地震後の巡回で、自家発電設備の排気筒の継ぎ目に黒い煤が付いていました。
拭けば消える汚れに見えても、そのまま運転を続けてよいのでしょうか。
煤は排気ガスが継ぎ目から漏れた可能性を考える手がかりです。
運転を止め、換気と立入制限を行い、継手から屋外まで専門家が点検して復旧を判断します。
排気筒の継ぎ目に黒い煤があります。
運転を止めて換気と立入制限からです。
煤を拭けば運転を再開できますか。
継手と排気経路を専門点検しましょう。
- 継ぎ目に煤を見つけたら、自家発電設備の運転を停止します
- 換気、立入制限、体調不良者の有無を安全な位置から確認します
- 煤を拭き取らず、付着位置と発見時の状態を記録します
- フランジ、可とう継手、消音器、支持金具、排気経路を一体で専門点検します
- 原因の補修後に管理下で試運転して復旧します
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目次
地震後に排気筒の継ぎ目へ煤が付いていたら運転を続けてよいのか

結論は、運転を止めて原因を確認します。
煤の付着だけで排気漏れと断定はできません。ただし、地震後に継ぎ目の周囲へ新しい煤が現れたなら、ガスケットの損傷、ボルトの緩み、配管のずれなどにより排気ガスが漏れた可能性を考えます。
排気漏れは高温のガスや一酸化炭素を機械室へ出し、火災と人身事故につながるおそれがあります。
消防庁の点検基準は、排気筒の変形や損傷、支持金具の緩み、配管の漏れ、運転中の異臭や異常振動などを確認対象にしています。
非常電源が必要でも、疑わしい状態で運転を続けると二次災害が避難と事業継続の両方を損ないます。
発見した人は煤へ触れず、運転停止後も排気筒が高温であることを前提に、安全な位置から臭い、煙、体調不良者の有無を確認します。
煙、強い排気臭、頭痛や吐き気がある場合は接近せず、避難、通報、救護を優先してください。
煤だけでも運転を止めるんですね。
漏れの可能性を安全側で扱うんです。
どの継ぎ目と排気経路を確認対象にするのか

煤が付いた一か所だけを見て終わりにはしません。
消防庁の点検基準では、排気筒の変形や損傷、支持金具の緩み、配管の変形・損傷・漏れなどを確認します。
発電機の排気出口から可とう継手、フランジ、消音器、排気筒、屋外開口までを一つの経路として確認します。
施設側が図面と現場で照合する項目は次のとおりです。
- 発電機の排気出口と可とう継手
- 煤が付いたフランジと前後の継ぎ目
- 消音器と排気筒の接続部
- 吊り金具、支持金具、固定部
- 壁や天井の貫通部
- 屋外排気口の閉塞と周囲の可燃物
- 排気臭、変色、腐食、異常音の跡
煤の上流側と下流側をたどり、地震で力がかかりやすい可とう継手、支持部、曲がり部も確認します。
消防庁の資料は、排気管の内部確認で未燃燃料や燃焼残さの付着、損傷などを見る方法も示しています。分解を伴う確認は専門家が行います。
煤の付着位置と配管のずれ、支持状態、排気口の閉塞を同じ確認記録へ残すことが重要です。
発電機から屋外まで経路で見ます。
支持部と屋外排気口も同時確認です。
煤の発見から運転停止と専門点検までどう進めるのか

初動の順番を決めておきます。
煤を拭き取ると、漏れた位置や広がりを判断する手がかりが消えます。締め直しや増し締めも、配管のずれやガスケット損傷を隠すことがあります。
施設側では再始動、拭き取り、増し締めをせず、最初の状態を残して専門家へ引き継ぎます。
対応は次の順番です。
- 自家発電設備の運転と再始動を止める
- 機械室を換気し周囲を立入制限する
- 排気臭、煙、体調不良者の有無を確認する
- 煤の位置、広がり、発見時刻を撮影して記録する
- 煤の拭き取り、増し締め、仮補修をしない
- 防火管理者、建物管理者、消防設備業者へ連絡する
- 専門家が継手、支持部、排気経路を点検する
強い排気臭、煙、頭痛や吐き気がある場合は、接近せず避難と緊急連絡を優先します。
始動を止める間は、非常照明、消火ポンプ、通信設備など、どの負荷が自家発電設備に依存しているかを確認します。
代替電源だけでなく、停止中の消防用設備等への影響と代替措置を同時に整理してください。
煤を拭く前にそのまま記録します。
運転停止と代替措置を並行します。
煤だけ拭けば復旧と思うと何を見落とすのか

煤は原因ではなく、異常を示す手がかりです。
表面を拭いて見た目が整っても、ガスケットの損傷、ボルトの緩み、配管のずれ、支持金具の変形が残れば再び漏れる可能性があります。
煤が消えたことと、排気経路の気密性が回復したことは別です。
地震で支持金具が緩んでいれば、排気筒の荷重や運転振動で継ぎ目が再び開く可能性があります。
フランジ、ガスケット、ボルト、可とう継手、支持金具、屋外排気口まで原因を追います。
排気の流れを妨げる閉塞や、燃焼状態の異常が煤を増やしている場合もあります。継ぎ目だけでなく機関側と排気口側を含めて判断します。
施設側で増し締めやシール材の塗布をせず、設備仕様に合うガスケットと締付方法を専門家が判断してください。
復旧は、原因の補修後に支持状態と排気経路を再確認し、管理下の試運転で排気漏れ、異臭、異常振動がないことを確かめて決めます。
煤を拭いただけでは判断しません。
継手と支持状態まで確認します。
明日から排気漏れにどう備えるのか

正常時の状態と判断権限を残します。
地震後に初めて排気経路を探すのではなく、平時の写真、図面、点検記録をそろえておきます。
フランジ、可とう継手、支持部、屋外排気口の正常な外観を写真で共有すると、煤やずれを見つけやすくなります。
明日から確認する項目は次のとおりです。
- フランジと可とう継手の正常な外観
- 消音器、曲がり部、支持部の位置
- 屋外排気口までの排気経路
- 煤、排気臭、異常音を見つける基準
- 運転停止と立入制限の判断基準
- 防火管理者と専門業者への連絡順
- 代替電源、点検、試運転、復旧承認の記録欄
消防計画には初動と通報、BCPには停止中の代替電源と復旧優先順位を整理します。
内閣府の事業継続ガイドラインが示すように、人命安全と二次災害防止を優先し、重要業務を続ける代替手段を準備します。
点検結果と試運転の承認者を訓練で確認し、夜間や休日でも同じ判断ができる状態を作ってください。
正常時の継ぎ目も写真に残します。
停止中の代替手段までBCPに入れましょう。
よくある質問
まとめ
継ぎ目と排気経路の正常写真を台帳へ残します!
排気漏れの二次災害を防いでから非常電源を復旧するのがBCPです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法
- 消防庁 自家発電設備の基準
- 消防庁 消防用設備等の点検基準・点検要領
- 消防庁 消防用設備等の点検の基準 別表第24 自家発電設備
- 消防庁 自家発電設備の点検方法に関する改善案
- 消防庁 非常用発電設備に係る緊急点検チェックリスト
- 消防庁 自家発電設備の点検方法の見直しについて
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令、告示、点検基準、公的資料に基づく一般的な解説です。排気筒の継ぎ目に煤がある場合は、煤だけで排気漏れと断定せず、施設側で再始動する、煤を拭く、ボルトを増し締めする、シール材を塗るなどの対応をせず、排気出口、可とう継手、フランジ、ガスケット、消音器、排気筒、支持金具、屋外排気口を専門家が確認してください。煙、強い排気臭、火災、頭痛や吐き気など緊急性がある場合は、避難、通報、救護と消防機関の指示を優先してください。個別の点検、修理、試運転、代替措置、復旧判断は、設備の仕様と被害状況に応じて所轄消防署、消防設備業者、建物管理者へご確認ください。





