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鈴鹿市で屋上広場があれば直下階の避難器具はなくてよいのか|面積の数え方など5つの上乗せ条件を埼玉県央広域と比べる

屋上広場のある建物で直下階の避難器具が要るかを問うアイキャッチ画像

屋上に広い屋上広場がある建物は、条件を満たすと最上階など広場の直下階に避難器具を設置しないことができます。
国の条件は消防法施行規則第26条第7項にあり、広場の面積1,500㎡以上・防火戸・地上への直通階段などです。
鈴鹿市の審査基準は、この免除を使うときの上乗せ条件を5つ書いています。
この記事では鈴鹿市の5項目を、埼玉県央広域と三重・大阪の5本部の書き方と比べます。

鈴鹿市で5階建ての事務所ビルを管理していて、屋上が広い広場になっています。
最上階に避難器具が要るのかどうか、気になっています。

屋上広場の直下階なら、避難器具を置かなくてよい場合があります。
まず国の条件と鈴鹿市の上乗せを順に見ましょう。

国の条件を満たしていれば、それで足りるのではないのですか。

鈴鹿市では、国の3条件に加えて5つの項目も確かめることになります。

この記事の結論
  • 屋上広場の直下階は、特定主要構造部が耐火構造の建物で広場へ通じる避難階段等が2以上あり、広場が国の3条件(1,500㎡以上・防火戸・直通階段等)を満たせば、避難器具を設置しないことができます
  • 対象は令第25条第1項第3号・第4号の階で、(1)項と(4)項の建物は除かれます
  • 鈴鹿市は広場の面積から避難上の障害となる建築物・工作物の部分を除いて数えます
  • 鈴鹿市は換気口の防火設備・高さ110cm以上の手すり壁等・床版の1時間耐火・道やはしご車の空地に面することも求めています
  • 埼玉県央広域も同じ5項目を書いていますが、四日市市・津市・大阪市・東大阪市・堺市の避難器具の基準には屋上広場の上乗せが見当たりません

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令第25条から規則第26条の屋上広場の3条件と鈴鹿市の上乗せを経て建築基準法施行令で確かめるまでの流れを示した図解

屋上広場があると直下階の避難器具はなぜ要らなくなるのか

屋根の両端に階段室があり手すりで囲まれた屋上広場をもつ横長の建物のイラスト
避難器具の数は消防法施行令第25条で決まり、同条のただし書が減らし方や免除を総務省令に任せています。
その総務省令の一つが、屋上広場の直下階を対象にした消防法施行規則第26条第7項です。
消防法施行規則 第26条第7項
令第二十五条第一項第三号及び第四号に掲げる防火対象物の階(令別表第一(一)項及び(四)項に掲げる防火対象物の階を除く。)が、特定主要構造部を耐火構造とした建築物の次の各号に該当する屋上広場の直下階であり、かつ、当該階から当該屋上広場に通ずる避難階段又は特別避難階段が二以上設けられている場合には、当該階には避難器具を設置しないことができる。
一 屋上広場の面積が千五百平方メートル以上であること。
二 屋上広場に面する窓及び出入口に、防火戸が設けられていること。
三 屋上広場から避難階又は地上に通ずる直通階段で建築基準法施行令第百二十三条に規定する避難階段(屋外に設けるもの及び屋内に設けるもので消防庁長官が定める部分を有するものに限る。)又は特別避難階段としたものその他避難のための設備又は器具が設けられていること。
広場へ逃げられる階だけが対象です。
対象は令第25条第1項第3号と第4号の階で、(2)項・(3)項、(7)項から(11)項まで、(12)項・(15)項の建物などが入ります。
(1)項の劇場等と(4)項の百貨店等は除かれ、(5)項のホテルや(6)項の病院は第1号・第2号の階なのでそもそも対象外です。
そのうえで、特定主要構造部が耐火構造であることと、直下階から広場へ通じる避難階段又は特別避難階段が2以上あることが前提です。
鈴鹿市で免除を使うときは、次の順に根拠をたどります。
  1. 消防法施行令第25条第2項第1号ただし書が、避難器具の減少と免除を総務省令に任せる
  2. 消防法施行規則第26条第7項が、屋上広場の直下階の免除と広場の3条件を決める
  3. 鈴鹿市の審査基準 第3章 第12 3⑸が「省令第26条第7項の規定によるほか」として5項目を足す
  4. 床版と手すりの性能は、建築基準法施行令第107条・第126条の数字で確かめる

うちの屋上広場は、もしかすると1,500㎡もないかもしれません。

面積が足りなければ、この免除は使えません。
まず屋上の伏図で広場の寸法を拾いましょう。

鈴鹿市は屋上広場の面積をどう数えるのか

設備の架台や水槽や階段室を除いた部分を広場の面積として色分けした屋上のイラスト
国の第7項は「屋上広場の面積」とだけ書いていて、数え方までは書いていません。
鈴鹿市は、その数え方を一文で補っています。
鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第3章 第12 3 避難器具の設置個数の減免及びその判定
⑸ 屋上広場による免除
屋上広場による避難器具の免除は、省令第26条第7項の規定によるほか、次による。
ア 省令第26条第7項により屋上広場の直下階の避難器具を免除する例は、第12-20図のとおり。
イ 省令第26条第7項第1号に規定する「屋上広場の面積」の算定にあたり、避難上の障害となる建築物、工作物等の部分は、当該面積の算定から除くものとする。
逃げ場にならない部分は数えません。
屋上の外形だけで1,500㎡を超えていても、そこに建つ建築物や工作物の部分は差し引いて数えます。
鈴鹿市の第12-20図は、両端に塔屋(PH)と避難階段を置き、その間を「屋上広場(1,500㎡以上)」として描いています。
塔屋や設備の架台・高置水槽のように、人が入って逃げ場にできない部分は除かれると読めます。
埼玉県央広域も「避難上の障害となる建築物、工作物等の部分については、屋上広場の面積算定から除く」と同じ趣旨を書いています。
屋上の伏図で塔屋や設備の外形を拾い、残りの正味の面積が1,500㎡以上あるかを計算しておきましょう。

空調の室外機を柵で囲った場所も、広場の面積から引くことになりそうですね。

避難上の障害になる工作物なら引くことになります。
囲いの外形寸法を伏図で確かめましょう。

鈴鹿市は屋上広場の囲いと床にどんな性能を求めるのか

換気口に防火ダンパーを付けた塔屋と高い手すりと厚い屋上の床版のイラスト
鈴鹿市はウ・エ・オの3項目で、広場に面する換気口・周りの手すり・屋上の床版の性能を決めています。
どれも国の第7項の条文には出てこない項目です。
鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第3章 第12 3⑸
ウ 屋上広場に面して換気口が設けられている場合には、防火設備(火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するものに限る。)を設けること。
エ 屋上広場には、転落防止のための高さが110㎝以上の手すり壁、柵又は金網を設けること。
オ 屋上の床版の耐火性能は、建基令第107条に規定する1時間の耐火性能を有するものとする。
建築基準法施行令 第126条第1項
屋上広場又は二階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが一・一メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
窓と出入口の次は換気口もふさぎます。
国の第2号は窓と出入口の防火戸を求めていて、鈴鹿市のウは広場に面する換気口にも、煙や熱で自動的に閉まる防火設備を求めています。
エの110cmは、建築基準法施行令第126条第1項が屋上広場に求める1.1mと同じ高さで、建築側の決まりを免除の条件にも置いた形です。
オの1時間は、同令第107条の表で最上階の床の欄にある時間で、屋根の欄の30分間より長くなっています。
人が逃げて待つ屋上の床版を、屋根ではなく床と同じ性能で見ていると読めます。
改修で塔屋に換気扇やガラリを増やすときは、ウに合うかを設計者に確かめておきましょう。

屋上の手すりは建てたときから高さがあるはずですが、換気口の扉までは見ていませんでした。

塔屋の壁のガラリに防火ダンパーが付いているか、設備図で確かめましょう。

屋上広場はどこに面していなければならないのか

屋上広場のある建物の横の空地ではしご車がはしごを屋上へ伸ばしているイラスト
最後のカは、広場の位置を決める項目です。
屋上に出たあと、地上からの救助を受けられる場所にあるかを見ています。
鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第3章 第12 3⑸
カ 屋上広場は、道又ははしご付消防自動車が、安全かつ効率的な救助活動を実施するために設ける空地に面していること。
道か救助用の空地に面していることが要ります。
免除を受けた階の人は、避難器具の代わりに2以上の避難階段と屋上広場を使って逃げる前提になります。
鈴鹿市はその広場が道又ははしご付消防自動車の救助活動のための空地に面していることを求めています。
理由までは書かれていませんが、屋上に逃げた人を地上から救助できるようにする趣旨と考えられます。
埼玉県央広域もカで同じ文を置いていて、国の第7項にはこの位置の条件はありません。
敷地の配置図で、広場の外周がどの道や空地に面しているかを確かめておきましょう。

屋上の片側は隣のビルに接していて、道に面しているのは正面だけです。

正面側で広場が道に面しているかを配置図で示して、所轄の消防署に相談しましょう。

ほかの市では屋上広場の免除をどう扱っているのか

屋上広場をもつ同じ形の2棟のうち片方だけ最上階のバルコニーに避難器具がある建物のイラスト
同じ規則第26条第7項でも、上乗せを書いている本部と書いていない本部があります。
7つの消防本部の公開基準を並べると、次のとおりです。
埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第3章 第12 7 屋上広場(省令第26条第7項関係)
⑵ 屋上広場は、省令第26条第7項の規定によるほか、次によること。
ア 屋上広場の面積が1,500㎡以上であること。
なお、避難上の障害となる建築物、工作物等の部分については、屋上広場の面積算定から除くものであること。
イ 屋上広場に面する窓及び出入口に、特定防火戸又は防火戸が設けられていること。
なお、この場合、屋上広場に面して換気口が設けられている場合には、防火設備(略)が設けられていること。
(ウからカまで略)
消防本部屋上広場の免除の書き方国の条件への上乗せ
鈴鹿市第3章 第12 3⑸(記号なし)面積から障害物を除く・換気口の防火設備・手すり110cm以上・床版1時間・道又ははしご車の空地に面する
埼玉県央広域(鴻巣市・桶川市・北本市)第3章 第12 7(記号なし)鈴鹿市と同じ5項目(面積と換気口は国の条件の「なお書き」)
四日市市第15 避難器具に記載は見当たらないなし(国の3条件で判断)
津市5-16 避難器具に記載は見当たらないなし(高さ45m超の建物は屋上広場にスピーカーを指導)
大阪市避難器具の運用基準に記載は見当たらないなし(国の3条件で判断)
東大阪市運用基準「避難器具」に記載は見当たらないなし(国の3条件で判断)
堺市避難器具の基準に記載は見当たらないなし(国の3条件で判断)
上乗せを書いているのは2本部です。
鈴鹿市と埼玉県央広域は、同じ5項目を「省令第26条第7項の規定によるほか」として書き、どちらも行政指導を示す▲や●を付けていません。
鈴鹿市は第1章の凡例で、記号のない項目を法令基準(法令解釈又は運用基準を含む)としています。
四日市市・津市・大阪市・東大阪市・堺市の避難器具の基準には屋上広場の免除の上乗せが見当たらず、国の3条件で判断することになります。
どの市でも、免除を使うかどうかは届出の前に所轄の消防署へ図面を持って確かめておくのが確実です。

鈴鹿市や鴻巣市の建物なら、5項目までそろえて初めて免除の話ができるのですね。

そう読めます。
ほかの市でも国の3条件を図面で示して、事前に相談しておきましょう。

よくある質問

Q屋上広場があればホテルや病院の最上階も避難器具を省けますか?
A規則第26条第7項の対象は令第25条第1項第3号・第4号の階です。(5)項のホテルや(6)項の病院・福祉施設は第1号・第2号の階なので対象になりません。(1)項の劇場等と(4)項の百貨店等も除かれています。
Q屋上広場が100㎡あれば避難器具を減らせる決まりもあると聞きましたが?
Aそれは規則第26条第4項の避難橋の決まりです。避難橋を設けた屋上広場の有効面積を100㎡以上とし、直下階の避難器具の数を減らすもので、第7項の免除(1,500㎡以上)とは別の決まりです。
Q条件を満たしたら避難器具を外さなければいけませんか?
A第7項は「設置しないことができる」という書き方なので、置かないことを選べる決まりです。設けるかどうかは建物側で選べます。
Q津市では屋上広場に何か求められますか?
A津市の「2-3 高層建築物における指導基準」は高さ45mを超える建物を対象に、屋上広場を有する建築物には独立した回路でスピーカーを屋上広場に設けることとしています。関係者と協議したうえで指導する項目で、避難器具の免除の条件ではありません。

まとめ

✔屋上広場の直下階は、規則第26条第7項の条件を満たすと避難器具を設置しないことができます
✔対象は令第25条第1項第3号・第4号の階で、(1)項と(4)項は除かれます
✔国の条件は広場の面積1,500㎡以上・防火戸・地上への直通階段等と、2以上の避難階段等です
✔鈴鹿市は広場の面積から避難上の障害となる建築物・工作物の部分を除きます
✔鈴鹿市は換気口の防火設備・110cm以上の手すり壁等・床版の1時間耐火も求めています
✔広場が道又ははしご車の空地に面していることも鈴鹿市の条件です
✔埼玉県央広域も同じ5項目を書き、四日市市・津市・大阪市・東大阪市・堺市には上乗せが見当たりません

屋上の伏図と配置図で、広場の正味の面積と面している道を確かめてから相談します!

換気口や床版の仕様まで分かる図面があれば、免除の相談も早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は各消防本部が公開している審査基準と国の法令に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。各本部の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。個々の建物で避難器具を設置しないことができるかどうかは、所轄の消防本部にご確認ください。

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