または断線している
- 補液だけで異常の履歴が消える
点検基準は、必要量だけでなく、容器の変形・損傷、著しい腐食、漏液、警報用電極、総電圧と各セル電圧も確認する構成です。
液面低下の原因、蓄電池の種類と安全、始動性能を確認してから復旧判断へ進みます。
精製水を足しても安心できませんね。
原因と始動性能まで一緒に確認します。
明日から始動用蓄電池の液面低下にどう備えるのか

設備番号、蓄電池の種類、基準液面、供給先、代替措置、試験項目、復旧条件を一枚へまとめます。
平常時の液面、比重、温度、電圧、警報の作動、交換履歴を点検台帳で確認できれば、地震後の異常を専門業者へ正確に伝えやすくなります。
- 設備番号と蓄電池の種類を台帳へ記入する
- メーカー指定の基準液面と取扱条件を確認する
- 平常時の液面、比重、温度、電圧を記録する
- 液面低下警報と充電器の作動を確認する
- 非常電源を受ける消防用設備を一覧にする
- 代替電源と施設運用制限を決める
- 専門業者と復旧承認者の連絡先を更新する
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要な経営資源の被害確認、代替手段、復旧手順、教育・訓練、見直しを継続する考え方を示しています。
非常電源についても始動保留から代替措置へ切り替える訓練と誰が復旧を承認するかを決めておきます。
次の巡回で蓄電池の液面も確認します。
ええですね。
種類と警報と供給先も一緒に確認しましょう。
よくある質問
まとめ
精製水を足しただけで始動せんようにします。
代替措置と始動・負荷試験まで確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 第24 非常電源 自家発電設備の点検要領
- 総務省消防庁 別表第25 非常電源 蓄電池設備の点検の基準
- 総務省消防庁 第25 非常電源 蓄電池設備の点検要領
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。始動用蓄電池の電解液不足を確認した場合は自己判断で補液したり始動したりせず消防用設備の専門業者へ相談してください。個別の始動保留、代替措置、点検、補修、始動・負荷試験は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





