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自動火災報知設備の配線工事は電気工事士でも行えるのか|甲種消防設備士との業務範囲の違いを解説

感知器の配線は誰が行ってもよいのかを示すアイキャッチ画像

新築やリニューアルで自動火災報知設備を工事するとき、「配線工事まで含めて誰に頼めばよいのか」で迷う防火管理者は少なくありません。
消防用設備等の工事には甲種消防設備士でなければ行えない範囲があります。
一方で電気工事士法にも「電気工事」の独自の定義があり、両方の法律を見比べる必要があります。
実は感知器の配線の一部は、電気工事士法上「軽微な工事」として無資格でも行えると定められています。

感知器の配線工事なんですが、電気工事士にお願いしてもいいんでしょうか。

実は法律の扱いが分かれているんです。
まず条文で整理しますね。

てっきり消防設備士さんの仕事だとばかり思ってました。

本体部分と配線部分で資格の要否が変わってくるんですよ。

この記事の結論
  • 自動火災報知設備等の本体部分の設置工事は、消防法施行令第三十六条の二により甲種第4類消防設備士でなければ行えません。
  • 同条は電源・水源・配管の部分を工事の範囲から除外しており、自動火災報知設備では電源の部分が対象外です。
  • 感知器に使う小型変圧器の二次側配線は、電気工事士法上「軽微な工事」に当たり無資格でも行えます。
  • 小型変圧器の一次側につながる配線は、電気工事士でなければ従事できません。
  • 発注する側は消防設備士と電気工事士両方の資格を確認し、施工範囲を契約書で明確にしておくことが大切です。

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消防法施行令の消防設備士の範囲と電気工事士法施行令の軽微な工事の範囲を対比した図解

自動火災報知設備の配線工事は誰に頼めばよいのか

受信機と感知器をつなぐ配線
新築やリニューアルで自動火災報知設備を入れるとき
「配線まで誰の仕事なのか」で工程が止まることがあります。
消防法第十七条の五 消防設備士免状の交付を受けていない者は、次に掲げる消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事(設置に係るものに限る。)又は整備のうち、政令で定めるものを行つてはならない。一 第十条第四項の技術上の基準又は設備等技術基準に従つて設置しなければならない消防用設備等 二 (略)
配線を含む工事の全部が一人の業者で完結するとは限りません。
消防法は工事の資格を政令に委ねており
政令はさらに設備の種類ごとに対象範囲を分けています
電気工事士法もまた別に電気工事を定義しているため
発注する側は二つの法律を重ねて見る必要があります

配線工事の話になると、急に難しく感じます。

条文を追えば区分ははっきりしていますよ。

どこまでが甲種消防設備士の独占業務になるのか

受信機と配電盤の間の境界
消防法施行令は設備の種類ごとに工事の対象を列挙しています
自動火災報知設備がどう扱われているかを見てみます。
消防法施行令第三十六条の二第一項 法第十七条の五の政令で定める消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置に係る工事は、次に掲げる消防用設備等(第一号から第三号まで及び第八号に掲げる消防用設備等については電源、水源及び配管の部分を除き、第四号から第七号まで及び第九号から第十号までに掲げる消防用設備等については電源の部分を除く。)(略)の設置に係る工事とする。(略) 九 自動火災報知設備 (略)
本体部分の設置工事は甲種消防設備士の独占業務です。
消防法施行令第三十六条の二は消防用設備等ごとに工事の対象を列挙しており
自動火災報知設備は第九号に定められています
ただし同じ条文は電源の部分を対象から除くとも定めており
条文を読むときは本文とかっこ書きの両方を見る必要があります

電源の部分は対象外なんですね。

はい、その分だけ別の資格が関わってきます。

感知器の配線は電気工事士法上どう扱われるのか

小型変圧器と感知器をつなぐ二次側配線
消防法とは別に、電気工事士法にも工事の対象を絞る規定があります
感知器の配線がどちらに当たるのかを確認します。
電気工事士法施行令第一条(軽微な工事) 電気工事士法第二条第三項ただし書の政令で定める軽微な工事は、次のとおりとする。(略) 四 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が三十六ボルト以下のものに限る。)の二次側の配線工事
感知器の二次側配線は電気工事士法上の軽微な工事に当たります。
電気工事士法施行令第一条は政令で定める軽微な工事を列挙しており
第四号には火災感知器に使う小型変圧器の二次側配線が明記されています
二次電圧が三十六ボルト以下という条件も付いているため
条件を満たす範囲であれば電気工事士でなくても配線できます

感知器の配線くらいなら、電気工事士さんでも大丈夫そうですね。

条件付きですが、二次側ならそのとおりです。

一次側の配線まで無資格で行ってよいのか

配電盤から小型変圧器へつながる一次側配線
軽微な工事の範囲を広く捉えてしまう誤解もよくあります
どこで区切られているのかをもう一段掘り下げます。
電気工事士法第三条第一項 第一種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第一種電気工事士」という。)でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事(第三項に規定する電気工事を除く。第四項において同じ。)の作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。
軽微な工事の対象は二次側配線だけにとどまります。
小型変圧器の一次側につながる配線は
自家用電気工作物や一般用電気工作物の電気工事そのものに当たり
電気工事士法第三条により電気工事士でなければ従事できません
二次側だけを見て工事全体が無資格でよいと判断しないよう注意が必要です

じゃあ一次側の配線は、別に頼まないといけないんですね。

そこは電気工事士の資格が必要になります。

契約前に何を確認すればよいのか

チェックリストと資格証
配線の資格区分が分かったところで
実際に発注するときの確認事項を整理します。
  • 工事を依頼する業者が甲種第4類消防設備士の資格を持っているか確認する
  • 配線部分を含む一連の工事を、電気工事士免状も保有する業者に依頼するか確認する
  • 見積書や契約書に本体部分と配線部分の工事範囲を分けて明記してもらう
  • 着工前に所轄消防署へ工事整備対象設備等の届出が提出されているか確認する
資格の確認は工事が始まる前に済ませておくのが安全です。
着工後に資格の不一致が分かると工程が止まりかねません
見積り段階で担当範囲を分けて確認しておけば
後から追加費用や手戻りが発生するリスクも抑えられます

発注する前に、資格を確認しておきます。

それが一番のトラブル防止になりますよ。

よくある質問

Q感知器の配線工事を電気工事士に頼んでも違法にはなりませんか?
A二次側の配線に限れば電気工事士法施行令第一条第四号の軽微な工事に当たるため、電気工事士に依頼しても違法にはなりません。
Q消防設備士の資格が無いと配線工事は一切できませんか?
Aいいえ、消防法施行令第三十六条の二は電源の部分を工事の対象から除いているため、電源側の配線までは同条の規制の対象外です。
Q一次側の配線も消防設備士なら行えますか?
A消防設備士の資格だけでは行えません。一次側は電気工作物の電気工事に当たるため、電気工事士の資格が別に必要です。
Q感知器の交換と配線工事は同じ扱いになりますか?
Aいいえ、感知器本体の交換は消防法上の工事または整備の区分で判断され、配線の資格区分とは別の基準で扱われます。

まとめ

✔自動火災報知設備の本体部分の設置工事は甲種第4類消防設備士の独占業務です。
✔消防法施行令第三十六条の二は電源の部分を工事の対象から除外しています。
✔感知器に使う小型変圧器の二次側配線は電気工事士法上の軽微な工事に当たります。
✔二次電圧三十六ボルト以下という条件を満たす範囲に限られます。
✔小型変圧器の一次側配線は電気工事士でなければ従事できません。
✔発注時は消防設備士と電気工事士両方の資格を確認することが大切です。
✔契約書に本体部分と配線部分の工事範囲を分けて明記してもらいましょう。

配線の資格区分がよく分かりました、ありがとうございます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十七条の五
  • 消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第三十六条の二
  • 電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第二条・第三条
  • 電気工事士法施行令(昭和三十五年政令第二百六十号)第一条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の工事契約における資格の要否は、施工内容によって判断が分かれる場合があります。個別の判断は所轄消防署または電気保安の専門家にご確認ください。

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