マンションやアパートを新築するとき、入居前の建物の収容人員は何人で数えればよいのでしょうか。
国の消防法施行規則は、共同住宅の収容人員を「居住者の数により算定する」とだけ書いています。
この記事では、吹田市消防本部の質疑応答集が、新築の共同住宅を住戸の間取りごとの人数で数えている点を、豊中市と堺市の基準と並べて読みます。
同じ間取りでも市によって人数が違い、防火管理者が必要になる境の50人を超えるかどうかが変わることがあります。
新築の建物は、まだ誰も住んでいませんよね?
はい、そこで市が間取りごとの人数を決めています。
順に見ていきましょう。
市によって、決め方が違うのですか?
違います。
同じ2DKでも2人と3人に分かれます。
- 国の消防法施行規則第1条の3は、共同住宅の収容人員を「居住者の数」で数えるとだけ定め、入居前の数え方は書いていません。共同住宅は収容人員50人以上で防火管理者が必要です
- 吹田市の質疑応答集は、新築共同住宅を1K・1DK・1LDKは1人、2K・2DK・2LDKは3人、3LDK・4LDK等は4人で数えるとしています
- 豊中市の運用基準は、実態の把握が難しい共同住宅を1K・1DK・1LDKは1人、2K以上は3人で数えるとしています
- 堺市の審査基準は、1R~1LDK・2DKを2人、2LDK・3DKを3人、3LDK・4DKを4人、4LDK・5DKを5人で数えます
- 2DKは堺市で2人、吹田市と豊中市で3人です。同じ建物でも市ごとに人数が変わるため、最新は管轄の消防署で確認してください
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目次
国の規則は共同住宅の収容人員をどう決めているのか

収容人員の算定方法は、同じ条の第4項が総務省令に任せています。
そのため、まだ誰も住んでいない新築の建物では、条文だけでは人数が決まりません。この空白を、市ごとの基準が埋めています。
堺市の基準は、堺市の入居前のマンションの記事で解説しました。この記事では、吹田市と豊中市を中心に、堺市と並べて比べます。
国の条文には、新築のときの数え方がないのですね。
はい、書かれているのは「居住者の数」だけです。
次に吹田市の基準を見ましょう。
吹田市の質疑応答集は新築の共同住宅をどう数えているのか

答4は、国の規則第1条の3のほかに、次によるとしています。新築共同住宅の数え方は、(2)にあります。
(平成24年度第1回予防部会)
単身者向け住戸:1K・1DK・1LDK→1人
ファミリータイプ:2K・2DK・2LDK→3人
上記以外:3LDK・4LDK等 →4人
| 住戸のタイプ | 数える人数 |
|---|---|
| 1K・1DK・1LDK(単身者向け住戸) | 1人 |
| 2K・2DK・2LDK(ファミリータイプ) | 3人 |
| 3LDK・4LDK等(上記以外) | 4人 |
「(平成24年度第1回予防部会)」とあるので、この数え方は吹田市消防本部の予防部会で定められたものと読めます。
ただし、質疑応答集には、入居後に実際の人数へ切り替えるかどうかは書かれていません。入居後の扱いは、消防署に確かめてください。 メゾネット式の共同住宅の数え方も、同じ節の答5にあります。
共用廊下等に面する主たる出入口の存する階に全居住者を算入すること。
1LDKは1人なのですか? 少なく感じます。
単身者向けの住戸として、1人で数えています。
堺市は同じ1LDKを2人で数えます。
豊中市の運用基準は新築の共同住宅をどう数えているのか

まず、原則と、新築などの場合の扱いです。
要領の中身は、住戸のタイプ別の人数表です。基準の表は、次のとおりです。
| 住戸のタイプ | 算定居住者数 |
|---|---|
| 1K・1DK・1LDK | 1人 |
| 2K以上 | 3人 |
数え方も、運用基準に書かれています。
運用基準の冒頭には、「法令上義務となる内容と行政指導の内容が含まれている」とだけ書かれ、義務と指導を記号で分ける凡例はありません。この人数表は、「防火管理義務の判定」と「防火管理指導」に使うと書かれています。義務か指導かは、条文の文言だけでは分けられません。
豊中市の表は、吹田市より簡単ですね。
はい、二段階だけです。
ただし、大きな住戸ほど吹田市より少なくなります。
堺市・吹田市・豊中市で同じ建物を数えると何人になるのか

ただし、賃貸契約等によりあらかじめ居住者数が定められている場合や竣工後は、実態に即した人数とすることができる。
堺市の人数表には★が付き、堺市消防局が定めた指導基準です。三つの市の人数を、間取りごとに並べます。
| 住戸のタイプ | 堺市 | 吹田市 | 豊中市 |
|---|---|---|---|
| 1R | 2人 | 書かれていない | 書かれていない |
| 1K・1DK・1LDK | 2人 | 1人 | 1人 |
| 2K | 表にない | 3人 | 3人 |
| 2DK | 2人 | 3人 | 3人 |
| 2LDK | 3人 | 3人 | 3人 |
| 3LDK | 4人 | 4人 | 3人 |
| 4LDK | 5人 | 4人(「3LDK・4LDK等」) | 3人 |
大きな住戸は、堺市が段階的に増やし、吹田市は4人で止め、豊中市は3人のままです。三つの市で、同じ人数なのは2LDKの3人だけです。
同じ建物で数えてみます。どちらも、全部が共同住宅で、店舗などは入っていないものとします。
- 例1 1LDKが12戸、2LDKが8戸、3LDKが2戸(22戸)。堺市は12戸×2人+8戸×3人+2戸×4人=56人。吹田市は12戸×1人+8戸×3人+2戸×4人=44人。豊中市は12戸×1人+(8戸+2戸)×3人=42人。
- 例2 2DKが20戸。堺市は20戸×2人=40人。吹田市は20戸×3人=60人。豊中市も20戸×3人=60人。
同じ建物でも、建てる市の基準で、入居前の算定の結果が変わることが分かります。
同じ建物なのに、市で人数が変わるのですね。
はい、表の数字は市ごとの基準です。
他の市の数字は当てはめられません。
新築のマンションを設計する前に何を確かめればよいのか

- 建物の用途が、共同住宅や寄宿舎などの(5)項ロかを確かめます。
- 住戸を、間取りのタイプごとに数えます。1K・1DK・1LDK、2K・2DK・2LDK、3LDK以上の三つに分けます。
- 建てる市の基準で人数を掛け合わせて足します。吹田市は1人・3人・4人、豊中市は1人・3人です。
- 合計が50人以上かを見ます。50人以上なら防火管理者が必要になります。
- 入居後に実際の人数へ切り替えるかを、消防署に図面を持って確かめます。吹田市の質疑応答集には書かれていません。
大阪市と東大阪市は、堺市の記事で確かめた範囲では、公開資料に入居前の人数表が見当たりませんでした。今回、吹田市と豊中市の素材も加えましたが、大阪市と東大阪市は改めて確かめていません。
共同住宅の入居後の数え方は、共同住宅や寮の収容人員の記事で解説しています。
市の表で、設計の段階から人数を出しておけばよいのですね。
はい、まずは間取りごとに数えることです。
迷ったら、消防署に図面を持って聞きましょう。
よくある質問
まとめ
まず間取りごとの戸数を数えます。
そのうえで消防署に相談します!
人数表は建てる市の基準で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第21節 事務処理 問4・問5(更新2026-07-13) https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」(令和6年4月1日改正)収容人員の算定 令別表第1(5)項ロ https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第2章 第1節 第7 収容人員の算定 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行令 第1条の2(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
- 消防法施行規則 第1条の3(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。






