荷積み待ちなどで危険物入りのタンクコンテナを一定期間とどめておく場合、これまでは「仮貯蔵」としての扱いが原則でした。
しかしタンクコンテナによる危険物輸送が増え、輸送の形態も多様化したことを受け、消防庁はタンクコンテナそのものの構造的な安全性に着目した新しい運用基準を示しています。
屋内貯蔵所・屋外貯蔵所でタンクコンテナをどう扱えばよいのか、仮貯蔵とは何が違うのか、整理しておく必要があります。
容器収納の原則から外れるこの運用が、どんな条件のもとで認められているのかを確かめます。
うちの屋外貯蔵所に、荷積み待ちのタンクコンテナをしばらく置いておきたいんですが、容器に詰め替えないとだめですよね。
実はタンクコンテナのまま貯蔵できる基準もあるんです。
順番に確認しましょう。
容器収納が原則だと思っていました。
例外があるんですね。
タンクコンテナの構造的安全性が認められたことがきっかけです。
まずは経緯から見ていきます。
- タンクコンテナによる危険物輸送の増加と多様化を受け、消防危第36号(平成10年3月27日)はタンクコンテナの構造的安全性に着目し、仮貯蔵(52号通知)以外の方法として屋内貯蔵所・屋外貯蔵所での正式な貯蔵を認める運用を示しました。
- 対象になるのは、政令第15条第2項の積載式移動タンク貯蔵所の構造基準に適合する移動貯蔵タンク、または国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所に積載するタンクコンテナに限られます。
- 積み重ねは屋内外とも2段まで、高さは6メートル未満。箱枠に収納されていないタンクコンテナは積み重ねできません。
- アルキルアルミニウム等を収納する場合は、甲種防火戸・漏えい受け槽・積み重ね禁止など通常より厳しい追加基準が課されます。
- 払い出し・受け入れは行わず、容器と同一貯蔵所に置く場合は相互に1メートル以上の間隔を保つ必要があります。
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目次
タンクコンテナでの危険物輸送はなぜ貯蔵所でも扱われるようになったのか

何がきっかけで、正式な貯蔵として扱う道が新たに開かれたのかを確認します。
荷積み待ち等でタンクコンテナを相当期間とどめる場合は、平成4年の消防危第52号による仮貯蔵の扱いによっていました。
しかし手続きの簡素化・合理化を求める声を受け、消防庁はタンクコンテナの構造的安全性に着目し、規則第39条の3第1項柱書き後段の「火災の予防上安全であると認め」る仕組みを使って、仮貯蔵以外の正式な貯蔵方法を新たに認めました。
52号通知による仮貯蔵と、今回の基準のどちらを使うかは、危険物の種類や貯蔵期間に応じて申請者が選べます。
短期間だけ置くなら仮貯蔵、継続的に置くなら今回の基準、という使い分けの余地があるということです。
仮貯蔵と今回の基準、どちらを使ってもいいということですか。
はい、貯蔵期間などに応じて選べます。
次はどんなタンクコンテナが対象になるかを見ていきます。
どんなタンクコンテナがこの運用の対象になるのか

対象となる2種類を確認します。
1つは政令第15条第2項の積載式移動タンク貯蔵所の構造・設備の技術上の基準に適合する移動貯蔵タンクです。
もう1つは、平成4年の消防危第53号が示す「国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の取扱いに関する運用基準」にいう、国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所に積載するタンクコンテナです。
どちらも輸送用の車両に積み替えて使うことを前提に作られた堅牢なタンクで、その構造的な安全性があるからこそ、容器収納の原則の例外として認められています。
逆にいえば、この基準を満たさない簡易なタンクコンテナは対象になりません。
うちにあるのは普通の輸送用タンクコンテナなんですが、それでも対象になりますか。
構造基準に適合しているかの確認が必要です。
続いて屋内外の貯蔵所で求められる中身を見ていきます。
屋内貯蔵所・屋外貯蔵所では何が求められるのか

共通する数字がいくつかあります。
屋内貯蔵所では、指定過酸化物以外の危険物に限り、貯蔵倉庫の1階部分でのみ貯蔵できます。
屋外貯蔵所は政令第2条第1項第7号が定める危険物(硫黄や引火点0度以上の第一石油類、アルコール類等)に限られ、保有すべき空地の幅は高引火点危険物だけかどうかと指定数量の倍数によって3メートルから10メートルまで変わります。
アルキルアルミニウム等を収納する場合は、甲種防火戸・外壁に窓を設けない・漏えい液を受ける槽の設置・積み重ね禁止など、通常よりかなり厳しい追加基準が課されます。
扱う危険物の種類によって、基準の厳しさが大きく変わる点を押さえておく必要があります。
6メートルってけっこう高く積めるんですね。
はい、ただし箱枠に収納されたものに限られます。
次は実務で見落としやすいところを確認します。
実務で見落としやすいのはどこか

順番に確認します。
タンクコンテナは貯蔵専用の扱いで、払い出しや受け入れ(中身の出し入れ)は一切できません。マンホール・注入口・計量口・弁は常に閉鎖しておく必要があります。
もう1つは、タンクコンテナと通常の容器を同じ貯蔵所に置く場合の間隔です。それぞれまとめて貯蔵したうえで相互に1メートル以上、タンクコンテナを積み重ねる場合はその上段頂部までの高さ以上の間隔を確保しなければなりません。
「同じ貯蔵所に置けるから」と安易に近づけて配置すると、この間隔基準に違反するおそれがあります。
出し入れの可否と間隔、どちらも図面上だけでなく現地で実測して確認することが欠かせません。
容器と近づけて置いても1メートルあれば大丈夫だと思っていました。
積み重ねる場合はさらに広く必要です。
最後に明日からの確認手順を整理します。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に進めれば迷いません。 確認は4つの手順に整理できます。
まず、貯蔵しているタンクコンテナが政令第15条第2項の基準に適合する移動貯蔵タンクか、国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所に積載するタンクコンテナかを確認します。
次に積み重ねの段数(2段まで)と高さ(6メートル未満)、箱枠に収納されているかを現地で実測します。
アルキルアルミニウム等を扱う場合は、甲種防火戸・漏えい受け槽・積み重ね禁止などの追加基準を満たしているかを確認します。
容器と同一貯蔵所に置く場合は間隔(1メートル以上)も忘れずに確認し、判断に迷う場合は仮貯蔵との使い分けも含めて所轄消防署に相談するのが確実です。
まずは今あるタンクコンテナがどちらの基準に当たるか確認すればいいんですね。
はい、迷ったら所轄消防署への相談もお忘れなく。
よくある質問もあわせてご覧ください。
よくある質問
まとめ
タンクコンテナの貯蔵基準がよく分かりました!
危険物施設の貯蔵・取扱いの基準もまとめてご相談いただけます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防危第36号「危険物をタンクコンテナに収納して屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所に貯蔵する場合の運用について」(平成10年3月27日 消防庁危険物規制課長)
- 「タンクコンテナによる危険物の仮貯蔵について」(平成4年6月18日 消防危第52号 消防庁危険物規制課長)
- 「国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の取扱いに関する運用基準について」(平成4年6月18日 消防危第53号 消防庁危険物規制課長)
- 危険物の規制に関する政令第2条第1項第7号・第15条第2項・第26条第1項
- 危険物の規制に関する規則第39条の3
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





