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大阪市でさるばしごは避難器具として認められるのか|特例の8つの条件を解説

大阪市でさるばしごは避難器具として認められるのかを解説する記事のアイキャッチ

古い建物の外壁や屋上の塔屋には、コの字に曲げた鉄の棒が、はしごのように並んで埋め込まれていることがあります。
現場では、さるばしごと呼ばれています。
大阪市消防局の消防用設備等の設置に係る運用基準には、このさるばしごを、条件に合えば避難器具の固定はしごとして取り扱うことができるとする項目があります。
この記事では、国の基準と大阪市の運用を分けて整理し、8つの条件の読み方と、東大阪市や堺市の公開基準との違いを確かめます。

大阪市内のビルで防火管理者をしています。
外壁に鉄の棒のはしごがありますが、避難器具に数えてよいのでしょうか。

大阪市の運用基準には、さるばしごの項目があります。
条件に合えば、固定はしごとして取り扱うことができます。

ただの鉄の棒に見えますが、条件があるのですね。
どこを見れば分かりますか。

太さや間隔の寸法と、材料や強度を見ます。
国の基準、大阪市の項目、借りている規定の順に読むと整理できます。

この記事の結論
  • 国の消防法施行規則第27条第1項第4号は、避難はしごのうち固定はしごの設け方を定めています
  • 大阪市の運用基準は、避難器具 第8 特例基準の5で、さるばしごを固定はしごとして取り扱うことができる場合を定めています
  • 条件は(1)から(8)までの8つで、太さ、横桟の長さ、間隔、壁面からの離れは数値で示されています
  • 数値の多くは、金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令や消防法施行規則第27条に出てくる数値と同じです
  • 東大阪市の運用基準にも同じ数値の項目があり、堺市の公開基準にはさるばしごの項目が見当たりません

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さるばしごの特例を消防法施行規則から大阪市の運用基準と借りている規定へたどる流れを示す図解

国の基準は固定はしごをどう定めているのか

建物の外壁に縦棒と横桟のある固定はしごが取り付けられたイラスト
まず、国の基準を整理します。
避難器具は、消防法施行令第25条第2項第1号の表から、階に適応するものを選びます。
避難はしごを選べる階は、表の区分ごとに次のとおりです。
表の区分避難はしごを選べる階
第1項第1号の防火対象物地階、2階
第1項第2号及び第3号の防火対象物地階、2階、3階、4階又は5階、6階以上の階
第1項第4号の防火対象物地階、3階、4階又は5階、6階以上の階
第1項第5号の防火対象物2階、3階、4階又は5階、6階以上の階
避難はしごには、固定はしご、立てかけはしご、つり下げはしごの3種類があります。
このうち固定はしごは、次のように定義されています。
金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令第二条第二号 二 固定はしご 常時使用可能の状態で防火対象物に固定されて使用されるもの(収納式のもの(横桟を縦棒内に収納しておき、使用の際、これを取り出して使用可能の状態にすることができるものをいう。以下同じ。)及びその下部を折りたたむこと又は伸縮させることができる構造のものを含む。)をいう。
固定はしごの設け方は、消防法施行規則第27条第1項第4号に書かれています。
消防法施行規則第二十七条第一項第四号(イからハまで) 四 避難はしごのうち固定はしごは、次のイからホまでに定めるところにより設けること。
イ 固定はしごは、防火対象物の柱、床、はりその他構造上堅固な部分又は堅固に補強された部分に取り付けること。
ロ 固定はしごは、ボルト締め、埋込み、溶接その他の方法で堅固に取り付けること。
ハ 固定はしごの横さんは、防火対象物から十センチメートル以上の距離を保有することとなるように設けること。
固定はしごは、堅固な部分に堅固に取り付け、横さんを建物から10センチメートル以上離します。
ニは、降下口の大きさを、直径50センチメートル以上の円が内接する大きさとしています。
ホは、4階以上の階に設ける場合の上乗せです。
金属製であること、安全かつ容易に避難することができる構造のバルコニー等に設けること、降下口を直下階の降下口と同一垂直線上にない位置に設けることが求められます。
バルコニー等については、使用する際の落下を防止するための措置が講じられているものは除かれます。
金属製避難はしごは、消防法施行令第37条第11号で検定対象機械器具等に挙げられています。
寸法や強度は、金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令(以下「規格省令」といいます。)が定めています。
規格省令は、避難はしごの作りを次のように書いています。
金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令第三条第二項 2 避難はしごは、縦棒(つり下げはしごにあつては、これに相当するワイヤロープ、チエーンその他金属製の棒又は板をいう。以下同じ。)及び横桟で構成されるものとする。
国の基準が想定している避難はしごは、縦棒と横桟でできています。
壁に鉄の棒を1本ずつ埋め込んだはしごには、縦棒がありません。
消防法施行規則第27条にも、規格省令にも、さるばしごという語は出てきません。
この形のはしごについて、大阪市の運用基準は項目を1つ置いています。

国の基準のはしごは、縦棒と横桟でできているのですね。
うちの外壁のはしごには、縦棒がありません。

その形のはしごは、大阪市の特例基準に書かれています。
次に、その中身を読んでみましょう。

大阪市はさるばしごをどう扱っているのか

コンクリートの壁にコの字型の鋼材がはしごのように並んで取り付けられたイラスト
大阪市の運用基準は、第3章 第1節 避難器具の第8に特例基準を置いています。
第8の見出しには、行政指導基準を表す◆印は付いていません。
柱書は次のとおりです。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 次に適合する場合にあっては、令第32条又は条例第47条の規定を適用することができるものとする。
第8には1から7までの項目があり、さるばしごは5に書かれています。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 5 5 さるばしごの取り扱い
さるばしご(コの字型とした丸鋼等を防火対象物の壁面に直接取り付け、はしご状にして使用するものをいう。以下同じ。)を次により設置する場合にあっては、固定はしごとして取り扱うことができる。
さるばしごは、コの字型とした丸鋼等を壁面に直接取り付けて、はしご状にしたものです。
定義の文に、縦棒という語は出てきません。
本文は、次により設置する場合に、固定はしごとして取り扱うことができるとしています。
「次により」の中身は、(1)から(8)までの8つです。
号条件の中身種類
(1)さるばしごの太さ寸法
(2)横桟(取り付ける壁面に平行となる部分)の長さ寸法
(3)横桟相互の間隔寸法
(4)壁面と各横桟との間隔寸法
(5)横桟の材料と防食措置材料
(6)横桟の踏面の滑り止め構造
(7)横桟の中央に荷重をかけた場合の強度強度
(8)同じ節の第3、第6及び第7並びに告示第2号第8に規定する固定はしごの例により設けること別の規定を借りる
「次により設置する場合」という書き方なので、8つをすべて満たす場合の項目だと読めます。
運用基準は、この項目の出典となる国の通知を示していません。
柱書のとおり、令第32条又は条例第47条の規定を適用する特例なので、条件に合うかどうかは消防長又は消防署長が判断します。
外壁にさるばしごがあるというだけで、避難器具が設置されていることにはなりません。
避難器具の個数に数える前に、所轄の消防署に確かめてください。

うちのはしごも、コの字の鉄の棒を壁に付けた形です。
定義には当たりそうですね。

はい、次は8つの条件を順に確かめます。
最初に見るのは、寸法の条件です。

8つの条件の数値は国のどの規定と重なるのか

壁から離して取り付けられたコの字型の横桟を斜め上から見たイラスト
(1)から(7)までは、さるばしごそのものの条件です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 5 (1)から(7)まで (1) さるばしごは、直径14ミリメートル以上35ミリメートル以下の円形の断面を有するもの又はこれと同等の握り太さのものとすること
(2) さるばしごのうち、取り付ける壁面に平行となる部分(以下「横桟」という。)の長さは、内法寸法で30センチメートル以上50センチメートル以下であること
(3) 横桟相互は同一間隔に取り付けられたものであり、かつ、当該間隔は25センチメートル以上35センチメートル以下とすること
(4) 壁面と各横桟との間隔は同一間隔で、かつ、10センチメートル以上とすること
(5) 横桟の材料は、JISG3101(一般構造用圧延鋼材)、JISG3123(みがき棒鋼)又はJISG3444(一般構造用炭素鋼鋼管)若しくはこれと同等以上の強度及び耐久性を有するものであり、かつ、有効な防食措置を講じること
(6) 横桟の踏面は、滑り止めの措置を講じたものであること
(7) さるばしごは、横桟の中央7センチメートルの部分に2キロニュートンの等分布荷重をかけた場合に、横桟及び取付部に破損等を生じないように設けること
数値の多くは、国の規格省令や規則に出てくる数値と同じです。
規格省令第3条は、避難はしごの寸法を次のように定めています。
金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令第三条第四項から第七項まで 4 避難はしごのうち、縦棒の数が二本以上であるものの縦棒の間隔は、内法寸法で三十センチメートル以上五十センチメートル以下でなければならない。
5 避難はしごの横桟は、直径十四ミリメートル以上三十五ミリメートル以下の円形の断面を有するもの又はこれと同等の握り太さの他の形状の断面を有するものでなければならない。
6 避難はしごの横桟は、縦棒に同一間隔に取り付けられたものであり、かつ、当該間隔は、二十五センチメートル以上三十五センチメートル以下でなければならない。
7 避難はしごの横桟の踏面は、滑り止めの措置を講じたものでなければならない。
大阪市の(1)から(7)までと、国の規定を並べると、次のようになります。
号大阪市の運用基準 第8 特例基準 5同じ数値や語が出てくる国の規定
(1)直径14ミリメートル以上35ミリメートル以下の円形の断面、又はこれと同等の握り太さ規格省令第3条第5項(横桟の太さ)
(2)横桟の長さは内法寸法で30センチメートル以上50センチメートル以下規格省令第3条第4項(縦棒の間隔。内法寸法で30センチメートル以上50センチメートル以下)
(3)横桟相互は同一間隔で、25センチメートル以上35センチメートル以下規格省令第3条第6項(横桟の間隔)
(4)壁面と各横桟との間隔は同一間隔で、10センチメートル以上消防法施行規則第27条第1項第4号ハ(横さんは防火対象物から10センチメートル以上)
(5)JISG3101、JISG3123又はJISG3444若しくは同等以上のもの。有効な防食措置規格省令第7条(材料の表に同じ3つの番号がある。耐食性を有しない材質は耐食加工)
(6)横桟の踏面に滑り止めの措置規格省令第3条第7項(横桟の踏面の滑り止め)
(7)横桟の中央7センチメートルの部分に2キロニュートンの等分布荷重規格省令第8条第1項及び第2項(横桟の強度試験)
(2)は、国の規定と少し形が違います。
規格省令が30センチメートル以上50センチメートル以下としているのは、縦棒の間隔です。
さるばしごには縦棒がないので、大阪市の(2)は同じ数値を横桟の長さに当てています。
(7)の2キロニュートンは、規格省令第8条と照らすと数字がそろいます。
第8条第1項の表は、横桟の1本につき中央7センチメートルの部分に1,000ニュートンの等分布荷重を加え、永久ひずみを生じないことを求めています。
同条第2項は、その2倍の静荷重を加える試験で、亀裂、破損等を生じないことを求めています。
1,000ニュートンの2倍は2,000ニュートンで、2キロニュートンです。
違う点もあります。
規格省令の試験は、縦棒と横桟、その取付箇所について行うものです。
大阪市の(7)は、横桟と取付部に破損等を生じないように「設けること」としています。
壁に取り付けた状態での強さを求めている、と読めます。
運用基準は、これらの数値の出典を書いていません。
数値が同じであることは条文で確かめられますが、規格省令をもとに作られた項目かどうかまでは、運用基準からは分かりません。
現場で確かめる順番を整理します。
  1. 横桟の握る部分の太さを測り、直径14ミリメートル以上35ミリメートル以下かを確かめる
  2. 横桟の壁面に平行な部分の長さを内法で測り、30センチメートル以上50センチメートル以下かを確かめる
  3. 上下の横桟の間隔を上から下まで測り、どこも同じ間隔で、25センチメートル以上35センチメートル以下かを確かめる
  4. 壁面と横桟の間隔を測り、どの段も同じ間隔で、10センチメートル以上あるかを確かめる
  5. 図面や施工の記録で、横桟の材料と防食措置、踏面の滑り止めを確かめる
  6. 強度は、横桟だけでなく壁への取付部も含めて、資料を添えて所轄の消防署に相談する
古いさるばしごは、さびで細くなっていたり、途中の段だけ間隔が違っていたりすることがあります。
1段でも条件から外れると、(3)や(4)の「同一間隔」に合わなくなります。
測った結果は、段ごとに記録しておくと相談が進めやすくなります。

つまり、縦棒のないはしごに、金属製避難はしごと同じ寸法と強さを求めているのですね。

はい、数値を並べるとそう読めます。
取付部の強さも条件なので、壁の状態もあわせて確かめましょう。

固定はしごの例によるとはどの規定を借りているのか

屋上の手すりのそばの壁に照明と標識の板があり下へ横桟が続くイラスト
残る条件は、(8)です。
大阪市「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第1節 避難器具 第8 特例基準 5 (8) (8) さるばしごは、前各号に定めるもののほか、第3、第6及び第7並びに告示第2号第8に規定する固定はしごの例により設けること
(8)は、同じ節の3つの項目と、国の告示の1つの項目を借りています。
告示第2号は、避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年消防庁告示第2号)のことです。
借りている先を開くと、次のことが書かれています。
借りている先書かれていること◆印
避難器具 第3 設置位置等の基準柱書は、令第25条第2項、規則第27条並びに告示第2号第3、第7及び第8の規定によるほか、次によるとしている。1 避難はしごは、(1)取付部(高さ110センチメートル以上の手すりを設ける等の転落防止の措置)、(2)取付け方法(避難はしごの最上部横桟と開口部の下端との間隔を0.5メートル以下)、(3)避難通路などを定めている1 避難はしごの見出しに付いている
避難器具 第6 標識第10章に定める避難器具に関する標識は、告示第2号第5に適合するものとして取り扱う。設置場所を示す標識を屋内に設けるものは、非常用の照明装置を設ける見出しに付いている
避難器具 第7 設置場所の明るさの確保告示第2号第6によるほか、避難器具設置場所の床面で1ルクス以上となるよう照明装置を設ける。屋外に設けられているもので、自然採光等により避難上支障のないものは除かれる見出しに付いている
告示第2号 第8 取付方法避難器具を取り付ける固定部の強さ、取付け具の材料、鉄骨又は鉄筋への溶接や金属拡張アンカーによる工法など国の告示
第3の柱書は、さらに国の令第25条第2項、規則第27条、告示第2号を引いています。
(8)から第3を開くと、そこからもう一度、国の規定へ戻る形です。
告示第2号第3第1号(1)は、避難はしごについて、取付部の開口部の大きさ、操作面積、降下空間、避難空地などを定めています。
避難はしごを使用状態にした場合の最下部横桟から降着面等までの高さは、0.5メートル以下とされています。
◆印にも注意が要ります。
5のさるばしごの項目には◆印がありませんが、借りている先の第3の1、第6、第7の見出しには◆印が付いています。
大阪市の凡例では、◆印は行政手続法上の行政指導に該当する事項を表します。
さるばしごに当てはめるときに、借りた部分がどう扱われるのかは、(8)の文からは読み取れません。
この点も、所轄の消防署に確かめてください。
国の基準から大阪市の項目までを、読む順番に整理します。
  1. 令第25条第2項第1号の表で、その階に避難はしごを選べるかを確かめる
  2. 規則第27条第1項第4号で、固定はしごの設け方(堅固な部分への取付け、10センチメートル以上の離れ、4階以上の階の上乗せ)を確かめる
  3. 大阪市の運用基準 避難器具 第8 特例基準の柱書を読み、令第32条又は条例第47条の規定を適用する特例であることを確かめる
  4. 第8の5の本文で、さるばしごの定義(コの字型とした丸鋼等を壁面に直接取り付けたもの)に当たるかを確かめる
  5. (1)から(7)までの寸法、材料、滑り止め、強度を、現場と資料で確かめる
  6. (8)から同じ節の第3を開き、取付部の転落防止、最上部横桟の位置、避難通路を確かめる
  7. 同じく第6と第7を開き、標識と設置場所の明るさを確かめる
  8. 告示第2号第8を開いて取付方法を確かめ、資料をそろえて所轄の消防署に相談する

はしごの寸法だけでなく、標識や明るさまで見るのですね。
(8)の1行に、これだけの中身が入っているとは思いませんでした。

はい、(8)は4つの規定を借りています。
借りている先を1つずつ開いて、確かめていきましょう。

東大阪市や堺市ではさるばしごをどう扱っているのか

屋根の形が違う3つの庁舎が横に並んだイラスト
最後に、近隣の東大阪市と堺市が公開している基準と比べます。
東大阪市の運用基準は、避難器具の11 特例基準の(5)に、さるばしごの項目を置いています。
行政指導基準を表す●印は付いていません。
東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」 11 特例基準 (5) (5) さるばしごの取扱い
さるばしご(コの字型とした丸鋼等を防火対象物の壁面に直接取り付け、はしご状にして使用するものをいう。以下同じ。)を次により設置するときは、固定はしごとして取り扱うことができる。
イ さるばしごのうち、横桟の長さは、内寸法で30センチメートル以上50センチメートル以下であること。
ク さるばしごは、前各号に定めるもののほか、固定はしごの例により設けること。
東大阪市の項目は、定義も数値も大阪市と同じです。
アからキまでの太さ、横桟の長さ、間隔、壁面からの離れ、材料、滑り止め、強度は、大阪市の(1)から(7)までと同じ数値で書かれています。
違いは、書き方に2つあります。
1つめは、横桟の長さです。
大阪市の(2)は、横桟を「取り付ける壁面に平行となる部分」と定義したうえで内法寸法としています。
東大阪市のイは、定義を置かずに「内寸法で」としています。
2つめは、最後の号です。
大阪市の(8)は、借りる先を第3、第6、第7、告示第2号第8と名指ししています。
東大阪市のクは、「固定はしごの例により」とだけ書いています。
次に堺市です。
堺市消防局が公開している基準は、すべてのファイルを調べましたが、さるばしごという語は出てきません。
固定はしごについては、検査の要領に、横さんが防火対象物の壁面から10センチメートル以上の距離があることが挙げられています。
各市の公開資料で確認できた範囲を並べると、次のとおりです。
比べる点大阪市東大阪市堺市
さるばしごの項目避難器具 第8 特例基準 5 さるばしごの取り扱い避難器具 11 特例基準 (5) さるばしごの取扱い公開基準には見当たらない
特例の根拠令第32条又は条例第47条令第32条又は条例第52条項目は見当たらない
扱い固定はしごとして取り扱うことができる固定はしごとして取り扱うことができる項目は見当たらない
太さ直径14ミリメートル以上35ミリメートル以下の円形の断面、又は同等の握り太さ大阪市と同じ項目は見当たらない
横桟の長さ内法寸法で30センチメートル以上50センチメートル以下内寸法で30センチメートル以上50センチメートル以下項目は見当たらない
横桟の間隔同一間隔で25センチメートル以上35センチメートル以下大阪市と同じ項目は見当たらない
壁面との間隔同一間隔で10センチメートル以上大阪市と同じ固定はしごの横さんは壁面から10センチメートル以上(検査の要領)
材料JISG3101、JISG3123又はJISG3444若しくは同等以上。有効な防食措置大阪市と同じ項目は見当たらない
強度横桟の中央7センチメートルの部分に2キロニュートンの等分布荷重大阪市と同じ項目は見当たらない
借りる規定同じ節の第3、第6及び第7並びに告示第2号第8に規定する固定はしごの例固定はしごの例項目は見当たらない
基準に項目がないことは、その市でさるばしごが認められないことを意味するわけではありません。
令第32条を適用するかどうかは、消防長又は消防署長が個別に判断します。
大阪市と東大阪市は数値が同じですが、借りる規定の書き方が違うので、標識や明るさの求め方が同じとは限りません。
建物のある市の基準を開いて、管轄の消防署で確かめ直してください。

つまり、大阪市と東大阪市は数値が同じで、堺市には項目がないのですね。

はい、公開されている基準を読む限りはそうなります。
堺市の建物は、図面を持って管轄の消防署に相談しましょう。

よくある質問

Q大阪市では、外壁にさるばしごがあれば避難器具を設置したことになりますか?
Aいいえ。避難器具 第8の5は、(1)から(8)までにより設置する場合に、固定はしごとして取り扱うことができるとしています。令第32条又は条例第47条の規定を適用する特例なので、所轄の消防署に確かめてください。
Q横桟の長さの30センチメートルは、どこを測りますか?
A運用基準は、取り付ける壁面に平行となる部分を横桟と呼び、その長さを内法寸法で30センチメートル以上50センチメートル以下としています。
Qさるばしごにも、標識や照明は必要ですか?
A(8)は、同じ節の第6 標識と第7 設置場所の明るさの確保に規定する固定はしごの例により設けることとしています。どちらの見出しにも◆印が付いているので、扱いは所轄の消防署に確かめてください。
Q東大阪市や堺市でも、同じ条件で判断されますか?
A東大阪市の運用基準には、大阪市と同じ数値の項目があります。堺市の公開基準にはさるばしごの項目が見当たらないので、管轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔国の消防法施行規則第27条第1項第4号は、固定はしごを堅固に取り付け、横さんを建物から10センチメートル以上離すことを求めています
✔規格省令は、避難はしごを縦棒と横桟で構成されるものとしています
✔大阪市の運用基準は、コの字型とした丸鋼等を壁面に直接取り付けたさるばしごを、8つの条件に合えば固定はしごとして取り扱うことができるとしています
✔太さ、横桟の長さ、間隔、強度の数値は、規格省令に出てくる数値と同じです
✔(8)は、同じ節の第3、第6、第7と告示第2号第8を借りており、借りている先の見出しには◆印が付いたものがあります
✔東大阪市には同じ数値の項目があり、堺市の公開基準にはさるばしごの項目が見当たりません
✔さるばしごを避難器具に数える前に、段ごとの寸法を測って所轄の消防署に相談します

外壁のはしごを避難器具に数えられるかどうか、見るところが整理できました。
まずは段ごとに太さと間隔を測ってみます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第3章 第1節 避難器具 第3 設置位置等の基準、第6 標識、第7 設置場所の明るさの確保、第8 特例基準 柱書・5 さるばしごの取り扱い (1)から(8) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 東大阪市「避難器具の設置に係る運用基準」凡例、11 特例基準 柱書・(5) さるばしごの取扱い https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第17 避難器具、第4章 検査実施要領(避難器具) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 消防法施行令第25条、第32条、第37条
  • 消防法施行規則第27条
  • 金属製避難はしごの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第3号)第2条、第3条、第7条、第8条
  • 避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年消防庁告示第2号)第3、第5、第6、第8
  • 大阪市火災予防条例第47条

※本記事は公表されている法令および各市消防局の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。さるばしごを固定はしごとして取り扱うことができるかどうかについての個別の判断は、所轄消防署にご確認ください。

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