潤滑油分析で、自家発電設備の試料から鉄や銅などの金属成分が多く検出されることがあります。
内部部品の摩耗や損傷の兆候であれば、災害時の長時間運転中に故障へ進むおそれがあります。
BCPでは運転を止め、分析結果と潤滑系統を確認します。
潤滑油の金属成分を指摘されました。
少しなら運転してええですか。
運転を止めて状態を残します。
潤滑油の色だけ見たら足りますか。
試料と潤滑油通路も確認します。
- 金属成分が過去値や管理値を超えたら運転を停止します
- 油温と油圧と分析条件を操作前に記録します
- 潤滑油試料と油路と内部部品を確認します
- 性状の判定は製造者の指定値に従います
- 整備後は管理下で油圧と負荷を確認します
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目次
潤滑油から金属成分が多く検出されたら運転してよいのか

金属成分の増加を確認したまま運転を再開しません。
金属の種類と量は、軸受、ピストン、シリンダなど内部部品の摩耗や損傷を調べる手掛かりになります。
消防庁の検討資料は、潤滑油の金属成分分析により、機関内部の摩耗や損傷を確認する考え方を示しています。
一回の数値だけでなく、採取条件と過去の分析値をそろえて変化を確認します。
見た目だけで判定せず、金属成分、粘度、水分、燃料希釈、酸化、油温、油圧を設備仕様に応じて照合します。
色が戻っただけでは判断できへんのですね。
性状と潤滑油温度まで確認しましょう。
どの潤滑油と潤滑系統を確認するのか

潤滑方式、潤滑油の種類、交換時期、管理値は機種で異なります。
完成図書、取扱説明書、整備要領書で、その設備の潤滑方式と指定潤滑油を確認します。
- 採取場所、採取時刻、運転時間、負荷
- 油量、油温、油圧、色、臭い、沈殿物
- オイルパン、ポンプ、フィルタ、油路
- 軸受、クランク軸、ピストン、シリンダ
- 冷却器、配管、継手、漏れの有無
- 警報、停止装置、整備履歴
- 製造者が指定する潤滑油、交換時期、管理値
試料だけでなく、金属の発生源となる部品、油圧、油温、負荷を組み合わせて確認します。
分析値と潤滑系統を一続きで確認します。
試料だけ見ても足りませんか。
潤滑系統と潤滑状態まで見ます。
指摘から停止と専門点検までどう進めるのか

運転停止、状態記録、採取、分析、内部点検、再試験の順で進めます。
- 異音、振動、油圧低下、油温上昇、漏れを確認する
- 運転を止めて再始動禁止を周知する
- 油圧、油温、負荷、運転時間、発見時刻を記録する
- 設備責任者と保守事業者へ連絡する
- 指定された場所と条件で潤滑油を採取する
- 分析結果から発生源を絞り、必要な内部点検と整備を行う
- 管理下で始動し、油圧、油温、電圧、負荷を確認する
運転を止めている間は、非常電源を受ける消防用設備への影響を確認します。
必要に応じて巡回、火気制限、代替電源、所轄消防署への相談を組み合わせます。
停止前の色と温度を残します。
停止中の安全措置も決めましょう。
潤滑油だけを入れ替えると何を見落とすのか

潤滑油を入れ替えて見た目がきれいになっても、摩耗や損傷した部品は直りません。
採取場所や運転時間が異なる試料を単純比較すると、変化を見誤ることもあります。
- 油交換だけで復旧扱いにする
- 採取場所と採取時刻を記録しない
- 運転時間や負荷条件をそろえない
- フィルタに残った摩耗粉を確認しない
- 金属の種類から発生源を検討しない
- 指定外の潤滑油を混ぜる
- 無負荷運転だけで潤滑状態を判断する
消防庁資料は、潤滑油の性状と潤滑装置の内部状態を確認する考え方です。
始動できただけで正常と決めず、負荷時の潤滑油温度が安定することまで確認します。
入れ替えるだけでは終わりやないんですね。
潤滑と出力まで確認します。
明日から潤滑油の劣化にどう備えるのか

平常時から、潤滑油の種類、交換日、補給量、温度、色、濁りを同じ条件で記録します。
正常時と比較できる記録があれば、災害後の異常を早く絞り込めます。
- 指定潤滑油と交換期限を確認する
- 正常時の油圧、油温、分析値を記録する
- 採取場所、運転時間、試料容器を決める
- オイルパン、ポンプ、フィルタ、軸受部を図示する
- 補給量、漏れ、交換履歴をそろえる
- 停止中の代替電源と安全措置を決める
- 分析から内部点検、再試験、復旧承認まで訓練する
運転停止から代替措置、点検、再試験、復旧承認までをBCPへ組み込みます。
消防計画の初動とBCPの事業継続をつなぐ担当者も決めます。
正常時の分析値を確認票へ入れます。
迷わない手順にしておきましょう。
よくある質問
まとめ
表示だけで判断せず状態を残します。
性状と潤滑系統を一式で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源 自家発電設備
- 総務省消防庁 自家発電設備・消火ポンプ等の劣化点検
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検方法に関する改善案 資料4-3
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。潤滑油の金属成分を指摘された場合は、自己判断で調整、始動、運転継続をせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。個別の点検、整備、再始動、負荷試験、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





