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誘導灯の自動点検機能はなぜ3つの方式で判定方法が違うのか|抜取方式が使えない条件と表示ランプの確認手順を解説

誘導灯の自動点検機能はなぜ3つの方式で判定方法が違うのか

誘導灯の点検で、リモコンのボタンを押すだけで終わる器具と、制御盤の表示ランプまで確認する器具があることに気づいたことはありませんか。
どちらも自動点検機能付きの誘導灯ですが、実は方式によって判定の見かたが違います。
今回は、点検要領の改正で明文化された3つの方式の判定方法と、抜取点検が使えない条件を解説します。

うちの誘導灯、最近リモコンで点検できるタイプに変わったんです。
これも消防用設備等の点検要領どおりに確認できていますか?

実は方式によって判定の見かたが違うんです。
点検要領の改正で、その違いがはっきり書き込まれました。

方式によって見かたが違う、というのはどういうことですか。

個別・集中・周期始動の3方式で確認先が変わります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 点検要領(第16 誘導灯及び誘導標識)が改正され、自動点検機能を持つ誘導灯の判定方法が新設された
  • 対象は登録認定機関の認定を受けた誘導灯のうち、内蔵する蓄電池が規定の年数を超えていないものに限られる。
  • 判定方法は個別制御方式・集中制御方式・周期始動方式の3つで確認先が異なる。
  • 抜取方式による点検は集中制御方式と周期始動方式には使えない
  • 制御装置自体にも表示ランプの点灯確認という新しい点検項目が加わった。

自動点検機能の判定方法が方式で分かれることを示した図解

誘導灯の点検要領はなぜ自動点検機能の判定方法を新設したのか

誘導灯とリモコン式の自動点検機能の説明書きを並べたイラスト
自動点検機能を持つ誘導灯は、以前から現場に普及してきました。
それでも点検要領には、方式ごとの判定方法が書き込まれていませんでした。
消防予第410号(令和7年10月3日・消防庁予防課長通知)「消防用設備等の点検要領の一部改正について」 「蓄電池設備の基準及び消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式の一部を改正する件」(令和7年消防庁告示第6号)が令和7年7月30日に公布されたこと及び誘導灯について新たな自動点検機能を有するものが開発されたこと等を踏まえ、点検要領の一部を改正した
今回の改正は、機能そのものの新設ではなく判定方法の明文化です
点検要領(平成14年消防予第172号)は、非常点灯の確認方法として自動点検機能による判定を以前から認めていました。
しかし、個別制御方式・集中制御方式・周期始動方式のどれでどう判定するのかという具体的な書き分けはありませんでした。
令和7年消防庁告示第6号の公布にあわせて、点検要領の第16「誘導灯及び誘導標識」がこの部分を改め、方式ごとの判定方法と制御装置側の確認項目を書き加えました。
古い判定方法のまま点検すると、確認すべき制御装置の表示を見落とすおそれがあります。

自動点検機能自体は前からあったんですね。
何が新しく決まったんですか。

方式ごとの判定方法が明文化されました。
次はどの誘導灯が対象になるのかを見ていきましょう。

自動点検機能によって非常点灯の確認を省略できるのはどの誘導灯か

誘導灯の蓄電池ラベルの製造年を確認する作業員のイラスト
対象になるのは、自動点検機能さえ付いていればよいというものではありません。
認定の効力と蓄電池の年数という2つの条件を満たす必要があります。
消防用設備等の点検要領 第16 誘導灯及び誘導標識 非常電源(内蔵型のものに限る。)機能 自動点検機能(起動開始動作を行うことで非常点灯状態を継続させ、内蔵する蓄電池が規定時間の放電が可能か否かを判定する機能)を有する場合は表示ランプ等の異常表示等がないこと。(「誘導灯及び誘導標識の基準」(平成11年消防庁告示第2号)に適合しているものとして、消防庁長官が登録する登録認定機関が行う認定の効力を有している誘導灯のうち、その蓄電池の製造年からJIS C8705に該当する蓄電池にあっては3年、国際電気標準会議規格61951-2に該当する蓄電池にあっては5年を超えていないものを除く。)
年数を超えた蓄電池は、自動点検機能があっても対象から外れます
条件はまず、誘導灯そのものが認定機関の認定の効力を有していることです。
そのうえで内蔵する蓄電池の製造年から、JIS C8705に該当するものは3年、国際規格の61951-2に該当するものは5年を超えていないことが条件になります。
この年数を超えた蓄電池を積んだ誘導灯は除外の対象から外れ、これまでどおり非常点灯させて確認する必要があります。
点検票を作る前に、蓄電池のラベルで製造年と規格の種類を確認してください。

蓄電池のラベルなんて今まで気にしていませんでした。
製造年はどこで確認できますか。

蓄電池本体か誘導灯本体の表示ラベルに記載があります。
対象と分かったら、次は方式ごとの中身を見ていきましょう。

個別・集中・周期始動の3方式は何を求めているのか

リモコンを持つ誘導灯と集中管理する制御盤とタイマー内蔵の誘導灯を並べたイラスト
点検要領は自動点検機能を3方式に分け、それぞれの判定先を指定しています。
自分の設備がどの方式かを、まず取扱説明書か銘板で確かめてください。
点検要領 第16 誘導灯及び誘導標識 自動点検機能を有する誘導灯の場合は、次による。 a 個別制御方式(誘導灯単体で手動(リモコンで操作を行う場合を含む。)により点検を開始し、その結果を表示する方式)のもの:非常点灯終了後における表示ランプの色等により判定すること。 b 集中制御方式(制御装置(あらかじめ設定したスケジュールで点検開始でき、かつ、点検結果を制御装置で一括監視できるもの)を設けて、点検開始と点検結果を確認する方式)のもの:非常点灯終了後、制御装置の表示等により確認すること。 c 周期始動方式(誘導灯単体で点検周期を記憶し、その点検周期に応じて自動的に点検を開始し、その結果を表示する方式)のもの:表示ランプの状態により判定すること。
判定先は器具本体か制御装置かで方式ごとに変わります
個別制御方式は誘導灯単体で手動により点検し、器具本体の表示ランプの色などで判定します。
集中制御方式は制御装置があらかじめ設定したスケジュールで点検し、判定先も器具ではなく制御装置の表示になります。
周期始動方式は誘導灯単体が点検周期を記憶して自動で点検し、器具本体の表示ランプの状態で判定します。
「表示ランプを見ればよい」と一括りにせず、どの器具の表示を見るのかを方式ごとに確認してください。

集中制御方式だと、誘導灯そのものは見なくていいんですか。

判定は制御装置の表示で行います。
ただ、方式によって見落としやすい落とし穴もあります。

抜取方式による点検で見落としやすいのはどこか

個別方式の誘導灯を選び取る点検員と集中制御方式の誘導灯に禁止マークを重ねたイラスト
見落としやすいのは、抜取方式(サンプリング点検)が使える方式と使えない方式があることです。
3方式のどれでも同じように扱えるわけではありません。
点検要領 第16 誘導灯及び誘導標識 定格の時間、非常点灯するかどうかの確認については、次の抜取方式により行うことができる。ただし、集中制御方式及び周期始動方式のものを除く。 a 各階ごとに10パーセント以下とならない範囲で、任意の誘導灯により行うこと。 b 点検のつど、同一器具についての繰返し点検ではなく、器具を順次変えて行うこと。
抜取方式が使えるのは個別制御方式だけです
集中制御方式周期始動方式は制御装置や本体が全数を自動で点検するしくみのため、抜取方式そのものが除外されています。
個別制御方式で抜取方式を使う場合も、各階ごとに10パーセント以下とならない範囲で選ぶ必要があり、同じ器具ばかりを繰り返し点検することは認められません。
「一部を抜き取って点検すれば足りる」という発想を、集中制御方式・周期始動方式の設備にそのまま当てはめないよう注意してください。
点検票に方式を書かないまま抜取件数だけを記録すると、後から適否を検証できなくなります。

今までどおり数台だけ抜き取って点検していました。
方式によっては駄目なんですね。

はい、方式を確認してから選んでください。
最後に点検票を作る手順を整理しましょう。

点検票を作るとき明日から何を確認すればよいのか

点検員が誘導灯本体と制御盤の表示ランプの両方を確認するイラスト
最後に、現場でできる確認の手順を整理します。
むずかしい判断はここまでの内容で足ります。
点検要領 第16 誘導灯及び誘導標識 機器点検 制御装置(集中制御方式の自動点検機能のものに限る。)機能 目視により確認する。「運転中」又は「監視中」の表示ランプが点灯していること。 制御装置(周期始動方式の自動点検機能のものに限る。)機能 目視により確認する。「周期始動方式点検モニタ」の表示ランプが点灯していること。
確認は方式の特定から始めます
まず取扱説明書や銘板で、点検対象の誘導灯が個別制御方式・集中制御方式・周期始動方式のどれかを特定してください。
そのうえで、蓄電池のラベルで製造年と規格を確認し、対象年数を超えていないかを見ます。
集中制御方式・周期始動方式であれば、誘導灯本体だけでなく制御装置の表示ランプ(「運転中」「監視中」または「周期始動方式点検モニタ」)の点灯もあわせて確認してください。
判断に迷う場合は、自己判断せず所轄の消防署へ相談することをおすすめします。

まずは方式の特定からですね。
制御装置の表示ランプも忘れずに見ます。

それで判定の見落としを防げます。
点検票にも方式を書き添えておくと安心です。

よくある質問

Q自動点検機能があれば、どの誘導灯でも非常点灯の確認を省略できますか?
Aいいえ。認定の効力を有し、蓄電池の製造年から規定の年数を超えていないものに限られます。年数を超えたものは、これまでどおり非常点灯させて確認します。
Q個別制御方式と集中制御方式は何が違いますか?
A個別制御方式は誘導灯単体を手動で点検し、器具本体の表示で判定します。集中制御方式は制御装置がスケジュールで点検し、判定先も制御装置の表示になります。
Q抜取方式で全部の誘導灯をまとめて点検してよいですか?
Aいいえ。抜取方式が使えるのは個別制御方式だけで、集中制御方式・周期始動方式は除外されています。個別制御方式でも各階10パーセント以下とならない範囲で行い、同一器具の繰返しは避けます。
Q制御装置の表示ランプは何を確認すればよいですか?
A集中制御方式は「運転中」又は「監視中」、周期始動方式は「周期始動方式点検モニタ」の表示ランプが点灯していることを目視で確認します。

まとめ

点検要領(第16 誘導灯及び誘導標識)が令和7年10月3日消防予第410号で改正され、自動点検機能の判定方法が新設された
対象は認定の効力を有する誘導灯のうち、蓄電池が規定の年数を超えていないもの
個別制御方式は器具本体の表示、集中制御方式は制御装置の表示で判定する
周期始動方式は誘導灯単体が記憶した周期で自動点検し、表示ランプの状態で判定する
抜取方式が使えるのは個別制御方式だけで、集中制御方式・周期始動方式には使えない
個別制御方式の抜取点検も、各階10パーセント以下とならない範囲かつ同一器具の繰返し禁止が条件
点検票を作る前に方式を特定し、制御装置の表示ランプもあわせて確認することが実務では欠かせない

点検票を作る前に、まず方式の特定から始めます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防予第410号(令和7年10月3日・消防庁予防課長通知)「消防用設備等の点検要領の一部改正について」
  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日付消防予第172号・最終改正 令和7年10月3日付消防予第410号)第16 誘導灯及び誘導標識
  • 誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年消防庁告示第2号)
  • 蓄電池設備の基準及び消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式の一部を改正する件(令和7年消防庁告示第6号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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