点検や試運転で、自家発電設備の燃料噴射時期にずれが見つかることがあります。
そのまま運転すると、燃焼状態が崩れ、排気温度や排気色、出力に異常が出るおそれがあります。
BCPでは運転を止め、タイミングマークと燃焼状態を確認します。
燃料噴射時期のずれを指摘されました。
少しなら運転してええですか。
運転を止めて状態を残します。
排気色だけ見たら足りますか。
タイミングマークと燃焼状態も確認します。
- 噴射時期のずれがあれば運転を停止します
- 回転数と排気色と発見時刻を操作前に記録します
- 噴射ポンプとタイミングマークを確認します
- 調整と判定は製造者の指定値に従います
- 整備後は管理下で排気色と回転数と負荷を確認します
▼

目次
燃料噴射時期にずれがあれば運転を続けてよいのか

噴射時期のずれを確認したまま運転を再開しません。
燃料噴射の時期がずれると、適切な燃焼時期から外れ、排気温度、排気色、回転の安定性に影響します。
消防庁の検討資料は、排気温度異常高の要因として燃料噴射時期の調整不良を挙げています。
噴射時期点検は、燃料噴射ポンプの噴射位置とクランク軸のタイミングマークを照合する方法です。
排気色が一時的に戻っても原因の除去とは限りません。
噴射ポンプ、タイミングマーク、排気色、回転数、排気温度を照合します。
煙が消えただけでは判断できへんのですね。
噴射時期と回転まで確認しましょう。
どのタイミングマークと運転条件を確認するのか

燃料噴射装置の構成と調整値は機種で異なります。
完成図書、取扱説明書、整備要領書で、その設備の噴射方式と基準位置を確認します。
- 指摘内容、発生時刻、回転数と排気色の推移
- 燃料の量、品質、漏れの有無
- 燃料噴射ポンプと駆動部
- 噴射位置ポインタとタイミングマーク
- 高圧管と燃料噴射弁
- 調速機と回転検出部
- 製造者が指定する噴射時期、回転数、排気温度
タイミングマークだけでなく、排気色、排気温度、回転数、負荷を組み合わせて確認します。
燃料供給側と燃焼結果を一続きで確認します。
マークだけ見ても足りませんか。
噴射系統と燃焼状態まで見ます。
指摘から停止と専門点検までどう進めるのか

運転停止、状態記録、連絡、時期調整、再試験の順で進めます。
- 異音、振動、黒煙、白煙、燃料漏れを確認する
- 運転を止めて再始動禁止を周知する
- 回転数、排気色、排気温度、負荷、発見時刻を記録する
- 設備責任者と保守事業者へ連絡する
- 燃料噴射ポンプ、タイミングマーク、高圧管、噴射弁を点検する
- 整備後に噴射時期を製造者の指定値と照合する
- 管理下で始動し、回転数、排気色、電圧、負荷を確認する
運転を止めている間は、非常電源を受ける消防用設備への影響を確認します。
必要に応じて巡回、火気制限、代替電源、所轄消防署への相談を組み合わせます。
停止前の排気色と回転数を残します。
停止中の安全措置も決めましょう。
排気色だけで正常と思うと何を見落とすのか

噴射時期のずれ、噴射弁の不良、燃料供給不足は、排気色だけでは区別できません。
点検後はポインタ、タイミングマーク、噴射ポンプ取付部、高圧管、回転検出部も確認します。
- 排気色が戻っただけで復旧扱いにする
- 停止前の排気色、排気温度、回転数、負荷を記録しない
- 運転中にタイミング部へ触れる
- 噴射位置ポインタとタイミングマークの損傷を見落とす
- 調速機や回転検出部を確認しない
- ポインタとタイミングマークを照合しない
- 無負荷運転だけで燃焼状態を判断する
消防庁の点検要領は、原動機の内部状態と排気温度、回転、負荷を確認する考え方です。
始動できただけで正常と決めず、負荷時の回転数と排気状態が安定することまで確認します。
煙が減っても確認は終わりやないんですね。
燃焼と出力まで確認します。
明日から噴射時期の異常にどう備えるのか

平常時から、回転数、排気色、排気温度、負荷を同じ条件で記録します。
正常時と比較できる記録があれば、災害後の異常を早く絞り込めます。
- 指摘内容、発生時刻、回転数と排気色の推移を確認する
- 正常な回転数、排気色、排気温度、負荷を記録する
- 噴射ポンプとタイミングマークの位置を図示する
- 噴射位置ポインタと回転検出部を確認項目にする
- 指定噴射時期、整備履歴、管理値をそろえる
- 停止中の代替電源と安全措置を決める
- 専門点検から復旧承認まで訓練する
運転停止から代替措置、点検、再試験、復旧承認までをBCPへ組み込みます。
消防計画の初動とBCPの事業継続をつなぐ担当者も決めます。
正常な回転数と排気色を確認票へ入れます。
迷わない手順にしておきましょう。
よくある質問
まとめ
表示だけで判断せず状態を残します。
噴射系統と燃焼状態を一式で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源 自家発電設備
- 総務省消防庁 自家発電設備・消火ポンプ等の劣化点検
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検方法に関する改善案 資料4-3
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。燃料噴射時期のずれを指摘された場合は、自己判断で調整、始動、運転継続をせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。個別の点検、整備、再始動、負荷試験、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





