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危険物取扱者免状の写真はなぜ頭部を布で覆ったままでよいのか|書換え再交付受験で共通する運用を解説

危険物取扱者免状の写真は頭部を覆ったままでよいことを示すイメージ

危険物取扱者免状の写真といえば、正面・無帽・無背景が当たり前だと思っていませんか。
実は令和2年の省令改正で、宗教上または医療上の理由がある場合は頭部を布等で覆ったまま撮影してよいと認められています。
免状の書換え・再交付・試験の受験願書のいずれにも同じ扱いが及びます。
窓口で戸惑わないために、通知の中身を正しく知っておきましょう。

従業員から、危険物取扱者免状の写真を頭巾をつけたまま撮りたいと相談されました。
断らないといけないんでしょうか。

断る必要はありません。
宗教上または医療上の理由があれば、頭部を覆ったままの写真が認められています。

診断書とか、証明できるものを出してもらわないと駄目ですよね。

本人からの申出があれば足りるとされています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 令和2年の省令改正(消防危第284号・令和2年総務省令第124号)で、危険物取扱者免状の写真は宗教上または医療上の理由があれば頭部を布等で覆ったまま撮影できるようになりました。
  • 対象は免状の書換え・再交付・試験の受験願書の写真すべてに及びます。
  • 理由の確認は申請者本人の申出があれば足り、証明書類の提出までは求められません。
  • 写真のサイズは縦4.5センチメートル・横3.5センチメートルが基本で、旅券法施行規則の要件を満たすものも認められます。
  • 窓口では不必要に脱がせたり、複数回説明を求めたりしないよう配慮することが求められています。

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危険物取扱者免状の写真は頭部を覆ったまま撮ってよいことを示す図解

危険物取扱者免状の写真はなぜ頭部を覆ったままでよいことになったのか

法令書類の改正を示すアイコンと、写真欄のある危険物取扱者免状のカードを並べたイラスト
免状の写真は長年「正面・無帽・無背景」が原則とされてきました。
危険物取扱者免状にも、宗教上または医療上の理由という例外が明文で加わっています。
消防危第302号 危険物取扱者免状の写真に関する運用上の留意事項について(通知)(令和2年12月25日 消防庁危険物保安室長) 本日公布及び施行された危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(令和2年総務省令第124号)により、危険物の規制に関する規則第52条第2項第1号に定める危険物取扱者免状の書換えの申請書に添付する写真に関し、宗教上又は医療上の理由がある者については頭部を布等で覆うことを認めることとされました。
危険物の規制に関する規則第52条第2項第1号 書換えの申請前6か月以内に撮影した写真(正面、無帽(申請者が宗教上又は医療上の理由により顔の輪郭を識別することができる範囲内において頭部を布等で覆う者である場合を除く。)、無背景、上三分身像の縦4.5センチメートル、横3.5センチメートルのもの又は旅券法施行規則別表第一に定める要件を満たしたもの(略)をいう。
「無帽」の原則そのものに、例外規定が書き込まれた形です。
免状の記載事項が変わったときに提出する書換え申請書の写真から、この改正は始まりました。
背景として通知に書かれているのは、あくまでこの省令改正が行われた事実だけです。
現行の危険物の規制に関する規則第52条第2項第1号でも、この条文はそのまま生きています。
まずは「頭部を覆ったままでも撮影できる場合がある」という原則を押さえておきましょう。

無帽が原則なのは知ってましたけど、例外があるのは知りませんでした。

令和2年の改正で明文化された、比較的新しいルールなんです。
次は対象になる手続きを見てみましょう。

書換え再交付受験のどの写真が対象になるのか

写真欄付きの3種類の書類を並べたイラスト。免状の書換え申請書・再交付申請書・危険物取扱者試験の受験願書を示す
対象になるのは、免状の写真を提出する3つの手続きです。
書換えの写真だけの話ではありません。
危険物の規制に関する規則第52条第2項第1号 (略)その裏面に撮影年月日、氏名及び年齢を記載したものをいう。第53条及び第57条において同じ。
消防危第302号 記1 危険物の規制に関する規則第53条第2項及び第57条第3項に規定する写真についても、同様の取扱いとすること。
対象は免状の書換え・再交付・試験の受験願書の3つです。
書換え申請書の写真(第52条)、免状を汚損・破損したときなどの再交付申請書の写真(第53条)、そして甲種・乙種・丙種の危険物取扱者試験の受験願書に添付する写真(第57条)まで、いずれも第52条の写真の定義がそのまま適用される形で同じ扱いになります。
つまり免状を持っていない受験生の段階から、この配慮の対象に入っているということです。
どの窓口業務を担当していても、同じ考え方で対応すれば足ります。

受験の段階から対象になってるのは意外でした。

免状の写真だけの話ではないんです。
3つとも同じ定義を使っているからですよ。

窓口ではどんな配慮が求められているのか

写真枠に人物のシルエットが入ったイラストと、それを認める青いチェックマーク
通知は理由の確認方法についても具体的に定めています。
窓口の対応がそのまま申請者の安心につながります。
消防危第302号 記2 宗教上又は医療上の理由の確認に当たっては、以下の事項に留意すること。(1) 宗教上又は医療上の理由の確認は、申請者本人からの申出によることとし、その申出に理由がある場合には、これを認めること。(4) 帽子等については、顔の輪郭を識別することができる範囲内で頭部を覆うものである場合には、色彩や形状等を問うものではない。なお、いわゆる医療用帽子といわれる名称の帽子が市販されているが、当該帽子に限定されるものではないことに留意すること。
確認は申請者本人の申出があれば足ります。
診断書のような証明書類の提出までは、通知の文言上は求められていません。
色や形も問われないので、いわゆる「医療用帽子」という商品名の帽子に限定されないのもポイントです。
条件は「顔の輪郭を識別することができる範囲内」であること、その1点に絞られています。
写真としての本人確認機能を保ちながら、配慮を両立させる設計になっています。

証明書まで出してもらわなくていいんですね。
それは知らなかったです。

はい、申出があれば足ります。
ただ確認のしかたには注意点もあるんです。

窓口対応で実務上見落としやすいのはどこか

虫眼鏡で写真枠を執拗に確認しようとする様子に赤い禁止マークを重ねたイラスト
配慮のつもりが、かえって申請者の負担になることがあります。
通知はその具体的な注意点まで書いています。
消防危第302号 記2 (2) 理由の確認の際には、必要以上にプライバシー等にわたる質問を行ったり、不必要に帽子等を脱ぐことを求めたりすることのないよう留意すること。(3) 申出人から詳細を聴取したり、相談を受けたりする場合等には、当該者のプライバシー等に十分配慮し、その聴取を相談室等において行うなど、必要な措置をとること。(5) 申出人に対し、頭部を布等で覆う理由について、複数回説明を求めることのないよう、危険物取扱者免状関係事務を行う職員間で緊密な連携を図ること。
見落としやすいのは「確認」と「詮索」の境目です。
不必要に帽子等を脱がせる、必要以上にプライバシーへ踏み込んだ質問をする、といった対応は通知が明確に戒めています。
また、同じ窓口内で担当者が変わるたびに理由の説明を何度も求めるのも避けるべき対応です。
詳しい事情を聞く必要がある場合は、カウンター越しではなく相談室のような場所で聴くよう配慮が求められます。
「本人の申出を尊重する」という姿勢を、窓口の全員で共有しておくことが実務のポイントです。

担当が変わるたびに同じ説明をさせるのは、良かれと思ってやりそうです。

それが一番の落とし穴なんです。
窓口内の情報共有で防げます。

明日から窓口で何を確認すればよいのか

相談室で穏やかに向き合う職員と申請者、承認印が押された申請書のイラスト
法令の建付けは専門的ですが、実際に確認する手順はそれほど多くありません。
自社の状況に当てはめて、順番に確認していきましょう。
消防危第302号 本通知は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条の規定に基づく助言として発出するものであることを申し添えます。
申請者から申出があったら、まずそのまま受け止めることです。
証明書類は求めず、顔の輪郭が確認できるかどうかだけを見て判断します。
詳しい事情の聴取が必要なときは、周囲の目が気にならない場所を用意しましょう。
窓口担当者間で情報を共有し、同じ説明を何度も求めない体制にしておくことです。
この通知はいわゆる技術的助言であり法的な拘束力そのものは持ちませんが、各都道府県・市町村の窓口運用の基準として周知されています。

難しく考えなくても、申出を受け止めるだけでよさそうですね。

そのとおりです。
受験の願書でも同じ考え方が使えますよ。

よくある質問

Q頭部を布等で覆う理由は、必ず宗教上または医療上でなければなりませんか?
A通知は宗教上または医療上の理由がある場合を対象としています。理由の確認は申請者本人の申出があれば足り、証明書類の提出までは求められていません。
Q写真のサイズも緩和されるのですか?
Aいいえ。サイズの基準(縦4.5センチメートル・横3.5センチメートル、または旅券法施行規則の要件を満たすもの)は従来どおりで、頭部を覆う扱いだけが新たに認められました。
Q免状の書換え以外の手続きでも同じ扱いになりますか?
Aはい。危険物の規制に関する規則第52条の写真の定義は再交付(第53条)と試験の受験願書(第57条)にも及ぶため、書換え以外の写真も同様の取扱いになります。
Q他の資格の免状の写真にも同じ扱いが及びますか?
Aこの通知は危険物取扱者免状の写真に関する規定を対象にしたものです。消防設備士免状など他資格の免状については、別の通知(消防予第413号)が同じ趣旨で定めています。

まとめ

✔令和2年の省令改正(消防危第284号)で、危険物取扱者免状の写真は宗教上又は医療上の理由があれば頭部を布等で覆ったまま撮影できるようになりました。
✔根拠は危険物の規制に関する規則第52条第2項第1号で、「無帽」の原則に例外として書き込まれています。
✔対象は免状の書換え・再交付・試験の受験願書の写真すべてに及びます。
✔理由の確認は申請者本人の申出があれば足り、証明書類の提出までは求められません。
✔写真のサイズ基準(縦4.5センチメートル・横3.5センチメートル等)は従来どおりで変わりません。
✔窓口では不必要に脱がせたり、必要以上にプライバシーへ踏み込んだ質問をしたりしないよう留意します。
✔担当者が変わるたびに理由の説明を求めないよう、窓口内で緊密に連携することが求められています。

証明書がいらないと分かって、相談してくれた従業員にも安心して伝えられます。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物取扱者免状の写真に関する運用上の留意事項について(通知)(令和2年12月25日 消防危第302号 消防庁危険物保安室長)
  • 危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令の公布について(令和2年12月25日 消防危第284号)
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第52条第2項第1号・第53条第2項・第57条
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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