火災の原因を調べるのは、消防長又は消防署長の仕事です。
現場の関係者だけでなく、疑われた製品を製造した会社や輸入した会社にも、この調査が及ぶことがあります。
質問に答えるだけなら身構えなくてよいのですが、資料の提出や報告を求められた場合は話が変わります。
消防法が定めるのは資料の提出や報告を拒むと、会社ごと罰せられることがある仕組みです。
うちの工場で作った器具が、火災の原因として疑われているらしいんです。
消防から色々聞かれると思うと不安です。
質問されるだけなら、恐れなくて大丈夫です。
ただ、資料の提出や報告を求められたら、それは別の話になります。
質問と資料提出で、扱いが違うんですか。
はい、違います。
消防法第32条が定める質問と資料提出・報告の仕組みを、順に見ていきましょう。
- 消防長又は消防署長は、火災の原因である疑いがある製品を製造し又は輸入した者に対し、資料の提出を命じ又は報告を求めることができます(消防法第32条第1項)
- 単なる質問には罰則が定められていません
- 資料の提出や報告を拒んだり、虚偽の資料・報告をすると30万円以下の罰金又は拘留に処せられます(消防法第44条第22号)
- 第22号は消防法第45条第3号が挙げる両罰規定の対象で、会社にも罰金が科されます
- 消防本部を置かない市町村では都道府県知事や消防庁長官が調査する場合にも、同じ規定が準用されます
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目次
製造者や輸入者も火災原因調査の対象になるのか

その調査が及ぶ相手は、現場の関係者だけに限られません。
第31条が消防長又は消防署長に調査着手の義務を課し、続く第32条第1項がその範囲を具体的に定めています。
対象になるのは、火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し又は輸入した者です。
自社の製品が火災現場で見つかった場合、問い合わせが来るのは珍しいことではありません。
まず何を求められているのか、質問なのか資料提出なのかを落ち着いて確認することが最初の一歩になります。
疑われたら、うちにも消防から連絡が来るということですね。
そのとおりです。
第31条の調査に続いて、第32条が製造者や輸入者にも範囲を広げています。
質問に答えないだけでは罰せられないのか

では罰則の側は、この2つを同じように扱っているのか。
第44条第22号の文言を読むと、罰せられるのは「資料の提出又は報告を求められて」拒んだ場合に限られています。
質問に答えなかった場合は、第44条のどの号にも挙げられていません。
ただし罰則が無いことは、答えなくてよいという意味ではありません。
調査に協力しておくほうが、その後の資料提出のやり取りも含めて話が早く進みます。
質問だけなら、答えなくても処罰はされないんですね。
はい、第44条のどの号にも質問という言葉は出てきません。
ただ、協力しておくほうが後々楽になります。
資料提出や報告を拒むとどうなるのか

拒んだ場合だけでなく、虚偽の中身にも同じ罰則が及びます。
第44条第22号が挙げているパターンは4つです。資料を出さない、虚偽の資料を出す、報告をしない、虚偽の報告をする。
いずれも30万円以下の罰金又は拘留という同じ罰に処せられます。
出せば済むと考えて中身を適当に作ってしまうと、拒んだ場合と同じ扱いになるということです。
求められた資料の範囲を確認し、正確な内容で応じることが、この号を避ける最も確実な方法です。
資料を出さないと、具体的にどれくらいの罰になるんでしょうか。
30万円以下の罰金又は拘留です。
虚偽の資料を出した場合も同じ号で罰せられます。
なぜこの罰則だけ会社も処罰されるのか

しかし第44条第22号は、その中でも例外に数えられます。
第45条第3号が挙げる第44条の号は、第一号・第三号・第十一号・第十二号・第22号の5つだけです。
第22号はその中に入っているため、資料提出や報告を拒んだのが従業者であっても、会社自体にも罰金刑が科されます。
一方で、届出を怠った場合の第44条第8号のように、この列挙に入っていない号は行為者個人だけが罰せられます。
担当者個人の問題として済ませず、会社としての対応体制を整えておく理由がここにあります。
担当者だけじゃなく、会社も罰金を取られることがあるんですね。
そうです。
第22号は第45条第3号が挙げる両罰規定の対象になっています。
消防本部がない市町村でも同じ規定が働くのか

消防本部を置かない市町村では、別の機関が代わって調査することがあります。
都道府県知事が調査するときも、消防庁長官が調査するときも、第32条がそのまま準用されます。
つまり製造者や輸入者に対する資料提出命令・報告要求と、それを拒んだ場合の第44条第22号の罰則は、誰が調査するかによって変わりません。
調査主体の名前が市町村でなくなっても、求められる対応は同じだということです。
取引先の工場がどの地域にあるかにかかわらず、同じ心構えで対応しておけば足ります。
うちの近くは消防本部がない地域なんですが、同じ扱いになりますか。
同じ扱いになります。
都道府県知事や消防庁長官が調査する場合も、第32条と第44条がそのまま準用されます。
よくある質問
まとめ
質問と資料提出の違いが、はっきり分かりました。
これで安心です。
消防法第32条と第44条第22号の関係を覚えておけば大丈夫です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第31条・第32条・第44条・第45条
- 消防法第35条の3・第35条の3の2
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





