自動火災報知設備の総合点検で、天井の煙感知器を取り外して感度を確かめる場面があります。
これまでは取り外している間、必ず代わりの感知器を取り付けておく決まりでした。
令和6年9月10日に消防庁が点検要領を一部改正し、この手順に新しい選択肢が加わりました。
この記事では、何がどう変わったのかを通知の原文とあわせて解説します。
うちの点検業者から「感知器を試験している間、代わりの感知器を置かなくていい場合がある」と聞いたんですが、本当ですか。
はい、令和6年9月10日に消防庁が点検要領を改正して、その扱いが明確になりました。
ただしどんな試験機でも使えるわけではありません。
条件があるということですね。
うちの設備でも当てはまるのか気になります。
それでは、対象・中身・落とし穴・手順の順に見ていきましょう。
- 令和6年9月10日の消防予第412号は、自動火災報知設備等の点検要領のうち、総合点検における煙感知器等の感度試験の手順を改正した通知です。
- 改正前は、スポット型の煙感知器等を取り外して試験する間、必ず代わりの感知器を取り付ける必要がありました。
- 改正後は、可搬式の煙感知器用感度試験機でその場で試験し正常と確認できれば、代わりの感知器を設置しなくてよくなりました。
- 自動試験機能を持つ感知器や、離れた位置で確認できる感度試験器を使う場合は、この改正とは別の扱いのままです。
- 同じ改正は共同住宅用自動火災報知設備等の点検要領にも同時に反映されています。
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目次
点検要領はなぜ煙感知器の感度試験を見直したのか

令和6年9月10日、そのうち自動火災報知設備等の総合点検の手順が一部改正されました。
煙感知器は経年で感度が変化するため、総合点検のたびに取り外して試験することになっています。
取り外している間はその感知器が働かないため、これまでは代わりの感知器を必ず取り付ける扱いでした。
一方で、その場で感度を確認できる可搬式の試験機が現場に普及してきたことを踏まえ、手順そのものを見直す必要が出てきました。
背景を押さえたうえで、対象となる範囲を見ていきます。
点検要領が変わったとは知りませんでした。
うちの設備も対象になるんでしょうか。
はい、次はどの設備のどんな試験が対象になるのか確認しましょう。
見直しの対象になるのはどの設備のどの試験か

まず、どの感知器のどんな試験が当てはまるのかを確認します。
自動試験機能を持つ感知器は、もともとこの試験項目そのものから除かれています。
分離型の感知器は別の試験方法が定められており、今回の改正の対象ではありません。
同じ改正は自動火災報知設備だけでなく、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備の点検要領にも同時に反映されています。
自分の建物にどの設備が入っているかを確認したうえで、次の章で中身を見ていきます。
うちはスプリンクラー付きの共同住宅なんですが、それも対象になりますか。
はい、共同住宅用自動火災報知設備の点検要領にも同じ改正が反映されています。
改正で何が変わったのか

取り外した感知器をどう扱うかという手順が変わりました。
改正前は、感知器を取り外したら必ず代わりの感知器を取り付け、その旨を点検票に記録する決まりでした。
可搬式の煙感知器用感度試験機を使い、取り外した場所で直ちに試験を行い、感度が正常であることを確認できた場合に限り、代わりの感知器を設置せずに同じ感知器を再度取り付けられるようになりました。
清掃や取り付け後の作動確認といった前後の手順自体は、改正前と変わりません。
つまり変わったのは代わりの感知器を置くかどうかの判断だけです。
感知器を外したその場で試験機を当てて、そのまま戻せるということですね。
はい、正常が確認できればその場で完結します。
ただし可搬式の試験機を使うことが条件です。
現場で見落としやすいのはどこか

既存の別ルールと重ねて考えないよう整理します。
中継器や受信機など感知器から離れた位置で感度を確認できる試験器を使う場合は、そもそも(ア)から(エ)までの手順自体によらず確認できると、以前から別に定められています。
今回加わったのは、あくまで感知器を取り外した現場でその場に試験を終える可搬式の試験機を使う場合の扱いです。
また、代わりの感知器を設置するときの「その旨を点検票に記録しておくこと」という一文は、条文上は代替設置の場面に結び付けて書かれています。
新しい方法を使ったときに点検票へ何を残すかは通達の文言だけでは読み取れないため、点検業者と事前にすり合わせておくと安心です。
離れた位置で確認できる試験器の話と、今回の話は別物なんですね。
混同しないよう気をつけます。
はい、使う試験機がどちらのタイプかを確認することが最初の一歩です。
明日からなにを確認すればよいのか

根拠になるのは今回の通知が示す考え方です。
まず、委託している点検業者が使う感度試験器が可搬式でその場に試験を終えられるタイプかどうかを確認することです。
次に、代わりの感知器を置かない場合に点検票へどう記録してもらうかを、点検業者とすり合わせておくことです。
最後に、この改正が令和6年9月10日以降の点検から適用される考え方であることを踏まえ、それより前の点検票と混同しないようにすることです。
通知の内容を点検の委託内容や確認事項に落とし込むところまでが実務の対応になります。
分かりました、まず点検業者に試験機の種類を確認してみます。
点検票の書き方まですり合わせておくと、あとで迷いません。
まずはできるところから始めましょう。
よくある質問
まとめ
試験機の種類と点検票の書き方、さっそく点検業者に確認してみます!
点検要領の改正点を押さえておけば、業者とのやり取りもスムーズです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領の一部改正について(令和6年9月10日 消防予第412号 消防庁予防課長)第11 自動火災報知設備、第31 共同住宅用自動火災報知設備、第32 住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備、第33 特定小規模施設用自動火災報知設備、第35 複合型居住施設用自動火災報知設備
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日 消防予第172号)第11 自動火災報知設備 3 総合点検
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





