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避難器具の点検はなぜ器具本体より先に周囲の状況から見るのか|設置場所から避難空地までの5項目と総合点検を解説

避難器具の点検はなぜ器具本体より先に周囲の状況から見るのか|設置場所から避難空地までの5項目と総合点検を解説

避難器具の点検では、はしごや緩降機の傷みばかりに目が向きがちです。
ところが点検の基準は、器具本体より先に周囲の状況を確かめるよう並べています。
通路をふさぐ物や、伸びた樹木、施錠された扉があれば、器具が新品でも使えません。
この記事では、周囲の状況の5項目と、そのあとの総合点検の中身を順に確認します。

避難器具の点検は、器具そのものを調べるのが中心ではないのですか。

器具本体の点検も、もちろんあります。
ただし点検の基準は、周囲の状況を最初の項目に置いています。

周囲というと、具体的にどこまで見るのでしょうか。

設置場所から避難空地まで、5つの項目があります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 避難器具の機器点検は、器具本体より先に周囲の状況を確かめます。
  • 周囲の状況は、設置場所・操作面積等・開口部・降下空間・避難空地の5項目です。
  • 設置場所では、施錠や物品で接近を妨げられていないかを目視で見ます。
  • 寸法が表によらないときは、設計図書を参照するか、設置時の状態と同じかで判定します。
  • 総合点検は機器点検のあとに、取付け・降下・格納を使用状態で確かめます。

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避難器具の点検を、周囲の状況を見る、器具本体を見る、総合点検で使うの3つの順番で整理した図解

避難器具の機器点検はなぜ器具本体より先に周囲の状況を見るのか

灰色の格納箱まで床が広く空いていて、段ボール箱が端に寄せられたバルコニーのイラスト
点検の基準は、機器点検の確認事項を五つの区分に分けています。
最初の区分が「周囲の状況」で、器具本体はその後ろの区分です。
消防用設備等の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号) 別表第15 避難器具の点検の基準
1 機器点検 次の事項について確認すること。
(1) 周囲の状況 ア 設置場所 イ 操作面積等 ウ 開口部(器具が取り付けられるものに限る。) エ 降下空間 オ 避難空地
(2) 標識 (3) 器具本体 (4) 取付具及び支持部 (5) 格納状況
周囲の状況は、器具本体より前に置かれた最初の区分です。
設置場所・操作面積等・開口部・降下空間・避難空地の5項目で、いずれも器具そのものではなく、器具を使う場所を見ます。
器具が使える状態かどうかは、器具の外にある条件にも左右されるためです。
標識、器具本体、取付具及び支持部、格納状況は、この後ろに続く区分です。
器具本体の傷みの見方は、避難はしごの点検の記事で扱っています。

五つの項目は、どの器具でも同じように見るのですか。

開口部だけは、器具が取り付けられるものに限ると書かれています。
それ以外は、器具に応じた大きさで判定します。

設置場所と操作面積では点検で何を確かめるのか

灰色の格納箱の横の床に、オレンジの線で囲んだ空きの面積と、巻いた図面が置かれたバルコニーのイラスト
設置場所は、避難に際して容易に接近できるかを見る項目です。
操作面積等は、器具を操作する床の広さと、そこに障害物がないかを見る項目です。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第15 避難器具 1 機器点検 周囲の状況 設置場所
目視により確認する。
ア 設置後の模様替え等により、個室、倉庫等に変更され、接近しにくくなっていないこと。
イ 設置されている室の出入口は、施錠されていないこと。
ウ 接近を妨げるもの等が置かれていないこと。
エ 格納場所の付近に物品等が置かれており、当該器具の所在が分かりにくくなっていないこと。
オ 格納場所が変更されて、所定の設置場所から著しく離れていないこと。
カ 使用方法の確認、操作等が安全にかつ円滑に行うことができる明るさが確保されていること。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第15 避難器具 1 機器点検 周囲の状況 操作面積等
目視により確認する。
ア 器具に応じた操作面積(第15-1表)が確保されていること。
イ 操作面積内に軽量で移動容易なものを除き、操作上支障となる障害物が置かれていないこと。
ウ 格納箱の上に操作に支障となるような物品等が置かれていないこと。
※ 操作面積の大きさが第15-1表によらない場合は、設計図書を参照するか又は設置時の状態と同じ状態であるかどうかによって判定する。
設置場所の点検は、器具の前まで安全にたどり着けるかを見ます。
模様替えで個室や倉庫に変わっていないか、出入口が施錠されていないか、通路に物が置かれていないかを目視で確かめます。
格納場所の付近に物品があって所在が分かりにくい状態も対象で、操作が安全にできる明るさも項目に入っています。
操作面積のほうは、軽量で動かしやすい物を除き、操作の支障になる障害物が置かれていないかを見ます。
寸法が表によらない場合は、設計図書を参照するか、設置時の状態と同じかで判定するとされています。
寸法そのものの基準は、操作面積と降下空間の記事にまとめています。

荷物を置いていても、軽いものなら問題ないのですか。

軽量で移動容易なものは、操作面積の判定から除かれています。
ただし格納箱の上に支障となる物品を置かないことも、判定に入っています。

開口部の点検では大きさのほかに何を見るのか

壁の低い位置にある開口部の前に踏台があり、開いた扉がストッパーで止められたイラスト
開口部は、器具が取り付けられるものだけが対象の項目です。
大きさのほかに、開閉のしやすさと高さも見ます。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第15 避難器具 1 機器点検 周囲の状況 開口部(器具が取り付けられるものに限る。)
目視により確認する。
ア 開口部に避難の障害となるものが取り付け、又は置かれていないこと。
イ ストッパー、戸車等が錆ついてなく、開口部が容易に開閉できること。
ウ 扉、蓋等を開けた場合のストッパーは確実にかかり、振動、衝撃等ではずれないこと。
エ 床から開口部下端までの高さは120cm以下であること。
オ 避難上支障のおそれのある高さの開口部には、適正な固定式又は半固定式の踏台等があること。
カ 踏台等は使用不能の状態となっていないこと。
キ 開口部は器具に応じた大きさ(第15-2表)であること。
※ 開口部の大きさが第15-2表によらない場合は、設計図書を参照するか又は設置時の状態と同じ状態であるかどうかによって判定する。
開口部の確認事項は、大きさを含めて七つあります。
ストッパーや戸車が錆ついていないか、扉や蓋を開けたときのストッパーが確実にかかるかも見ます。
床から開口部の下端までは120cm以下が判定で、避難上支障のおそれのある高さなら固定式か半固定式の踏台が要ります。
踏台が使用不能になっていないかも確認します。
大きさが表によらない場合は、設計図書を参照するか、設置時の状態と同じかで判定します。

開口部は、大きさだけ測れば足りるのですか。

大きさは、七つの確認事項のうちの一つです。
ストッパー・踏台・高さも見ます。

降下空間と避難空地の点検では何を見るのか

バルコニーの下にオレンジの点線で囲んだ空きの空間があり、その外に樹木と看板と電線があるイラスト
降下空間は、器具で降りる通り道にあたる空間を見る項目です。
避難空地は、降りた先の地面の広さと、出口までの通り道を見る項目です。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第15 避難器具 1 機器点検 周囲の状況 降下空間
目視により確認する。
ア 降下空間は、器具に応じた大きさ(第15-3表)であること。
イ 看板等の新設や樹木の成長等で障害となっていないこと。
ウ 電線がある場合は、降下空間から120cm以上の間隔を有していること。ただし、当該架空電線部分に絶縁措置が講じられていて安全と認められる場合は、この限りでない。
※ 降下空間の大きさが第15-3表によらない場合及び多人数用緩降機の場合は、設計図書を参照するか又は設置時の状態と同じ状態であるかどうかによって判定する。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第15 避難器具 1 機器点検 周囲の状況 避難空地
目視により確認する。
ア 避難空地は、器具に応じた大きさ(第15-4表)であること。
イ 避難空地に障害物がないこと。
ウ 避難器具に応じた幅員以上の避難上有効な通路で広場、道路等に通じていること。
※ 避難空地の大きさが第15-4表によらない場合及び多人数用緩降機の場合は、設計図書を参照するか又は設置時の状態と同じ状態であるかどうかによって判定する。
降下空間は、器具の大きさに応じた空間に障害がないかを見ます。
看板の新設や樹木の成長で、あとから邪魔になっていないかが確認事項に入っています。
電線が近くにあるときは、降下空間から120cm以上の間隔があるかを見ます。
ただし、架空電線部分に絶縁措置があって安全と認められる場合は、この限りではありません。
避難空地は、障害物がないことに加え、避難上有効な通路で広場や道路等に通じていることまで見ます。

設置したときは空いていたのですが、あとから樹木が伸びた場合も点検では見るのですか。

降下空間の確認事項に、樹木の成長で障害になっていないかがあります。
設置時に問題がなくても、点検の時点で障害になっていれば引っかかります。

総合点検は機器点検のあとに何を確かめるのか

避難はしごがバルコニーから地面まで降ろされ、横の格納箱へ戻る矢印が描かれたイラスト
機器点検で周囲と器具の状態を確かめたあとに、総合点検を行います。
総合点検は、器具を実際に使用状態にして機能を確かめる点検です。
消防用設備等の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号) 別表第15 避難器具の点検の基準
2 総合点検 次の事項について確認すること。
(1) 器具の取付け等 開口部の開放、器具の取付け等が適正に行うことができること。
(2) 降下 器具に応じた降下が適正に行うことができること。
(3) 格納 避難器具に応じた格納が適正に行うことができること。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第15 避難器具 2 総合点検
(1) 点検終了後、使用時に支障がないよう元の状態に復しておくこと。
(2) 総合点検は、機器点検の内容が完全に行った後に実施するもので、避難器具を使用状態にしてその機能が適正であるかどうか確認する。
総合点検は、取付け・降下・格納の三つを確かめます。
告示は、開口部の開放と器具の取付け、器具に応じた降下、器具に応じた格納が適正にできることを求めています。
要領は、総合点検を機器点検のあとに実施するものとしています。
終わったら、使用時に支障がないよう元の状態に復しておくことも要領に書かれています。
標識や格納状況の設置及び維持の基準は、設置及び維持の基準の記事で解説しています。

総合点検だけ先に済ませてもよいのですか。

要領は、総合点検を機器点検のあとに実施するものとしています。
点検後は、器具を使用前の状態へ復しておきます。

よくある質問

Q機器点検の周囲の状況では、どの項目を確認しますか?
A設置場所・操作面積等・開口部・降下空間・避難空地の5項目です。開口部は、器具が取り付けられるものに限られています。
Q寸法が表の数値に合わないときは、すぐ不良になりますか?
A表によらない場合は、設計図書を参照するか、設置時の状態と同じ状態であるかによって判定します。降下空間と避難空地では、多人数用緩降機の場合も同じです。
Q開口部の下端は、床から何cm以下であればよいですか?
A床から開口部下端までの高さは120cm以下です。避難上支障のおそれのある高さなら、固定式または半固定式の踏台等が要ります。
Q総合点検では、何を確かめますか?
A器具の取付け等、降下、格納が適正に行えることを確かめます。点検が終わったら、使用時に支障がないよう元の状態に復しておきます。

まとめ

✔避難器具の機器点検は、器具本体より先に周囲の状況を確かめる
✔周囲の状況は、設置場所・操作面積等・開口部・降下空間・避難空地の5項目
✔設置場所では、施錠・物品・所在の分かりにくさを目視で見る
✔開口部は、大きさのほかにストッパー・120cm以下の高さ・踏台を見る
✔降下空間は樹木の成長や電線との間隔、避難空地は通路が広場や道路等に通じているかまで見る
✔表によらない寸法は、設計図書か設置時の状態と同じかで判定する
✔総合点検は機器点検のあとに取付け・降下・格納を確かめ、終えたら元の状態に復する

点検票の並びに沿って、まず器具の前まで行けるかを見ることにします!

その順番なら、見落としが減ります。
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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第15
  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号) 第15 避難器具

※本記事は公表されている告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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