夜の事務所や上映中の映画館で、誘導灯を消してよいのか迷うことがあります。
誘導灯は常時点灯が原則で、消してよい場合は国の消防法施行規則が決めています。
堺市では、堺市消防局の審査基準が、その場合と消し方・点け方・配線を具体的に示しています。
この記事では、国の規則と堺市の審査基準を分けて読み、消灯できるまでの条件を順にたどります。
大阪市と東大阪市の運用基準とも比べます。
堺市の事務所ビルで、夜間に誘導灯を消して電気代を減らしたいと言われました。
消してしまってよいものでしょうか。
誘導灯は常時点灯が原則です。
ただし、条件がそろえば消灯できる場合があります。
スイッチを付けて、帰るときに消せばよいのですか。
消すには自動火災報知設備との連動などの措置が要ります。
根拠の順番に見ていきましょう。
- 誘導灯は、消防法施行規則第28条の3第4項第2号で常時点灯が原則とされています
- 消灯できるのは無人の建物・外光で避難口が分かる場所・特に暗さが必要な場所・関係者だけが使う場所の4つで、自動火災報知設備との連動などが条件です
- 堺市の審査基準は、関係者だけが使う場所を(5)項ロ・(7)項・(8)項・(9)項ロ・(10)項〜(15)項の用途に限り、暗さが必要な場所の消灯時間を表で示しています
- 消灯は手動で消灯対象ごとに一括が原則で、火災のときは消えている誘導灯を全部点け、消灯中も蓄電池に充電し続けます
- 大阪市・東大阪市とは、自動で消灯できる場合・点滅器を置ける場所・階段の通路誘導灯の書き方が違います
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目次
誘導灯はいつも点けておくのが原則なのか

誘導灯の点灯は、消防法施行規則第28条の3第4項第2号が定めています。
イ 外光により避難口又は避難の方向が識別できる場所
ロ 利用形態により特に暗さが必要である場所
ハ 主として当該防火対象物の関係者及び関係者に雇用されている者の使用に供する場所
消灯できるのは、「無人である場合」と「イからハの場所」を合わせた4つです。
ただし、場所が当てはまるだけでは足りず、感知器の作動と連動して点灯し、利用形態に応じて点灯する措置の両方が要ります。
また、括弧書きで階段又は傾斜路に設ける通路誘導灯がこの号から外れています。
国の基準の全体は、誘導灯の消灯と非常電源の記事で取り上げています。
条文の組み立てを順番に並べます。
- 規則第28条の3第4項第2号の本文が、避難口誘導灯と通路誘導灯に常時点灯を求めます
- 括弧書きで、階段又は傾斜路に設ける通路誘導灯はこの本文から外れます
- ただし書が、無人である場合と、外光・暗さ・関係者の3つの場所を挙げます
- そのうえで、自動火災報知設備の感知器との連動と、利用形態に応じた点灯の措置を求めます
- それぞれの言葉の範囲と消し方は、規則には書かれていないので、消防本部の基準で確かめます
自動火災報知設備がない建物では、消灯できないのですか。
ただし書は感知器の作動と連動して点灯を条件にしています。
まず自動火災報知設備の有無を確かめましょう。
堺市で誘導灯を消してよいのはどんな場所か

(1)のアからエが、規則の4つの言葉の範囲を決めています。
まず「無人」の意味です。
一部のテナントだけが帰った状態は、建物全体の無人には当たりません。
警備員や宿直者が管理している建物は、無人とみなされます。
イの外光の場所は、採光のための十分な開口部があり、外光で避難口等を識別できる間に限るとされています。
日が暮れれば、外光の場所として消灯することはできません。
エの関係者だけが使う場所は、用途が限られています。
※「主として関係者及び関係者に雇用されている者」とは、当該防火対象物(特に避難経路)について熟知しているものであり、通常出入りしていないなど内部の状態に疎い者は含まれない。
飲食店の(3)項、店舗の(4)項、病院や福祉施設の(6)項は入っていません。
事務所の(15)項でも、来客が出入りする場所は「内部の状態に疎い者」が使うので、この場所に当たらない場合があります。
4つの場所を表にします。
| 消灯できる場合・場所 | 堺市の審査基準での範囲 |
|---|---|
| 無人の防火対象物 | 建物全体が休業・休日・夜間等に定期的に無人になる状態の繰り返し(警備員・宿直者等の管理も無人とみなす) |
| 外光で避難口等が分かる場所 | 採光のための十分な開口部があり、外光で識別できる間に限る |
| 特に暗さが必要な場所 | 第18-3表の用途で、表の時間に限る(次の見出しで説明) |
| 関係者だけが使う場所 | (5)項ロ・(7)項・(8)項・(9)項ロ・(10)項〜(15)項の用途で、避難経路を熟知した者が主に使う場所 |
- 消したい誘導灯が、避難口誘導灯か、階段以外の通路誘導灯かを確かめます
- 建物全体が定期的に無人になるなら、(1)アの無人に当たるかを確かめます
- 窓の大きな場所なら、(1)イの外光に当たり、外光で識別できる間だけ消す計画にします
- 従業員だけが使う場所なら、建物の用途が(1)エの用途の一覧に入るかを確かめます
- どれかに当たっても、自動火災報知設備との連動と利用形態に応じた点灯の措置が要ります
事務所ビルでも、お客さんが来る場所は関係者だけの場所に当たりにくいのですね。
はい、内部の状態に疎い者は含まれません。
来客が通る廊下かどうかを確かめましょう。
映画館やプラネタリウムはいつ消してよいのか

堺市の審査基準は、用途ごとに消灯できる時間を第18-3表で示しています。
| 用途 | 消灯できる時間 |
|---|---|
| 遊園地のアトラクション等の用に供される部分(酒類、飲食の提供を伴うものを除く)など常時暗さが必要とされる場所 | 営業時間中に限る(清掃、点検等のため人が存する場合を除く) |
| 劇場、映画館、プラネタリウム、映画スタジオ等の用途に供される部分(酒類、飲食の提供を伴うものを除く)など一定時間継続して暗さが必要とされる場所 | 映画館における上映時間中、劇場における上映中など当該部分が特に暗さが必要とされる状態で使用される時間内に限る |
| 集会場等の用に供される部分など一時的(数分程度)に暗さが必要とされる場所 | 催し物全体の中で特に暗さが必要とされる状態で使用される時間内に限る |
映画館でも、上映前後や清掃の時間は消灯できません。
暗さが必要な場所では、利用者への周知も求められています。
(ア) 誘導灯が消灯されること
(イ) 火災の際には誘導灯が点灯すること
(ウ) 避難口の位置等、避難の方法
点滅器も、防災センター等のほか、その場所を見通せる場所やその付近に置くことができます((5)ウ)。
上映の運用に当てはめる順番を並べます。
- 用途が第18-3表のどの行に当たるかを確かめ、酒類や飲食の提供がないかを見ます
- 消灯する時間を、上映中・営業中・催し物の暗転の間に絞ります
- 上映前に、消灯されること・火災のときは点灯すること・避難の方法を掲示か放送で知らせます
- 自動で消すなら、消灯時間が最小限に設定されているかを確かめます
- 清掃や点検で人がいるときは、誘導灯を点けた状態に戻します
上映前のアナウンスで、誘導灯のことも知らせる必要があるのですね。
はい、3つの事項の周知が求められています。
掲示か放送のどちらで行うか決めておきましょう。
堺市では誘導灯をどう消してどう点けるのか

イ 個々の誘導灯ごとではなく、消灯対象ごとに一括して消灯する方式とすること。
点け方は、(4)アで「自動火災報知設備の作動と連動して点灯」する場合に消灯しているすべての避難口誘導灯及び通路誘導灯を点灯するとされています。
(4)イの利用形態に応じた点灯は、場所が(1)の要件に合わなくなったときに自動か手動で点けることです。
消灯対象ごとの具体例が、第18-4表です。
| 消灯対象 | 利用形態に応じた自動点灯の例(自動火災報知設備がない場合) | 消灯方法 |
|---|---|---|
| 無人の防火対象物 | 照明器具連動装置・扉開放連動装置・施錠連動装置・赤外線センサー等 | 信号装置を用い、手動で一括消灯 |
| 外光で避難口等が分かる場所 | 照明器具連動装置・光電式自動点滅器等 | 信号装置を用い、光電式自動点滅器による自動点滅 |
| 特に暗さが必要な場所 | 照明器具連動装置・扉開放連動装置等 | その都度手動で行い、点滅器・開閉器等は消灯対象場所を見通せる場所又はその付近に設ける(※) |
| 関係者だけが使う場所 | 照明器具連動装置・施錠連動装置等 | 信号装置を用い、手動で消灯 |
手動で点ける場合は、警備員・宿直者等が利用形態に応じて迅速かつ確実に点灯できる防火管理体制が整っていることが求められます。
※は、一般の照明器具と連動して誘導灯が自動的に消灯するものは、この限りでないという注記です。
なお、外光の場所の消灯方法の欄には、光電式自動点滅器による自動点滅が挙がっています。
配線は(5)で次のように定められています。
イ 操作回路の配線は、省令第12条第1項第5号の規定の例によること。
ウ 点灯又は消灯に使用する点滅器、開閉器等は、防災センター等に設けること。ただし、「利用形態により特に暗さが必要である場所」に設置する場合には、防災センター等のほか、当該場所を見とおすことができる場所又はその付近に設けることができること。
エ 点灯又は消灯に使用する点滅器、開閉器等には、その旨を表示すること。
借り先の消防法施行規則第12条第1項第5号は、次のとおりです。
イ 六百ボルト二種ビニル絶縁電線又はこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使用すること。
ロ 金属管工事、可とう電線管工事、金属ダクト工事又はケーブル工事(不燃性のダクトに布設するものに限る。)により設けること。
たどった連鎖を番号で並べます。
- 規則のただし書が、感知器との連動と利用形態に応じた点灯を消灯の条件にしています
- 堺市の(3)が、消灯を手動・消灯対象ごとの一括とし、暗さが必要な場所だけ自動を認めています
- (4)アが、火災のときは消灯している誘導灯を全部点灯させます
- 第18-4表が、消灯対象ごとの点灯の装置と消灯方法の例を示しています
- (5)イが、操作回路の配線を規則第12条第1項第5号の例によるとし、耐熱の電線と工事方法がかかります
- (5)アとエで、消灯中も蓄電池に充電し、点滅器にはその旨を表示します
消灯中も、非常電源の蓄電池は充電しておかないといけないのですね。
はい、常時充電できる配線方式が求められています。
誘導灯の電源ごと切る配線は避けましょう。
大阪市と東大阪市の基準はどこが違うのか

2市の文はほぼ同じで、消灯できる場所の範囲((1))は堺市と同じ趣旨です。
違いが出るのは、自動で消灯できる場合です。
(ア) (1).イに掲げる場所に設置する場合であって、警備員、宿直者等が常駐せず手動で消灯することが困難な場合は、光電式自動点滅器により消灯を自動で行う方式とすることができる。
堺市は本文(3)アで自動を暗さが必要な場所に限り、外光の場所は第18-4表の消灯方法の欄で光電式自動点滅器による自動点滅を挙げています。
点滅器を置く場所にも違いがあります。
(ア) (1).アに掲げる場所に設置する場合であって、次に掲げる消灯方式のもの
A 無人の状態となるとき最終的に閉鎖する扉に、点滅器として施錠連動装置を設けて消灯する方式
B 防火対象物又はその部分を使用する場合、必ず点灯される照明器具のスイッチに、点滅器等として照明器具連動装置を設けて消灯する方式
C 当該防火対象物の管理を一括して行える場所に点滅器を設けて消灯する方式
堺市の(5)ウの例外は、暗さが必要な場所だけです。
さらに、階段の通路誘導灯の扱いが違います。
大阪市と東大阪市は、通路誘導灯の節で消灯の扱いを避難口誘導灯の節(第2.3)の例によるとして借りています。
規則の括弧書きで階段の通路誘導灯が常時点灯の号から外れていることを、そのまま書いた形です。
大阪市と東大阪市は、階段の通路誘導灯の消灯を無人と外光の2つの場合に当てはめ、第2.3の消し方・点け方によるとしています。
主な違いを表にします。
| 項目 | 堺市 | 大阪市・東大阪市 |
|---|---|---|
| 消灯できる場所の範囲 | 無人・外光・暗さ・関係者の4つ((1)ア〜エ) | 同じ4つ(第2.3(1)ア〜エ) |
| 自動で消灯できる場合 | 本文は暗さが必要な場所のみ(第18-4表で外光は光電式自動点滅器) | 外光(警備員等が常駐せず手動が困難)と暗さが必要な場所 |
| 点滅器を置ける場所 | 防災センター等(暗さが必要な場所は見通せる場所も可) | 防災センター等(無人の施錠連動・照明器具連動・一括管理の場所と暗さの場所は例外) |
| 階段の通路誘導灯 | 常時点灯することを要しない | 無人と外光の場合に第2.3の例で消灯できる |
| 表の中身 | 点灯方法と消灯方法の両方 | 点灯方法(注1・注2つき) |
| 基準の区分 | 無印(法令基準とその解釈) | 消灯方法・点灯方法・点滅器等は◆(行政指導) |
点滅機能や音声誘導機能のある誘導灯の扱いは、大阪市の点滅機能と音声誘導機能の記事で取り上げています。
堺市の誘導灯の設置の上乗せは、堺市の工場の避難口誘導灯の記事で比べています。
3市で計画するときの確かめ方を整理します。
- 建物のある市の誘導灯の基準の消灯の項(堺市は第18の4、大阪市・東大阪市は第2の3)を開きます
- 消したい場所が4つのどれに当たるかを、用途と時間で確かめます
- 自動で消したいときは、堺市と大阪市・東大阪市で書き方が違うので、外光の場所かどうかを確かめます
- 点滅器を防災センター等以外に置きたいときは、例外に当たる消灯方式かを確かめます
- 階段の通路誘導灯は、市ごとの書き方を見たうえで、消防署に確かめます
同じ大阪府内でも、自動で消せる場合や点滅器の場所が違うのですね。
はい、外光の場所の自動消灯と点滅器の場所が違います。
建物のある市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず、消したい誘導灯の場所が4つのどれに当たるかを、用途と時間で書き出します。
連動の方式と点滅器の場所を消防署に相談します!
消し方と配線まで決めておけば、消灯の計画が早く固まります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)第3章 第1節 第18 誘導灯及び誘導標識 4 誘導灯の点灯・消灯(第18-3表・第18-4表) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第2 避難口誘導灯 3 消灯、第3 通路誘導灯 3 消灯 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 東大阪市消防局「誘導灯及び誘導標識の運用基準」第2 避難口誘導灯 3 消灯、第3 通路誘導灯 3 消灯 https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 消防法施行規則 第12条第1項第5号、第28条の3第4項第2号
※本記事は公表されている法令および堺市・大阪市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。個々の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。





