パッケージ型自動消火設備Ⅰ型では、隣接する同時放射区域で設備を共用することがあります。
このとき大切なのは、火災が起きた区域に必要な放出口だけから消火薬剤を放射させることです。
受信装置の制御か、難燃性のたれ壁かによって、隣の区域への放射を防ぐ条件が決められています。
この記事では、共用区域の点検で見るべき区画・制御・たれ壁の条件を消防庁資料に沿って整理します。
隣り合う厨房で設備を共用していると、両方へ薬剤が出てしまわないか心配です。
Ⅰ型には、火災区域以外へ放射させないための条件があります。
区画と受信装置を一緒に確認します。
たれ壁があれば、それだけで共用してよいのでしょうか。
いいえ、35cm以上の難燃性たれ壁など、満たすべき条件があります。
順に確認しましょう。
- Ⅰ型で隣接する同時放射区域を共用するときは、火災区域以外の放出口から放射させない条件を確認します。
- 壁・床・天井・戸等で区画されていれば、隣接区域との区画を物理的に確認できます。
- 区画されていない場合は、受信装置を適切に制御して他区域へ放射しないことが必要です。
- 制御によらない場合は、天井から35cm以上下方へ突出する難燃性たれ壁で区画する方法があります。
- 棚・ダクト・間仕切りを変えた後は、放出口の未警戒部分も含めて専門家と再確認します。
▼
目次
同時放射区域を共用するとはどういう状態か

隣接する区域で設備を共用する場合は、放射させる範囲を曖昧にしないことが必要です。
ここでいう区画は、単に厨房機器が並んでいるだけの境目ではありません。
壁、床、天井、戸等で区画されているか、又は別の措置が取られているかを、図面と現場の双方で確かめます。
設備の増設や配置替えをした場合は、元の区域設定が現状と合うかも見直してください。
同時放射区域の境界を、設備業者と管理側で共有しておくことが実務の出発点です。
厨房が連続して見えると、区域の境界も分かりにくいですね。
図面だけでなく、現場の壁や開口部も照らし合わせます。
次は制御を見ます。
受信装置は隣の区域への放射をどう防ぐのか

点検では、感知部を加熱又は加煙したときの信号と、実際に作動する範囲を対応させます。
一の感知部が発報すると警報を発し、同じ同時放射区域の他の感知部が発報すると起動信号を出す仕組みも、Ⅰ型の点検要領に示されています。
このとき、別の区域の選択弁まで連動させない制御になっているかが重要です。
制御内容は機種・設計により異なるため、管理者が独断で復旧や設定変更をせず、点検記録と設計図書を専門家に確認してもらってください。
非常電源への切替を含む総合点検では、選択した区域と作動結果を対応させて記録します。
警報が鳴ることだけでなく、どの区域へ信号が行くかも見るんですね。
そのとおりです。
区域と選択弁の対応を見て、次はたれ壁の条件です。
たれ壁で区画する場合は何を満たすのか

ただし、カーテンのように見えるものなら何でもよいわけではありません。
さらに、隣接する同時放射区域を重複させる部分は0.9m以上設定します。
通知では、たれ壁を使う方法の同時放射区域の重複は二つを超えないことも示されています。
たれ壁を取り外したり、天井際に物を追加したりすると、当初の区画条件を満たさなくなるおそれがあります。
改装前に、区画の寸法と材料を消防設備士へ確認することが安全です。
短いビニールカーテンを足せばよい、という話ではないんですね。
はい、難燃性と突出寸法を満たす必要があります。
次は点検での見落としです。
増改築後に見落としやすいのはどこか

特に厨房は、棚、ダクト、機器が入れ替わりやすい場所です。
放出口の周囲に、消火薬剤の放出を妨げる物がないかを確認します。
保護カバーがあるものは、損傷や脱落がないことも点検項目です。
棚やダクトを新設した後は、区画の境界だけでなく、放出口が届かない未警戒部分が生じていないかを確認してください。
工事や厨房レイアウト変更の予定があるときは、着工前に設備図面を確認することで手戻りを減らせます。
厨房の棚を増やすだけでも、確認が必要になるんですね。
はい、放出口の死角を作らないことが大切です。
最後に管理側の手順を整理します。
管理者は点検前後に何を確認すればよいのか

共用区域の仕組みを把握しておくと、改装や不具合の相談が具体的になります。
次に、たれ壁を使う場合は材質、35cm以上の突出、0.9m以上の重複を設計図書と現場で照合します。
工事後は、壁、棚、ダクト等により放出口の放出障害又は未警戒部分がないかを確認します。
点検結果で指摘があった場合は、どの区域のどの放出口に関する指摘かを記録と図面で特定してください。
所轄消防署との協議が必要な変更は、自己判断で施工せず専門家に相談しましょう。
図面と現場を一緒に見ることが、まずやることなんですね。
はい、区域と放出口の対応が分かると判断しやすくなります。
疑問があれば早めに相談してください。
よくある質問
まとめ
誤放射させない条件を、図面でも確認してみます!
改装前の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領 第29 パッケージ型自動消火設備
- パッケージ型自動消火設備の技術基準の改正に伴う留意事項について(平成28年消防予第48号)
- パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める件(平成16年消防庁告示第13号)
- 消防用設備等の点検の基準及び点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第29
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の資料に基づく一般的な解説です。個別の設計、改修及び点検の判断は所轄消防署と有資格者にご確認ください。





