地震後の巡回で、自家発電設備の始動用蓄電池に付属する充電装置へ「異常」や「故障」の表示が出ることがあります。
リセットで表示が消えそうでも、入力電源の異常、充電回路の故障、蓄電池の劣化が残っているかもしれません。
始動用蓄電池は、停電時に原動機を始動させる重要な構成部分です。
BCPでは状態記録、リセット保留、充電回路の点検、再試験、復旧承認までを一続きにします。
充電装置に異常表示が出ています。
リセットして始動してええですか?
リセットせず状態を記録します。
表示だけ消えてもアカンのですか?
充電装置と蓄電池を一式確認します。
- 異常表示を自己判断でリセットしません
- 表示内容と発見時刻を操作前に記録します
- 入力電源から始動回路まで一式確認します
- 専門業者が充電出力と蓄電池状態を点検します
- 整備後の充電・始動・負荷試験で復旧を判断します
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目次
始動用蓄電池の充電装置に異常表示が出ていたらリセットして始動してよいのか

表示を消すためのリセットを先に行わないでください。
警報履歴や表示状態が失われると、異常の原因を追いにくくなります。
消防庁の蓄電池設備の基準は、充電装置が自動的に充電し、充電完了後は自動的に浮動充電またはトリクル充電へ移る構造を求めています。
自家発電設備の始動用蓄電池設備も、この蓄電池設備の基準に適合するものとされています。
異常表示は、充電機能が正常だと確認できないサインです。
触らない、リセットしない、設備責任者へ連絡するのが初動です。
表示は原因を調べる手掛かりなんですね。
操作前の状態を残しましょう。
どの充電装置と蓄電池と始動回路を確認するのか

異常ランプだけでなく、交流入力から蓄電池を経てセルモーターへ至る系統を確認します。
- 充電装置の警報名、表示灯、計器指示
- 交流入力と入力側の遮断器
- 充電装置の出力電圧と出力電流
- 蓄電池の電圧、外観、液漏れ、膨れ
- 端子、接続板、ケーブルの緩みや腐食
- セルモーターと始動制御回路
- 自家発電設備の制御盤と警報履歴
充電方式、表示名称、復帰条件は機種によって異なります。
完成図書と取扱説明書を確認し、前回の点検記録とも照合します。
異常ランプだけ見たら足りませんか?
充電と始動の系統を一続きで見ます。
充電異常を見つけたら何をするのか

復帰操作より先に状態保存と始動保留を行います。
- 煙、異臭、発熱、漏液の有無を離れて確認する
- 表示内容、計器指示、発見時刻を記録する
- リセットと自家発電設備の始動操作を保留する
- 対象の充電装置と始動回路を図面で特定する
- 設備責任者と保守事業者へ連絡する
- 専門業者が入力、充電出力、蓄電池、始動回路を点検する
- 必要な整備後に充電状態、始動、負荷作動を確認する
始動を保留する間は、非常電源を必要とする消防用設備への影響を整理します。
必要に応じて巡回や火気制限、代替電源や所轄消防署への相談を検討します。
まず表示と時刻を残します。
停止中の代替措置も決めます。
表示を消せば使えると思うと何を見落とすのか

リセットで表示が消えても、入力電源の瞬断、充電器の部品故障、配線の緩み、蓄電池の劣化が解消したとは限りません。
表示の復帰と充電性能の復旧は別です。
- 入力側の遮断器が動作している
- 充電出力が不足または停止している
- 蓄電池の電圧低下や内部劣化がある
- 端子や接続板が緩み発熱している
- 警報履歴を消して原因が追えなくなる
- 始動できても再始動に必要な容量がない
- 無負荷始動だけで負荷運転を確認していない
蓄電池設備の基準は、充電回路の事故が蓄電池や放電回路の機能へ影響を及ぼさない構造を求めています。
これは、異常を放置してよいという意味ではありません。充電装置と放電側の始動回路を分けて確認します。
表示が消えても点検は終わらへんのですね。
数値と作動で復旧を確かめます。
明日から充電装置をどう管理するのか

平常時から表示灯、計器指示、遮断器、蓄電池、端子、始動結果を同じ確認票で追います。
正常時の表示と計器値を残すと、災害後の変化に気づきやすくなります。
- 充電装置と蓄電池の設備番号を図面へ記す
- 正常時の表示灯と計器指示を記録する
- 遮断器、端子、配線の位置を確認する
- 蓄電池の外観と電圧を点検記録へ残す
- 異常表示ごとの連絡先と対応手順を整える
- 異常時のリセット保留条件を決める
- 専門点検から復旧承認まで訓練する
異常表示の発見から原因確認、整備、再試験、復旧承認までをBCPへ組み込みます。
誰が操作を止めるか、誰が復旧を承認するかも明確にします。
正常時の表示も写真で残します。
比較できる点検記録にしましょう。
よくある質問
まとめ
リセットせず状態を残すようにします!
充電と始動の系統を一式で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 蓄電池設備の基準 昭和48年消防庁告示第2号
- 総務省消防庁 第24 非常電源(自家発電設備)の点検基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領・点検票
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。始動用蓄電池の充電装置に異常表示が出た場合は、自己判断でリセット、遮断器操作、端子取外し、始動操作をせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。個別の点検、整備、充電、試運転、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





