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ガス漏れ検知器の作動試験は全数やらなくてよいのか|回線ごとの抜き取り個数と不良時の全数試験を解説

ガス漏れ検知器の作動試験は全数か抜き取りでよいのかを解説する記事のアイキャッチ画像。厨房の壁の検知器と作業台の上の試験器

ガス漏れ火災警報設備の点検では、検知器に試験用ガスを当てて作動試験を行います。
検知器が多い建物では、全部を試験するのか、抜き取りでよいのかが気になります。
消防庁の点検要領は、抜き取りの数え方と、不良が出たときの扱いまで定めています。
この記事では、点検要領の定めと、作動時間の測り方までを確かめます。

検知器がたくさんあると、作動試験も全部やるのか心配になります。

点検要領は、抜き取りで点検する場合の個数の数え方を定めています。

抜き取った中に不良があったら、どうなるのでしょうか。

その回線は、全部の検知器を点検します。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 検知器の作動試験は、加ガス試験器で試験用ガスを加え、中継器や受信機の作動と警戒区域の表示を確認する項目です。
  • 検知器を抜き取りで点検する場合は、輪番で、かつ1回線ごとに設置個数5個あたり1個以上(端数切り上げ)とされています。
  • 抜き取った検知器から不良品が発見された場合は、その回線の全検知器を点検します。
  • 製造者の表示する有効期限を超過した検知器は、抜き取りにせずすべて試験します。
  • 作動時間は、測定した時間から中継器を介する場合の5秒などを差し引いた時間が60秒以内であることを確認します。

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ガス漏れ検知器の作動試験の考え方を示す図解(回線ごとに抜き取り、不良なら全数試験、作動時間を測る)

ガス漏れ検知器の作動試験では何を確かめるのか

壁に付いた検知器へ試験用ガスの器具を向け、右の受信盤のランプが点灯しているイラスト
作動試験は、点検基準と点検要領の両方に書かれています。
まず、確認する内容を告示と要領で見ます。
消防庁告示(昭和50年消防庁告示第14号)別表第11の2(機器点検 ガス漏れ検知器 作動等)
確実に作動し、かつ、警戒区域の表示が適正であること。
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(作動等)
(1)試験用ガスを加える装置(以下「加ガス試験器」という。)の設定後、所定の操作を行い、確認する。
ア 中継器、ガス漏れ表示灯及び検知区域警報装置が正常に作動すること。
イ 受信機のガス漏れ灯、主音響装置の作動及び警戒区域の表示が適正であること。
作動試験は、機器点検の「作動等」の項目で行います。
告示は、検知器が確実に作動し、警戒区域の表示が適正であることを求めています。
点検要領は、加ガス試験器を設定して所定の操作を行い、確認するとしています。
判定は、中継器・ガス漏れ表示灯・検知区域警報装置の作動と、受信機のガス漏れ灯・主音響装置・警戒区域の表示です。
検知器だけでなく、受信機側の表示まで確かめる試験と読めます。

検知器にガスを当てるだけでは足りないのですか。

受信機のガス漏れ灯や警戒区域の表示まで確認します。
点検要領がそう定めています。

ガス漏れ検知器は全部を試験しなくてもよいのか

壁に並んだ検知器のうち一つだけが橙色の輪で囲まれ、右に書類板が置かれたイラスト
検知器が多い回線で、全部を試験するのは大変です。
点検要領は、抜き取りで点検する場合の条件を定めています。
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(作動等 試験対象個数)
① 検知器を抜き取りで点検する場合は、輪番で、かつ、1回線ごとに設置個数5個あたりについて1個以上となるよう行うこと(端数切り上げ)。
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(作動等 ※(エ))
点検を抜き取りにより行う場合は、第11の2-2表によるものとし、図面又は点検票等に抜き取りを行った検知器の位置が明示されること。
抜き取りで点検してよい場合の条件は、点検要領が決めています。
要領は「検知器を抜き取りで点検する場合」と書いており、抜き取りを前提にした定め方です。
ただし、輪番で、かつ1回線ごとに数えることが条件です。
抜き取った検知器の位置は、図面や点検票などに明示します。
要領は輪番の意味を説明していませんが、順番に当たりを変えていく趣旨と考えられます。

検知器は、毎回同じものを試験すればよいのでしょうか。

要領は輪番で行うと定めています。
試験した位置は図面や点検票に明示します。

抜き取りの個数は回線ごとにどう数えるのか

二つの壁にそれぞれ検知器の組と中継器があり、間に白紙の表の板が立つイラスト
抜き取りの個数は、1回線あたりの設置個数で決まります。
点検要領の第11の2-2表を見ます。
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(第11の2-2表 検知器の抜き取り表)
1回線の検知器設置個数に応じた、検知器の抜き取り個数を次の表のとおり定めています。
1回線の検知器設置個数検知器の抜き取り個数
1~51
6~102
11~153
16~204
21~255
26~306
31以上20%相当数(端数切り上げ)
抜き取り個数は、1回線の設置個数の区分ごとに表で決まります。
設置個数が1個から5個の回線は、抜き取り個数は1個です。
6個から10個は2個、11個から15個は3個と、5個ごとに1個ずつ増えます。
26個から30個までは6個で、31個以上は設置個数の20%相当数を端数切り上げで数えます。
たとえば31個の回線なら、31の20%は6.2ですので、切り上げて7個になります。

30個までの回線と、31個以上の回線で、数え方が違うのですね。

31個以上は20%相当数を端数切り上げで数えます。
それまでは表の個数です。

不良が出たり有効期限を過ぎていたりしたらどうなるのか

壁に並んだ検知器の一つに赤い旗が立ち、列の下に橙色の線が引かれたイラスト
抜き取りで点検しても、結果しだいで試験の範囲は広がります。
点検要領が定める2つの場合を見ます。
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(作動等 ※(オ))
抜き取った検知器から不良品が発見された場合は、その回線の全検知器について点検を実施すること。
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(作動等 試験対象個数 ②)
製造者の表示する有効期限を超過したものにあっては、すべて試験を行うこと。
不良が出た回線は、全部の検知器を点検します。
要領は、抜き取った検知器から不良品が発見された場合と書いています。
点検の範囲は、その回線の全検知器に広がります。
別に、製造者が表示する有効期限を超過した検知器は、抜き取りにせず、すべて試験します。
明日からは、検知器の有効期限と回線ごとの設置個数を、図面や点検票と照らして確認しておくと、段取りが立てやすくなります。

有効期限が切れていたら、抜き取りでは済まないのですね。

期限を超過したものはすべて試験します。
不良が出た回線も全部です。

試験用ガスの濃度と作動時間はどう決まっているのか

ガスボンベとコンロ、計時器、ランプが点灯した受信盤が並ぶイラスト
作動試験では、使うガスと測る時間にも決まりがあります。
点検要領の注書きを順に確認します。
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(作動等 ※(ア)(イ))
試験用ガスは、当該検知対象ガス又はメタン(対空気比重が1未満のガス用)若しくはイソブタン(対空気比重が1を超えるガス用)等を主成分としたものであること。
濃度は、当該試験用ガスの爆発下限界のおおむね4分の1(温泉の採取のための設備に設ける検知器にあっては、警報設定値(爆発下限界の10分の1)の1.6倍以下)とすること。
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(作動等 ※(ウ)作動時間の目安)
(a)から(d)までにより測定した時間から、次のa及びbに定める時間を差し引いた時間が60秒以内であること。
a 中継器を介する場合は5秒
b (d)の場合は20秒
  • (a) 検知器に確認灯を有するもの:作動確認灯の点灯から、受信機のガス漏れ灯が点灯するまでの時間
  • (b) (a)以外で検知区域警報装置又は中継器の作動確認灯を有するもの:検知区域警報装置の作動又は中継器の作動確認灯の点灯から、受信機のガス漏れ灯が点灯するまでの時間
  • (c) (a)又は(b)以外で温泉の採取のための設備に設ける検知器:ガスの濃度を指示するための装置が警報設定値に達し、警報を発するまでの時間
  • (d) (a)、(b)及び(c)以外のもの:試験用ガスを加えた後、受信機のガス漏れ灯が点灯するまでの時間
点検要領 第11の2(消防予第172号別添)(作動等 ※(カ))
裸火等を使用している場所で、加ガス試験器を使用する場合は、裸火等の使用を中止した上で点検を行うこと。
試験用ガスは濃度が、作動時間は測り方と差し引く時間が決まっています。
試験用ガスは、検知対象ガスかメタン、イソブタンなどを主成分とし、濃度は爆発下限界のおおむね4分の1です。
温泉の採取のための設備の検知器は、警報設定値の1.6倍以下とされています。
作動時間は、(a)から(d)のどれで測るかを決め、中継器を介すれば5秒、(d)の場合は20秒を差し引いて60秒以内を確認します。
裸火を使う場所では、使用を中止してから加ガス試験器を使います。

60秒は、測った時間そのままで見るのですか。

中継器を介す場合の5秒などを差し引いた時間で見ます。
測り方は(a)から(d)で決まっています。

よくある質問

Q加ガス試験器とは何ですか?
A点検要領は、試験用ガスを加える装置を「加ガス試験器」と呼んでいます。設定後に所定の操作を行い、確認するとしています。
Q抜き取り個数の端数は、どう扱いますか?
A点検要領は、設置個数5個あたり1個以上とする場合も、31個以上の20%相当数の場合も、端数切り上げとしています。
Q抜き取った検知器の位置は、記録が要りますか?
A要領は、図面又は点検票等に、抜き取りを行った検知器の位置が明示されることとしています。
Q作動時間の判定は、何秒以内ですか?
A(a)から(d)で測定した時間から、中継器を介する場合の5秒と、(d)の場合の20秒を差し引いた時間が60秒以内であることです。

まとめ

✔検知器の作動試験は、加ガス試験器で確認する機器点検の項目
✔受信機のガス漏れ灯・主音響装置・警戒区域の表示まで正常に作動することを確認する
✔抜き取りは、輪番で、かつ1回線ごとに設置個数5個あたり1個以上(端数切り上げ)
✔31個以上の回線は、20%相当数を端数切り上げで数える
✔抜き取った検知器から不良品が出たら、その回線の全検知器を点検する
✔製造者の表示する有効期限を超過した検知器は、すべて試験する
✔作動時間は、差し引く時間を引いて60秒以内を確認し、裸火は使用を中止してから点検する

まず、回線ごとの設置個数と有効期限を確認しておきます!

抜き取りの個数と位置を決めておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日 消防予第172号 消防庁予防課長)別添 点検要領 第11の2 ガス漏れ火災警報設備
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第11の2
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6

※本記事は公表されている法令および消防庁の点検要領に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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