民泊の消防用設備は、平成30年総務省令第34号により、延べ面積が300㎡未満の住戸部分なら特定小規模施設用自動火災報知設備(特小自火報)を付けることで自動火災報知設備の設置を免除できるようになりました。
ところがこの改正だけでは、市町村の火災予防条例が求める住宅用防災警報器(住警器)の設置義務までは連動して免除されず、天井に2種類の警報器を並べて付けなければならないように見える状態が残っていました。
この二重設置の疑問を解消したのが、平成31年2月28日の消防予第62号による条例基準省令の改正です。
特小自火報を正しい技術基準で設置すれば、住警器の設置義務も同時に満たせる号が追加されました。
特小自火報を付けたのに、条例の住警器も別に付けろと消防から言われそうで心配です。
その心配に応えたのが消防予第62号です。
条例基準の省令に住警器の免除規定が加わりました。
うちは一戸建てを民泊にしていますが、それでも対象になりますか。
民泊住戸部分が300㎡未満であれば対象です。
まずは対象になるかどうかから確認しましょう。
- 消防予第62号(平成31年2月28日)により、住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令第6条に、住警器の設置免除に関する号が追加されました
- 対象は民泊住戸部分の延べ面積が300㎡未満である民泊施設です
- 免除の条件は、特小自火報を平成20年総務省令第156号第3条第2項及び第3項が定める技術上の基準どおりに設置することです
- 免除の範囲は火災予防条例(例)第29条の3又は第29条の4に掲げる住宅の部分だけで、共用部分までは及びません
- 実際に免除が適用されるかは市町村の条例と所轄消防の確認が必要です
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目次
民泊で自動火災報知設備を免除しても住宅用防災警報器はなぜ残ってしまったのか

ところがこの改正は消防法施行規則の話であって、市町村の条例が求める住警器の話とは別の制度でした。
自動火災報知設備は消防法施行令が根拠、住警器は市町村の火災予防条例が根拠という、そもそも法令の出どころが違う設備だったからです。
特小自火報を天井に付けても、条例上はさらに住警器を寝室や階段に付けなければならないように読めてしまう状態が残っていました。
この隙間を埋めるために、条例のモデルとなる省令そのものを直接改正したのが今回の通知です。
自火報と住警器って、そもそも別の法律で決まっていたんですね。
はい、根拠が違う分だけ免除もそれぞれ別に決める必要がありました。
次はどんな施設が対象になるかを見ていきましょう。
この住警器免除はどの民泊施設が対象になるのか

民泊住戸部分の広さがその基準に収まっているかを、まず確認します。
旅館・ホテル・宿泊所等(民泊を含む)は令別表第一(5)項イの用途にあたり、令第21条第1項各号に含まれるため、300㎡未満なら「特定小規模施設」に該当します。
免除の対象になる場所も、条例上の住宅用防災警報器の設置対象=寝室・その階の階段等に限られ、民泊とは無関係な部分には及びません。
300㎡以上の民泊は特定小規模施設の枠から外れるため、この免除の対象にはなりません。
建物の種類じゃなくて、床面積の数字で決まるんですね。
そのとおりです。
次に、省令が具体的に何を追加したのかを見ていきましょう。
条例基準を定める省令第6条にはどんな号が追加されたのか

今回の改正で、この条文に特小自火報を根拠にする号がそのまま1つ加わりました。
第156号省令第3条第2項は、警戒区域の分け方・連動型警報機能付感知器の使い方・感知器を設ける場所(居室・階段・廊下等)・非常電源の付置までを具体的に定めています。
第3項はさらに、これらに加えて消防庁長官が定める設置及び維持に関する技術上の基準にも適合するよう求めています。
つまり号が指しているのは「特小自火報という名前の機器」ではなく「その基準どおりに設置された特小自火報」だという点が要です。
感知器を置くだけで、条例の号までクリアできるとは思っていませんでした。
ただし、それには条件があります。
次は実務で見落としやすい点を確認しましょう。
この号を使うときに実務で見落としやすいのはどこか

どちらも「付けさえすればよい」と思い込むと外してしまいます。
また、家電量販店で買える一般的な連動型ワイヤレス警報器を適当に配置しただけでは、第156号省令の技術基準を満たしたことにはなりません。
住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令は、あくまで市町村が条例を作るときの国のモデル基準であり、実際に免除されるかどうかは各市町村が制定した条例そのものの規定によります。
「省令が改正されたから全国どこでも自動的に免除される」と思い込まず、所轄消防に条例の適用を確認することが欠かせません。
市販の無線警報器なら何でもいいと思っていました。
技術基準を満たした特小自火報でなければ対象外です。
最後に明日からの確認手順をまとめます。
民泊の消防用設備を見直すとき明日から何を確認すればよいのか

次の順で進めると迷いません。
①民泊住戸部分の延べ面積または床面積が300㎡未満かを確認し、②特小自火報を第156号省令第3条第2項・第3項の技術基準どおりに設置し、③その設置内容で自動火災報知設備の設置義務を満たしたことを所轄消防に確認します。
そのうえで④自分の市町村の火災予防条例が、住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令第6条第3号に対応する規定を取り入れているかを確認し、⑤対応していれば住警器を重ねて設置する必要はなくなります。
条例の条項番号は市町村ごとに異なることがあるため、確認の際は「特小自火報による住警器免除」という趣旨で所轄消防に問い合わせると話が早く進みます。
面積の確認から始めて、最後に条例を確認するという順番なんですね。
そのとおりです。
順番どおりに進めれば二重設置は避けられます。
よくある質問
まとめ
二重設置の心配が無くなりました。
面積の確認と技術基準どおりの設置、条例の確認まで一緒に進めましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令の一部を改正する省令の公布について(平成31年2月28日 消防予第62号 消防庁次長)
- 住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成16年総務省令第138号)第6条
- 特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成20年総務省令第156号)第2条、第3条
- 消防法施行規則等の一部を改正する省令(平成30年総務省令第34号)
- 消防法施行令第21条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





