消防設備士免状は、甲種・乙種それぞれに類別(第1類〜第7類、特類)が分かれています。
点検や工事の幅を広げるために、別の種類の免状を追加で取る方も少なくありません。
ところが2つ目以降の免状を取ったとき、免状は何枚になるのか、交付番号はどう付くのか、現場では意外と知られていません。
この記事では、免状に関する事務処理要領が定める1枚にまとめる転記のルールと交付番号の付け方を解説します。
乙種第4類の免状を持っていますが、甲種第1類にも受かりました。
免状は2枚になるんでしょうか。
複数の種類の免状を持つときは、1枚にまとめるのが原則です。
増えるんじゃなくて、まとめられるんですね。
既得免状の記載事項を新しい免状に転記して、まとめて交付される仕組みです。
- 同一人が日を同じくして2以上の種類の免状を交付されるときは、1つの免状にまとめて記載されます
- 既に免状を持つ人が異なる種類を追加で受けるときも、新しい免状に既得免状の記載事項を転記して交付されます
- 申請には既得免状の提出が原則ですが、工事・整備中などやむを得ない事情があれば写しでも足ります
- 交付番号は、暦年ごとに免状の種類・類別ごと5桁の一連番号を付ける仕組みです
- 既得免状と同一の種類の免状は、重ねて交付を受けることができません
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目次
なぜ免状をまとめる通知が出たのか

地方分権が進んだことで、手続きが都道府県ごとに割れないよう明文化が必要になりました。
都道府県ごとに書き方や番号の付け方が違えば、他の都道府県に移った消防設備士や、あとから種類を増やした人の免状を照合しづらくなります。
そこで消防庁は、免状の記載・交付・書換え・再交付の実務を1つの通知にまとめ、各都道府県に周知しました。
この通知が示す根拠条文(消防法施行令・消防法施行規則)は現在も改正されておらず、実務の参考として現役です。
通知の中身を知っておくと、免状が増えたときに何が起きるかを自分で見積もれます。
免状の手続きがもともと都道府県ごとだったとは知りませんでした。
だから通知が必要だったんですね。
はい、通知自体は平成12年の66号が元になっていて、23年の240号はその一部改正です。
対象になるのはどんな場合か

もとから免状を持つ人が新しい種類を追加するとき、最初から2つ以上を同時に交付されるときの両方が対象になります。
日を同じくして2種類に同時に受かった場合は、片方の免状にもう片方の記載事項をまとめて書き込みます。
あとから別の種類を追加で受かった場合は、新しい免状に既に持っていた免状(既得免状)の記載事項を転記して、まとめて交付します。
同一の種類を重ねて受けることはできない、という裏側のルールも同じ条文系列で定められています。
自分がどちらのパターンにあたるかは、免状を受ける順番と日付で決まります。
うちは乙種第4類のあと、甲種第1類も受けました。
それぞれ別の免状になるんですか。
いえ、先に乙種をお持ちなら、甲種の新しい免状に乙種の記載事項を転記してまとめて交付されます。
まとめる転記はどう行われるのか

ただし何を提出するかは知っておく必要があります。
新しい免状には、既得免状に書かれていた交付年月日・交付番号・交付知事の欄がそのまま書き写されます。
消防設備士講習を受けた記録も、講習区分ごとに最新の受講年月日と実施機関が転記されます。
改ざんしにくい作りの免状であれば、転記のたびに証印を押す手間は省略してもよいとされています。
申請のときは、新免状の交付申請に既得免状を提出するのが基本の流れです。
講習を受けた記録まで新しい免状に引き継がれるのは助かります。
また受講証明を取り直さずに済みますね。
はい、講習区分ごとに最新の受講年月日と実施機関がそのまま転記されます。
提出が難しいときはどうなるのか

その場合の扱いも通知にはっきり書かれています。
現場で免状を携帯する必要がある消防設備士が、申請のために免状を出し続けられない事情に配慮した取扱いです。
この場合は申請時に写しを提出し、実際に新しい免状を受け取るタイミングで現物の既得免状を提出します。
一方で、免状を亡失・滅失したことは「やむを得ない事情」には含まれません。
失くした場合は、まとめる転記より先に再交付の手続きが必要になります。
現場で免状を見せる機会が多くて、ずっと提出したままにはできません。
写しでいいんでしょうか。
はい、工事や整備の予定があるやむを得ない事情なら、申請時は写しで足ります。
交付番号はどう付けられているのか

番号の付け方にも共通のルールがあります。
例えば平成12年4月1日に乙種第4類の免状を交付する場合、交付年月日欄は「H12.04.01」、交付番号欄は「01327」のように記載されます。
番号は免状の種類と類別ごとに別々に数えるので、同じ年でも甲種と乙種、類が違えば番号の並びも別になります。
交付知事欄には、都道府県名から「県」「都」「道」「府」を除いた部分だけが書かれます。
番号の仕組みを知っておくと、免状が本当に自分の手続きどおりに発行されたかを確認しやすくなります。
自分の免状の交付番号の意味が、今までよく分かっていませんでした。
暦年ごとの番号だったんですね。
はい、免状の種類と類別ごとに、暦年でリセットされる5桁の番号が付きます。
よくある質問
まとめ
免状が増えても枚数が増えるわけではないと分かって安心しました。
既得免状を手元に準備しておけば、申請はスムーズに進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「消防設備士免状に関する事務処理要領等について」の一部改正について(平成23年7月1日消防予第240号)
- 「消防設備士免状に関する事務処理要領等について」(平成12年3月24日消防予第66号)
- 消防法施行令第三十六条の三・第三十六条の五・第三十六条の六
- 消防法施行規則第三十三条の四・第三十三条の四の二・第三十三条の四の三・第三十三条の六・第三十三条の六の二・第三十三条の七の二
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





