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パッケージ型自動消火設備の機器点検はなぜ容器弁の認定マークまで確かめるのか|周囲温度とⅡ型の制限も解説

パッケージ型自動消火設備の機器点検は容器弁まで確かめることを示すアイキャッチ画像

パッケージ型自動消火設備は、スプリンクラー等の代わりに使える必要とされる防火安全性能を有する設備等の一つです。
平成28年11月25日、消防庁は点検要領「第29 パッケージ型自動消火設備」を改定しました。
背景には、点検の基準や点検票の様式を定めた消防庁告示の改正があります。
この記事では、機器点検で実際に確認する項目と、容器弁まわりで見落としやすいポイントを解説します。

うちの建物にもパッケージ型自動消火設備が入っているのですが、点検ではどこを見ればいいのか気になります。

実は平成28年に点検要領そのものが見直されています。
順番に見ていきましょう。

見た目に異常がなければ、それで十分なのでしょうか。

いいえ、容器弁や同時放射区域まで細かく確認する項目があります。
今日はその中身を整理しますね。

この記事の結論
  • 平成28年11月25日、消防庁は点検要領「第29 パッケージ型自動消火設備」の機器点検の内容を改めました
  • 改正のきっかけは点検の基準及び点検票の様式を一部改正する消防庁告示の公布です
  • Ⅱ型が設置された防火対象物では、易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められる場所に該当しないことが条件です
  • 容器弁は不活性ガス消火設備の容器弁と同じ基準に適合し、認定マークが貼付されていることを確かめます
  • 容器弁の安全性点検は平成26年消防予第138号の点検要領にもとづいて行います

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点検基準の改正に伴う機器点検の見直し、設置対象の確認、周囲温度と容器弁の点検、安全性点検と同時放射区域の例外、点検手順の整理という5ステップと、容器弁の認定マークまで確かめるという結論を示した図解

パッケージ型自動消火設備の点検要領はなぜ改正されたのか

点検要領の改正を示す告示文書とパッケージ型自動消火設備のイラスト
パッケージ型自動消火設備は、天井に配管を回さずに設置できる自動消火の設備です。
その点検のやり方を定めているのが、消防庁が示す「点検要領」です。
消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成28年11月25日 消防予第352号、消防庁予防課長) 「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式の一部を改正する件」(平成28年消防庁告示第11号)の公布に伴い、点検要領の一部を下記のとおり改正しましたので通知します。「第29 パッケージ型自動消火設備」を別添のとおり改めたこと。
今回の改正は、点検の基準そのものを定めた告示の改正に合わせたものです。
点検要領はもともと平成14年6月11日付けの消防予第172号で全部改正されました。
今回の消防予第352号では、そのうち「第29 パッケージ型自動消火設備」の機器点検の項目が改められています。
告示が変われば、点検で確認すべき内容も合わせて見直されます。
まずは、この設備がどんな建物に設置されているのかを押さえておきます。

告示が変わるたびに、点検の内容まで見直されるものなんですか。

はい、点検基準と点検要領はセットで改正されます。
次は対象になる設備を見ていきましょう。

どの建物のパッケージ型自動消火設備が対象になるのか

パッケージ型自動消火設備のⅠ型とⅡ型を並べたイラストと易燃性の可燃物を示すイラスト
パッケージ型自動消火設備にはⅠ型とⅡ型の区分があります。
設置できる場所は、建物の用途や可燃物の性質によって変わります。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第29条の4第1項 法第十七条第一項の関係者は、(略)総務省令で定めるところにより消防長又は消防署長が、その防火安全性能(略)が当該通常用いられる消防用設備等の防火安全性能と同等以上であると認める消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設(略)を用いることができる。
消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備(平成28年11月25日改正) 「パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件」(平成16年消防庁告示第13号。以下「13号告示」という。)第二第二号に規定するⅡ型(以下「Ⅱ型」という。)が設置される防火対象物又はその部分にあっては、易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるものに該当しないこと。
対象になるのは、スプリンクラーの代わりとして認められたⅠ型・Ⅱ型のパッケージ型自動消火設備です。
消防法施行令第29条の4が定める「必要とされる防火安全性能を有する消防用設備等」の一つにあたります。
Ⅱ型は、易燃性の可燃物があって消火が難しい場所には設置できません。
機器点検では、設置されている場所がこの条件から外れていないかもあわせて確認します。
つまり点検は、機器そのものだけでなく設置場所の条件も見る作業です。

うちはⅡ型なのですが、置き場所まで点検で見られるんですか。

はい、Ⅱ型は設置場所の可燃物も点検対象です。
次は機器点検の中身を具体的に見ていきます。

機器点検では具体的に何を確かめるのか

棒状温度計で周囲温度を確認する点検員と容器弁の認定マークを確認するイラスト
機器点検では、パッケージ本体から容器弁まで細かく項目が分かれています。
ここでは代表的な確認ポイントを見ていきます。
消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備(平成28年11月25日改正) 周囲の状況 目視及び棒状温度計(JIS規格品)等により確認する。(略)湿度が著しく高くなく、温度が0度以上40度以下であること。容器弁 外形 (略)「不活性ガス消火設備の容器弁、安全装置及び破壊板の基準」(昭和51年消防庁告示第9号)に定める基準に適合するものであること又は(略)認定マークが貼付されていること。
機器点検は周囲の温度確認と容器弁の認定マーク確認が柱になります。
周囲の状況は、目視に加えてJIS規格品の棒状温度計で温度を実測します。
温度は0度以上40度以下で、直射日光や雨水がかかりにくい場所であることもあわせて確認します。
容器弁は、不活性ガス消火設備と同じ容器弁の基準に適合しているか、認定マークの有無で確かめます。
表示や同時放射区域の区画も、図面と現場を突き合わせてチェックします。

棒状温度計まで使うんですね、目視だけでは分からないんだ。

はい、数値で確かめるからこそ基準が明確になります。
次は見落としやすい点を確認します。

実務で見落としやすいのはどこか

容器弁の安全性点検で別の通知を参照する点検員のイラストと隣接する同時放射区域のイラスト
基準どおりに見ているつもりでも、容器弁まわりは見落としが起きやすい部分です。
特に安全性点検と同時放射区域の扱いには注意が必要です。
消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備 容器弁 安全性 「消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日付け消防予第138号)」別添2「不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領」に規定する点検方法に従い、以下の項目を確認する。①外観点検 ②構造、形状、寸法点検 ③耐圧性能点検 ④気密性能点検 ⑤表示点検(略) 同時放射区域 (略)パッケージ型自動消火設備を共用する場合において、隣接する同時放射区域を共用していないこと。ただし、13号告示第四第六号㈠の場合にあっては、この限りでない。
容器弁の安全性点検は、点検要領本体ではなく別の通知を見にいく必要があります。
外観、構造・形状・寸法、耐圧性能、気密性能、表示の5項目を、平成26年の消防予第138号が定める方法で確認します。
同時放射区域は、隣り合う区域どうしを共用していないかも見るポイントです。
ただし13号告示が定める例外に当たる場合は、共用していても差し支えありません。
点検票だけを見ていると、この例外の存在を見落としがちです。

同時放射区域を共用してはいけない、というのが原則なんですね。

はい、例外は13号告示が定める場合だけです。
最後に明日からの確認事項をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

点検票とJIS規格棒状温度計と容器弁の認定マークを確認する点検員のイラスト
機器点検は、特別な機材がなくても手順さえ押さえれば実施できます。
明日からの点検で確かめておきたい流れを整理します。
消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成28年11月25日 消防予第352号) 貴職におかれましては、その運用に十分配慮されるとともに、各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対しても周知されますようお願いします。
点検票を開く前に、まず周囲の温度と可燃物の有無を確認します。
次にパッケージ本体の変形や固定状態、表示の認定合格証を目視で確かめます。
容器弁は認定マークの有無を見たうえで、安全性点検の実施記録が平成26年消防予第138号の方法に沿っているかも確認します。
同時放射区域は図面を見ながら、隣接区域との共用の有無と例外の該当性を照合します。
これらを順番に押さえておけば、機器点検の抜け漏れを防げます。

温度確認から始めて、最後に容器弁まで見ていけばいいんですね。

はい、その順番で確認すれば抜け漏れを防げます。
次はよくある質問にお答えします。

よくある質問

Qパッケージ型自動消火設備の点検要領はいつ改正されましたか?
A平成28年11月25日付けの消防予第352号により、点検要領「第29 パッケージ型自動消火設備」が改められました。改正のきっかけは、点検の基準及び点検票の様式を一部改正する消防庁告示(平成28年消防庁告示第11号)の公布です。
QⅡ型のパッケージ型自動消火設備はどんな場所に設置できませんか?
A13号告示(平成16年消防庁告示第13号)第二第二号が定めるⅡ型は、易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められる防火対象物又はその部分には設置できません。機器点検でも、この条件に該当していないかを確認します。
Q容器弁の安全性点検はどの基準で行いますか?
A平成26年3月31日付けの消防予第138号別添2・別添3が定める不活性ガス消火設備等の容器弁等の点検要領にもとづき、外観・構造・寸法・耐圧性能・気密性能・表示の各点検を行います。
Q同時放射区域を複数のパッケージ型自動消火設備で共用してもよいですか?
A原則として、隣接する同時放射区域を共用することはできません。ただし、13号告示第四第六号㈠に定める場合にあたるときは、この限りではありません。

まとめ

✔平成28年11月25日、消防庁は点検要領「第29 パッケージ型自動消火設備」の機器点検の内容を改めました
✔改正のきっかけは点検の基準及び点検票の様式を一部改正する消防庁告示(平成28年消防庁告示第11号)の公布です
✔パッケージ型自動消火設備は消防法施行令第29条の4が定める必要とされる防火安全性能を有する設備等の一つです
✔Ⅱ型は易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められる場所には設置できません
✔周囲の状況は、JIS規格品の棒状温度計で温度0度以上40度以下を実測して確かめます
✔容器弁の安全性点検は平成26年消防予第138号別添の点検要領にもとづいて行います
✔同時放射区域は隣接する区域を共用できないのが原則で、例外は13号告示が定める場合だけです

機器点検の流れがよく分かりました。
来月の点検で確認してみます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成28年11月25日 消防予第352号、消防庁予防課長)
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第29条の4(必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する基準)
  • パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第13号)
  • 消防用設備等の点検要領の一部改正について(平成26年3月31日 消防予第138号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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