消防から命令を受けるかもしれないとき、聴聞と弁明の機会のどちらになるのかは、命令の内容で分かれます。
消防庁の現行マニュアルと行政手続法をもとに、命令前に意見を述べる手続の見方を管理者向けに整理します。
命令の前に、意見を伝える場はあるのでしょうか。
命令の内容により、聴聞か弁明の機会かが分かれます。
聴聞と弁明では、何が違うのでしょうか。
聴聞は口頭中心、弁明は原則として書面です。
- 聴聞は、許認可の取消しや資格・地位の直接はく奪などで行う手続です
- 弁明の機会は、聴聞に当たらない不利益処分で原則として書面により行います
- 消防庁マニュアルは、命令の公正と透明性のために手続を置くと整理しています
- 緊急時や技術基準の不適合を客観的に確認できる場合などは、事前手続を省略できる場合があります
- 書面を受け取ったら、内容・根拠条項・期限を確認し、所轄消防署へ早めに相談します

目次
命令前の手続は何のために行うのか

消防庁の現行「違反処理標準マニュアル」は、違反調査の結果を踏まえて命令という不利益処分を行うとき、命令の公正を確保し、行政手続の透明性を高めるために、名宛人へ聴聞または弁明の機会を与える必要があると説明しています。
命令書が届く前に、予定される処分と原因となる事実に対して意見を述べるための仕組みです。資料提出命令・報告徴収は情報収集を直接の目的とするため、この不利益処分の手続とは別に扱われます。
調査への協力と命令前の意見陳述は、同じ手続ではありません。
調査と命令前の手続は、段階を分けて見ます。
書面の題名と根拠条項を、まず確認します。
聴聞になるのはどんな命令か

行政手続法第13条第1項第1号は、許認可等の取消し、名宛人の資格または地位を直接にはく奪する処分、役員等の解任・会員の除名を命ずる処分、その他行政庁が相当と認める場合を聴聞の対象としています。
聴聞では、行政庁が指名した主宰者のもとで、口頭による意見陳述、質問、証拠書類の提出などを行います。消防庁マニュアルも、聴聞調書と主宰者の報告書を踏まえて処分を決める流れを示しています。
取消しなど影響の大きい処分には、より手厚い口頭の手続が置かれます。
聴聞は、口頭で事実と意見を整理する場です。
通知の期日までに、資料と説明を準備します。
弁明の機会はどのように与えられるか

聴聞に当たらない不利益処分では、行政手続法第13条第1項第2号により弁明の機会が与えられます。原則は書面で、行政庁が口頭で行うことを認めた場合には口頭での弁明もできます。
通知には、予定される不利益処分の内容と根拠条項、原因となる事実、弁明書の提出先と提出期限が示されます。消防庁マニュアルは、弁明の内容を十分に参酌して処分を決定すると整理しています。
期限だけでなく、何が予定され、どの事実が原因とされているかを読みます。
弁明は原則として書面で、内容を伝える機会です。
提出期限を過ぎる前に、事実関係を整理します。
事前手続を省略できるのはどんな場合か

行政手続法第13条第2項は、事前の聴聞・弁明を要しない場合を5類型定めています。公益上緊急に処分が必要な場合、資格の不存在・喪失が客観資料で直接証明される場合、技術基準への不適合を計測・実験などの客観的方法で確認できる場合、金銭納付等の処分、義務が著しく軽微な政令指定の処分です。
消防庁マニュアルは、技術基準が明確で不適合が客観的に確認された場合の例として、消防法第17条の4第1項の命令を挙げています。省略は自由裁量ではなく、法定の要件によります。
緊急性や客観的な確認方法が、手続省略の鍵です。
省略できる場合も、法律が類型を限定しています。
設備の状況は、記録と根拠をそろえて確認します。
管理者は違反の指摘を受けたとき何から確認するか

まず、指摘内容、対象設備や場所、火災時に影響する範囲、是正の方法と時期を正確に確認します。解体、移転、権利関係などの事情がある場合も、危険を下げる対策を先に共有します。
留保の可否を自ら決めたり、通常の是正期限を推測したりしてはいけません。所轄消防署、建物関係者、消防設備士で情報をそろえ、指示に従って記録を残します。
個別事情だけで結論を決めず、危険性と必要な対策を先に確認します。
指摘を受けたら順序を決めます。
|危険確認、相談、記録、是正計画です。
留保中の判断を誰に相談すればよいですか。
よくある質問
まとめ
書面の内容と期限を整理して、早めに相談します。
まずは所轄消防署へ確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
監修:㈱防災屋
参考・出典
- 立入検査、違反処理等(消防庁)
- 違反処理標準マニュアル(令和7年10月16日最終改正)
- 行政手続法 第13条・第29条・第30条(e-Gov法令検索)
- 消防法 第4条・第8条の2の3・第17条の4(e-Gov法令検索)
※本記事は公表資料に基づく一般的な解説です。個別の命令や手続は、所轄消防署の判断に従ってください。






