構造計算適合性判定は、指定を受けた機関の名前で行われますが、実際に審査をするのは人です。
その人の選び方や、業務で知った秘密の扱い、求められたときの対応は、法律に書かれています。
今回は建築基準法第77条の35の9から第77条の35の11を中心に、判定員の選任と届出、秘密保持義務、判定を行う義務、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
判定機関の中で、実際に判定をするのはだれなのですか。
資格のようなものはあるのでしょうか。
条文では、構造計算適合性判定員に判定を実施させると定められています。
判定員の選び方にも決まりがあります。
判定で知った情報を外に話してもよいのでしょうか。
頼まれたときに断ることはできるのかも気になります。
第77条の35の10に秘密保持義務が、第77条の35の11に判定を行う義務があります。
順番に条文を確認していきます。
- 指定構造計算適合性判定機関は、構造計算適合性判定を行うときは、構造計算適合性判定員に判定を実施させなければなりません(第77条の35の9第1項)。
- 判定員は、第77条の66第1項の登録を受けた者のうちから選任しなければなりません(第2項)。
- 判定員を選任し、または解任したときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣等へ届け出なければなりません。基準に適合しなくなったときは、解任を命じられることがあります(第3項・第4項)。
- 機関の役員や職員、これらであった者は、判定の業務に関して知り得た秘密を漏らし、または盗用してはならず、業務に従事する者は刑法などの適用では公務に従事する職員とみなされます(第77条の35の10)。
- 判定を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく判定を行わなければなりません(第77条の35の11)。
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目次
構造計算適合性判定は誰に実施させなければならず判定員はどのような者から選ぶのか

(建築基準法第七十七条の三十五の九第二項)構造計算適合性判定員は、第七十七条の六十六第一項の登録を受けた者のうちから選任しなければならない。
機関という組織の名前で判定が行われても、実施するのは判定員であるということです。
第2項は、判定員は、第77条の66第1項の登録を受けた者のうちから選任しなければならないとしています。
第77条の66第1項は、構造計算適合判定資格者検定に合格した者などが、国土交通大臣の登録を受けることができると定めています。
登録の具体的な手続や、判定員の人数は、この第77条の35の9第1項と第2項には書かれていません。
登録を受けていない人が判定を実施することはできますか。
第2項は、判定員を登録を受けた者のうちから選任しなければならないと書いています。
登録を受けていない者を選任する書き方ではありません。
判定員を選任や解任したときは何が必要で国土交通大臣等は何を命じられるのか

(建築基準法第七十七条の三十五の九第四項)国土交通大臣等は、構造計算適合性判定員の在任により指定構造計算適合性判定機関が第七十七条の三十五の四第五号に掲げる基準に適合しなくなつたときは、指定構造計算適合性判定機関に対し、その構造計算適合性判定員を解任すべきことを命ずることができる。
届け出るのは、選任したときだけではなく、解任したときも含まれます。
第4項は、国土交通大臣等が、判定員の在任により機関が第77条の35の4第5号に掲げる基準に適合しなくなったときは、その判定員を解任すべきことを命ずることができるとしています。
第77条の35の4第5号は、役員や職員の構成が、判定の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないことを求める基準です。
届出の様式や期限は、国土交通省令に定められており、この条文には書かれていません。
判定員を解任するときも、届け出るのですか。
第3項は、選任し、または解任したときに届け出なければならないと書いています。
選任のときだけを届出の対象にする書き方ではありません。
判定機関の役員や職員は業務で知った秘密をどう扱い罰則の上でどのように扱われるのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十第二項)指定構造計算適合性判定機関及びその職員で構造計算適合性判定の業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
現に在職している人だけでなく、これらの者であった者も対象に書かれています。
第2項は、機関と、その職員で判定の業務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすとしています。
何が秘密にあたるかの具体例や、違反したときの罰則の内容は、この条文には書かれていません。
辞めた人は、秘密を守らなくてもよいのでしょうか。
第1項は、これらの者であった者も対象にすると書いています。
退職後も義務が続く書き方です。
判定を求められたとき判定機関は断ることができるのか

断ってよいのは、正当な理由がある場合に限られる書き方です。
何が正当な理由にあたるのかは、この条文には書かれていません。
判定を行うべき期間の具体的な日数も、この条文には書かれていません。
正当な理由があれば、判定を断ってもよいのですか。
第77条の35の11は、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく判定を行わなければならないと書いています。
理由の中身は条文に書かれていません。
判定員や秘密や義務の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 判定の実施 | 判定員に判定を実施させなければならない(第77条の35の9第1項) | 判定員が行います |
| 判定員の選任 | 第77条の66第1項の登録を受けた者のうちから選任する(第2項) | 登録が前提です |
| 選任解任の届出 | 選任し、または解任したら国土交通大臣等へ届け出る(第3項) | 解任も届出の対象です |
| 解任の命令 | 基準に適合しなくなったときは解任を命ずることができる(第4項) | 公正な実施が見られます |
| 秘密保持 | 業務に関して知り得た秘密を漏らし、または盗用してはならない、これらの者であった者も対象(第77条の35の10) | 退職後も続きます |
| 判定を行う義務 | 求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく判定を行う(第77条の35の11) | 遅滞なく行います |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の35の9から第77条の35の11には、届出の様式や期限、正当な理由の具体例、罰則の内容は書かれていません。
建物の新築や増築の場面では、判定を受ける手続の窓口や進み具合を、設計者や施工業者と共有しておくと、後の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の構造計算適合性判定を、どの機関が行ったかを設計者に尋ねて控えておく。
- 判定に関する書類の名称、日付、番号を、設計者や施工業者から書面でもらって保管する。
- 建物の図面や計算書など、判定のために出した資料の控えは、設計者と共有して保管場所を決めておく。
- 届出の様式や期限など条文に無い詳細は、建築の窓口に問い合わせる。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
判定員や秘密の決まりは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
判定を行った機関と書類の日付を、設計者に確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
判定員と秘密と義務の決まりがよく分かりました。
判定を行った機関を、設計者に確認します!
建築の判定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の三十五の九・第七十七条の三十五の十・第七十七条の三十五の十一(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。判定機関の運用は都道府県と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





