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エアゾール式簡易消火具はなぜ破裂事故を繰り返すのか|対象ロットの見分け方と安全な廃棄手順を解説

エアゾール式簡易消火具はなぜ破裂事故を繰り返すのか|対象ロットの見分け方と安全な廃棄手順を解説

台所の戸棚の上に、スプレー缶によく似た赤いキャップの道具が置いてありませんか。
あれはエアゾール式簡易消火具で、栓を外して噴射するだけで初期消火ができる手軽な道具です。
ただ内側から金属が傷んでいくと、使う前に缶そのものが壊れることがあります。
消防庁が注意を続けているのは内面の腐食で起きる破裂事故です。

台所の戸棚に、スプレー缶のような道具が置いてあります。
これも点検した方がいいのでしょうか。

それはエアゾール式簡易消火具かもしれません。
破裂事故が何年も報告され続けている製品です。

うちにある道具がその対象なのか、見分け方が分かりません。

型番とロット番号で確認できます。
置き場所と確認の手順を、5つの見出しで順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • エアゾール式簡易消火具はアルミ容器内面の腐食で水素ガスが発生し破裂する事故が繰り返し報告されています
  • 対象はヤマトプロテック株式会社製「ヤマトボーイKT」「FMボーイk」のうち指定のロット番号のものです
  • 通知は継続的な注意喚起と破裂事故が起きた場合の消防庁への報告を求めています
  • 廃棄するときは薬剤を放射してから処分するよう案内されています
  • エアゾール式簡易消火具は消防法施行令第41条第5号の自主表示対象機械器具等に指定されています

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エアゾール式簡易消火具の破裂事故を防ぐため内面の腐食確認から型式ロット確認薬剤放射廃棄メーカー連絡までの手順を示した図解

エアゾール式簡易消火具はなぜ破裂事故を繰り返すのか

エアゾール式簡易消火具の断面でアルミ容器内面の腐食から気泡状の水素ガスが発生している様子を拡大して示した図
赤いキャップのスプレー缶に似た道具が、食器棚の上で静かに傷んでいくことがあります。
消防庁への注意喚起は平成17年から続いており、今も完全には収まっていません。
「エアゾール式簡易消火具の不具合に係る注意喚起等について」(令和4年7月25日付け消防予第368号) 対象製品については、これまでに約72,779本が回収されており、近年は事故認知件数も減少傾向となっておりますが、破裂事故による人的被害も確認されていることから、継続的に注意喚起をお願いします。
同通知 事故原因 当該エアゾール式簡易消火具の消火薬剤により、アルミニウム製容器の内面の腐食が進行し、容器板厚が薄くなるとともに、腐食反応により発生した水素ガスにより容器内圧が高まり破裂するもの。
原因は内側からのサビです。
缶の中の消火薬剤が長期間アルミ容器の内面に触れ続けると、腐食が少しずつ進み、板厚が薄くなっていきます。
同時に腐食の化学反応で水素ガスが発生し、密閉された缶の中で内圧がじわじわと高まります。
最初の注意喚起は平成17年に出ており、以後も形を変えて続いているのは、この腐食が製品を外から見ただけでは分からないためです。
古い製品ほど、内側の傷みが進んでいる可能性があると考えておいてください。

外側は何ともなさそうに見えるのに、怖いですね。

外観だけでは内側の腐食までは判断できません。
気温が上がる季節は特に注意してください。

どの製品のどのロットが対象になるのか

倉庫の棚に並んだエアゾール式簡易消火具の中から型番とロット番号が一致する一本を作業員が確認している様子
対象になるのは、すべてのエアゾール式簡易消火具ではありません。
製造元と型番、そして製造ロットの番号で絞り込まれています。
同通知 対象製品 ヤマトプロテック株式会社製「ヤマトボーイKT」及び「FMボーイk」のうち、別添の製造ロット番号に該当するもの。
消防法施行令第41条第5号 法第二十一条の十六の二の政令で定める消防の用に供する機械器具等は、次に掲げるもの(略)とする。 五 エアゾール式簡易消火具
型番で絞り込める製品です。
対象はヤマトプロテック株式会社製の「ヤマトボーイKT」と「FMボーイk」の2機種で、その中でも製造時期によって割り振られたロット番号が一致するものに限られます。
エアゾール式簡易消火具そのものは消防法施行令第41条第5号で自主表示対象機械器具等に指定されています。検定のように国の試験機関が1本ずつ確認する仕組みではなく、メーカー自身が規格適合を確かめて表示を付ける仕組みです。
型番やロット番号の見分け方に迷ったときは、メーカーの相談窓口に製品の写真を送って照会するのが確実です。
対象外の製品であっても、製造から年数が経ったものは念のため確認しておくと安心です。

型番が同じでも、ロットが違えば対象外になるのですか。

そのとおりです。
ロット番号まで一致するかどうかが分かれ目になります。

通知は何を求めているのか

地域の掲示板にエアゾール式簡易消火具の破裂事故に関する注意喚起の張り紙が貼られている様子
通知が消防機関に求めているのは、1回だけの告知ではありません。
事故が起きたときに報告してもらう仕組みも、あわせて示されています。
同通知 当該製品の破裂事故は、気温の上昇とともに増加する傾向があります。各機関におかれましては、火災予防運動や各種行事の機会をとらえた注意喚起のほか、地域の広報誌、回覧板、ホームページ等への掲載など、引き続き広報活動にご協力いただきますようお願いします。
同通知 破裂事故を覚知した場合は、「消防用設備等及び消防関係製品に関する不具合・事故等に係る情報の消防庁への報告について」(平成22年3月31日付け消防予第156号 消防危第50号)等に基づき、報告をお願いします。
求めているのは継続です。
気温が上がる時期に破裂が増える傾向があるため、火災予防運動のような季節の行事に合わせて繰り返し注意喚起するよう案内されています。
あわせて、破裂事故を知った場合は消防庁へ報告する仕組みも示されました。個々の事故情報が積み重なることで、対象製品の絞り込みや回収の進み具合が見えてくるためです。
施設の管理者としては、年に一度の防火訓練や掲示物の更新のタイミングで、この製品の注意喚起を組み込んでおくと負担が少なくて済みます。
地域の掲示板や回覧板に載っている注意喚起を見かけたら、古い情報だと決めつけずに目を通しておいてください。

毎年同じ注意喚起を貼り直す理由が、よく分かっていませんでした。

気温が上がる季節に事故が増えるからです。
貼り替えのたびに製品が無いか聞いてみてください。

実務で見落としやすいのはどこか

台所の戸棚の上に長期間置かれたエアゾール式簡易消火具の側面にひびが入っている様子
見落としやすいのは、製品そのものより置き場所です。
目立たない場所にあるほど、存在を忘れられやすくなります。
消防庁へ報告された事故事例 台所の食器棚上に置かれていたエアゾール式簡易消火具が家人の留守中に破裂。破片及び薬剤が台所周辺に飛散した。
落とし穴は「置きっぱなし」です。
戸棚の上や食器棚の奥など、普段は目に入らない場所に長年置かれたまま、存在そのものを忘れられているケースが目立ちます。家人が不在の間に破裂した事例も報告されています。
製造から時間が経っていても、容器を開けて中を確認することはできません。型番とロット番号を見るしか、対象かどうかを判断する方法がない点も見落としやすいところです。
廃棄するときも手順があります。自分で薬剤を放射してから処分する方法と、メーカーに回収してもらう方法のどちらかを選ぶ必要があり、いきなりごみに出すのは避けてください。
施設内に古い消火用品が眠っていないか、一度まとめて棚卸しをしておくと安心です。

うちの倉庫にも古い消火具があった気がします。

型番とロット番号を控えてから連絡してください。
自分で薬剤を抜くかどうかも、そのときに案内されます。

明日から何を確認すればよいのか

エアゾール式簡易消火具の薬剤を放射してから廃棄するために容器を傾けてごみ箱へ噴射している様子
最後は、今日からできる3つの確認です。
難しい作業はなく、確認と連絡だけで済みます。
同通知 広報等に使用するため、パンフレットが必要な場合は、ヤマトプロテック株式会社 お客様相談窓口へ必要部数、送付先等を連絡してください。
やることは3つです。
まず、施設内にあるエアゾール式簡易消火具の型番を確認します。「ヤマトボーイKT」「FMボーイk」という表示があるかどうかがはじめの分かれ目です。
次に、該当する型番であればロット番号を控え、ヤマトプロテック株式会社のお客様相談窓口へ連絡します。
最後に、案内に沿って自分で薬剤を放射してから廃棄するか、回収してもらうかを選びます。自己判断でごみに出さないことが大切です。
破裂事故を見聞きしたり実際に遭遇したりした場合は、所轄の消防署にも伝えておくと、他の施設への注意喚起につながります。

今日帰ったら、まず型番を確認してみます。

それで十分です。
見るだけで対象かどうかが分かります。

よくある質問

Qエアゾール式簡易消火具とはどんな製品ですか?
A消防法施行令第41条第5号が定める自主表示対象機械器具等のひとつで、栓を外して薬剤を噴射するだけで使える手軽な消火用品です。
Q対象製品かどうかはどこで確認できますか?
A本体に記された型番とロット番号を確認し、対象かどうか分からない場合はメーカーの相談窓口へ問い合わせてください。
Q対象製品を自分で処分してもよいですか?
A通知は薬剤を放射してから廃棄する方法を案内していますが、自分で放射できない場合はメーカーによる回収で対応するとされています。
Q破裂事故に遭遇したら何をすればよいですか?
A消防庁への報告の仕組みが定められているため、所轄の消防署やメーカーの相談窓口に事故の状況を伝えてください。

まとめ

✔エアゾール式簡易消火具はアルミ容器内面の腐食による破裂事故が繰り返し報告されています
✔対象はヤマトプロテック株式会社製「ヤマトボーイKT」「FMボーイk」の特定ロットです
✔破裂は腐食反応で発生した水素ガスによる内圧上昇が原因です
✔消防機関には継続的な注意喚起と事故発生時の報告が求められています
✔戸棚の奥など目立たない場所での放置が見落としの原因になりやすいです
✔廃棄するときは薬剤を放射してから処分します
✔エアゾール式簡易消火具は消防法施行令第41条第5号の自主表示対象機械器具等に指定されています

型番を見るだけで対象かどうか分かると聞いて、安心しました。

置き場所と型番を確認すれば、古い製品でも慌てずに対応できます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • エアゾール式簡易消火具の不具合に係る注意喚起等について(令和4年7月25日付け消防予第368号 消防庁予防課長)
  • 消防用設備等及び消防関係製品に関する不具合・事故等に係る情報の消防庁への報告について(平成22年3月31日付け消防予第156号 消防危第50号)
  • 消防法第21条の16の2(自主表示対象機械器具等の表示等)
  • 消防法施行令第41条第5号(自主表示対象機械器具等の範囲)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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