避難器具の点検というと、はしごや緩降機、救助袋ばかりが注目されがちです。
しかしすべり台や避難ロープ、避難橋、避難用タラップにも、総合点検で確かめるべき判定基準があります。
器具が変われば、降下のときに見るべき動作もそれぞれ違います。
この記事では、すべり台・すべり棒・避難ロープ・避難橋・避難用タラップの5つについて、総合点検の判定基準を器具ごとに整理します。
すべり台やロープの点検は、ただ使ってみるだけだと思っていました。
総合点検には、器具ごとに決められた判定基準があります。
順番に確認していきましょう。
同じ降下でも、器具で見るところが違うのですか。
はい、滑降速度や足がかりなど器具ごとに違います。
まずはすべり台から見ていきましょう。
- すべり台は滑降が円滑で、着地に危険のない滑降速度であることを確かめます(滑面の亀裂や穴の有無も見ます)
- すべり棒は降下が円滑で、着地の衝撃を和らげる砂等が適量であることを確かめます
- 避難ロープは足がかりの脱落や緩みがなく、安全に降下できることを確かめます
- 避難橋はたわみや損傷がなく、踏み面を安全に渡れることを確かめます(かかり長さの変化も見ます)
- 避難用タラップは手すりが踏板等に堅固に固定され、動揺がないことを確かめます
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目次
すべり台の総合点検では降下のなにを見るのか

すべり台の総合点検は、器具の取付け等を確かめたあと、実際に滑り降りて確認します。
降下の判定では、速度と各部の状態の両方を見ます。
滑降の速さそのものが、点検の合否を左右します。
基準は「円滑」であることに加えて、着地に危険のない滑降速度であることを求めています。
速すぎれば着地で負傷し、遅すぎれば避難に時間がかかるため、どちらも許されません。
あわせて滑降時に各部が動揺しないこと、器具の取付け等では滑面に著しい亀裂や穴が無いことも確認します。
自分の建物のすべり台が、実際にどのくらいの速さで滑降するのか、点検のときに確かめてみてください。
速ければ速いほど良いわけではないんですね。
はい、危険のない速度であることが基準です。
次はすべり棒を見てみましょう。
すべり棒の総合点検では降下のなにを見るのか

すべり棒は、垂直の棒を伝って降りる器具です。
総合点検では、降下そのものの滑らかさと、着地の安全対策を見ます。
着地の衝撃を和らげる砂が、基準で名指しされています。
降下が円滑であることに加えて、基部に砂等が適量あることまで判定の対象です。
砂が少なすぎたり、固まっていたりすれば、この基準を満たしません。
器具の取付け等では、棒本体や上下の固定部に著しい変形・損傷・緩みが無いこともあわせて確認します。
点検のときは、着地点の砂の量にも目を向けてみてください。
砂の量まで基準に入っているとは知りませんでした。
適量の砂が無ければ基準を満たしません。
続いて避難ロープを見ていきましょう。
避難ロープの総合点検では降下のなにを見るのか

避難ロープは、結び目を足がかりにして降りる、最も単純な構造の避難器具です。
総合点検では、器具の取付け状態と、実際に降下できるかどうかの両方を見ます。
足がかりが緩んでいないかが、降下の判定の核心です。
基準は足がかり等の脱落、緩み等がなく、安全に降下できることを求めています。
器具の取付け等では、ロープの下端が着地面上50cm以下であることや、つり下げ具・取付具に異常が無いことも見ます。
結び目が一つでもほどけていれば、総合点検としては不合格の対象です。
点検の立ち会いでは、結び目を一つずつ引いて確かめる様子を見てみてください。
たったロープ1本なのに、見る点は多いんですね。
単純な器具ほど、結び目の状態が頼りです。
次は避難橋を確認しましょう。
避難橋の総合点検では渡るときになにを見るのか

避難橋は、隣り合う建物の間を橋で渡って避難する器具です。
総合点検では、器具の状態と、実際に渡れるかどうかを見ます。
かかり長さが変化していないかが、避難橋ならではの確認点です。
器具の取付け等では、各部にたわみや著しい変形・損傷が無く、かかり長さに変化が無いことを見ます。
踏み面そのものに変形が無く、安全に渡れることも判定の対象です。
移動式のものは、十分なかかり長さを保って架橋されているかどうかもあわせて確かめます。
自分の建物に避難橋があるなら、踏み面のたわみに注意して点検に立ち会ってみてください。
橋の長さまで点検で見るんですね。
はい、かかり長さの変化は見落とせません。
最後は避難用タラップです。
避難用タラップの総合点検では降下のなにを見るのか

避難用タラップは、階段に近い形で降りる器具です。
総合点検では、本体の状態と手すりの固定を中心に見ます。
手すりが動かないかどうかが、降下の判定で重視されます。
基準は本体各部・支持部の変形や損傷の有無に加えて、手すりが踏板等に堅固に固定され動揺がないことを求めています。
半固定式のものは、固定部との接続箇所が降下に支障なく、動揺がないことも器具の取付け等で確認します。
手すりがぐらつくようであれば、歩行中の転落につながりかねません。
点検のときは、手すりを実際に揺らして固定の強さを確かめる様子を見てください。
手すりのぐらつきは、たしかに怖いです。
堅固な固定と動揺の無さが判定基準です。
ここまでで5つの器具を確認しました。
よくある質問
まとめ
器具ごとに違う判定基準が、とてもよく分かりました!
次の点検では、この違いに注目してみます。
疑問があれば、点検の立ち会いのときに聞いてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の3の3
- 消防法施行規則第27条第1項第10号ロ・ハ
- 消防法施行規則第31条の6
- 消防用設備等の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号)別表第15 避難器具の点検の基準
- 消防用設備等の点検要領(平成14年6月11日消防予第172号)第15 避難器具 2 総合点検
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





