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大阪市で金属だけの倉庫なら自動火災報知設備はいらないのか|運用基準の特例を解説

大阪市の金属倉庫に自動火災報知設備はいらないのかを解説する記事のアイキャッチ

「うちの倉庫は鉄やアルミの製品しか置いていないから、自動火災報知設備はいらないはずだ」と考える方は少なくありません。
大阪市消防局の消防用設備等の設置に係る運用基準には、たしかにそう読める特例がありますが、その条件は自動火災報知設備の節には書かれていません。
条件が書かれているのは屋内消火栓設備の節で、しかも最後は消防長又は消防署長の判断に行き着きます。
この記事では、大阪市の特例基準を参照先まで順にたどり、東大阪市と堺市の基準とも比べます。

大阪市内で金属製品だけを保管する倉庫を借りる予定です。
燃えるものがないのに自動火災報知設備が必要と言われて困っています。

国の基準では、倉庫は中身に関係なく面積で設置が決まります。
そのうえで大阪市の運用基準に特例基準があるので、そこを順に読んでいきましょう。

特例に当てはまれば、届出だけで設備を付けなくてよくなるのでしょうか。

いいえ、自動的に免除される仕組みではありません。
最後は消防長又は消防署長が認めるかどうかで決まります。

この記事の結論
  • 国の基準では、倉庫は収納物にかかわらず延べ面積500平方メートル以上で自動火災報知設備の設置対象になります
  • 大阪市の運用基準は、自動火災報知設備の特例の条件を屋内消火栓設備の基準 第12.1から借りる書き方になっています
  • 建物が不燃材料で造られていることと、不燃性の物品のみを収納することの両方が求められます
  • 発電設備や変電設備、金属溶解設備のある場所を定めた(6)は、自動火災報知設備の特例では借りる範囲から除かれています
  • 東大阪市と堺市の基準では、金属加工工場の該当部分について省略できるのは感知器です

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大阪市の特例基準を自動火災報知設備の特例基準から屋内消火栓設備の特例基準へ進み消防法施行令第32条までたどる流れを示す図解

倉庫の自動火災報知設備は延べ面積いくつから必要になるのか

平屋の倉庫と自動火災報知設備の受信機と警報ベルのイラスト
まず、市の運用を見る前に国の基準を押さえます。
倉庫は消防法施行令別表第一の(14)項に当たり、設置の要否は収納物ではなく面積で決まります。
消防法施行令第二十一条第一項第四号 別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項、(十二)項、(十三)項イ及び(十四)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が五百平方メートル以上のもの
国の基準に収納物の区別はありません。
金属だけを置く倉庫でも、延べ面積が500平方メートル以上なら自動火災報知設備の設置対象です。
500平方メートル未満でも、同条第1項第11号により地階、無窓階又は3階以上の階で床面積が300平方メートル以上あれば対象になります。
一方、屋内消火栓設備は消防法施行令第11条第1項第2号で、(14)項は延べ面積700平方メートル以上が対象です。
つまり500平方メートル以上700平方メートル未満の倉庫は、同条第1項の他の号に当たらなければ、屋内消火栓設備は不要で自動火災報知設備だけが必要になります。
まずは建物の延べ面積と階ごとの床面積を図面で確かめ、どの号で設置対象になっているのかを特定してください。

うちの倉庫は600平方メートルです。
屋内消火栓はいらないのに、火災報知設備だけは必要になるのですね。

そのとおりで、設備ごとに面積の境目が違います。
まずは図面で延べ面積を確かめるところから始めましょう。

大阪市の特例基準はなぜ屋内消火栓設備の基準を開かないと読めないのか

開いた基準書から別の基準書へ矢印でたどるイラスト
ここからが大阪市の運用です。
大阪市の運用基準は、自動火災報知設備の節(第2章第1節)の「第12 特例基準」で、次のように定めています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」自動火災報知設備の基準 第12 特例基準 自動火災報知設備を設置しなければならない防火対象物又はその部分のうち、次のいずれかに該当するものについては、令第32条又は条例第47条の規定を適用し、それぞれ当該各項に定めるところによる。
1 屋内消火栓設備の基準(第12.1((6)を除く。))に適合するものについては、自動火災報知設備を設置しないことができる。
条件は別の節に書かれています。
この1行には「どんな建物なら設置しないことができるのか」という中身がありません。
ここでいう「屋内消火栓設備の基準」は消防法施行令第11条のことではなく、同じ運用基準の第1章第2節を指しています。
読むときは、次の順番でたどります。
  1. 自動火災報知設備の基準「第12 特例基準」の1を開く
  2. 参照先である屋内消火栓設備の基準「第12 特例基準」の1を開き、頭書きの条件と(1)から(6)までの列挙を読む
  3. かっこ書きの「(6)を除く」で、借りる範囲から外された号を確かめる
  4. 柱書にある令第32条(消防法施行令第32条)を読み、消防長又は消防署長の判断が前提であることを確かめる
倉庫が600平方メートルで屋内消火栓設備の設置義務がない場合でも、自動火災報知設備の特例は屋内消火栓設備の節の条件で判断されます。
大阪市の運用基準を手元に開くときは、自動火災報知設備の節と屋内消火栓設備の節を両方用意してください。

火災報知設備のページだけ読んで、条件が見つからないと思っていました。

運用基準は、別の節の条件を借りる書き方がよく出てきます。
参照先を開き、除かれた号まで確かめるのが読み方のコツです。

金属だけの倉庫はどの条件を満たせば特例の対象になりうるのか

金属の地金を載せた鋼製ラックと鋼板コイルと鋼管の束が並ぶ倉庫内のイラスト
参照先である屋内消火栓設備の基準「第12 特例基準」の1を開きます。
運用基準に「金属のみを扱う倉庫」という言葉はなく、当てはまるのは次の(1)と(4)です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」屋内消火栓設備の基準 第12 特例基準 1 次に掲げる防火対象物又はその部分のうち、不燃材料で造られており、かつ、出火の危険がないと認められるもの又は出火若しくは延焼のおそれが著しく少ないと認められるものについては、屋内消火栓設備を設置しないことができる。
(1) 倉庫等で、不燃性の物品のみを収納するもの
((2)及び(3)は略)
(4) 不燃性の金属、石材等の加工工場で、可燃性の物品を収容又は取り扱わないもの
((5)及び(6)は略)
建物と中身の両方が問われます。
金属製品を保管するだけの倉庫は(1)、金属を加工する工場は(4)に当たるかどうかを見ることになります。
ただし号に当てはまるだけでは足りず、頭書きにある不燃材料で造られていることと、出火や延焼のおそれが著しく少ないと認められることが前提です。
(1)の文言は「不燃性の物品のみを収納するもの」で、可燃物が混ざる場合の扱いは基準に書かれていません。
木製パレットや段ボールの梱包材、樹脂フィルムなどを置く倉庫が「のみ」に当たるかどうかは、所轄の消防署に確認する事項になります。
相談の前に、倉庫に置く物を梱包材や荷役機器まで含めて書き出しておくと、話が早く進みます。

製品は金属でも、木のパレットや段ボールは普通に使っています。
そこまで見られるとは思っていませんでした。

基準の文言は「のみ」なので、製品以外の物も確認の対象になります。
まずは倉庫に置く物の一覧を作ってみてください。

電気室や金属溶解設備のある場所はなぜ特例の対象から外れるのか

変電設備のキュービクルと金属溶解炉のイラスト
自動火災報知設備の特例基準には「(6)を除く。」というかっこ書きがありました。
除かれている(6)は、屋内消火栓設備の基準で次のように書かれています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」屋内消火栓設備の基準 第12 特例基準 1 (6) 発電設備、変電設備等の電気設備又は金属溶解設備等屋内消火栓設備による注水によっては、消火不能又は消火困難と認められる設備のある場所
(6)は借りる範囲の外です。
(6)は水をかけても消せない設備のある場所なので、屋内消火栓設備は設置しないことができるとされています。
しかし自動火災報知設備の特例は(6)を除いて借りているため、変電設備や金属溶解設備のある場所を(6)を理由に対象とすることはできません。
除いた理由までは運用基準に書かれていませんが、屋内消火栓設備と自動火災報知設備で扱いが分かれている点は基準の文言から確かめられます。
なお、自動火災報知設備の特例基準の2には「溶鉱炉、鋳造所等多量の火気を使用し、温度変化の著しく大なる部分」が挙げられていますが、こちらは感知器を設置しないことができるという内容で、設備そのものが不要になるわけではありません。
倉庫や工場の中に受変電設備や溶解炉がある場合は、その場所を図面に書き込んでから相談してください。

倉庫の隅にキュービクルを置く予定があります。
建物全体で特例を使うつもりでいました。

電気設備のある場所は、屋内消火栓設備と自動火災報知設備で扱いが分かれます。
電気設備の位置を図面に入れて、消防署に見てもらいましょう。

東大阪市や堺市では同じ金属の倉庫や工場でも扱いが変わるのか

三つの消防署の建物が並ぶイラスト
大阪市の特例基準が柱書で根拠にしている消防法施行令第32条は、次の規定です。
そのうえで、近隣の東大阪市と堺市が公開している自動火災報知設備の基準と比べます。
消防法施行令第三十二条 この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
市によって省略できる範囲が違います。
各市の公開資料で確認できた範囲を表にまとめます。
市基準での置き場所省略できるとされる範囲不燃性の物品のみの倉庫金属や石材の加工工場
大阪市自動火災報知設備の基準 第12 特例基準の1(屋内消火栓設備の基準 第12.1を参照)自動火災報知設備列挙あり列挙あり
東大阪市自動火災報知設備の設置に係る運用基準 9 特例基準(1)ア感知器列挙なし列挙あり(可燃性のものを収納しない又は取り扱わない部分)
堺市審査基準 第12 自動火災報知設備「感知器の設置を要しない場所」コ感知器列挙なし列挙あり(可燃性のものを収納又は取扱わない部分)
大阪市は自動火災報知設備そのものを設置しないことができるとし、東大阪市と堺市は該当する部分の感知器について定めています。
東大阪市は「令第32条又は条例第52条の規定を適用し」と書き、堺市は消防法施行規則第23条第4項第1号イからハまでによるほかの「感知器の設置を要しない場所」として掲げています。
3市とも、建物又はその部分が不燃材料で造られていることを前提にしている点は同じです。
同じ金属の倉庫や工場でも、建物がどの市にあるかで相談の出発点が変わるため、計画の早い段階で管轄の消防署に図面と収納物の一覧を持って相談してください。
特例が認められた後に可燃物を置くようになれば前提が変わるので、使い方を変えるときも事前に相談しておくと安心です。

つまり、大阪市の倉庫で聞いた話を、東大阪市の工場にそのまま当てはめてはいけないのですね。

はい、運用基準は市ごとに書き方も結論も違います。
建物ごとに管轄の消防署へ早めに相談するのが確実です。

よくある質問

Q大阪市の運用基準に「金属のみを扱う倉庫」という項目はありますか?
Aその言葉どおりの項目はありません。屋内消火栓設備の基準の特例にある「倉庫等で、不燃性の物品のみを収納するもの」などに当たるかどうかを見ることになります。
Q条件に当てはまれば自動火災報知設備は自動的に不要になりますか?
Aなりません。特例基準は消防法施行令第32条などの適用として書かれており、同条は消防長又は消防署長が認めるときに基準を適用しないという規定です。
Q建物の一部分だけに特例を使うことはできますか?
A特例基準の柱書は「防火対象物又はその部分」と書いています。ただし、部分で使う場合の区画の方法はこの項目に書かれていないため、所轄の消防署に確認してください。
Q大阪市の特例基準にある条例第47条とは何ですか?
A運用基準でいう条例は大阪市火災予防条例のことで、特例基準の柱書に「令第32条又は条例第47条の規定を適用し」と書かれています。条文の内容は大阪市の例規集で確認してください。

まとめ

✔倉庫は収納物にかかわらず、延べ面積500平方メートル以上で自動火災報知設備の設置対象になります
✔屋内消火栓設備の境目は延べ面積700平方メートルで、自動火災報知設備とは違います
✔大阪市の自動火災報知設備の特例は、屋内消火栓設備の基準の特例を参照して読みます
✔参照先では、建物が不燃材料で造られていることと、不燃性の物品のみを収納することなどが求められます
✔発電設備、変電設備、金属溶解設備などのある場所を定めた(6)は、自動火災報知設備の特例では除かれています
✔特例は消防長又は消防署長が認めるかどうかで決まり、自動的な免除ではありません
✔東大阪市と堺市の基準では省略できる範囲が感知器で、市によって扱いが違います

条件がどこに書いてあるのかが分かって、すっきりしました。
図面と収納物の一覧を用意して、消防署に相談してみます!

特例の相談は、設計の早い段階で始めるほど手戻りが減ります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」(最近改正:令和8年6月1日)第2章第1節 自動火災報知設備の基準 第12 特例基準 1及び2 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 同 第1章第2節 屋内消火栓設備の基準 第12 特例基準 1
  • 東大阪市「自動火災報知設備の設置に係る運用基準」Ⅱ 細目 9 特例基準(1)ア https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版・令和8年4月1日改正)第12 自動火災報知設備 Ⅱ 細目「感知器の設置を要しない場所」コ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 消防法施行令第11条第1項第2号、第21条第1項第4号及び第11号、第32条
  • 消防法施行規則第23条第4項第1号

※本記事は公表されている法令および各市消防局の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。特例の適用は消防長又は消防署長の判断によるもので、個別の建物についての判断は所轄消防署にご確認ください。

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