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四日市市でトイレに感知器は要るのか|便所と洗面所の扱いを津市・鈴鹿市・埼玉県央広域と比べる

四日市市でトイレや洗面所に感知器は要るのかと書いたタイトルと洗面台と個室が並ぶトイレの写真を並べたアイキャッチ

自動火災報知設備のある建物で、トイレの天井に感知器を付けるかどうかは現場でよく迷う点です。
国の消防法施行規則が「感知器を設けなくてよい場所」として挙げているのは、取付け面の高さが20メートル以上の場所や上屋の下などで、便所は入っていません。
そのため便所の扱いは各消防本部の審査基準が決めていて、市によって正反対の書き方になっています。
四日市市消防本部の審査基準は便所と洗面所に感知器を付けるよう行政指導としてはっきり書いていて、鈴鹿市や埼玉県央広域は原則として付けなくてよい場所に挙げています。

四日市市で店舗の改装をしていて、トイレにも感知器を付けるように言われました。
他の市では付けていない現場も見るので迷っています。

四日市市の審査基準は、便所と洗面所に付けるよう行政指導として書いています。
市によって扱いが逆になっているところです。

国の規則には便所のことは書いていないのですか。

付けなくてよい場所の一覧に便所は入っていません。
津市・鈴鹿市・埼玉県央広域の基準と並べて見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防法施行規則第23条第4項第1号が感知器を設けなくてよいとする場所に便所は入っていない
  • 四日市市は便所と洗面所に感知器を設けるよう求めていて、この部分は市の行政指導を示す下線付き
  • 津市は飲食店や物販店舗などで不特定多数が使うトイレに設置し、天井まで区画された個室ブースはブースごとに付けるとしている
  • 鈴鹿市と埼玉県央広域は便所と便所に付随した洗面所を感知器の設置を要しない場所に挙げている
  • 埼玉県央広域は2キロワットを超えるヒーター機器を置いた便所を、鈴鹿市は化粧室だけの場所をその例外にしている

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トイレの感知器の扱いを四日市市と津市と鈴鹿市と埼玉県央広域で並べて比べた図解

国の規則は便所に感知器を付けなくてよいと決めているのか

事務所のフロアの奥の天井に感知器がありその先にトイレの扉があるイメージ
最初に、感知器をどこに付けるかを決めている国の条文を確かめます。
消防法施行規則第23条第4項第1号は、感知器を設ける場所から外す部分を並べています。
消防法施行規則 第二十三条第四項第一号(抜粋)
感知器は、次に掲げる部分以外の部分で、点検その他の維持管理ができる場所に設けること。
イ 感知器(略)の取付け面(略)の高さが二十メートル以上である場所
ロ 上屋その他外部の気流が流通する場所で、感知器によつては当該場所における火災の発生を有効に感知することができないもの
ハ 天井裏で天井と上階の床との間の距離が〇・五メートル未満の場所
便所はこの一覧に入っていません。
同じ第23条で便所という言葉が出てくるのは第6項第3号のかっこ書で、場所に応じた感知器の種類を決める規定から「廊下、便所その他これらに類する場所」を除いている部分です。
鈴鹿市・埼玉県央広域・堺市の基準は、第4項第1号イからハまでの規定による「ほか」として、感知器の設置を要しない場所を別に書いています。
つまり便所に付けるかどうかは、次の順で各市の基準を読んでいくことになります。
①規則第23条第4項第1号イからハまで(国が外す場所)を確かめる
②各市の審査基準の「感知器の設置を要しない場所」に便所があるかを見る
③あれば、ヒーター機器や化粧室などの「ただし書」で例外に当たらないかを見る
④最後に、四日市市や津市のように「設置すること」と上乗せしている項目がないかを見る

国が決めていないから、市ごとに扱いが分かれるのですね。

そうです、④の上乗せまで読まないと結論が出ません。
次は四日市市の書き方を見ます。

四日市市は便所と洗面所をどう扱っているのか

洗面台が並び奥に個室があるトイレの天井に感知器を付けたイメージ
四日市市消防本部の「四日市市消防同意事務審査基準」(令和6年4月1日適用)を見ます。
「第10 自動火災報知設備」の「2 感知器」に、付ける場所と付けなくてよい場所が並んでいます。
四日市市消防同意事務審査基準 第10 自動火災報知設備 2 感知器(抜粋)
(2)パイプシャフト又は造りつけの物入れの水平断面積が1㎡以上のものには設置を必要とすること。
(3)床の間が2㎡以上のものには設置を必要とすること。ただし、はり等が煙感知器にあっては0.6m以下、熱感知器にあっては0.4m以下で区画されているものにあっては、この限りではない。
(4)便所及び洗面所には、設置を必要とすること。
(5)可燃物が存しないユニット式のエアシャワー室であって、通行のみに使用するものにあっては、令32条を適用し感知器を設置しないことができる。
便所と洗面所には付けるのが四日市市の基準です。
用途や広さの条件はなく、便所に付随するかどうかも区別していません。
この基準は、市の行政指導であることが明らかな部分に下線を引くと総則に書いていて、原本のページでは(2)から(5)までの本文に下線が引かれています。
総則は、行政指導の部分は関係者に趣旨を説明し協力を得たうえで指導するとしているので、法令の義務とは性格が違います。
ただし(3)の床の間のただし書には下線がなく、通行だけに使うエアシャワー室は令第32条を適用して感知器を省けるとしています。
設計段階で便所と洗面所を感知器の配置図に入れておき、外したい場合は事前に消防本部と相談しておくと手戻りがありません。

下線の部分は義務ではなく指導なのですね。

はい、ただ同意や検査の場面で指導されるので、最初から入れておくのが現実的です。
次は津市を見ます。

津市は不特定多数が使うトイレをどう扱っているのか

飲食店のトイレで天井まで仕切られた三つの個室それぞれに感知器を付けたイメージ
津市消防本部の「津市予防事務審査検査基準」は、「5-11 自動火災報知設備」の「1 感知器の設置方法」⑴に、アからセまでの項目を並べています。
その中に、トイレや浴室に付けることを求める項目があります。
津市予防事務審査検査基準 5-11 自動火災報知設備 1 感知器の設置方法 ⑴(抜粋)
キ 設置面積1㎡未満の物入れ、パイプシャフト等には、感知器の設置を要しない。
コ 福祉施設等で機械浴室が設置される場合は、感知器を設置すること。
サ 飲食店、物販店舗等で不特定多数の者が使用するトイレには、感知器を設置すること。また、トイレ内の個室ブースが天井まで区画される場合は、区画される個室ブース毎に感知器を設置すること。
セ 洗濯機、衣類乾燥機等の電化製品を設置する脱衣室には、感知器を設置すること。
客が使うトイレは個室ごとに数えます。
飲食店や物販店舗などで不特定多数の者が使うトイレには感知器を設置し、個室ブースの仕切りが天井まで届いているなら、ブースごとに1個ずつ付けることになります。
仕切りが天井まで届かないブースについては個室ごとに付けるとは書かれておらず、トイレに設置するという前段だけが当てはまります。
従業員だけが使うトイレや共同住宅の住戸のトイレについては、⑴の中に付けなくてよいとも付けるとも書かれていません。
福祉施設の機械浴室と、洗濯機や衣類乾燥機を置く脱衣室にも感知器を設置するとしています。
この5-11の項目には、行政指導を区別する記号や下線は付いていません。

天井まで仕切ったブースは、それぞれ別の部屋という考え方なのですね。

そうです、煙や熱が届かないので個室ごとに付けます。
次は外せる側の鈴鹿市と埼玉県央広域です。

鈴鹿市と埼玉県央広域はどんな便所なら外せるのか

暖房便座とハンドドライヤーのある小さなトイレの右に鏡が並ぶ化粧室を置いたイメージ
鈴鹿市消防本部の「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」と、鴻巣市・桶川市・北本市を受け持つ埼玉県央広域消防本部の審査基準は、どちらも「第10 自動火災報知設備」に「感知器の設置を要しない場所」を置いています。
柱書はどちらも、規則第23条第4項第1号イからハまでの規定による「ほか」としています。
鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章 第10 自動火災報知設備 ⑵ 感知器の設置を要しない場所(抜粋)
ウ 便所、便所に付随した洗面所(当該場所の用途が専ら化粧室(いわゆるパウダールーム)のみである場合を除く。)
エ 浴室の用途に供する場所

埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第10 自動火災報知設備 ⑵ 感知器の設置を要しない場所(抜粋)
ウ 便所及び便所に付随した洗面所の用途に供する場所
ただし、次に掲げる場合を除く。
(ア) 便所に、電気便座付き便器又は自動洗浄乾燥式便器その他ヒーターを内蔵した機器を設置した場合で、機器個々のヒーターの出力が2kWを超える場合
(イ) 便所に付随した洗面所に、電気温水器、ガラス曇り防止器、ハンドドライヤーその他ヒーターを内蔵した機器を設置した場合で、機器個々のヒーターの出力が2kWを超える場合
2市とも便所は原則として付けなくてよい側です。
鈴鹿市は、便所に付随した洗面所でも、その場所が専ら化粧室(パウダールーム)として使われる場合は、設置を要しない場所から外しています。
埼玉県央広域は、温水洗浄便座やハンドドライヤーなどのヒーターの出力が機器ごとに2キロワットを超える場合を例外にしています。
一般的な温水洗浄便座がこの出力を超えるかどうかは機器の仕様で決まるので、銘板や取扱説明書の消費電力を確かめておきます。
原本のページで見ると、鈴鹿市のウ・エにも埼玉県央広域のウ・エにも、行政指導を示す▲や法令と指導を示す●は付いていません。
大阪市・東大阪市・堺市の扱いは、下の比較表と「あわせて読みたい」の大阪市の記事で確かめられます。

同じ三重県でも、四日市市と鈴鹿市で逆になるのですね。

そうです、市境をまたぐ物件では特に注意が要ります。
最後に浴室や物入れも並べて比べます。

浴室や脱衣室やパイプシャフトや床の間はどう違うのか

ユニットバスと洗濯機のある脱衣室の右に床の間のある和室を置いたイメージ
便所のまわりにある浴室・脱衣室・物入れ・床の間も、市ごとに書き方が違います。
大阪府内の3市(大阪市・東大阪市・堺市)は、各消防局の基準の文言から書き出しました。
場所四日市市津市鈴鹿市埼玉県央広域大阪府内の3市
便所設置を必要とする(下線)不特定多数が使うトイレは設置・天井まで区画した個室はブースごと要しない要しない(ヒーター2kW超の機器を除く)東大阪市・堺市は要しない場所に挙げる・大阪市は「浴室、シャワー室、洗面所等」で便所の語なし
洗面所設置を必要とする(下線)記載なし便所に付随するものは要しない(専ら化粧室を除く)便所に付随するものは要しない(ヒーター2kW超の機器を除く)大阪市・東大阪市はヒーター機器等のただし書つきで要しない・堺市は便所に付随し可燃物がないものは要しない
浴室・脱衣室記載なし機械浴室と洗濯機等のある脱衣室は設置浴室は要しない(バランス釜・ユニットバスの脱衣所も同等)浴室は要しない(バランス釜・ユニットバスの脱衣所も同等)浴室は要しない(大阪市・東大阪市はヒーター機器等のただし書つき)
物入れ・パイプシャフト1㎡以上は設置を必要とする(下線)1㎡未満は要しない1㎡未満のパイプシャフト等は要しない1㎡未満のパイプシャフト等は要しない3市とも条件つきでパイプシャフトを外す
床の間2㎡以上は設置を必要とする(下線)記載なし記載なし記載なし大阪市・東大阪市は床の間を要しない場所に挙げる
物入れの1平方メートルは、四日市市も他市も同じ線を引いています。
四日市市は1平方メートル以上なら付けると書き、津市・鈴鹿市・埼玉県央広域は1平方メートル未満なら付けなくてよいと書いていて、向きは逆でも境目は同じです。
分かれるのは便所・洗面所と床の間で、四日市市は付ける側、大阪市・東大阪市は付けない側に書いています。
津市の脱衣室の項目は、洗濯機や衣類乾燥機という出火源になりうる機器を置くかどうかで線を引いています。
堺市は、掃除用流し(SK)には掃除用具やトイレットペーパーなどの可燃物が置かれるおそれがあるとして感知器を設置するとしています。
図面の段階で、便所・洗面所・脱衣室・物入れの一覧を作り、建物のある市の基準の列で1つずつ付けるかどうかを決めておくと検査で慌てません。

トイレの隣の掃除用具入れも見落としやすいですね。

はい、可燃物を置く場所かどうかで扱いが変わります。
迷うときは管轄の消防本部に確かめましょう。

よくある質問

Q四日市市でトイレに感知器を付けないと違反になりますか?
A四日市市の基準で便所と洗面所に付けるとした部分には、市の行政指導を示す下線が引かれています。法令の義務とは性格が違いますが、同意や検査の場面で指導されるので、外したい場合は設計段階で消防本部に相談しておきます。
Q津市で従業員だけが使うトイレには感知器が要りますか?
A津市の基準が設置を求めているのは、飲食店や物販店舗などで不特定多数の者が使うトイレです。従業員用のトイレについては5-11の⑴に書かれていないので、管轄の消防署に確かめてください。
Q埼玉県央広域で温水洗浄便座を付けたトイレには感知器が要りますか?
A埼玉県央広域が例外にしているのは、機器ごとのヒーターの出力が2キロワットを超える場合です。便座の仕様書で消費電力を確かめ、超えるかどうかで判断します。
Qこの比較は別の市でもそのまま使えますか?
A使えるとは限りません。国の規則に便所の扱いが書かれていないので、建物のある市町村の消防本部の基準で確かめます。

まとめ

✔消防法施行規則第23条第4項第1号の設けなくてよい場所に便所は入っていない
✔四日市市は便所と洗面所に感知器を設けるよう行政指導として求めている
✔津市は不特定多数が使うトイレに設置し、天井まで区画した個室はブースごとに付ける
✔鈴鹿市と埼玉県央広域は便所と便所に付随した洗面所を設置を要しない場所に挙げている
✔埼玉県央広域は2キロワット超のヒーター機器、鈴鹿市は専ら化粧室の場所を例外にしている
✔物入れとパイプシャフトの1平方メートルは各市とも同じ境目で、床の間は四日市市だけが付ける側

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則 第23条(e-Gov法令検索)
  • 四日市市消防同意事務審査基準 総則・第10 自動火災報知設備(四日市市消防本部・令和6年4月1日適用)
  • 津市予防事務審査検査基準 5-11 自動火災報知設備(津市消防本部)
  • 鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章 第10 自動火災報知設備(鈴鹿市消防本部)
  • 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第10 自動火災報知設備(埼玉県央広域消防本部)
  • 大阪市・東大阪市・堺市の自動火災報知設備に係る基準(各消防局)

※本記事は公表されている法令および各消防本部の審査基準に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部でご確認ください。個別の判断は管轄の消防署にご相談ください。

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