地震後の試運転で、自家発電設備のシリンダーヘッド付近から普段と違う「カチカチ」「パタパタ」という音が聞こえることがあります。
始動はできていても、そのまま運転を続けるか、どの時点で専門業者へ引き継ぐか迷う場面です。
BCPでは新しい弁機構の音を正常と決めつけず、停止して発生位置と運転条件を残します。
発電機からカチカチという打音がします。
動いているなら運転を続けてもええですか。
いったん停止して音の位置を記録します。
音を聞くだけで吸排気弁の異常と分かりますか。
聴音とバルブクリアランス測定を組み合わせます。
- 普段と違う吸排気弁の異音が出たら運転を止めます
- 音の位置と運転条件を停止前後で記録します
- 弁座の吹抜けとバルブクリアランスを専門点検します
- 聴音だけでなく吸排気弁の開閉状態も確認します
- 補修後は管理下で再試験します
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目次
吸排気弁から異音がしたら運転してよいのか

普段と違う打音が出た状態で運転を続けません。
始動できた事実と、内部が正常であることは別に考えます。
総務省消防庁の検討資料は、不規則音の要因として吸気弁または排気弁の吹抜けを挙げています。
確認方法として、バルブクリアランスを測定し、吸排気弁の開閉時期を点検することが示されています。
バルブクリアランスは、熱膨張を見込んで弁機構に設ける隙間です。
製造者の基準から外れると、打音だけでなく弁の開閉や密着へ影響するため、音量だけで運転継続を判断しません。
施設側では原因を断定せず、音が出た時刻、回転が安定していたか、振動や油圧の変化がなかったかを残します。
停止後の再始動を保留し、設備を把握した保守事業者へ引き継ぎます。
始動できても内部は正常とは限らへんのですね。
新しい音は停止判断の合図にします。
どの音と部位を確認するのか

確認対象は音量だけではありません。
音質、発生位置、回転条件、弁機構の状態を同じ時系列で記録します。
- 音が連続するか周期的に繰り返すか
- 原動機側か発電機側か補機側か
- 始動直後か回転安定後か停止直前か
- 振動、油圧、油温に変化があるか
- ロッカーアームやタペットに損傷がないか
- 直近の交換部品と整備履歴
- 正常時の音との違い
点検基準では、原動機と発電機に変形、損傷、脱落、腐食等がないこと、潤滑油類に著しい汚れや変質等がないことを確認します。
外観、油圧、排気色も弁機構の音の記録へ重ねると、専門点検の範囲を絞りやすくなります。
音だけ録音すれば足りますか。
発生位置と運転条件も一緒に残します。
発見から停止と専門点検までどう進めるのか

停止、記録、影響確認、専門診断、補修、再試験の順で進めます。
- 普段と違う音と同時に出た警報を確認する
- 運転を停止して再始動禁止を周知する
- 音の位置、時刻、運転条件を記録する
- 非常電源を受ける消防用設備への影響を確認する
- 保守事業者が聴音とバルブクリアランス測定を行う
- 吸排気弁、ロッカーアーム、タペットを必要範囲で点検する
- 補修後の再試験結果で復旧を承認する
消防庁資料は、吸排気弁の吹抜けを確認する方法として、バルブクリアランスを測定して開閉時期を点検することを示しています。
施設側は測定値を自己判断せず、製造者の整備要領と保守事業者の診断へつなぎます。
ただし、異音が出た設備を施設担当者だけで何度も始動して確認するのは避けます。
再試験は製造者や保守事業者が安全条件を整え、停止基準と監視項目を決めた管理下で行います。
確認のために何度も始動したらあかんのですね。
再試験は専門業者の管理下で行います。
音が小さいと何を見落としやすいのか

吸排気弁の異音は周囲の排気音や冷却ファンの音に隠れることがあります。
音が小さいことだけを理由に、異常なしと決めることはできません。
- 温まると打音が一時的に小さくなる
- 無負荷では計器値が正常に見える
- 吸排気弁以外の弁機構が音源になる
- カーボン付着による弁座の密着不良を見落とす
- 録音位置が違い正常時と比較できない
- 始動できたことで復旧済みと扱う
- 停止中の非常電源影響を見落とす
聴音は原因を確定する検査ではなく、点検範囲を決める入口です。
吸排気弁の吹抜け、バルブクリアランス、ロッカーアーム、タペットを専門業者が切り分けます。
バルブクリアランスは、冷間時か温間時かなど測定条件で扱いが変わります。
製造者が指定する条件と基準値で比較し、整備要領に照らして判断します。
音が消えただけで復旧完了にしないことが重要です。
静かになっても異常が直ったとは限らへんのですね。
弁の閉まりと隙間まで確認します。
明日から吸排気弁の異常兆候にどう備えるのか

平常時から同じ立ち位置と同じ運転条件で音を確認し、点検記録へ残します。
正常時の音を比較基準にすると、災害後の小さな変化に気づきやすくなります。
- 正常時の音を同じ位置で確認する
- 運転時間と無負荷試験の条件を記録する
- バルブクリアランスの測定値と調整履歴を残す
- 異音時の停止基準と連絡先を掲示する
- 停止中の代替電源と安全措置を決める
- 保守事業者と交換部品の調達経路を確認する
- 補修後の再試験と承認者を決める
発見から停止、専門点検、補修、再試験までをBCPの一連の手順にします。
消防用設備へ非常電源を供給できない時間が生じる場合は、火気制限、巡回、代替電源、所轄消防署への相談も準備します。
点検結果は音の有無だけでなく、発生位置、運転条件、クリアランス測定値、調整内容、復旧承認者まで残します。
次回の比較に使える記録へ整えることが再発防止につながります。
正常時の音と隙間の履歴を残します。
比較できる記録にしておきましょう。
よくある質問
まとめ
普段の音と比べられる記録を残します。
停止から再試験までを一式で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- 総務省消防庁 自家発電設備の基準 昭和48年消防庁告示第1号
- 総務省消防庁 別表第24 非常電源 自家発電設備の点検の基準
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検要領 第24 非常電源 自家発電設備
- 総務省消防庁 自家発電設備の点検方法に関する改善案 資料4-3
- 総務省消防庁 自家発電設備・消火ポンプ等の劣化点検 資料2-4
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。自家発電設備のシリンダーヘッド付近から普段と違う異音が聞こえた場合は、自己判断でロッカーカバーを開放したり運転を繰り返したりせず、設備仕様を把握した専門業者へ相談してください。個別の点検、補修、再始動、負荷試験、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と施設の運用状況に応じて所轄消防署や専門家へご確認ください。





