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パッケージ型自動消火設備の感知部はなぜ2年がかりの抜き取り点検で済むのか|選択弁の封印と受信装置の5秒猶予も解説

感知部の点検はなぜ2年がかりの抜き取りで済むのかのアイキャッチ画像

パッケージ型自動消火設備の機器点検は、容器弁まわりだけでなく感知部・選択弁・放出口・受信装置・非常電源まで一式を確認します。
点検要領の原文を読むと、同じ機器点検でも項目ごとに点検方法と判定基準がまったく違う作りになっていることが分かります。
感知部はなぜ2年がかりの抜き取りで済むのか、選択弁のロックピンは何のためにあるのか。
この記事では、感知部・選択弁・放出口・受信装置・非常電源の5つの点検項目を、点検要領の原文に沿って解説します。

うちは去年パッケージ型自動消火設備を入れたんですが、点検ってどこまで細かく見るものなんですか。

感知部や選択弁、放出口まで項目ごとに点検方法と基準が決まっていますよ。
受信装置や非常電源も対象です。

全部を毎回まったく同じようにチェックするってことですか。

いいえ、感知部は抜き取りで済みますし、受信装置は蓄積式か二信号式かで手順が変わります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 感知部の作動点検は、同時放射区域ごとに抜き取りで確認すればよく、2年で全区域を一巡させる計画でよいとされています。
  • 選択弁開放装置の手動操作部は、カバーとロックピン等が装着され、封印が施されていることまで確認します。
  • 放出口は、間仕切壁やダクトの増改築によって、未警戒部分ができていないかを確認し直します。
  • 受信装置の火災表示試験は、蓄積式は5秒の加算時間、二信号式は第一信号と第二信号で判定基準が変わります。
  • 主電源に電池を用いる場合は、交換のしやすさや表示まで点検項目に含まれます。

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パッケージ型自動消火設備の機器点検5項目をまとめた図解

感知部の抜き取り点検はなぜ2年で全区域を一巡すればよいのか

天井の感知部をテスト器で点検するイメージ
感知部は、同時放射区域ごとに火災を感知してパッケージ型自動消火設備を作動させる部品です。
点検要領は、作動等の点検方法を次のように定めています。
消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備 感知部 作動等 所定の試験器により確認する。同時放射区域ごとに抜き取って確認する。ア 確実に作動すること。イ 防護区域及び同時放射区域の表示が適正であること。※(ア) 可燃性ガス等の滞留により引火のおそれがある場所及び高圧受変電室等の感電のおそれのある場所に設けられた感知器を点検するときは、差動式スポット試験器又は回路試験用押ボタン等の試験器により行うこと。(イ) 同時放射区域ごとの抜き取りは、2年で全ての同時放射区域の感知部を確認できるよう抜き取ること。(ウ) その他感知部の点検方法は、「第11 自動火災報知設備」の感知器の点検要領に準ずるものとする。
感知部の作動点検は、毎回全ての同時放射区域を見るのではなく、同時放射区域ごとに抜き取って確認すればよいとされています。
ただし抜き取ったままにはできず、2年で全ての同時放射区域の感知部を確認できるよう計画的に抜き取ることが条件です。
可燃性ガス等の滞留により引火のおそれがある場所や、高圧受変電室等の感電のおそれがある場所に設けられた感知器は特別扱いで、差動式スポット試験器又は回路試験用押ボタン等の試験器で点検します。
それ以外の感知部の点検方法は、自動火災報知設備の感知器の点検要領に準ずるものとされています。
次の章では、選択弁の点検で何を確認するのかを見ていきます。

毎回全部の感知部を見なくていいなら、点検は楽になりますね。

はい、ただし2年で全区域を一巡させる計画は必要です。
次は選択弁を見てみましょう。

選択弁の開放装置はなぜロックピンと封印がいるのか

選択弁にロックピンと封印を確認するイメージ
選択弁は、同時放射区域ごとに消火薬剤を送る防護区画を切り替える部品です。
点検要領は、選択弁開放装置の外形と機能について次のように定めています。
消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備 選択弁 選択弁開放装置 外形 ア 変形、損傷、脱落等がなく、選択弁に確実に取り付けられていること。イ 手動操作部には、カバー、ロックピン等が装着され、封印が施されていること。機能 ア 電気操作、手動操作のいずれも作動が確実であること。※ 貯蔵容器の電気式開放装置と連動しているものは、必ずその開放装置を容器弁から取り外しておくこと。
選択弁開放装置の手動操作部は、カバーとロックピン等が装着され、封印が施されていることまで外形の確認項目に含まれます。
封印があるということは、誤って作動していないことの目印にもなります。
機能の確認では、電気操作と手動操作のいずれも作動が確実であることを見ます。
留意事項として、貯蔵容器の電気式開放装置と連動しているものは、点検の前に必ずその開放装置を容器弁から取り外しておかなければなりません。
次の章では、放出口で何を確認し直すのかを見ていきます。

封印があるかどうかって、言われないと見落としそうです。

はい、連動している開放装置の取り外しも忘れがちです。
次は放出口を見てみましょう。

放出口はなぜ増改築のたびに未警戒の有無を確認し直すのか

放出口が増改築で未警戒にならないか確認するイメージ
放出口は、選択弁で切り替えられた消火薬剤を実際に防護区画へ放出する部分です。
点検要領は、放出障害の判定基準を次のように定めています。
消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備 放出口 放出障害 ア 放出口の周囲に消火薬剤の放出を妨げるものがないこと。イ 放出口の保護カバーが設置されているものにあっては、保護カバーに損傷、脱落等がないこと。ウ 防護区画の全域に放出できるように取り付けられ、取付け角度が適正であること。エ 間仕切壁、たれ壁、ダクト、棚等の変更、増設、新設等によって放出口が設けられていない未警戒部分がないこと。
放出口は、間仕切壁やダクトなどの変更、増設、新設によって未警戒部分ができていないかを、点検のたびに確認し直す項目があります。
放出口の周囲に消火薬剤の放出を妨げるものがないことが、まず確認する項目です。
保護カバーが設置されているものは、損傷、脱落等がないことも見ます。
取付け角度が適正で、防護区画の全域に放出できることが前提になります。
防護区画は竣工時のまま変わらないとは限らず、間仕切壁やダクトが増えれば放出口の死角ができてしまうため、この項目は毎回の点検で見直す必要があります。

設置したときは問題なくても、あとで棚を置いたら未警戒になるってことですか。

はい、棚やダクトの増設でも未警戒部分になり得ます。
次は受信装置を見てみましょう。

受信装置はなぜ蓄積式と二信号式で確認の手順が変わるのか

受信装置の火災表示試験を確認するイメージ
受信装置は、感知部からの信号を受けて火災表示を行い、起動信号を発信する装置です。
点検要領は、火災表示灯等の点検方法を次のように定めています。
消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備 受信装置及び中継装置 火災表示灯等 火災表示試験を行い確認する。ア 火災表示灯、地区表示装置の点灯(点滅)及び主音響装置の鳴動並びに自己保持機能が正常であること。イ 蓄積式受信装置にあっては、前アによるほか、蓄積の測定時間は、受信装置で設定された時間に5秒を加えた時間以内であること。ウ 二信号式受信装置にあっては、前アによるほか、次によること。(ア) 第一信号により主音響装置の鳴動及び地区表示装置の点灯が正常であること。(イ) 第二信号により主音響装置の鳴動並びに火災表示灯及び地区表示装置の点灯が正常であること。
受信装置の火災表示試験は、蓄積式と二信号式でそれぞれ追加の確認項目があり、同じ試験でも見る秒数や段階が変わります。
どの受信装置でも、火災表示灯と地区表示装置の点灯、主音響装置の鳴動と自己保持機能が正常であることが基本です。
蓄積式受信装置は、これに加えて蓄積の測定時間が設定時間に5秒を加えた時間以内であることまで確認します。
二信号式受信装置は、第一信号で主音響装置の鳴動と地区表示装置の点灯を、第二信号で火災表示灯と地区表示装置の点灯までを段階的に確認します。
次の章では、受信装置の主電源に電池を使う場合の点検を見ていきます。

蓄積式と二信号式って、見た目では分からなそうですね。

はい、仕様書や設定画面で方式を確認してから試験します。
最後に電池の点検を見てみましょう。

受信装置の主電源に電池を使うとき何を点検するのか

受信装置の主電源の電池を点検するイメージ
受信装置を含むパッケージ型自動消火設備は、非常電源の確保も点検の対象です。
点検要領は、非常電源及び配線の点検方法を次のように定めています。
消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備 非常電源及び配線 「第23 非常電源(非常電源専用受電設備)」、「第24 非常電源(自家発電設備)」又は「第25 非常電源(蓄電池設備)」並びに「第26 配線」の点検要領によること。ただし、主電源に電池を用いる場合は、当該電池については次の点検方法及び判定方法によること。目視により確認する。ア 変形、損傷、著しい腐食、き裂がないこと。イ 電池の交換が容易にできること。ウ 所定の種別、定格容量、定格電圧等が適正に表示されていること。
非常電源及び配線は原則として他の設備と同じ点検要領によりますが、主電源に電池を用いる場合だけ専用の点検項目が追加されます。
原則は、非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・配線それぞれの点検要領によることとされています。
主電源に電池を用いる場合は、変形、損傷、著しい腐食、き裂がないことに加えて、電池の交換が容易にできることまで確認します。
所定の種別、定格容量、定格電圧等が適正に表示されていることも、電池の点検項目に含まれます。
ここまでの5項目を点検要領の原文どおりに確認すれば、機器点検は一通り完了します。

電池も、ただ動けばいいわけじゃなくて交換のしやすさまで見るんですね。

はい、交換のしやすさも点検項目のうちです。
最後に整理しましょう。

よくある質問

Q感知部の点検で使う試験器は、どんな場所でも同じものを使いますか?
Aいいえ。可燃性ガス等の滞留により引火のおそれがある場所及び高圧受変電室等の感電のおそれのある場所に設けられた感知器は、差動式スポット試験器又は回路試験用押ボタン等の試験器により点検します。
Q選択弁開放装置が貯蔵容器の電気式開放装置と連動している場合、点検前に何をしますか?
A必ずその開放装置を容器弁から取り外しておきます。連動したまま操作すると、点検中に誤って消火薬剤が放出されるおそれがあります。
Q放出口の保護カバーに損傷があった場合、どう判定しますか?
A保護カバーに損傷、脱落等があれば適正とは判定できません。防護区画の全域に放出できる取付け角度とあわせて確認します。
Q主電源に電池を用いていない場合も、非常電源の点検は必要ですか?
Aはい。その場合は非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・配線それぞれの点検要領によって点検します。電池の規定は、主電源に電池を用いる場合だけの追加項目です。

まとめ

✔感知部の作動点検は、同時放射区域ごとに抜き取って確認し、2年で全区域を一巡させればよいとされています
✔可燃性ガス等の滞留場所や高圧受変電室等の感知部は、差動式スポット試験器等の専用試験器で点検します
✔選択弁開放装置の手動操作部は、カバーとロックピン等の装着・封印まで確認します
✔貯蔵容器の電気式開放装置と連動している選択弁開放装置は、点検前に必ず取り外しておきます
✔放出口は、間仕切壁・たれ壁・ダクト・棚等の変更増設新設で未警戒部分ができていないか確認し直します
✔受信装置の火災表示試験は、蓄積式は5秒の加算時間、二信号式は第一信号と第二信号で判定基準が変わります
✔主電源に電池を用いる場合は、変形・損傷・き裂の有無から交換のしやすさ、表示まで点検します

感知部も選択弁も、項目ごとに理由があるのがよく分かりました!

はい、点検要領の原文どおりに確認するのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第29 パッケージ型自動消火設備の点検の基準
  • 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第29 パッケージ型自動消火設備
  • パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第13号)

※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検の基準や点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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