構造計算適合性判定を行う機関は、指定を受けたあとも、手続が続きます。
名称や住所が変わったとき、業務を行う区域を変えるとき、そして年月が経ったときの扱いは、法律に書かれています。
今回は建築基準法第77条の35の5から第77条の35の7を中心に、指定の公示と届出、業務区域の変更、指定の更新、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
指定を受けた判定機関の名前や区域は、どこかに示されるのですか。
変わったときは、どうなるのでしょうか。
条文では、指定をしたときに公示をすると定められています。
名称や住所の変更にも、届出と公示の決まりがあります。
区域を増やしたり減らしたりするのは自由なのですか。
指定はずっと続くのかも気になります。
第77条の35の6に業務区域の変更が、第77条の35の7に指定の更新があります。
順番に条文を確認していきます。
- 国土交通大臣または都道府県知事は、指定をしたときは、指定を受けた者の名称及び住所並びに業務区域を公示しなければなりません(第77条の35の5第1項)。
- 名称や住所を変えようとするときは、変更しようとする日の2週間前までに、指定をした国土交通大臣または都道府県知事へ届け出なければなりません(第2項)。
- 業務区域を増やすときも減らすときも、国土交通大臣等の認可を受けなければなりません。認可をしたときは公示されます(第77条の35の6第1項・第4項)。
- 指定は、5年以上10年以内で政令で定める期間ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失います(第77条の35の7第1項)。
- これは建築基準法の判定機関のルールで、消防法令の基準とは別の制度です。
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目次
構造計算適合性判定機関の指定はどのように公示され名称や住所の変更はどこへ届け出るのか

(建築基準法第七十七条の三十五の五第二項)指定構造計算適合性判定機関は、その名称又は住所を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その指定をした国土交通大臣又は都道府県知事(以下この節において「国土交通大臣等」という。)にその旨を届け出なければならない。
(建築基準法第七十七条の三十五の五第三項)国土交通大臣等は、前項の規定による届出があつたときは、その旨を公示しなければならない。
指定を受けた者は、条文で「指定構造計算適合性判定機関」と呼ばれています。
第2項は、指定構造計算適合性判定機関が名称または住所を変更しようとするときは、変更しようとする日の2週間前までに、その指定をした国土交通大臣または都道府県知事(国土交通大臣等)へ届け出なければならないとしています。
第3項は、その届出があったときは、国土交通大臣等がその旨を公示しなければならないとしています。
届出の様式や公示の方法は、この条文には書かれていません。
名称を変えたあとで届け出ればよいのでしょうか。
第2項は、変更しようとする日の2週間前までに届け出ると書いています。
変更したあとに届け出る書き方ではありません。
業務区域を増やしたり減らしたりするときはどのような手続が必要なのか

(建築基準法第七十七条の三十五の六第四項)国土交通大臣等は、第一項の認可をしたときは、その旨を公示しなければならない。
増やす場合だけでなく、減らす場合にも、認可が必要と書かれています。
第4項は、国土交通大臣等が認可をしたときは、その旨を公示しなければならないとしています。
認可の申請書の中身は、この条文には書かれていません。
区域を減らすだけなら、届け出るだけで済むのでしょうか。
第1項は、増加も減少も認可を受けなければならないと書いています。
減少だけを届出で済ませる書き方ではありません。
業務区域を減らすときの認可の制限と準用される基準はどうなっているのか

(建築基準法第七十七条の三十五の六第三項)第七十七条の三十五の二第三項及び第七十七条の三十五の四第一号から第四号までの規定は、第一項の認可について準用する。この場合において、第七十七条の三十五の二第三項中「業務区域」とあるのは、「増加し、又は減少しようとする業務区域」と読み替えるものとする。
この第2項は国土交通大臣を主語にした規定です。
第3項は、第77条の35の2第3項(都道府県知事の意見を聴く規定)と、第77条の35の4第1号から第4号まで(判定員の数、実施計画、財産、経理的基礎の基準)を、第1項の認可に準用するとしています。
準用のときは、第77条の35の2第3項の「業務区域」を「増加し、又は減少しようとする業務区域」と読み替えます。
区域を増やすときも、指定のときの基準を見られるのでしょうか。
第3項は、第77条の35の4第1号から第4号までを認可に準用すると書いています。
基準のうち、公正な実施などの号は準用の対象に書かれていません。
指定の更新をしなければ判定機関の指定はどうなるのか

(建築基準法第七十七条の三十五の七第二項)第七十七条の三十五の二から第七十七条の三十五の四までの規定は、前項の指定の更新の場合について準用する。
更新を受けなければ、指定の効力を失うということです。
第2項は、第77条の35の2から第77条の35の4までの規定を、指定の更新の場合に準用するとしています。
つまり、更新でも、申請、欠格条項、基準が同じように見られます。
政令で定める期間の具体的な年数は、この条文には書かれていません。
更新を受けなければ、指定はどうなるのでしょうか。
第1項は、期間の経過によって指定が効力を失うと書いています。
失効するための別の手続は、この条文に書かれていません。
判定機関の公示や更新の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 指定の公示 | 指定をしたときは、名称及び住所並びに業務区域を公示する(第77条の35の5第1項) | 公示されます |
| 名称・住所の変更 | 変更しようとする日の2週間前までに国土交通大臣等へ届出、届出があれば公示(第2項・第3項) | 変更の前に届出をします |
| 業務区域の増減 | 増加も減少も国土交通大臣等の認可を受ける、認可したときは公示(第77条の35の6第1項・第4項) | 認可が必要です |
| 減少の制限 | 適正かつ確実な実施が損なわれるおそれがないと認めるときでなければ認可しない(第2項) | 適正かつ確実な実施が見られます |
| 準用される基準 | 知事の意見聴取と、基準の第1号から第4号までが認可に準用される(第3項) | 認可でも基準が見られます |
| 指定の更新 | 5年以上10年以内で政令で定める期間ごとに更新、受けなければ効力を失う(第77条の35の7) | 更新が必要です |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の35の5から第77条の35の7には、届出の様式や政令で定める更新期間の具体的な年数は書かれていません。
建物の新築や増築の場面では、判定を受ける手続の窓口や書類の控えを、設計者や施工業者と共有しておくと、後の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の構造計算適合性判定を、どの機関が行ったかを設計者に尋ねて控えておく。
- 判定に関する書類の名称、日付、番号を、設計者や施工業者から書面でもらって保管する。
- 機関の名称や住所は変わることがあるので、書類の記載と公示など公表されたものを見比べて確かめる。
- 届出の様式や更新期間など条文に無い詳細は、建築の窓口に問い合わせる。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
公示や更新の決まりは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
判定を行った機関と書類の日付を、設計者に確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
判定機関の公示と区域と更新の決まりがよく分かりました。
判定を行った機関を、設計者に確認します!
建築の判定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の三十五の五・第七十七条の三十五の六・第七十七条の三十五の七(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。判定機関の指定の運用は都道府県と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





